2008.07.10 (Thu)
トロント大学のジョン・カートンによる洞爺湖サミットの評価について
「洞爺湖サミットは78点」トロント大グループが評価
世界で最も有名なサミット研究機関、カナダ・トロント大「G8研究グループ」のジョン・カートン代表に洞爺湖サミットの評価を聞いた。
代表の総合評価は、100点満点で78点に当たる「B+(プラス)」。これは、沖縄サミット(2000年)の「B」(75点)より高く、サミット33年間の歴史の中でも高得点のひとつだという。
代表は、地球温暖化問題で京都議定書に代わる枠組みを提示したことを「最大の成果」と位置づけ、福田首相のリーダーシップと共に「A」評定をつけた。
この問題に関連して、代表は、「もちろん欠点がないわけではない」として、「各国が温暖化対策として原子力発電の意義を認める中、メルケル独首相が原発への拒否姿勢を崩さず、G8として原発の長所をうたえなかった。省エネルギーへの取り組みも十分でなかった」と注文もつけた。
一方、経済宣言について代表は、「各国の国民が住宅ローンやガソリン価格高騰に苦しむ中、『事態は良好だ』と言っているようなもの」と切り捨て、各項目別で最低の「C-(マイナス)」を付け、「これを失敗とみなす人もいるだろう」と断じた。
福田首相の議長としての采配(さいはい)については、「サミットの成功をブッシュ米大統領から引き出すことに賭けた。ギャンブルだったが、うまくいった。真の指導者だ」と手放しで褒めあげ、「A」評定をつけた。
(2008年7月10日04時24分 読売新聞)
ゴミ売りが言う「世界で最も有名なサミット研究機関、カナダ・トロント大「G8研究グループ」」というのは、下の英語のサイトの内容を見ても、信頼のできる機関だと思う。
G8 Information Centre
しかしながら、ほとんどのG82008の項目に目を通してみたんだけど、ゴミ売りが報道しているような福田首相に対する高い評価は見つからなかった。ゴミ売りは「ジョン・カートン代表に洞爺湖サミットの評価を聞いた。」と書いているが、電話で聞いたのだろうか。それともメールで聞いてこのような表とともに福田首相のリーダーシップについてのコメントをもらったのだろうか。上のゴミ売りの記事には、ただ「聞いた」と書いてあるだけで、かなり怪しい。普通、どのように聞いたのかを書くべきだろう。それに万一口頭だけによる結果だとしても、それの元になる記事があるはずだ。ただ、私の目が節穴なだけかもしれないので、もし、どなたかジョン・カートンが洞爺湖サミットを評価する記事を原文で見つけたら、コメント欄に教えていただきたい。
”G8 Information Centre”のサイトには、福田首相を高く評価する代わりに、日本の中で福田首相がどのような立場にいるかを報告する海外のメディアが記載されていた。
Japan's 2008 G8:Plans for the Hokkaido Toyako Summit
-自民党は7月のG8サミットの後、衆議院の解散を2008年9月から11月の間に行うことが期待されている。(5月6日 Economist Intelligence Unit)
-福田首相率いる自民党は最近の地方選挙で負けた。その敗北と人気のない政策(後期高齢健康保険制度など)は、自民党が福田首相のリーダーシップを再び疑問視する声をあえて押し出した。(4月 28日 The Australian)
-日本の福田総理を交代させようとする声が自民党から出ている。地方での補選は福田政権を反映したものとなり、自民党が負けた。しかしながら、アナリストによれば、短くとも7月のG8サミットまでは福田は居座るだろうと言われている。 (4月28日 Reuters)
-日本の野党第一政党党首は今年の7月にG8サミットが開催される前に選挙があるかもしれないと述べた。「総選挙が5月か6月に行われる可能性もある。」と野党民主党党首である小沢一郎がセミナーで発表した。首相になって6ヶ月になる福田総理は、ガソリン税や日銀総裁指名を含む重要法案が政治的行き詰まりに瀕している中、支持率の大幅な落ち込みに見舞われている。同時に最近のアンケートによれば、野党側も自民党の支持率が落ち込んでも、ただ指をくわえてみているだけだった。 (3月31日 Agence France Presse)。
-賛否両論ある反テロ法案を国会で成立させた福田首相の決定は、福田にとってできれば避けたい「7月のG8サミット前の選挙」につながるかもしれないと人々に思わせた (1月11日 Financial Times)。
ここまで福田総理を持ち上げているのは、なんとしても自民党の支持率を上げたいからであろう。町村のアホもさっそく、サミットで活躍した福田首相に対して、国民の支持率アップを期待しているようなことを述べていた。町村としては、この不人気総理に何とか来年の秋まで政権を維持してもらいたいのだろう。そうすれば、延命によってそれなりの退職手当をもらえる。この秋に解散、総選挙になったら、政治生命を失うかもしれないのだ。国民のことはどうでもいい。このまま国民が不幸のどん底に落ちても、自分さえよければそれでいいという典型的な官僚思考なのだ。
そのうち、電通によって操作された支持率が発表されるであろう。どの程度、福田内閣の支持率がアップするか興味深いものがある。
とにかく政権交代なしには、日本はよくならないと思ったら、今日もランキングの応援よろしくお願いします。

