2008.02.22 (Fri)
道路特定財源の暫定税率が維持された場合、国民のどの層が利益を得て、どの層が損をするのか
昨日は皆既月食だったせいか、ものすごく眠くなって早めに寝てしまった。
『晴天とら日和』のイシバの乗った車が勝浦市の交差点で乗用車と衝突+道路特定財源をめぐる集中審議が始まっています。=フクダ内閣は疫病神ばかりだな!はぁ~ぁ、・・・
という記事によると、道路特定財団をめぐる集中審議が始まっているそうだ。
この問題は結構複雑なので、国民は政府の意見に騙されやすい。
少し前に村上龍氏が編集をしているJMMというメルマガで、識者による議論が紹介されていて、中にはとても納得のいく意見があったので、紹介したい。(続きを読むへ)
大学教授でもわかりにくい議論を展開する人もいれば、会社員でとてもわかりやすく説明している人もいるのが面白い。
どの回答も道路特定財源の暫定税率を理解するのに役立つが、私としては、特に、評論家、会社員の水牛健太郎(みずうしけんたろう)氏による回答がとてもわかりやすく整理されていて、この問題の本質に触れているような気がした。
水牛氏がJMMに寄稿されたその他の経済問題に関する回答
その他、道路特定財源の暫定税率の維持に否定的な生命保険関連会社勤務の杉岡秋美氏、信州大学経済学部教授の真壁昭夫氏、経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元氏らの意見の方が、暫定税率の維持に肯定的なメリルリンチの菊地正俊氏や外資系運用会社 企画・営業部門勤務の金井伸郎氏らの意見より説得力があった。
まあ、人それぞれ感じ方は違うと思うので、ぜひ一度目を通していただけたらと思う。
道路特定財源の暫定税率が導入された頃は、日本の道路は外国に比べてひどいものだったそうだが、今ではどんな国にも見劣りしないすばらしい道路が全国に整備されている。全ての地方に行ったことがあるわけではないので、地方の細かい状況はわからないが、これ以上道路の整備に何兆円も使うのは、環境の破壊にもつながることもあり、いかがなものだろうか。もちろん、地方には必要な道路もあるだろうが、誰も通らない道路をつくることに何の意味があるのだろうか。
地方の道路の状況を知る為にも、
『フンニャロメ日記』の「生活者の声が聞こえてこない道路論議」のように、
地方にお住まいの方から地域の道路の情報をコメント欄かTBで教えていただけたら嬉しい。このエントリーで紹介させていただきたいと思う。
今日のニュースに国土交通省所管の公益法人「国際建設技術協会」によって作られた海外の道路事情の報告者が、道路特定財源約1億円で作られたのはいいんだけど、そこで使われている資料のほとんどがインターネットのウィキペディアからの引用だったそうだ。ブログの記事なんかにウィキペディアを使うのは、しょうがないと思うけど、一億円もの税金を使って信用性に一貫性のないウィキペディアから引用だなんて国民を馬鹿にするのにもほどがある。冬柴鉄三国土交通相には、その9千200万円の歳出の詳細と、算出の根拠を詳しく報告する義務がある。
道路特定財源:国交省公益法人、ムダ遣い 報告書作成費、たった3部で1億円(毎日.jp)
こんな感じで、このところ道路特定財源の公金流用のニュースばかりだが、与党はその上まだ国民から道路特定財源の暫定税率を巻き上げるつもりなのだろうか。
これらの 国土交通省による汚職を清算するためにも、これまでに道路特定財源の暫定税率でさんざん儲けて来た与党・政府は、暫定税率を廃止し、ガソリン代を安くしたり、高速道路を無料にしたりして、そろそろこれまで余分に税金を払ってきた国民に還元するときがきたのではないだろうか。それがいやだというのなら、やはり、政権交代しかないだろう。
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大阪府知事選:自公政治に「NO」をつきつけるためにも、橋下なんかに入れちゃダメだ!
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http://ryumurakami.jmm.co.jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼INDEX▼
■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』
◆編集長から
【Q:848】
◇回答(寄稿順)
□真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
□水牛健太郎 :評論家、会社員
□菊地正俊 :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
□土居丈朗 :慶應義塾大学経済学部准教授
□杉岡秋美 :生命保険関連会社勤務
□金井伸郎 :外資系運用会社 企画・営業部門勤務
□山崎元 :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
□津田栄 :経済評論家
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■ 編集長から(寄稿家のみなさんへ)■■
Q:848への回答ありがとうございました。ハウステンボスに滞在するとき、近
くの専門店まで新鮮なイカの刺身をよく食べに行きます。ハウステンボスからそのイ
カ刺し専門店までは車で20分の距離ですが、驚くべきことに、一般道の他にバイパ
スが通っています。正確ではないですが、確か通行料金は100円でした。その道路
を使う地元の人はほとんどいません。バイパスの出入り口には非常に立派な事務所が
2棟も建っています。誰もこの道路は使っていませんね、と運転手に言うと、ここを
通るのはハウステンボスからイカ刺し専門店に行く村上龍さんだけじゃないでしょう
か、と言われました。
きっと全国に同じようなバイパスや道路がたくさんあるのだろうと思います。ただ、
長崎に住む友人の土建業経営者から聞いたのですが、道路建設が今後減っていくと、
今でもその数が多すぎる土建業者は、路頭に迷うだろうということでした。小渕政権
のばらまき政策のあと、小泉改革で公共工事は激減したが土建業者数はそれほど減っ
ていないので、じわじわと真綿で首を絞められている状態だそうです。会社を整理す
るにも資金や多大な手間が必要だし、従業員の再就職先探しは絶望的だと彼は言って
いました。このままでは「国破れて道路あり」というか、財政に余裕もないのになぜ
か道路だけを熱心に作り続けてゆっくりと衰退・没落していった奇妙な国として日本
は歴史に残るだろう、と土建業者が自嘲気味に苦笑する様は、本当に異様でした。
----------------------------------------------------------------------------
■次回の質問【Q:849】
サブプライム問題に端を発し、アメリカ経済がリセッションに入ったと言われてい
るようです。アメリカ経済がもし本当に失速し縮小に向かっていると仮定すると、日
本国民のそれぞれの層(富裕層、中間層、困窮層)にどういった影響を与えるので
しょうか。
----------------------------------------------------------------------------
村上龍
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 村上龍、金融経済の専門家たちに聞く
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■Q:848
道路特定財源の暫定税率が延長・継続された場合、国民のどの層が利益を得て、ど
の層が損をするのでしょうか。
============================================================================
※JMMで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・
組織の意見・方針ではありません。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
最近、道路特定財源の暫定税率に関する議論が盛んになっています。暫定税率の延
長に関して、様々な人たちが、それぞれの立場から意見を言っており、まさに議論百
出の感があります。それらの議論を聞いていると、この問題がかなり複雑なことが分
かります。
先ず、この問題に関する背景などを簡単に整理します。戦後の昭和20年代、当時、
劣悪だったわが国の道路を整備するために、その財源が必要になりました。財源を得
るため、受益者負担の原則に基づき、道路の利用者から税金を徴収する手法が考案さ
れたのです。ガソリンに課される揮発油税や石油ガス税、自動車取得税、自動車重量
税などが該当します。これらの税金は、基本的に道路整備の特定の目的に使い道が限
定されるようになり、特定財源と呼ばれるようになりました。
その後、道路整備が進むとより多くの財源が必要となり、一時的な措置という名目
で、暫定的に高い税率が設定されるようになります。例えば、ガソリンに掛かる揮発
油税は、当初、本則の規定では1リットル当たり24.3円とされていたものが、現
在では同48.6円と2倍の税金が課されています。自動車取得税も、自家用車の場
合、本則では3%となっていますが、現在では5%になっています。最初は暫定とし
て引き上げられた税率が、その後暫定措置の期間延長という格好で長期化してきまし
た。それは、一種の既成事実になっている感さえあります。
