2008.06.15 (Sun)
父の日にちなんで:きっこちゃんに捧ぐ
だから、今回は領事館がわざわざ出張してナイアガラまで来てくれるって連絡があったから、もう一度詳しく話しをするために行ってきた。そうしたら、トロント領事館の頭悪そうなおやじとは違って、若くてとてもテキパキした女性が対応してくれて、なんとか事がうまく運びそうだ。だって、元夫と私が同意したから手に入った離婚届があるのにそれじゃ不十分ってどういうこと?ったく~。
日本では昨日が父の日だったけど、カナダでは今日が父の日だ。だから、いつもは日本の日付で書いているんだけど、このエントリーは、本当は日本時間の6月16日に書いたんだけど、6月15日に書いたということにしようと思う。
今日は、きっこちゃんの「お父さん、ありがとう♪」を読んで「人の痛みの分からない人」が感じることがあったので、書こうと思う。
私が光市母子殺害事件で加害者の罪が重すぎると思ったのは、きっときっこちゃんが被害者と自分を重ねて見たように、加害者と私の父を重ねて見たからであり、このことはすでにきっこちゃんには個人的メールで言ってあるのにいまだに何か似たような事件があるたびに「人の痛みの分からない人」がきっこのブログには必ず登場してくるのはなぜか。
私の父は群馬の貧しい家に生まれた。私の父が生まれるや否や祖父(父の実父)はきっこちゃんのお父さんと同じように家を出てしまった。祖父は家を出てからすぐに亡くなってしまったそうで、父は実父の顔も覚えていない。私も父方の祖父の写真は一度も見たことがない。
祖母は父が学校に上がるまで女手ひとつで父を育てた。父の母親は群馬で旅館を経営していて、当時は美人女将として有名だったそうだ。そのうち、祖母は新しい夫を迎えた。しかし新しい夫は前夫と祖母の子供である私の父が憎くて長い間虐待を続けた。父は学校にも行かせてもらえず、他の子供たちがみな学校に行って勉強している間、ずっと山に薪を取りに行かされて重労働をさせられ、食事もろくに与えられなかったと聞く。その後、父の後には6人の妹が生まれたのだが、父だけが差別され、虐待されながら育った。そんな父の話を聞いて育った私は、子供を虐待する親をとても憎んでいる。
だから、父親に虐待されていた光市母子事件の加害者である元少年と父を重ねていたのかもしれない。父は虐待された分、自分の子供には優しく接してくれた。しかし、カナダの統計では子供の時に虐待されたことがある人は8割が大人になって子供を虐待するという統計が出ているとおり、父のよう虐待されても子供を虐待しない人は珍しいのだ。光市母子事件の加害者の行動も確かに死刑に値する罪を犯したと思うが、その影には父親から受けた虐待の影響が少なからずあるというのが私の意見であり、きっこちゃんにとってはこのことが耐えられないらしい。父からは虐待され、母とは近親相姦の関係を強いられていた元少年の不幸な生い立ちを考慮するべきだと言っているのだ。
家庭での虐待や学校でのいじめは社会悪だ。虐待やいじめが自殺を増やしたり、本来は罪のない人たちを犯罪へと駆り立てているといっても過言ではないだろう。秋葉原通り魔事件の加害者も親に虐待された過去を持つと聞いている。児童虐待検証部会によると、静岡県内では昨年度、児童相談所への児童虐待の相談件数が10年前の約5倍になるなど増加傾向にあり、昨年は死亡事例こそなかったものの、一時保護所に保護された児童は335人、保護者が何度も虐待を繰り返すため児童福祉施設に保護された児童は135人にものぼると報告されている。ひとつの県でこれだけの虐待児童がいるということは、全国にしたらどれだけの数にのぼるのだろうか。
きっこちゃんは、又、「人でなし」には「人権」も必要なしという記事の中で世の中には不幸な子供なんかいくらでもいるし、虐待されて育った子供だってたくさんいるけれども、ほとんどの人たちがみんな立派に成長していると書いている。それは、何を根拠に言っているのだろうか。自分にメールくれた人だけをもとに言っているのだろうか。それとも自分で勝手に想像しただけだろうか。
