2008.05.17 (Sat)
調査捕鯨船乗組員による鯨肉横領か、グリーンピースによる盗難か
最近の興味深いニュースでは、調査捕鯨で得た鯨肉の業務上横領の話題が、翌日にはグリーンピースジャパンが「西濃運輸」から告発鯨肉を盗難したとする盗難事件に話しがすり替わっているのには笑えた。
調査捕鯨鯨肉、調査団による横領発覚
まず、南極海という公海では、商業捕鯨が禁止されている。日本が調査捕鯨にこだわるのは、そういった捕鯨禁止地域でも捕鯨ができるからということなのだろうが、今回の事件で、調査の名目で捕鯨しているのに、実際は捕鯨した鯨肉を乗組員が私的に食しているということが判明したわけだ。つまり、グリーンピースは「これは、明らかに調査捕鯨ではない」ということを証明してくれたのだ。
おまけにこの捕鯨には天下り団体を通して国民の血税が年間で5億も注ぎ込まれている。これは調査捕鯨に必要な費用の50%で、残りの経費は、捕獲した鯨肉を販売して稼ぐ。したがって、必要な経費を稼ぐために、捕獲する頭数が決まるから、実質的な商業捕鯨なのだ。
「西濃運輸」の搬送途中の小包みを盗んで中身を勝手に開けて見たということでグリーンピースが批判をあびているようだが、調査目的でやったことであり、このくらいなんでもないだろう。違法な物を摘発するということで、海外に麻薬を運ぼうとしてスーツケースを勝手に開けられて取り上げられても文句は言えないのと同じだ。それを盗難事件として騒ぐのはどうかと思う。
5月15日のグリーンピースのサイトによると、
グリーンピースが明らかにした調査捕鯨鯨肉の横領について、水産庁、日本鯨類研究所(鯨研)、そして調査捕鯨母船・日新丸乗組員の管理会社、共同船舶株式会社(共同船舶)による主張に統一性がないことから、グリーンピースは同日夕刻、町村信孝内閣官房長官に面会を申し出、鯨肉横領スキャンダルの全貌究明を要求することにしている。
上記3つの団体は、複数の報道のなかでそれぞれの主張に一貫性がなく、鯨研や共同船舶がインタビューで「お土産」の存在を認める一方、当初水産庁はその存在を一切否定していた。しかし、その後水産庁はお土産の存在を認めつつ、鯨研に詳細解明の調査を要求している。
あ~あ。町村なんかに面会するから、マスコミに手を回されて、話題をすり替えられちゃったんだよ。町村は官僚側の人間だ。そんな人間に会って話したって、水産庁が有利になるように事が運ばれるだけだ。それよりも、民主党の長妻昭氏に相談するべきだった。年金問題の念入りな調査で定評のある長妻氏は天下りについても調査している。
【天下り調査】26,632人の天下りを受け入れている4,696法人に対して、1年間に12兆6047億円の税金が流入
少し前に、
国交省だけでなく、農林水産省も調査捕鯨で天下り
という記事にも書いたとおり、捕鯨問題は調査の名目で捕鯨が禁じられている南極海のクジラ保護区で、捕鯨をしているという違反捕鯨行為そのものも非難されるべきだが、同時に、5億という国民の血税を使って捕鯨を行っている裏に天下り問題が潜んでいることである。食糧危機の時代ならともかく、鯨肉をほとんど食べることのない日本が世界中の非難をあびながら敢行した捕鯨は本当に税金の補助を得てまで実施する必要のある仕事なのか。私には天下りを食べさせるために必要性の低い仕事をデッチ上げているとしか思えないのである。
この記事に対して反論したい方は、すでにこのブログ上の「捕鯨問題」のカテゴリーで交わされた議論や下記のサイトを読んだ上で反論していただけたらと思う。
南極海での「調査」捕鯨についてグリーンピースの見解・資料一覧
↑日本政府が主張する10の捕鯨推進理由と、それに対するグリーンピースの主張がまとめてある。
賛同される読者のみなさまは、政府にこれ以上税金の無駄遣いをさせないよう、調査捕鯨の見直しを含め、鯨肉横領行為に関する徹底した実態調査を求めるための署名にご協力を!