ただ、暫定措置の法律が今年3月末で期限を迎えるため、「暫定税率を廃止すべき」
「暫定税率を維持して、道路整備を促進すべき」「特定財源の一部を一般財源にすべ
き」など、様々な意見が出ています。
実際に暫定税率が廃止になると、約2兆7千億円の財源が減ると予想されます。そ
れが現実のものになると、国や地方公共団体の予算に大きな影響が出ることは避けら
れません。先ず考えられることは、財源が減ることによって、地方などの道路建設に
マイナスの影響が出ることです。特に、地方自治体からは、「道路建設が滞るようだ
と、地方経済にも深刻な悪影響が出る」との見方も出ています。それは、地方自治体
の関係者の多くが、暫定税率維持を要請していることからも明らかです。
また、道路建設には様々な人たちが絡み、多額の資金が動くため、それに付随する
権益等にも影響が出てくるはずです。その分野の既得権益層には、マイナスの効果が
及ぶことになるでしょう。いわゆる道路族と呼ばれる政治家が、この問題に対して頑
強に反対しているといわれています。さらに、税収が減少すると、国の財政当局や地
方公共団体の収入が減少することになりますから、彼等の裁量の余地を減らすことに
なります。それは、国や地方公共団体の発言力を減殺することにつながるかもしれま
せん。
一方、暫定税率が廃止になると、ガソリンなどの値段が下がることになります。そ
れは、消費者にとっては大きな福音になるはずです。また、ガソリンの価格が下がる
ことによって、輸送費のコストダウンが実現できるはずです。輸送費が下がると、様
々な分野で値下げ余地が出てくるでしょう。それが実現されると、最終需要者である
消費者にメリットが及ぶだけではなく、企業にとってもコスト軽減の効果が生まれま
す。それは、製品の競争力を高め、企業業績を押し上げることも考えられます。
道路特定財源は、何十年も前、道路整備を行うために窮余の策として考案された仕
組みが、その後、事情が大きく変化しても、既成事実として残されている典型例の一
つと考えられます。そして、それに関連した既得権益でメリットを享受する人たちが、
その恩恵に浴してきたといえます。しかし、暫定というには、あまりに長い年月が流
れました。暫定措置の延長というだけでは、言葉の意味から言っても、説得力が無い
状況になっていると考えます。
このあたりで、この制度自体を本格的に見直して、時間を掛けてでも、より効率的
な仕組みを作るべきだと思います。少子高齢化が加速するわが国では、効率の悪い仕
組みを少しでも変えていかないと、現在の高い生活水準を維持することが難しいこと
ははっきりしています。そのためには、政治家が無視できないほどの強い世論を形成
するべきです。
信州大学経済学部教授:真壁昭夫
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 水牛健太郎 :評論家、会社員
暫定税率の延長・継続により利益を得る人たちも損をする人たちもそれぞれ多岐に
渡りますが、利益を得る人たちは比較的まとまっており、この問題に意識的であるの
に対し、損をする人たちはそれほどまとまっておらず、意識的でもないという特徴が
あると思います。
暫定税率の延長・継続を望む人たちは、道路の建設・維持に携わる人たちであり、
中央と地方の道路行政の関係者と土木業界の関係者ということになります。昨年11
月の総務省労働力調査によると、土木業と建築業を合わせた「建設業」に従事する人
は545万人おり、全就業者の8.5%を占めています。このうち、土木業がどれほ
どを占めるかはわかりませんが、就業者の数%を占める土木業界の人たちとその家族
は、自分たちの生活の問題として、明確に暫定税率の延長・継続を望んでいると考え
ていいと思います。こうした業界の総意に基づき、中央・地方の道路行政担当者、関
連の公益法人や独立行政法人、道路行政に関係する中央・地方の議員、地方首長など
が綿密な政治的ネットワークで結び付けられています。
一方、延長・継続により、明確に経済的な損失を被る人たちは、業界で言えば業務
上ガソリンを使用するトラック・タクシー・バスなどの陸運業界と、ガソリンの高騰
で販売量が減る石油業界でしょう。同上調査によれば道路旅客運送業従事者52万人、
道路貨物運送業は193万人となっており、人数から言えば土木業界に匹敵します。
しかし、トラック運送業界団体のウェブサイトを見てみますと、彼らは道路の整備に
は大いに関心があり、そのため、民主党の主張する道路特定財源の一般財源化には明
確に反対しています。また、税率引き下げは求めているものの、明確に暫定税率を廃
止すべきだとは言っていません。運輸行政との関係もあるのでしょうが、彼らは暫定
税率の廃止が政治的に難しいことはよく知っているようで、石油業界も含め、むしろ、
消費者への価格転嫁を進めることが、利益確保のための現実的な方法だと考えている
ようです。
直接にガソリンの価格に影響されるこれらの業界ほどではないが、多かれ少なかれ
損害を被る人たちは、一般のドライバーであり、また、真壁先生がお書きになってい
るように、輸送コストの上昇の影響を受けるあらゆる企業であり、間接的には、企業
が生産する製品の値上げの影響を被る消費者です。その意味では「全国民」と言って
もいいかもしれません。
しかしこれらの人たちのガソリン価格に対する意識はそれほど高くありません。も
ちろん、日常的にはほとんどの人が、ガソリン価格の高騰を苦々しく思ってはいます。
しかし、昨年11月の総務省家計調査によれば、一世帯当たりのガソリンへの支出は、
一月に6221円(約43リットル)です。もっとも、ガソリン購入世帯は全世帯の
57%に過ぎないので、購入世帯に限れば一月平均1万円あまり(約75.5リット
ル)をガソリンに費やしていることになります。ガソリンを購入する世帯1世帯当た
りの暫定税率負担は、75.5リットルに24.3円を掛けて、毎月1835円にな
ります。もちろん小さい額ではありませんが、暫定税率と自分たちの生活の関係が明
確な土木業界の人たちの切実さとは、大きな開きがあるのはむしろ当然でしょう。政
治的な利権は、ほとんどの場合こうした構図??利益を受ける熱心な少数派と、損害
を被る不熱心な多数派??に守られています。その廃止が政治的に極めて難しいのは
そのためです。
暫定税率の廃止と道路特定財源の一般財源化を唱える民主党は、衆議院議員60人
による「ガソリン値下げ隊」を結成し、この問題で衆議院を解散に追い込むことを
狙っているようです。先日行われた大阪府知事選でも、ガソリン問題を争点の一つに
しようとしました。しかしその結果は、自民・公明の推す候補にほぼダブルスコアで
惨敗しました。暫定税率の問題は有権者の投票行動にほとんど影響を与えなかったと
判断せざるを得ません。
これまで消費税が何度か選挙結果を左右しましたが、税率は低いようでも、一世帯
当たりの消費税負担はガソリンの暫定税率分の数倍に相当します。また、これまでな
かった税が導入される、更に税率が上がるといった事態は、従来負担してきた税を廃
止すべきかどうかという問題に比べ、はるかに有権者の気持ちを動かすものだと言え
るでしょう。合理的ではありませんが、人間心理の綾です。
小泉政権では、郵政民営化の問題が大きく選挙結果を左右しました。しかしこれは、
自民党内部に敵を作り出し「自民党をぶっつぶす」と唱えた小泉首相のパフォーマン
スが、当時の経済的・社会的な閉塞感を打破するものであるとの幻想を有権者に与え
たことが大きかったでしょう。それに比べると「ガソリン値下げ隊」は、単に見世物
としても、面白さのレベルは「小泉劇場」より格段に落ちると言わざるを得ません。
大阪府知事選に関して言えば、そうした面白さと現状打破への期待は、民主党の推す
真面目で優秀な学者よりも、自公の推す放言癖のある若いタレント弁護士の方に多く
見出された、ということです。
既に与党によって、暫定税率維持へのレールが着々と敷かれつつあります。民主党
の主張に耳を傾けるべき点があるとしても(事実あると思いますが)、単に道路の問
題を超えて、中央・地方の問題や環境問題まで絡んでくる暫定税率を巡っては、廃止
さえすればいいというような答えはあり得ないでしょう。世論を盛り上げて風を起こ
そうという政治的な打算だけで、どうにかなるような問題ではないはずです。短期的
に得点を狙うより、じっくり腰を据えて、有権者の感情でなく理性に訴えるしっかり
した議論をしてもらいたいと思います。
評論家、会社員:水牛健太郎
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■ 菊地正俊 :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
道路特定財源の暫定税率が延長・継続された場合、最も恩恵をするのは道路建設を
望んでいる地方の政治家や住民でしょう。今回、暫定税率廃止の議論に対して、地方
からは暫定税率を維持して、道路を作ってほしいという陳情がたくさんありました。
暫定税率維持は自民党の主張ですので、地方出身が多い自民党の議員は主張を通すこ
とができたとして、逆風が予想される次期選挙を少しは有利に戦えるでしょう。暫定
税率は道路建設のみならず、国土交通省の福利厚生費や公用車費に使われていたと報
じられています。道路特定財源の配分は道路族議員や国土交通省の既得権益ですので、
維持されれば、諸手を挙げて歓迎するでしょう。
暫定税率が廃止された場合、ガソリン価格が下がりますので、最も恩恵を受けるの
は自動車使用頻度が高い個人や企業でしょう。将来的な道路建設が遅れる可能性があ
りますので、既に道路が整備されている地域で、自動車頻度が高い人や企業が恩恵を
受けることになります。但し、道路が既に整備されている都会の人は地方の人より自