幼いころに不幸だった子供が大人になった場合に、100人が100人とも凶悪犯罪を犯すようになるんなら、光市の凶悪犯だって、情状面を考慮してやってもいいと思う。だけど、実際には、光市の凶悪犯よりも何倍も不幸な子供時代を送った人たちでも、ほとんどの人たちが、普通に成長し、普通の大人になり、誰にも迷惑を掛けずに普通に生活してる。
まず、光市母子事件の加害者はかなり不幸な子供時代を送っている。彼よりも何倍も不幸な子供時代を送った人たちというのは、どういった境遇だったのだろうか。『赤木高原ホスピタル』 虐待被害者の声を読んだだろうか。虐待されて育った子供がたくさんいるというのは本当だけど、ほとんどの人が立派に成長しているなんていうのはでたらめだ。実際は、子供の頃に虐待された人は大人になっても何らかの心の傷を背負っている。それが原因で自殺する人も多いだろうし、そんな人たちが子供を持つようになると自分が虐待されたように自分の子供を知らぬうちに虐待する人も多いだろう。「ほとんどの人たちが、普通に成長し、普通の大人になり、誰にも迷惑を掛けずに普通に生活してる。」というのは単なるきっこちゃんだけの意見だ。
きっこちゃんの意見にも見られるように、日本人は虐待に対してかなり鈍感だ。私は一度人が多い日本のある駅で自分の子供の頭を思い切り殴り何度も何度も「お前は馬鹿なんだから!」と叫ぶ親を目撃した。あまりにもひどかったので警察に通報しようと思ったほどだ。しかし、ふと我に返ってここは日本なんだし、自分の子供の頭を殴ったくらいじゃ警察は来ないだろうと思いとどまった。カナダでは、人前で子供の頭をたたいただけで、親は逮捕される。それだけ市民がみんな子供の虐待に対して注意を払っているのだ。日本も虐待をなくすためには、みんながもっと目を光らせる必要があると思う。虐待が起こらないように、何よりも、親がストレスを感じない社会をつくることが大切なんだけれども、今の政治じゃ、親のストレスが増加する一方だというのも、虐待児童が増えていることからも容易にわかるだろう。
きっこちゃんは、私を「人の痛みの分からない人」と何度も何度も呼ぶが、自分こそが虐待されて育った人々の痛みの分からない人じゃないか。子供の頃に虐待されて育った人々がどれだけ苦労して毎日を生きようとしているのかもっとしっかりと目を見開いて欲しい。
レイプされたことがない人にはレイプされた人の気持ちはわからないと言うが、私はレイプされた女性の痛みを十分わかっているつもりだ。だから、戦時中に性の奴隷として働かされた女性の権利を守るために従軍慰安婦問題に関する記事を何度となく書いてきた。レイプされた女性に対して同情を示すきっこちゃんが、従軍慰安婦に関する記事はほとんど書かないのは何か理由があるのだろうか。
父親の話に戻るが、私の父は子供にとっては本当にいい父だったが、女癖が悪く、母が旅行に行っているときに女を自宅に連れ込んだり、一度は近所の家が寝静まっている夜の2時くらいに女がいきなり自宅に訪ねてきて、母親と乱痴気騒ぎを起こしたこともある。とても夫婦仲がいいとはいえず、しょっちゅう喧嘩ばかりしていた。仲の悪い夫婦が一緒に暮らしていつも喧嘩しているのを見ながら暮らす子供にはかなりのストレスがたまる。それよりも、きっこちゃんのように父親とは一緒に住んでいなくても母親の愛を一心に浴びながら育つほうが子供にとっては幸せだと思う。きっこちゃんは自分が思うより決して不幸でないということを知ってもらいたい。
関連記事:
『きっこのブログ』
「お父さん、ありがとう♪」5月15日
「人でなし」には「人権」も必要なし5月5日
『きっこのブログ』「人の痛みが分からない人たち」を読んで4月28日
『赤木高原ホスピタル』 虐待被害者の声
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犯罪を犯した人たちの中には、酷い虐待を受けて育った人たちが沢山います。
光市母子殺人事件についてのきっこさんの見解は、自分の書きたくもない経験と重なっているからこそ感情的になったのではないでしょうか?