参考記事:
星川事務局長のオピニオン「調査捕鯨は民主主義の試金石」より(朝日新聞「私の視点」2008年1月31日掲載)
私が最も憂慮するのは、捕鯨問題が靖国参拝のようなナショナリズムに彩られ、政府をチェックすべき国会議員もメディアも、自己正当化に終始する水産庁側の主張を鵜呑みにしがちなことだ。南極海の捕鯨船団を監視するグリーンピースの船に乗り組んで、自前の報道を続けた英国BBCの現場主義は参考になるだろう。官製情報に頼った国策支持は危うい。
調査捕鯨鯨肉、調査団による横領発覚―― グリーンピース、証拠の鯨肉を持って東京地
5.15 2008
日本 — 本日グリーンピース・ジャパンは、日本の調査捕鯨母船・日新丸の調査団が今年、南極海で捕獲した鯨肉を組織的に横領しているとして、東京地方検察庁にこれを告発し、調査過程において証拠として確保した鯨肉1箱を提出すると発表しました。
![]() | 日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか (幻冬舎新書 ほ 1-1) (2007/03) 星川 淳 商品詳細を見る |
官僚政治の終焉めざして、今日もランキングの応援よろしくお願いします♪

にほんブログ村 政治ブログ 現在 9 位

BlogPeopleランキング
「政治」部門 現在 1 位

FC2政治ランキング 現在 1 位
『自エンド - トラックバック・ピープル』
http://member.blogpeople.net/tback/09077
ブログ村トラコミュ『自エンド』
http://politics.blogmura.com/rpc/trackback/85445/9w2tguyw8nnr
にトラックバックしています。
【More・・・】
2008年5月15日「お土産」なら合法ですか?
検察庁前にて(C)Greenpeace
【東京】国際環境NGOグリーンピースは、南極海での調査捕鯨に大規模な鯨肉の横領があるとして、本日15日午後、これを東京地方検察庁に告発した。検察庁はその事件性を調べるため、詳細な調査を開始するとしている。
グリーンピースが明らかにした調査捕鯨鯨肉の横領について、水産庁、日本鯨類研究所(鯨研)、そして調査捕鯨母船・日新丸乗組員の管理会社、共同船舶株式会社(共同船舶)による主張に統一性がないことから、グリーンピースは同日夕刻、町村信孝内閣官房長官に面会を申し出、鯨肉横領スキャンダルの全貌究明を要求することにしている。
上記3つの団体は、複数の報道のなかでそれぞれの主張に一貫性がなく、鯨研や共同船舶がインタビューで「お土産」の存在を認める一方、当初水産庁はその存在を一切否定していた。しかし、その後水産庁はお土産の存在を認めつつ、鯨研に詳細解明の調査を要求している。
「20年間の調査捕鯨の中で、お土産があることは一度も公表されておらず、実際に水産庁も知らなかった。税金から補助をうける調査捕鯨に水産庁にまで隠しておく『お土産』があっていいのか。国際捕鯨取締条約違反ではないのか」と、グリーンピース・ジャパン海洋生態系問題担当部長の佐藤潤一は指摘し、「水産庁と共同船舶、鯨研の三者で、この鯨肉スキャンダル発覚の前と後では発言が違ってきている」とし、上部機間である内閣府が第三者機関に厳格な調査を依頼し、自体の全貌解明をすべきであると語った。
- 関連記事
-
- グリーンピース告発続報 (2008/05/22)
- 必読:グリーンピースの告発レポート (2008/05/21)
- 調査捕鯨船乗組員による鯨肉横領か、グリーンピースによる盗難か (2008/05/17)
- 国交省だけでなく、農林水産省も調査捕鯨で天下り (2008/04/20)
- 捕鯨問題:日本鯨類研究所vsシーシェパード (2008/03/09)
鯨は殺してはいけなくて、カンガルーは殺してもよいという倫理的な基準がわかりません。
別エントリーにて、詳しく説明していただけるとありがたいです。
よくオーストラリアではカンガルーを殺しているのに、なぜ日本が捕鯨しちゃいけないんだなんてずれたこと言っている人がいますがこの問題はカンガルーうんぬんの問題とは全く別のものです。
他にもコメントをたくさんいただきましたが、本文中に書いたように過去の捕鯨問題の記事を読んでいなかったり、リンク先を読んでいなかったりする方のコメントは申し訳ございませんが、同じことの繰り返しとなるだけなので、表示していません。
「問題のすりかえ」などではありません。
ミニーさんのお気持ちは理解できますが,そのようなご発言は,「贔屓の引き倒し」になりかねません。
問題は「相手の違法行為を摘発するために自らも違法行為を行なって良いのかどうか」ということに帰着すると思いますが,私は,それが人命に及ぶような緊急事態でない限り,やはり,「違法行為を摘発するに違法行為をもってする」という発想は避けるべきであると思います。
なぜなら,そのことによって当の運動の正当性そのものが傷つきかねず,一般からの支持も失いかねないからです。
また「自分たちの運動は正しいのだから,多少の違法行為は許される」とグリーンピース側が考えていたとしたら,それは思い上がりと言うものです。(実際,グリーンピースは思い上がっている,という反感を持っている人は多いのです)