動車頻度が少ないですので、ガソリン価格下落の恩恵が大きいとはいえないでしょう。
民主党は暫定税率廃止を主張していますので、廃止されれば、次期選挙での追風が一
層強くなるでしょう。
暫定税率が廃止された場合、ガソリン価格が下がり、ガソリン消費量が増えて、温
暖化ガス排出も増えますので、環境対策の観点では望ましいことではありません。そ
の意味で、将来世代は暫定税率廃止による大気汚染から打撃を受けるといえるでしょ
う。日本のガソリン価格は米国よりは高いものの、欧州より安い水準です。環境対策
のためには、暫定税率を維持すべきでしょう。
暫定税率が廃止された場合、小売や外食産業は恩恵を受けるかもしれません。最近
は賃金が伸び悩む中で、ガソリンや食品価格の相次ぐ値上げで、家計の実質可処分所
得が減少しています。12月の生鮮食品を除く消費者物価は前年同月比0.8%増と、
98年3月以来の高い伸びになりました。ただ、景況感が全般に悪化しているうえ、
暫定税率が廃止されれば、代わりに他の税金が引き上げられるとの懸念が出て、消費
者は短期的なガソリン価格の低下に良い反応を示さない可能性が高いでしょう。
個人的には、ガソリンの暫定税率の議論を長期間にわたってしていること自体がマ
イナスと考えます。現在世界はサブプライムローン問題に端を発した信用危機で、景
気後退の縁に立っています。1月にFRBは1.25%も利下げしました。70年代
のスタグフレーションや戦前の大恐慌的な状況に陥るとの懸念も出ています。日本に
は株安は海外のせいと思っている政治家や官僚の方が多いようですが、市場関係者の
見方は異なります。1月28日の日経ビジネスのアンケート調査によると(サンプル
数が少ない問題はありますが)、株安の55%は将来設計を示せぬ政治、活力を削ぐ
行政の規制のせいだということです。
地方の生活者にとっては、むしろサブプライムローン問題こそ、どうでもいい問題
なのかもしれませんが、日本全体にとっては、ガソリンの暫定税率より大切な問題が
たくさんあると思います。官僚機構には合理化の余地があるのでしょうが、日本は減
税をするような余裕はないはずです。今年3月末に国と地方の長期債務残高は773
兆円(GDPの148%)に達する見込みです。今年1月にドイツと中国は法人税率
を引き下げ、英国も4月に引き下げを予定しています。国際競争力維持のための法人
税率引き下げや、少子高齢化のための消費税引き上げの議論をもっとしていただきた
いものです。
メリルリンチ日本証券 ストラテジスト:菊地正俊
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■ 土居丈朗 :慶應義塾大学経済学部准教授
「暫定」とか「当面の間」とか「特別措置」という「霞が関用語」は、「場合によっ
ては半世紀以上継続することがある」という意味の言葉と化していますね。
さて、暫定税率が継続した場合についてですが、当然ながら、道路建設が引き続き
継続することによって便益を得る国民が「利益を得る」ことになるでしょう。道路建
設にかかわる建設業従事者、道路が建設されることで移動コストが金銭的にも時間的
にも節約できることになる国民は利益を得るでしょう。それとともに、今回、「論理
のすりかえ」として一般には不評ではありますが、マクロ経済を一般均衡的に考えた
ときに、「利益を得る」国民に含まれてよいのは、暫定税率が維持されたことでガソ
リン消費量が抑制されて、その分環境悪化が避けられたことで便益を得る国民です。
確かに、道路特定財源と環境問題は、政治的文脈ではこれまで無関係なものとして
扱われてきましたが、それは霞が関と永田町の中だけでの話です。経済社会全体で考
えたときには、何も縦割り行政のしがらみを引きずって議論する必要はありません。
道路特定財源として徴収した税金は環境問題に何ら関係ない、という主張は、国土交
通省の所管の案件は環境省の案件と絡ませ議論すべきではない、と言っているも同然
です。日ごろ、多くの国民は縦割り行政を批判しますが、道路特定財源の話を道路の
話だけで議論を閉じようとするのは、その縦割りの悪癖に(意識するかしないかにか
かわらず)乗ってしまった議論の立て方です。
縦割りの呪縛から脱して広い視野で議論するなら、政治的動機が道路建設であった
としても、重要な副次的効果として環境問題に大きく影響を与えているということで
あれば、道路建設の議論と環境問題の議論は同時にすべきことです。
もちろん、「真に必要な道路」はどれだけか、という議論が足らないために、その
不十分な議論の状態で、にわかに(今まで持ち出したことのない)環境問題を付け加
えてくるというのは、唐突な感が否めません。しかし、広く経済社会的に議論する必
要があるならば、唐突だとしても、今まで持ち出したことがないとしても、今こそ敢
えて持ち出して議論すべきでしょう。
その意味で、ここで敢えて、暫定税率維持によって「利益を得る」国民の中に、環
境悪化を避けられたことで便益を得る国民も含めるべきだと考えます。そこには、将
来世代の国民も含まれているでしょう。
ただし、最後に付け加えれば、暫定税率を維持して、かつそのすべての収入を道路
建設に充ててよいか否かは、議論が不十分であり、さらに議論を深めてから結論を下
すべきだと思います。私の(論理的でない)アバウトな感触では、「真に必要な道路」
を作るために必要な予算の額は、現時点では本則税率よりかは多いが暫定税率分まで
加算するほどまでには達しない、という水準というのが、国民の多くの意見を政治的
に総合したところではないかと思います。それでも暫定税率を維持すべきか否かは、
環境問題までも含めてきちんと包括的に議論すべきです。場合によっては、現在の暫
定税率以上に高い税を課すのが、道路建設や環境問題も総合的に勘案したところでの、
経済社会的に必要な税率であると思われます。
慶應義塾大学経済学部准教授:土居丈朗
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 杉岡秋美 :生命保険関連会社勤務
福田首相は「道路財源を確保しないと地方切捨てにつながる」との認識を、ことあ
るごとに強調していますので、地方の一定層の権利を保護することを政策の目的とし
ているように見えます。道路特定財源の一般財源化を目指した小泉政権が、総選挙で
大都市の浮動層を獲得したといわれますが、福田政権はこの層にアピールすることを
犠牲にして、地方の道路利権につらなる部分を維持しようとしているように思われま
す。
これは、昨年の参院戦で民主党に地方票を奪われたショックを明らかに引きずって
います。古くからの自民党の集票組織を失うことを避けることが、自民党政権の現在
の行動原理であると思われます。
道路の経済的な効用を考え直してみます。地域ごとに濃淡はあるでしょうが、状況
は道路特定財源が出来た高度成長期と大きく変化し、目的物である道路自体の経済的
効用自体が小さくなっているのは否定できない事実となっています。
建設している間は、用地の買収や建設工事を通じて地方にも現金が落ち、また出来
上がった道路により地域住民の自動車利用は便利になることは疑いを得ません。しか
し、人の流れは地方経済圏を素通りして中央に向かいがちです。道路建設により人口
を増やし地域経済を拡大する効果が上がる事例は数少なく、駅前シャッター街のよう
に既存の商業集積を破壊する効果の方が大きいようです。もちろん、大規模な工場誘
致等の可能性は増えますが、道路を含めたインフラを維持するコストは膨大で、仮に
誘致に成功しても経済的に元が取れるかどうかは非常に疑わしいことです。
地方票を意識し保護することをアピールしていますが、実際に道路建設を通じて利
益を受けるのは、利権につながるごく一部だけです。大部分の地方住民にとっては、
道路建設によって、ほとんど利益を受けることなく、かえって将来の税負担が増え、
既存のコミュニティの破壊が進行することだけのように思えます。
世論調査では、特別措置法が廃案になりガソリンが25円値下がりすることに対す
る賛成が圧倒的に高いように、都市住民や消費者の立場で考えると、ガソリン税を引
き下げることで生み出されるメリットは非常に直接的で切実なものがあるように思わ
れます。
現在、所得や企業収益が伸びないなか物価が上がろうとしていますので、ガソリン
値下げには、ただ単に自動車ユーザーが喜ぶという次元を超えて、幅広い物価に対し
てコスト圧力を緩和する効果があると思われます。
大都市住民層に関しては、道路建設よりも「ガソリン値下げ」のほうがはるかにア
ピールし、景気を下支える効果がはっきりしているのは致し方がないところです。
総選挙に向けて、政治的には自民党の「道路建設=地方の保護」というレトリック
が、道路利権を超えて、地方住民一般にどれだけ受け入れられるかが問題になるかと
思いますが、経済的にはこのレトリックはあまりも時代錯誤で永田町以外では通用し
ないもののように思います。
生命保険関連会社勤務:杉岡秋美
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 金井伸郎 :外資系運用会社 企画・営業部門勤務
道路特定財源については、いわゆるガソリン税に加え、軽油税、石油ガス税、自動
車取得税、自動車重量税を合わせた5つの税源が含まれます。財源の規模としては全
体で、平成17年度でおよそ5兆8千億円の税収規模となりますので、消費税の税収
10兆円強と比較してもかなりの規模の税目となります。
これら自動車の保有・利用を対象とする課税をもって道路の整備・建設に当てると
いう仕組みからすれば、受益と負担の構造の観点からは妥当な税制と考えられます。
ここでは、その点を認めた上で、現在議論されている暫定税率の廃止(実質的な税率