私は、人の痛みの分からない人というのは、自分の物差しで相手を計り非難する人だと思っています。
きっこさんにはきっこさんの悲しみや痛みがあるように、光市の少年には少年の痛みや悲しみがあります。
私は少年の生い立ちを知ったとき、とても痛々しい過去をもった少年だと感じました。
事件を繰り返さないためには、この少年を死刑にすることではなく、虐待の傷の深さや連鎖の怖さに目を向け、考えていくことじゃないかと思います。
中国では、親になるための勉強をします。
その中には虐待の怖さや連鎖のことも含まれるそうです。
日本人もそういうことは大切だから是非、学んでほしいです。
http://www.amazon.co.jp/%E6%AF%92%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E8%A6%AA%E2%80%95%E4%B8%80%E7%94%9F%E8%8B%A6%E3%81%97%E3%82%80%E5%AD%90%E4%BE%9B-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%B3-%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89/dp/4062565587/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1213621722&sr=1-1
私自身、父親が非常に厳しくて、子供時代は父親の顔色をうかがって過ごしていたので、書店の棚でついこの本が目に止まったのです。
親との関係に悩んでいる人には、とても良い本だと思います。
最後にきっこさんの「人の痛みの分らない人」についてですが、きっこさんにもそういう所もあると思いますよ。
少し前に「リーブ21」のCMの動画が興味本位に紹介されていましたが、あれを見た頭髪の薄い人はどう思うでしょうか?
あまりいい気はしないと思います。私も含めて。
また、どんな人にだって人権はあります。たとえ極悪人にだって。これは基本的なことではないでしょうか。「人でなしには人権も必要なし」こんなことを言う人こそ「人でなし」ではないでしょうか。
また、刑事裁判においては、どうして事件を犯したのか、事件当時どういう状態だったのか、情状酌量の余地があるかどうか等々を詳細に審査するのが近代司法の常識です。きっこさんのように、結果だけ見て判断するのは、江戸時代の奉行所の裁きと同じではないでしょうか。
きっこさんの主張は、偏見と独断、かたよりがひどく、自分の殻に閉じこもっているように思います。
美爾依さんのお父さんも、大変、お辛い経験をされたのですね。
私の家も父親が、養母が亡くなって、実家へ帰ってきて、実母(私の祖母)からなつかないことを理由に小さな頃、無視という虐待を受けて育ちました。
その後、父は母と結婚し親と同居することになりましたが、死ぬまで父と祖母の関係は折り合いが悪い関係でしたね。
孫である私や妹のことは可愛がってくれましたが。
虐待には悲しいけれど連鎖があります。うちは、祖母、父、私と連鎖してるようです。
父を虐待した祖母もまた、実家の借金のために幼い頃、親たちから、売春宿への奉公を頼まれたそうです。
幸い、親戚にたしなめられ違う奉公先へ行くことになりましたが、学校へも行けず文盲のまま育ちました。
また、私も父親から、小さいときに箸の持ち方など些細なことで折檻されたりすることがしょっちゅうでした。
3歳くらいの頃、何か気に食わないことがあったのか、布団の中に私を入れ簀巻きにし、蹴りを何発も入れたり、言うことを聞かないからと柱に縛り付けられたりしました。
また鉛筆の持ち方が悪いと拳で叩かれこともあったり、算数の問題がなかなか解けないからと平手打ちされたりと、とほほというような思い出しかないです。
だから、物心ついたときには、怒られないように父に隠れて何かをする習慣をつけたり、嘘をついてその場をやりすごすことは当たり前のようになっていました。
私が大きくなる頃には、些細なことで折檻などはしなくなりましたが、虐待が連鎖すると聞いた時、とても残念に思いました。
こういう自分が、結婚して子供を持ったらと想像すると、正直、自信がありません。
躾として怒るのか、自分の感情のまま怒るのかわからないからです。
愛情をどう伝えたらよいかわからないとでも言えばいいでしょうか?
暗澹とした気持ちになります。
母にとっては、家事も子育ても手伝ったそうですからよき夫かもしれません。
しかし、子育てだけは内容によりけりかと思います。
反面教師みたいな部分もあるので。
家族としては、愛すべき人ですし職人としては尊敬はできますが。
美爾依さんのお父さんの心が、今の出来事で幸せな気持ちになれるよう願ってます。
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