運動の目的が崇高なものであればあるほど,そのための手段は慎重に選ぶべきではないでしょうか。
私は,今回のグリーンピースの行為に対する意義を呈するために,これまで行なってきた募金を取りやめ,メルマガの講読も中止致しました。
彼らから「行きすぎがあった」という反省の弁を聞きたく思います。彼らの今後の運動のためにこそ。
しかも、科学目的を逸脱しているというのであれば、明々白々な国際法違反であるにもかかわらず、です。
(国際捕鯨取締条約違反・ウイーン条約法条約違反)
事実、世界中のクジラ学者たちが条約によって設置されている科学機関(国際捕鯨委員会・科学委員会)で日本の調査捕鯨をレビューしたところ、その価値はほとんどないと判断されています。また調査捕鯨の非科学性は、ワトソンとクリックの二重螺旋論文でも一般に知られている、最も権威ある自然科学の学術雑誌「Nature」でも論文で断罪されています。
なお駄目押し的ですが、一部のクジラ(ザトウクジラや一部のイワシクジラ)については、日本の捕獲はワシントン条約によっても禁止されており、かつ日本もこれに従う旨受け入れていることから、これらの捕獲はワシントン条約ににも真っ向から違反するものだ、と元ワシントン条約事務局長の著名な国際環境法学者からも指摘されているところです。
もし、パンダの毛皮の密輸を告発したのなら、話は別でしょうが。
>鯨肉をほとんど食べることのない日本が世界中の非難をあびながら敢行した捕鯨は本当に税金の補助を得てまで実施する必要のある仕事なのか。
日本は、捕鯨の利権を守りたい。捕鯨産業のない米、豪などは、ホエールウォッチングなどの観光産業を守りたい。
結局、問題の本質は、国益のぶつかり合いでしょう。
捕鯨禁止も、多数決で決まったことで、なぜ禁止するのかという根拠は希薄なのです。
カンガルーを大量虐殺するような国から、捕鯨問題を批判されたくないですしね。
個人的には、鯨が可愛いなどとは思いませんし、捕鯨が良いか悪いかなど、全く、見解の相違だと思います。
食料として食べたい人がいるなら食べればよいし、鯨食は、将来の世界的な食糧危機を回避する一つの方策かもしれません。
心情的には、犬肉・猫肉食のほうが心が痛みます。
朝日新聞が、捕鯨問題と靖国問題をリンクさせる意図が分かりません。
私は日本人ですが、靖国神社など、占領軍が焼却してしまえばよかったのにと思っています。
グリーンピースの名誉の為にも、ここは素直に当局の処分に従うのが最良かと思います。
不正を暴こうという彼等の情熱は、皆良くわかったのですから。
当然,調査捕鯨にしても鯨肉加工工場にしても,それには強い政治力が働く.そう,地元選出の安倍ちゃんである.当然,クジラ業界からの献金も多いだろうし,水産庁からの天下りを指揮しているのも安倍ちゃんの周辺に違いない.
最終的には安倍ちゃんの犯罪ということに落ち着くのではないだろうか.グリーンピースもやり方が下手だな,というのが私の印象である.
Greenpeace's member robbed fisherman of his whale meat.
The whale meat is fisherman's wealth.
Is robbery legal in Canada?
Can you forgive this thing?
カナダデハ イチシジンガ オクリヌシヤ オクリサキノ キョカヲエズニ ユウソウブツヲ カイフウスルコトガ ユルサレマスカ?
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
NO.435 またぞろ、消費税増税論議が盛んになってきたぞ。
【総力特集】後期高齢者医療制度:「真っ先にやってもらわないといけないことは20年度中に年金天引きを実施することである。」と言った。⇒厚労省国民健康保険課課長補佐・土佐和男は悪魔の使いか!その3
だから、私はカンガルーは殺してもよくて鯨はだめだなんて一言も言っていません。このエントリーでは動物を殺すということがテーマではなくて、税金を5億も使って行われている実質的な商業捕鯨や官僚の天下りを批判しているだけです。日本ではそういったことを全く報じられないので、国民はGPが荷物を許可なく捕鯨船の船員の荷物を開けたことだけが批判されています。だから、このコメント欄でカンガルーのことを持ち出すのは話題がずれているということです。
又、カンガルーのことを言うのなら、日本でも北海道で増えすぎた蝦夷鹿や熊を大量に殺害していますから、お互い様でしょう。何度も書いていますが、オーストラリアでも日本国内の増えすぎた動物を殺すことは何も批判していません。日本が捕鯨禁止地区の南極海まで遠征して捕鯨していることに抗議しているのです。
Tさん、
鯨肉は多くの水銀など有害物質が含まれていることは周知の事実ですね。まあ、南極海の鯨は日本海周辺の鯨よりは少しはましでしょうが。それでも、国内ではほとんど需要がない鯨肉を確保するためにわざわざ世界中の批判を浴びながら毎年5億もの税金を無駄遣いするというのは全く理解できません。そして、その税金で捕鯨した肉を船員が実家に送っているというのですから、とんでもないことだと思います。それで天下りをのさばらせるための捕鯨よりも、こういった不正を暴いたGPが国民から批判されるのですから、それこそ官僚の思う壺ですね。日本は真の官僚天国です。