の引き下げになります)と道路特定財源の一般財源化の妥当性について考えてみるこ
とにします。
まず、道路特定財源からの税収の一部が国土交通省道路局職員の人件費に加え住宅
や福利厚生のためにまで使われているといった不心得な使途の問題は別として、本来
の税収の使途である道路整備の状況を見ますと、総道路投資額は平成17年度の予算
で9兆3千億円、財投や料金収入でまかなわれる高速道路関係を除いても8兆円程度
の規模となっています。
道路関係予算の適正規模については別途見直しが必要と考えられますが、現状の税
収と道路事業全体の支出の規模からは、直ちに道路特定財源の税率の引き下げや一般
財源化が求められる情況とはいえません。現状で道路特定財源の税率の引き下げを行
う場合、一般財源からの道路関係支出が増えることになり、その分の負担が直接の自
動車の保有者・利用者から一般の納税者に移ることになります。
道路については、広域の交通網となる高速道路や主要国道と、一般的な生活圏を範
囲とする地域内の幹線や生活道路に分かれ、それぞれの整備の主体も国と都道府県や
市町村などの地方自治体に分かれています。ここで一般的に、国が主導する広域道路
については新規の建設など裁量性が大きい事業が中心となる一方で、地方自治体が主
に担う地方幹線・生活道路の整備には補修や改良など裁量の余地が少ない事業が中心
という傾向が指摘できます。
一方、財源について見ますと、約3兆円の規模となる国の道路事業が特定財源でほ
ぼ100%賄われているのに対して、約5兆円の規模の地方自治体の道路事業は半分
強が一般財源によって賄われています。こうした財源のネジレは、道路事業予算の硬
直化をもたらし、効率的な資源配分を妨げている元凶であり、早急な解消が必要と考
えます。
現状では、全国的な自動車道路網はほぼ完成しており、国主導の道路整備の役割は
縮小しているとの認識も拡がりつつあります。そうした状況の中で、国が特定財源の
6割近くを占有し続けることの妥当性も問われます。暫定税率を維持するのであれば、
道路特定財源は大幅に地方に移譲し、国の道路整備事業は一般会計予算により行うべ
きと考えます。国の道路整備事業については、全体の予算規模、整備計画などを国政
の議論の対象とすべきでしょう。
一方、特定財源を地方に移譲した場合、地方の道路整備事業は、特定財源でほぼ全
額まかなえることになります。道路特定財源を各地方自治体へ配分するに当たっては、
一定の外形的な基準を設けて恣意性を排除し、官僚や政治家の介入の余地をなくす必
要があるでしょう。その上で、各地方自治体に対しては配分された道路特定財源の一
般財源化を認めることで、道路事業の裁量と効率化に対するインセンティブを与える
ことが可能となります。
なお、配分された道路特定財源の道路事業での予算消化率などの実績によって各地
方自治体への配分を変えるなどの仕組みは、一見合理的ですが、各自治体による道路
事業の効率化に対するネガティブ・インセンティブとなるので注意が必要です。むし
ろ、全体としての道路特定財源の道路事業での予算消化状況を把握し、これを税率に
反映させるため、道路特定財源については引き続き暫定税率として、5年から10年
程度の期限付きで税率の見直しを議論するべきと考えます。
以上の考察の論点を踏まえて、道路特定財源に関する個人的な意見を以下にまとめ
させていただきます。
(1)現状の道路整備事業の予算規模を勘案し、現状の暫定税率は延長・継続し、道
路特定財源を確保すること。
(2)道路特定財源は大幅に地方自治体に移譲し、地方自治体の道路整備事業は特定
財源で賄うものとし、国からの道路事業に関する補助金は廃止すること。
(3)各地方自治体に対しては配分された道路特定財源の一般財源化を認め、道路事
業の裁量と効率化に対するインセンティブを与えること。
(4)国の道路整備事業は一般会計予算によって行い、全体の予算規模、整備計画に
ついては国政の議論の対象とすること。
以上
外資系運用会社 企画・営業部門勤務:金井伸郎
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 山崎元 :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
現在政治的にホットな話題なので、はじめに、私の個人的な結論を述べておきます。
道路特定財源の暫定税率は、いったん暫定税率をゼロにして本則の税率に戻し、将来、
万一同様の税金が必要になった場合には、また同様の税金を設けるといいのではない
かと思います。そして、その際に税率と同じくらい大事なのは、特定財源を完全に一
般財源化することだと思います。
暫定税率を現在のまま延長すべきだという議論には、四つの異なる論点があるよう
です。声の大きさについて私が受ける印象の順に、(1)特に地方経済にとって道路
は重要だ、(2)環境問題が重要なときにガソリンの税率を下げるのは世界のトレン
ドに逆行する、(3)税率を一度下げて又後から上げると世間が混乱する、(4)日
本の財政事情は苦しい、という四点です。
必要な道路の建設や道路の整備が出来なくなり、特に地方経済が困るという議論に
対しては、真に必要な道路建設及び整備は別途必要性を説明して主張すればいいと反
論しておきたいと思います。確かにこれから新たに必要な道路もあるのでしょうが、
特に財政事情が厳しい今日、道路財源だけを別扱いにする必然性はありません。一般
財源の中から、他の費目と重要度を比較するプロセスを経て、必要な道路をつくれば
いいでしょう。現状の延長線上では、財源があるから、あるいは将来の財源の必要性
を印象づけるために道路を作っているような印象があり、予算のプロセスの上で、道
路と他の費目との軽重がどう判断されたのかがよく分かりません。
「道路はどうしても必要であり、それは明らかだ」と自信を持って言う政治家は、個
別の必要性とメリットを訴えて、一般財源の中から道路建設費を獲得すればいいで
しょう。道路の優先度に曇りのない自信があるなら、それで問題はないはずです。
環境対策のためにガソリン税を高く保つべきだという俄に取って付けたような意見
には、それなら、道路など新たに造らない方が環境に良いだろうと言っておきましょ
う。少なくともこの方向の論者は、ガソリン税を一般財源化して、なるべく道路建設
から遠ざけるようにしないと、話の辻褄が合いません。
ちなみに、ガソリン1リットル当たりの税金は国によって差があり、アメリカ12
円、日本が61円、韓国が111円、フランスが133円、ドイツが142円、イギ
リスが149円だそうです(2007年4?6月。財務省作成の資料による)。また、
イギリス、フランス、ドイツは過去20年程度の間に趨勢的に税率を上げてきていま
す。
税率が変動することは我々に少なくとも大きな悪影響をもたらさないでしょう。現
実にガソリンの価格は近年大きく変動してきました。もちろん、ガソリン以外にも価
格が変化する物はたくさんあります。ガソリン価格の低下は、原価上昇のコストを転
嫁できずに苦しんでいた企業にとって余裕となるでしょうし、もちろん、相対的に自
動車を使う事が多い地方の暮らしのコストを削減するでしょう。減税のポイントとし
ては、悪くない場所ではないかと思われます。
財政については、歳入にせよ歳出にせよ個別の費目の変更の良し悪しを、財政事情
全体と直接較べるべきではないと思います。ガソリン税が他の税目に較べて、最も優
先度の高い税目だということが言えるのでなければ、ガソリン税を下げて仮に問題が
あれば、より優先度の高い税目の税率を引き上げる(あるいは新設する)といいので
はないでしょうか。
いわゆるサブプライム問題に端を発して、目下景気の先行きが怪しくなりつつあり、
再びデフレに戻る可能性も取りざたされています。今は、財政再建を急ぐべきタイミ
ングではなく、むしろ適切な減税(支出増は「大きな政府」につながりますが、減税
なら「小さな政府」と有効需要増加が両立できます)と金融緩和を組み合わせるべき
なのではないでしょうか。
編集長のご質問に戻りましょう。上記の各論点については、(4)について多少別
の議論(財政赤字の累積は危険だという点にウェイトを置く議論)が考えられる程度
のことで、後の諸点は本来少なくとも大きな問題ではないはずです。にもかかわらず、
政府・与党は、暫定税率を守りたいという意図を強く打ち出しています。そこで、
(1)の声が最も大きいことなども併せて考えると、道路財源が潤沢な特定財源であ
ることに伴ってこれで商売を得る道路関連業者と、業者への影響力と天下り先などを
得る道路官僚、さらにはこれら二者の利益代表をすることで資金と票を集める道路族
議員の合計三者が暫定税率維持の受益者だろうと推測できます。
もろもろの要素を組み合わせて考えると、ガソリンの暫定税率を廃止する事の効果
は大いにプラスだろうと思われます。
経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員:山崎元
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 津田栄 :経済評論家
政府・与党は、今回の今年3月末で切れる道路特定財源の暫定税率の問題について、
議論の余地がなく、はじめから延長・継続は当然だとの姿勢をとっています。一方、
野党民主党は、国民生活のためと称して財源の明示もなく暫定税率廃止ありきという
姿勢で政府・与党と対立しています。
そもそも、まず、なぜ暫定税率が24.3円なのか、なぜ更にまた10年も延長す
るのか(編集長の指摘されるように、1974年に導入されて上乗せしながら延長を
繰り返して33年、暫定とはとても言えない恒久的税率になっています)、なぜ道路
