2008.07.19 (Sat)
EMA主導の政治ブログ「フィルタリング」の弊害について
【ブログ】画像ファイル挿入の仕様変更のお知らせ
よくフィルタリングやネット規制について記事をみかけるが、最近では『保坂展人のどこどこ日記』がフィルタリングの問題を提議している。
「青少年保護と『フィルタリング』の副作用 」というエントリーから引用させていただきたい。
先日、2回続けて「インターネットと規制社会を考える」をこのブログにて書いた。日本の政治家の中には、「携帯電話」を通じたネット・アクセスを「フィルタリング」を課すことによって規制することをノーテンキに信じている人たちがいる。とんでもない大間違いであることは、携帯各社が「フィルタリング」というのは名ばかりの大雑把なアクセス規制を始めていることで明らかだ。俗に「ホワイトリスト」「ブラックリスト」と呼ばれているが、たとえば「ホワイトリスト」と言われているものは携帯電話会社の事業者に登録されているサイトの中から「コミュニティ」とか「グラビア(セクシー動画)」などの一部のサイトを接続規制・閲覧不可にするというやり方である。「ブラックリスト」の方はネット上の特定のサイトを選別し、大括りでそのジャンル丸ごと「接続規制・閲覧不可」にしてしまうことだ。(後略)
少し前に政府は直接インターネット規制を行わないということが国会で可決されたようだが、実際にはEMAという第三者企業を隠れ蓑に政府が主導して規制を行っているようだ。
EMA (Content Evaluation and Monitoring Association)
モバイルコンテンツ審査・運用監視機構
政府が直接ネット規制にかかわらないといっても、間接的に裏で規制を操作しているとしたらかなり問題だ。EMAを通してネットの規制を行うためには、会員になる必要がある。会員には正会員と賛助会員があり、その資格は下記のように分かれている。
正会員
概要 ・正会員には当機構の社員として総会での議決権が1票与えられる。
・基準を検討するためのWG(ワーキンググループ)設置の発議と参加することができる。
・当機構が行う審査及び講習会等に対する会員優遇価格での申込みができる。
会費 1口(入会金6万円、年会費12万円)から申し込みください。
※初年度について、法人様は、3口以上でのお申し込みにご協力をお願いします。
(必須ではございません。)
賛助会員
概要 理事会において当機構の運営に必要な専門性を要していると承認された者。
会費及び参加権限は、理事会において個別に設ける。
正会員になるには、一口18万円を3口以上で申し込まねばならないということは、年間54万円もかかることになる。その上、審査や講習会にはさらに費用がかかるようだ。正会員にならないと、ネット規制の規準を検討するためのWG設置の発議に参加することができるそうなので、これでは、会費を払う余裕のある企業だけがネット規制基準の発議に参加できることになり、そういった企業ばかりが保護されることになる。ネットも全て政府や大企業の都合のいいように操作され、青少年保護なんて聞こえはいいが、実際は反政府的意見や不正を行う大企業を批判させないようなまさに政官業の癒着をますます促進させるようなものではないか。
こういった問題を考える上で、少し前に書かれた下記のサイトがとても参考になった。
有害情報規制への行政介入、「情報通信法」に影響も・ネット時評(4月28日)
インターネットやケータイの有害情報から青少年を守る。そのための法案が与野党で議論されている。青少年保護という目的は美しい。だが、手段を間違えるととんでもないことになる。中でも自民党青少年特別委員会が審議している案は、ネット空間にガソリンをまいて火をつけるようなもので、その空間はきれいで安全になるかもしれないが、そこには誰も住まなくなり、かつ、悪者は海外や地下に潜る。青少年を守るためには、企業の対応強化、技術開発や教育など、ほかにすべきことがある。(中村伊知哉・慶大学DMC機構教授)
この記事の中で、中村氏はネット規制の問題をいろいろとあげているが、特に「違法」と「有害」は違うことを強調されている。
増田総務相は25日、携帯サイトの健全性を第三者機関の判断に委ねることなどを柱とした総務省の検討会の中間報告を携帯各社に伝え、フィルタリング方式の見直しを要請した
ここで、「違法」と「有害」は違うということに注意する必要がある。児童ポルノ、名誉毀損、著作権法違反など、違法な情報に対する取り締まりは強化すべきだ。その対策は十分ではない。今回の法案は、それ以外の「有害」な情報を対象とするものだ。わいせつ、自殺関連、反日といった情報を有害と「思う」かどうかは、個人の価値観や家庭、地域等によって異なる。その価値基準を国が決めてよいのか。
たしかに「違法」サイトは厳しく取り締まるべきだと思うが、「有害」とする基準は個人や価値観、家庭、住む地域によって大きく異なるというのは真実であり、「違法」の取り締まりは適当にやっておいて、政府が決めた政府にとっての「有害」サイトの基準を青少年や国民に押し付けて規制するのは絶対におかしいと思う。
例えば、保坂議員によれば、有害情報だけでなく政治に関する意見など有益情報も青少年に提供しないそうで、さらに、18歳未満の青少年だけではなく、19歳の社会人・学生も会社によっては未成年者として小学生と同じ規制を受けるのだそうだ。
それでなくとも今の若者は政治に関して興味が薄いと言われているのに、それを増長させるようなネット規制制度は青少年にとって本当に必要な制度と言えるのだろうか。こんな規制をお金をかけて行うよりも、学校教育の中で若者が自分で情報の真偽やその裏に隠された意味を知ることができるようにリテラシー教育を強化することの方が重要だと思われる。そうすれば、青少年たちは、ネット規制されなくとも、自分で良い情報、悪い情報が識別でき、フィルタリングなどの規制など必要なくなるからだ。
関連記事及びサイト:
第一回「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(仮称)」準備委員会 議事録
違法サイト以外のフィルタリングには絶対に反対と思われたら、今日もランキングの応援よろしくお願いします。

にほんブログ村 政治ブログ 現在 2 位

BlogPeopleランキング
「政治」部門 現在 2 位

FC2政治ランキング 現在 1 位
『自エンド - トラックバック・ピープル』
http://member.blogpeople.net/tback/09077
ブログ村トラコミュ『自エンド』
http://politics.blogmura.com/rpc/trackback/85445
『民主党 - トラックバック・ピープル』
http://member.blogpeople.net/tback/09160
にトラックバックしています。
- 関連記事
-
- 『カナダde日本語』がyahoo!八分されていたことが「ブログ検索」で判明 (2008/11/09)
- お知らせ: TBP、只今メンテ中 (2008/08/19)
- EMA主導の政治ブログ「フィルタリング」の弊害について (2008/07/19)
- FC2障害情報 (2008/06/30)
- お知らせです♪ (2008/06/02)
Tags : モバイルコンテンツ審査・運用監視機構 |
EMA |
フィルタリング |
有害情報規制 |
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
社会的・政治的素養を認めない日本の学校。メディアリテラシー教育を行なうカナダの学校。
植草一秀氏を読む。『長銀事件逆転無罪判決の闇』。:長銀頭取無罪なら破綻の責任は誰にある!
【日記】今週気になったニュースとブログ(フイルタリング、村岡さん最高裁判決、エクソダス更新、永田さん
うえ~の方の人から率先して、きちんとモラルを守る、という社会にするというのはどうでしょうかね~
こどもたちには考える力をつけないで、上から押さえつけ(押さえつけている人は、自覚していないので、これまた問題だが)、20歳になったら、突然大人扱いでは、こどもがまともに育つはずがない。
政府には、きちんと、子育て・こどもの発達を学習してほしいですね~
私もしなくては