にほんブログ村 政治ブログ 現在 2 位

BlogPeopleランキング
「政治」部門 現在 1 位

FC2政治ランキング 現在 1 位
『自エンド - トラックバック・ピープル』
http://member.blogpeople.net/tback/09077
ブログ村トラコミュ『自エンド』
http://politics.blogmura.com/rpc/trackback/85445
『民主党 - トラックバック・ピープル』
http://member.blogpeople.net/tback/09160
にトラックバックしています。
【More・・・】
Government Preparations: InternalElection
The ruling Liberal Democratic Party (LDP) is expected to call the next lower house election for September-November 2008, after Japan hosts the G8 summit in July.101 (May 6, 2008, Economist Intelligence Unit)
Prime Minister Fukuda's ruling Liberal Democratic Party lost a recent by-election. The loss as well as some unpopular policies being put forth by the party is bringing Fukuda's leadership into question once again. Certain individuals are uncertain whether or not Fukuda will even be around to host the July G8 summit.102 (April 28, 2008, The Australian)
Calls to replace Japanese Prime Minister Fukuda are emerging from his own party. In a by-election seen widely as a reflection on Fukuda and his administration, the Prime Minister's Liberal Democratic Party was defeated. Analysts have suggested, however, that Fukuda will "hang on" at least until the G8 summit in July.103 (April 28, 2008, Reuters)
Japan's top opposition leader has indicated that there could be an election before the G8 summit to be held in July of this year. "There is a possibility that a general election will be held in May or June," Ichiro Ozawa, head of the main opposition Democratic Party, said at a seminar. Fukuda, who has been in office for six months, has suffered a sharp drop in popularity amid political deadlock over key legislation, including a gasoline tax and the appointment of a new central bank chief. But at the same time, recent polls suggest the opposition has failed to take full advantage of the fall in government support.104 (March 31, 2008, Agence France Presse)
Prime Minister Fukuda's determination to push through a piece of controversial anti-terror legislation has led some to believe that an election, which the Prime Minister was hoping to avoid, may result before the G8 summit in July.105 (January 11, 2008, Financial Times)
- 関連記事
-
- サミット後も福田内閣の支持率変わらず (2008/07/15)
- お知らせ: 築地市場移転反対デモの報告 (2008/07/12)
- トロント大学のジョン・カートンによる洞爺湖サミットの評価について (2008/07/10)
- 洞爺湖サミットは閉幕だし、サルコジ仏大統領夫人のヌードでも公開しよっか (2008/07/09)
- 洞爺湖の霧は深まるばかり (2008/07/07)
Tags : トロント大学 |
ジョン・カートン |
John |
Kirton |
G8 |
Information |
Centre |
サミット研究機関 |
カナダ |
http://www.g8.utoronto.ca/scholar/kirton-prospects-080710.pdf
の39頁目です。11日に掲載されたようなので、エントリがポストされた時点ではまだ見られなかったのでしょう。
こうした原稿の未発表のドラフトを報道機関が入手することも、その経緯をぼかすことも、よくあることなのでしょう。
の39ページに福田首相に対する評価がきちんと書かれてますよ。
批判するなら資料くらいはちゃんと読まないと。
上辺だけでは何処かの政治家と一緒です。
John Kirtonの研究室のスポンサーのリストを見ると、日本の政府も入っているみたいだから、たぶんに提灯記事の可能性もありますね。
このレポートを見ると確かに読売で書いてある通りのことが書いてあり、かなりの高評価です。
日本のメディアはG8の成果は何もないといった論調でしたが、こういった評価もバランス良く見ておく必要はあるでしょう。
今日、見つけたのですが、オモシロいニュースブログで楽しく読みました。
僕もさっき洞爺湖サミットに関する記事を書いたので、TBさせてもらいました。おヒマがあれば、チラっとでも見てやって下さい。
サミットに関する評価ですが、少なくともこの数日間のCNNでは、ボロクソでしたよ(笑。 現地リポーター、現地のエコまたはNGOの職員、そして、例のボブ・ゲルドフまで出て来て、怒りをあらわにしてました。
カナダの結果は、シンクタンク的なものじゃないでしょうか。
何にしても、専門家やメディアを抜きに、民意で見ればハッキリと失敗サミットだと言えると思います。では。
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
http://www.g8.utoronto.ca/scholar/kirton-performance-080711.pdf
これの77ページの表が、読売新聞の表と一致しています。
ただし、「きまぐれな日々」からTBした記事で紹介した飯田哲也(いいだ・てつなり)氏のように、もともと日本は省エネ大国でさえなく、サミットで成果があげられるはずは最初からなかったという見方もあります。
http://eco.nikkei.co.jp/interview/article.aspx?id=MMECi3002021042008
これは今年4月23日の記事ですが、ここで飯田氏は、
「――そのような状況で日本は温暖化対策が主要議題の洞爺湖サミットを乗り切れるのか。」という問いに対し、
「無理でしょう。日本から出てくるのは既得権益を代弁する「セクター別アプローチ」や原子力・省エネだけ。既得権益を脅かす新エネはない。」
と答えていますが、実際、福田首相は「セクター別アプローチ」が認められたことを成果だと主張しており、飯田氏の予想通りでした。