に特定するのか、その前にどの道路が必要なのか、そのためにどのくらいの財源が必
要なのかなどの議論をするべきです。政府・与党は、そうした説明や議論を一切せず、
延長・継続すべきと言います。国民は、継続・延長を言うのは政府・与党に何か権益
があるからだと見ていますし、国民生活が混乱を生じさせないためという説明に対し
てもどこに混乱が起きるのか分からず納得できないのではないかと思います。
そして、国土交通省は、昨年11月に「道路の中期計画(素案)」を発表して、2
008年度から10年間で59兆円(あるいは65兆円)の道路事業費が必要だとし
て、道路特定財源の一般財源化を阻止し、暫定税率の延長・継続を前提に入ってくる
道路財源をすべて使い切る考えを示して、政府・与党の姿勢を後押ししています。と
いうよりは、国土交通省の政策に政府・与党が従っているとも見えます。国民の立場
というよりは、国土交通省の存在意義として道路ありきという考えに与党が乗っかっ
ているともいえましょう。
また、道路を10年間造り続けるということは、その前提として暫定税率の延長・
継続であれば、道路関連業界としても10年間食いっぱぐれしないことを意味します。
そうであれば、国土交通省の道路官僚の天下りを受けても、十分ペイします。また、
与党(特に道路族議員)に政治献金しても、やっていけます。後は、いかに自分の会
社に事業の割り当てを多くしてもらうかだけですから、その競い合いだけになります。
結局、道路特定財源の暫定税率が延長・継続された場合、国土交通省の道路官僚と
与党(道路族議員)と道路関連業界の利害は一致し、各自その既得権益を維持しよう
としているといえます。そういった点で、彼らが利益を得るといえましょう。
つまり、国土交通省は、道路を造り続けることで道路予算権限を維持でき、そして
道路官僚は、道路関連業界への天下りはもちろん、道路が伸びるほどに大きくなる民
営化された旧道路公団(三高速道路株式会社他)への天下りも増えることになって、
こうした予算の裁量権と天下りという既得権益を維持拡大できることになります。ま
た与党(道路族議員)は、道路関連会社から献金を受け、与党における発言権を維持
できると共に、来る選挙に備える軍資金を得、特に地方出身議員はその選挙区での発
言権を維持拡大することができます。そして、道路関連会社は、今後10年の収入が
約束されます。こうした三者の持ちつ持たれつの関係が続くことになります。
もちろん、暫定税率の延長・継続により道路が造られ続けることは、道路がほしい
地方およびそこに住む住民にとっても利益になります。また、道路建設により、地方
にもお金が落ちることになって地方景気にもプラスになるという点からも、地方の行
政、政治家、土建業界(地方の政治家には土建関係者が多い)には利益になるはずで
す。それが、景気が今一つ盛り上がらない地方の声として、暫定税率の維持を訴えて
いるのではないかと思います。
とはいっても、地方は、財政の厳しい状況で、暫定税率の廃止による道路特定財源
収入がなくなれば、一般財源から道路の建設・整備・維持にお金を出すのは大変だと
いう面もあります。むしろ、地方にとって、道路に特定している財源であるものの、
それで道路関連予算を組んで、一般財源をその他の行政サービスなどに振り向けてい
る面があります。ただし、地方によっては道路以上に重要な政策に予算を振り向けた
くても道路以外に使えないのですから、いやいやながらも予算として道路特定財源を
もらうという消極的な地方があるかもしれません。
一方で、この暫定税率の延長・継続によって損をするのは、もちろん自動車を利用
する人たちです。また、最近国内での自動車販売が伸び悩んでいますが、暫定税率が
維持されてそれを含めたガソリン価格が150円台から今後一段と上昇することにな
れば、ますます自動車を利用する人が減り、その結果自動車販売や中古車販売が低迷
することで自動車関連業界が損をすることになるかもしれません。そして、郊外へ出
かけることが少なくなれば、買い物が減って、郊外に店を出しているスーパー、家電
やスーツなど小売業が損をするかもしれません。
あるいは、暫定税率の廃止になれば、輸送コストが下がって、物価低下につながる
可能性がありますが、その延長・継続となれば、最終的に物価は下がらないという意
味で国民に利益にはならないということが言えましょう。そうなれば、景気にはマイ
ナスに働き、最終的には国民に何らかの損ということになるかもしれません。そして、
暫定税率が維持されて、もし無駄な道路が建設されるならば、その負担は広く薄くで
はあっても、国民全体が負うことになります。結局、ごく一部の者が利益を得、多く
の国民が損をするということになりましょう。
最後に、与党には環境という観点で暫定税率の延長・継続を主張する意見がありま
すが、それで自動車が走る道路を造るというのですから論理が破たんしているのでは
ないかと思います。環境のために維持するのであるならば、環境にやさしい公共輸送
手段の整備・維持に向けるとか、環境重視の政策を打ち出すべきでしょう。そして、
個人的意見として、その観点からすると、暫定税率をやめて、恒久税率としてもかま
わないですし、税率をもっと上げて、環境に使ったほうが国土交通省の評価が高まる
のではないかと思います。
もう一つ、今回で思うことは、暫定税率の必要性を十分議論し、国民の合意が得る
のに時間がかかるのであれば、一旦暫定税率を廃止するという選択肢があってもいい
ような気がします。その上で改めて暫定税率の必要性が認められれば、それがすべて
道路に特定する必要性があるのかをも吟味し、道路とそれ以外の一般財源に区別して、
あるいは全て一般財源化して、その財源をそっくりそのまま地方に渡し、道路の建設
・整備・維持などのほか、道路以外にも予算が使えるように地方の自由を認めてもい
いのではないかと思います。もちろんそれだけ地方の自主権を認めるからには責任も
伴うことを明確化しての話です。
経済評論家:津田栄
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『晴天とら日和』のイシバの乗った車が勝浦市の交差点で乗用車と衝突+道路特定財源をめぐる集中審議が始まっています。=フクダ内閣は疫病神ばかりだな!はぁ~ぁ、・・・
という記事によると、道路特定財団をめぐる集中審議が始まっているそうだ。
この問題は結構複雑なので、国民は政府の意見に騙されやすい。
少し前に村上龍氏が編集をしているJMMというメルマガで、識者による議論が紹介されていて、中にはとても納得のいく意見があったので、紹介したい。(続きを読むへ)
大学教授でもわかりにくい議論を展開する人もいれば、会社員でとてもわかりやすく説明している人もいるのが面白い。
どの回答も道路特定財源の暫定税率を理解するのに役立つが、私としては、特に、評論家、会社員の水牛健太郎(みずうしけんたろう)氏による回答がとてもわかりやすく整理されていて、この問題の本質に触れているような気がした。
水牛氏がJMMに寄稿されたその他の経済問題に関する回答
その他、道路特定財源の暫定税率の維持に否定的な生命保険関連会社勤務の杉岡秋美氏、信州大学経済学部教授の真壁昭夫氏、経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元氏らの意見の方が、暫定税率の維持に肯定的なメリルリンチの菊地正俊氏や外資系運用会社 企画・営業部門勤務の金井伸郎氏らの意見より説得力があった。
まあ、人それぞれ感じ方は違うと思うので、ぜひ一度目を通していただけたらと思う。
道路特定財源の暫定税率が導入された頃は、日本の道路は外国に比べてひどいものだったそうだが、今ではどんな国にも見劣りしないすばらしい道路が全国に整備されている。全ての地方に行ったことがあるわけではないので、地方の細かい状況はわからないが、これ以上道路の整備に何兆円も使うのは、環境の破壊にもつながることもあり、いかがなものだろうか。もちろん、地方には必要な道路もあるだろうが、誰も通らない道路をつくることに何の意味があるのだろうか。
地方の道路の状況を知る為にも、
『フンニャロメ日記』の「生活者の声が聞こえてこない道路論議」のように、
地方にお住まいの方から地域の道路の情報をコメント欄かTBで教えていただけたら嬉しい。このエントリーで紹介させていただきたいと思う。
今日のニュースに国土交通省所管の公益法人「国際建設技術協会」によって作られた海外の道路事情の報告者が、道路特定財源約1億円で作られたのはいいんだけど、そこで使われている資料のほとんどがインターネットのウィキペディアからの引用だったそうだ。ブログの記事なんかにウィキペディアを使うのは、しょうがないと思うけど、一億円もの税金を使って信用性に一貫性のないウィキペディアから引用だなんて国民を馬鹿にするのにもほどがある。冬柴鉄三国土交通相には、その9千200万円の歳出の詳細と、算出の根拠を詳しく報告する義務がある。
道路特定財源:国交省公益法人、ムダ遣い 報告書作成費、たった3部で1億円(毎日.jp)
こんな感じで、このところ道路特定財源の公金流用のニュースばかりだが、与党はその上まだ国民から道路特定財源の暫定税率を巻き上げるつもりなのだろうか。
これらの 国土交通省による汚職を清算するためにも、これまでに道路特定財源の暫定税率でさんざん儲けて来た与党・政府は、暫定税率を廃止し、ガソリン代を安くしたり、高速道路を無料にしたりして、そろそろこれまで余分に税金を払ってきた国民に還元するときがきたのではないだろうか。それがいやだというのなら、やはり、政権交代しかないだろう。
関連記事:
大阪府知事選:自公政治に「NO」をつきつけるためにも、橋下なんかに入れちゃダメだ!
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▼INDEX▼
■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』
◆編集長から
【Q:848】
◇回答(寄稿順)
□真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
□水牛健太郎 :評論家、会社員
□菊地正俊 :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
□土居丈朗 :慶應義塾大学経済学部准教授
□杉岡秋美 :生命保険関連会社勤務
□金井伸郎 :外資系運用会社 企画・営業部門勤務
□山崎元 :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
□津田栄 :経済評論家
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■ 編集長から(寄稿家のみなさんへ)■■
Q:848への回答ありがとうございました。ハウステンボスに滞在するとき、近
くの専門店まで新鮮なイカの刺身をよく食べに行きます。ハウステンボスからそのイ
カ刺し専門店までは車で20分の距離ですが、驚くべきことに、一般道の他にバイパ
スが通っています。正確ではないですが、確か通行料金は100円でした。その道路
を使う地元の人はほとんどいません。バイパスの出入り口には非常に立派な事務所が
2棟も建っています。誰もこの道路は使っていませんね、と運転手に言うと、ここを
通るのはハウステンボスからイカ刺し専門店に行く村上龍さんだけじゃないでしょう
か、と言われました。
きっと全国に同じようなバイパスや道路がたくさんあるのだろうと思います。ただ、
長崎に住む友人の土建業経営者から聞いたのですが、道路建設が今後減っていくと、
今でもその数が多すぎる土建業者は、路頭に迷うだろうということでした。小渕政権
のばらまき政策のあと、小泉改革で公共工事は激減したが土建業者数はそれほど減っ
ていないので、じわじわと真綿で首を絞められている状態だそうです。会社を整理す
るにも資金や多大な手間が必要だし、従業員の再就職先探しは絶望的だと彼は言って
いました。このままでは「国破れて道路あり」というか、財政に余裕もないのになぜ
か道路だけを熱心に作り続けてゆっくりと衰退・没落していった奇妙な国として日本
は歴史に残るだろう、と土建業者が自嘲気味に苦笑する様は、本当に異様でした。
----------------------------------------------------------------------------
■次回の質問【Q:849】
サブプライム問題に端を発し、アメリカ経済がリセッションに入ったと言われてい
るようです。アメリカ経済がもし本当に失速し縮小に向かっていると仮定すると、日
本国民のそれぞれの層(富裕層、中間層、困窮層)にどういった影響を与えるので
しょうか。
----------------------------------------------------------------------------
村上龍
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 村上龍、金融経済の専門家たちに聞く
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■Q:848
道路特定財源の暫定税率が延長・継続された場合、国民のどの層が利益を得て、ど
の層が損をするのでしょうか。
============================================================================
※JMMで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・
組織の意見・方針ではありません。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
最近、道路特定財源の暫定税率に関する議論が盛んになっています。暫定税率の延
長に関して、様々な人たちが、それぞれの立場から意見を言っており、まさに議論百
出の感があります。それらの議論を聞いていると、この問題がかなり複雑なことが分
かります。
先ず、この問題に関する背景などを簡単に整理します。戦後の昭和20年代、当時、
劣悪だったわが国の道路を整備するために、その財源が必要になりました。財源を得
るため、受益者負担の原則に基づき、道路の利用者から税金を徴収する手法が考案さ
れたのです。ガソリンに課される揮発油税や石油ガス税、自動車取得税、自動車重量
税などが該当します。これらの税金は、基本的に道路整備の特定の目的に使い道が限
定されるようになり、特定財源と呼ばれるようになりました。
その後、道路整備が進むとより多くの財源が必要となり、一時的な措置という名目
で、暫定的に高い税率が設定されるようになります。例えば、ガソリンに掛かる揮発
油税は、当初、本則の規定では1リットル当たり24.3円とされていたものが、現
在では同48.6円と2倍の税金が課されています。自動車取得税も、自家用車の場
合、本則では3%となっていますが、現在では5%になっています。最初は暫定とし
て引き上げられた税率が、その後暫定措置の期間延長という格好で長期化してきまし
た。それは、一種の既成事実になっている感さえあります。
ただ、暫定措置の法律が今年3月末で期限を迎えるため、「暫定税率を廃止すべき」
「暫定税率を維持して、道路整備を促進すべき」「特定財源の一部を一般財源にすべ
き」など、様々な意見が出ています。
実際に暫定税率が廃止になると、約2兆7千億円の財源が減ると予想されます。そ
れが現実のものになると、国や地方公共団体の予算に大きな影響が出ることは避けら
れません。先ず考えられることは、財源が減ることによって、地方などの道路建設に
マイナスの影響が出ることです。特に、地方自治体からは、「道路建設が滞るようだ
と、地方経済にも深刻な悪影響が出る」との見方も出ています。それは、地方自治体
の関係者の多くが、暫定税率維持を要請していることからも明らかです。
また、道路建設には様々な人たちが絡み、多額の資金が動くため、それに付随する
権益等にも影響が出てくるはずです。その分野の既得権益層には、マイナスの効果が
及ぶことになるでしょう。いわゆる道路族と呼ばれる政治家が、この問題に対して頑
強に反対しているといわれています。さらに、税収が減少すると、国の財政当局や地
方公共団体の収入が減少することになりますから、彼等の裁量の余地を減らすことに
なります。それは、国や地方公共団体の発言力を減殺することにつながるかもしれま
せん。
一方、暫定税率が廃止になると、ガソリンなどの値段が下がることになります。そ
れは、消費者にとっては大きな福音になるはずです。また、ガソリンの価格が下がる
ことによって、輸送費のコストダウンが実現できるはずです。輸送費が下がると、様
々な分野で値下げ余地が出てくるでしょう。それが実現されると、最終需要者である
消費者にメリットが及ぶだけではなく、企業にとってもコスト軽減の効果が生まれま
す。それは、製品の競争力を高め、企業業績を押し上げることも考えられます。
道路特定財源は、何十年も前、道路整備を行うために窮余の策として考案された仕
組みが、その後、事情が大きく変化しても、既成事実として残されている典型例の一
つと考えられます。そして、それに関連した既得権益でメリットを享受する人たちが、
その恩恵に浴してきたといえます。しかし、暫定というには、あまりに長い年月が流
れました。暫定措置の延長というだけでは、言葉の意味から言っても、説得力が無い
状況になっていると考えます。
このあたりで、この制度自体を本格的に見直して、時間を掛けてでも、より効率的
な仕組みを作るべきだと思います。少子高齢化が加速するわが国では、効率の悪い仕
組みを少しでも変えていかないと、現在の高い生活水準を維持することが難しいこと
ははっきりしています。そのためには、政治家が無視できないほどの強い世論を形成
するべきです。
信州大学経済学部教授:真壁昭夫
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 水牛健太郎 :評論家、会社員
暫定税率の延長・継続により利益を得る人たちも損をする人たちもそれぞれ多岐に
渡りますが、利益を得る人たちは比較的まとまっており、この問題に意識的であるの
に対し、損をする人たちはそれほどまとまっておらず、意識的でもないという特徴が
あると思います。
暫定税率の延長・継続を望む人たちは、道路の建設・維持に携わる人たちであり、
中央と地方の道路行政の関係者と土木業界の関係者ということになります。昨年11
月の総務省労働力調査によると、土木業と建築業を合わせた「建設業」に従事する人
は545万人おり、全就業者の8.5%を占めています。このうち、土木業がどれほ
どを占めるかはわかりませんが、就業者の数%を占める土木業界の人たちとその家族
は、自分たちの生活の問題として、明確に暫定税率の延長・継続を望んでいると考え
ていいと思います。こうした業界の総意に基づき、中央・地方の道路行政担当者、関
連の公益法人や独立行政法人、道路行政に関係する中央・地方の議員、地方首長など
が綿密な政治的ネットワークで結び付けられています。
一方、延長・継続により、明確に経済的な損失を被る人たちは、業界で言えば業務
上ガソリンを使用するトラック・タクシー・バスなどの陸運業界と、ガソリンの高騰
で販売量が減る石油業界でしょう。同上調査によれば道路旅客運送業従事者52万人、
道路貨物運送業は193万人となっており、人数から言えば土木業界に匹敵します。
しかし、トラック運送業界団体のウェブサイトを見てみますと、彼らは道路の整備に
は大いに関心があり、そのため、民主党の主張する道路特定財源の一般財源化には明
確に反対しています。また、税率引き下げは求めているものの、明確に暫定税率を廃
止すべきだとは言っていません。運輸行政との関係もあるのでしょうが、彼らは暫定
税率の廃止が政治的に難しいことはよく知っているようで、石油業界も含め、むしろ、
消費者への価格転嫁を進めることが、利益確保のための現実的な方法だと考えている
ようです。
直接にガソリンの価格に影響されるこれらの業界ほどではないが、多かれ少なかれ
損害を被る人たちは、一般のドライバーであり、また、真壁先生がお書きになってい
るように、輸送コストの上昇の影響を受けるあらゆる企業であり、間接的には、企業
が生産する製品の値上げの影響を被る消費者です。その意味では「全国民」と言って
もいいかもしれません。
しかしこれらの人たちのガソリン価格に対する意識はそれほど高くありません。も
ちろん、日常的にはほとんどの人が、ガソリン価格の高騰を苦々しく思ってはいます。
しかし、昨年11月の総務省家計調査によれば、一世帯当たりのガソリンへの支出は、
一月に6221円(約43リットル)です。もっとも、ガソリン購入世帯は全世帯の
57%に過ぎないので、購入世帯に限れば一月平均1万円あまり(約75.5リット
ル)をガソリンに費やしていることになります。ガソリンを購入する世帯1世帯当た
りの暫定税率負担は、75.5リットルに24.3円を掛けて、毎月1835円にな
ります。もちろん小さい額ではありませんが、暫定税率と自分たちの生活の関係が明
確な土木業界の人たちの切実さとは、大きな開きがあるのはむしろ当然でしょう。政
治的な利権は、ほとんどの場合こうした構図??利益を受ける熱心な少数派と、損害
を被る不熱心な多数派??に守られています。その廃止が政治的に極めて難しいのは
そのためです。
暫定税率の廃止と道路特定財源の一般財源化を唱える民主党は、衆議院議員60人
による「ガソリン値下げ隊」を結成し、この問題で衆議院を解散に追い込むことを
狙っているようです。先日行われた大阪府知事選でも、ガソリン問題を争点の一つに
しようとしました。しかしその結果は、自民・公明の推す候補にほぼダブルスコアで
惨敗しました。暫定税率の問題は有権者の投票行動にほとんど影響を与えなかったと
判断せざるを得ません。
これまで消費税が何度か選挙結果を左右しましたが、税率は低いようでも、一世帯
当たりの消費税負担はガソリンの暫定税率分の数倍に相当します。また、これまでな
かった税が導入される、更に税率が上がるといった事態は、従来負担してきた税を廃
止すべきかどうかという問題に比べ、はるかに有権者の気持ちを動かすものだと言え
るでしょう。合理的ではありませんが、人間心理の綾です。
小泉政権では、郵政民営化の問題が大きく選挙結果を左右しました。しかしこれは、
自民党内部に敵を作り出し「自民党をぶっつぶす」と唱えた小泉首相のパフォーマン
スが、当時の経済的・社会的な閉塞感を打破するものであるとの幻想を有権者に与え
たことが大きかったでしょう。それに比べると「ガソリン値下げ隊」は、単に見世物
としても、面白さのレベルは「小泉劇場」より格段に落ちると言わざるを得ません。
大阪府知事選に関して言えば、そうした面白さと現状打破への期待は、民主党の推す
真面目で優秀な学者よりも、自公の推す放言癖のある若いタレント弁護士の方に多く
見出された、ということです。
既に与党によって、暫定税率維持へのレールが着々と敷かれつつあります。民主党
の主張に耳を傾けるべき点があるとしても(事実あると思いますが)、単に道路の問
題を超えて、中央・地方の問題や環境問題まで絡んでくる暫定税率を巡っては、廃止
さえすればいいというような答えはあり得ないでしょう。世論を盛り上げて風を起こ
そうという政治的な打算だけで、どうにかなるような問題ではないはずです。短期的
に得点を狙うより、じっくり腰を据えて、有権者の感情でなく理性に訴えるしっかり
した議論をしてもらいたいと思います。
評論家、会社員:水牛健太郎
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■ 菊地正俊 :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
道路特定財源の暫定税率が延長・継続された場合、最も恩恵をするのは道路建設を
望んでいる地方の政治家や住民でしょう。今回、暫定税率廃止の議論に対して、地方
からは暫定税率を維持して、道路を作ってほしいという陳情がたくさんありました。
暫定税率維持は自民党の主張ですので、地方出身が多い自民党の議員は主張を通すこ
とができたとして、逆風が予想される次期選挙を少しは有利に戦えるでしょう。暫定
税率は道路建設のみならず、国土交通省の福利厚生費や公用車費に使われていたと報
じられています。道路特定財源の配分は道路族議員や国土交通省の既得権益ですので、
維持されれば、諸手を挙げて歓迎するでしょう。
暫定税率が廃止された場合、ガソリン価格が下がりますので、最も恩恵を受けるの
は自動車使用頻度が高い個人や企業でしょう。将来的な道路建設が遅れる可能性があ
りますので、既に道路が整備されている地域で、自動車頻度が高い人や企業が恩恵を
受けることになります。但し、道路が既に整備されている都会の人は地方の人より自
動車頻度が少ないですので、ガソリン価格下落の恩恵が大きいとはいえないでしょう。
民主党は暫定税率廃止を主張していますので、廃止されれば、次期選挙での追風が一
層強くなるでしょう。
暫定税率が廃止された場合、ガソリン価格が下がり、ガソリン消費量が増えて、温
暖化ガス排出も増えますので、環境対策の観点では望ましいことではありません。そ
の意味で、将来世代は暫定税率廃止による大気汚染から打撃を受けるといえるでしょ
う。日本のガソリン価格は米国よりは高いものの、欧州より安い水準です。環境対策
のためには、暫定税率を維持すべきでしょう。
暫定税率が廃止された場合、小売や外食産業は恩恵を受けるかもしれません。最近
は賃金が伸び悩む中で、ガソリンや食品価格の相次ぐ値上げで、家計の実質可処分所
得が減少しています。12月の生鮮食品を除く消費者物価は前年同月比0.8%増と、
98年3月以来の高い伸びになりました。ただ、景況感が全般に悪化しているうえ、
暫定税率が廃止されれば、代わりに他の税金が引き上げられるとの懸念が出て、消費
者は短期的なガソリン価格の低下に良い反応を示さない可能性が高いでしょう。
個人的には、ガソリンの暫定税率の議論を長期間にわたってしていること自体がマ
イナスと考えます。現在世界はサブプライムローン問題に端を発した信用危機で、景
気後退の縁に立っています。1月にFRBは1.25%も利下げしました。70年代
のスタグフレーションや戦前の大恐慌的な状況に陥るとの懸念も出ています。日本に
は株安は海外のせいと思っている政治家や官僚の方が多いようですが、市場関係者の
見方は異なります。1月28日の日経ビジネスのアンケート調査によると(サンプル
数が少ない問題はありますが)、株安の55%は将来設計を示せぬ政治、活力を削ぐ
行政の規制のせいだということです。
地方の生活者にとっては、むしろサブプライムローン問題こそ、どうでもいい問題
なのかもしれませんが、日本全体にとっては、ガソリンの暫定税率より大切な問題が
たくさんあると思います。官僚機構には合理化の余地があるのでしょうが、日本は減
税をするような余裕はないはずです。今年3月末に国と地方の長期債務残高は773
兆円(GDPの148%)に達する見込みです。今年1月にドイツと中国は法人税率
を引き下げ、英国も4月に引き下げを予定しています。国際競争力維持のための法人
税率引き下げや、少子高齢化のための消費税引き上げの議論をもっとしていただきた
いものです。
メリルリンチ日本証券 ストラテジスト:菊地正俊
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■ 土居丈朗 :慶應義塾大学経済学部准教授
「暫定」とか「当面の間」とか「特別措置」という「霞が関用語」は、「場合によっ
ては半世紀以上継続することがある」という意味の言葉と化していますね。
さて、暫定税率が継続した場合についてですが、当然ながら、道路建設が引き続き
継続することによって便益を得る国民が「利益を得る」ことになるでしょう。道路建
設にかかわる建設業従事者、道路が建設されることで移動コストが金銭的にも時間的
にも節約できることになる国民は利益を得るでしょう。それとともに、今回、「論理
のすりかえ」として一般には不評ではありますが、マクロ経済を一般均衡的に考えた
ときに、「利益を得る」国民に含まれてよいのは、暫定税率が維持されたことでガソ
リン消費量が抑制されて、その分環境悪化が避けられたことで便益を得る国民です。
確かに、道路特定財源と環境問題は、政治的文脈ではこれまで無関係なものとして
扱われてきましたが、それは霞が関と永田町の中だけでの話です。経済社会全体で考
えたときには、何も縦割り行政のしがらみを引きずって議論する必要はありません。
道路特定財源として徴収した税金は環境問題に何ら関係ない、という主張は、国土交
通省の所管の案件は環境省の案件と絡ませ議論すべきではない、と言っているも同然
です。日ごろ、多くの国民は縦割り行政を批判しますが、道路特定財源の話を道路の
話だけで議論を閉じようとするのは、その縦割りの悪癖に(意識するかしないかにか
かわらず)乗ってしまった議論の立て方です。
縦割りの呪縛から脱して広い視野で議論するなら、政治的動機が道路建設であった
としても、重要な副次的効果として環境問題に大きく影響を与えているということで
あれば、道路建設の議論と環境問題の議論は同時にすべきことです。
もちろん、「真に必要な道路」はどれだけか、という議論が足らないために、その
不十分な議論の状態で、にわかに(今まで持ち出したことのない)環境問題を付け加
えてくるというのは、唐突な感が否めません。しかし、広く経済社会的に議論する必
要があるならば、唐突だとしても、今まで持ち出したことがないとしても、今こそ敢
えて持ち出して議論すべきでしょう。
その意味で、ここで敢えて、暫定税率維持によって「利益を得る」国民の中に、環
境悪化を避けられたことで便益を得る国民も含めるべきだと考えます。そこには、将
来世代の国民も含まれているでしょう。
ただし、最後に付け加えれば、暫定税率を維持して、かつそのすべての収入を道路
建設に充ててよいか否かは、議論が不十分であり、さらに議論を深めてから結論を下
すべきだと思います。私の(論理的でない)アバウトな感触では、「真に必要な道路」
を作るために必要な予算の額は、現時点では本則税率よりかは多いが暫定税率分まで
加算するほどまでには達しない、という水準というのが、国民の多くの意見を政治的
に総合したところではないかと思います。それでも暫定税率を維持すべきか否かは、
環境問題までも含めてきちんと包括的に議論すべきです。場合によっては、現在の暫
定税率以上に高い税を課すのが、道路建設や環境問題も総合的に勘案したところでの、
経済社会的に必要な税率であると思われます。
慶應義塾大学経済学部准教授:土居丈朗
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■ 杉岡秋美 :生命保険関連会社勤務
福田首相は「道路財源を確保しないと地方切捨てにつながる」との認識を、ことあ
るごとに強調していますので、地方の一定層の権利を保護することを政策の目的とし
ているように見えます。道路特定財源の一般財源化を目指した小泉政権が、総選挙で
大都市の浮動層を獲得したといわれますが、福田政権はこの層にアピールすることを
犠牲にして、地方の道路利権につらなる部分を維持しようとしているように思われま
す。
これは、昨年の参院戦で民主党に地方票を奪われたショックを明らかに引きずって
います。古くからの自民党の集票組織を失うことを避けることが、自民党政権の現在
の行動原理であると思われます。
道路の経済的な効用を考え直してみます。地域ごとに濃淡はあるでしょうが、状況
は道路特定財源が出来た高度成長期と大きく変化し、目的物である道路自体の経済的
効用自体が小さくなっているのは否定できない事実となっています。
建設している間は、用地の買収や建設工事を通じて地方にも現金が落ち、また出来
上がった道路により地域住民の自動車利用は便利になることは疑いを得ません。しか
し、人の流れは地方経済圏を素通りして中央に向かいがちです。道路建設により人口
を増やし地域経済を拡大する効果が上がる事例は数少なく、駅前シャッター街のよう
に既存の商業集積を破壊する効果の方が大きいようです。もちろん、大規模な工場誘
致等の可能性は増えますが、道路を含めたインフラを維持するコストは膨大で、仮に
誘致に成功しても経済的に元が取れるかどうかは非常に疑わしいことです。
地方票を意識し保護することをアピールしていますが、実際に道路建設を通じて利
益を受けるのは、利権につながるごく一部だけです。大部分の地方住民にとっては、
道路建設によって、ほとんど利益を受けることなく、かえって将来の税負担が増え、
既存のコミュニティの破壊が進行することだけのように思えます。
世論調査では、特別措置法が廃案になりガソリンが25円値下がりすることに対す
る賛成が圧倒的に高いように、都市住民や消費者の立場で考えると、ガソリン税を引
き下げることで生み出されるメリットは非常に直接的で切実なものがあるように思わ
れます。
現在、所得や企業収益が伸びないなか物価が上がろうとしていますので、ガソリン
値下げには、ただ単に自動車ユーザーが喜ぶという次元を超えて、幅広い物価に対し
てコスト圧力を緩和する効果があると思われます。
大都市住民層に関しては、道路建設よりも「ガソリン値下げ」のほうがはるかにア
ピールし、景気を下支える効果がはっきりしているのは致し方がないところです。
総選挙に向けて、政治的には自民党の「道路建設=地方の保護」というレトリック
が、道路利権を超えて、地方住民一般にどれだけ受け入れられるかが問題になるかと
思いますが、経済的にはこのレトリックはあまりも時代錯誤で永田町以外では通用し
ないもののように思います。
生命保険関連会社勤務:杉岡秋美
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■ 金井伸郎 :外資系運用会社 企画・営業部門勤務
道路特定財源については、いわゆるガソリン税に加え、軽油税、石油ガス税、自動
車取得税、自動車重量税を合わせた5つの税源が含まれます。財源の規模としては全
体で、平成17年度でおよそ5兆8千億円の税収規模となりますので、消費税の税収
10兆円強と比較してもかなりの規模の税目となります。
これら自動車の保有・利用を対象とする課税をもって道路の整備・建設に当てると
いう仕組みからすれば、受益と負担の構造の観点からは妥当な税制と考えられます。
ここでは、その点を認めた上で、現在議論されている暫定税率の廃止(実質的な税率
の引き下げになります)と道路特定財源の一般財源化の妥当性について考えてみるこ
とにします。
まず、道路特定財源からの税収の一部が国土交通省道路局職員の人件費に加え住宅
や福利厚生のためにまで使われているといった不心得な使途の問題は別として、本来
の税収の使途である道路整備の状況を見ますと、総道路投資額は平成17年度の予算
で9兆3千億円、財投や料金収入でまかなわれる高速道路関係を除いても8兆円程度
の規模となっています。
道路関係予算の適正規模については別途見直しが必要と考えられますが、現状の税
収と道路事業全体の支出の規模からは、直ちに道路特定財源の税率の引き下げや一般
財源化が求められる情況とはいえません。現状で道路特定財源の税率の引き下げを行
う場合、一般財源からの道路関係支出が増えることになり、その分の負担が直接の自
動車の保有者・利用者から一般の納税者に移ることになります。
道路については、広域の交通網となる高速道路や主要国道と、一般的な生活圏を範
囲とする地域内の幹線や生活道路に分かれ、それぞれの整備の主体も国と都道府県や
市町村などの地方自治体に分かれています。ここで一般的に、国が主導する広域道路
については新規の建設など裁量性が大きい事業が中心となる一方で、地方自治体が主
に担う地方幹線・生活道路の整備には補修や改良など裁量の余地が少ない事業が中心
という傾向が指摘できます。
一方、財源について見ますと、約3兆円の規模となる国の道路事業が特定財源でほ
ぼ100%賄われているのに対して、約5兆円の規模の地方自治体の道路事業は半分
強が一般財源によって賄われています。こうした財源のネジレは、道路事業予算の硬
直化をもたらし、効率的な資源配分を妨げている元凶であり、早急な解消が必要と考
えます。
現状では、全国的な自動車道路網はほぼ完成しており、国主導の道路整備の役割は
縮小しているとの認識も拡がりつつあります。そうした状況の中で、国が特定財源の
6割近くを占有し続けることの妥当性も問われます。暫定税率を維持するのであれば、
道路特定財源は大幅に地方に移譲し、国の道路整備事業は一般会計予算により行うべ
きと考えます。国の道路整備事業については、全体の予算規模、整備計画などを国政
の議論の対象とすべきでしょう。
一方、特定財源を地方に移譲した場合、地方の道路整備事業は、特定財源でほぼ全
額まかなえることになります。道路特定財源を各地方自治体へ配分するに当たっては、
一定の外形的な基準を設けて恣意性を排除し、官僚や政治家の介入の余地をなくす必
要があるでしょう。その上で、各地方自治体に対しては配分された道路特定財源の一
般財源化を認めることで、道路事業の裁量と効率化に対するインセンティブを与える
ことが可能となります。
なお、配分された道路特定財源の道路事業での予算消化率などの実績によって各地
方自治体への配分を変えるなどの仕組みは、一見合理的ですが、各自治体による道路
事業の効率化に対するネガティブ・インセンティブとなるので注意が必要です。むし
ろ、全体としての道路特定財源の道路事業での予算消化状況を把握し、これを税率に
反映させるため、道路特定財源については引き続き暫定税率として、5年から10年
程度の期限付きで税率の見直しを議論するべきと考えます。
以上の考察の論点を踏まえて、道路特定財源に関する個人的な意見を以下にまとめ
させていただきます。
(1)現状の道路整備事業の予算規模を勘案し、現状の暫定税率は延長・継続し、道
路特定財源を確保すること。
(2)道路特定財源は大幅に地方自治体に移譲し、地方自治体の道路整備事業は特定
財源で賄うものとし、国からの道路事業に関する補助金は廃止すること。
(3)各地方自治体に対しては配分された道路特定財源の一般財源化を認め、道路事
業の裁量と効率化に対するインセンティブを与えること。
(4)国の道路整備事業は一般会計予算によって行い、全体の予算規模、整備計画に
ついては国政の議論の対象とすること。
以上
外資系運用会社 企画・営業部門勤務:金井伸郎
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■ 山崎元 :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
現在政治的にホットな話題なので、はじめに、私の個人的な結論を述べておきます。
道路特定財源の暫定税率は、いったん暫定税率をゼロにして本則の税率に戻し、将来、
万一同様の税金が必要になった場合には、また同様の税金を設けるといいのではない
かと思います。そして、その際に税率と同じくらい大事なのは、特定財源を完全に一
般財源化することだと思います。
暫定税率を現在のまま延長すべきだという議論には、四つの異なる論点があるよう
です。声の大きさについて私が受ける印象の順に、(1)特に地方経済にとって道路
は重要だ、(2)環境問題が重要なときにガソリンの税率を下げるのは世界のトレン
ドに逆行する、(3)税率を一度下げて又後から上げると世間が混乱する、(4)日
本の財政事情は苦しい、という四点です。
必要な道路の建設や道路の整備が出来なくなり、特に地方経済が困るという議論に
対しては、真に必要な道路建設及び整備は別途必要性を説明して主張すればいいと反
論しておきたいと思います。確かにこれから新たに必要な道路もあるのでしょうが、
特に財政事情が厳しい今日、道路財源だけを別扱いにする必然性はありません。一般
財源の中から、他の費目と重要度を比較するプロセスを経て、必要な道路をつくれば
いいでしょう。現状の延長線上では、財源があるから、あるいは将来の財源の必要性
を印象づけるために道路を作っているような印象があり、予算のプロセスの上で、道
路と他の費目との軽重がどう判断されたのかがよく分かりません。
「道路はどうしても必要であり、それは明らかだ」と自信を持って言う政治家は、個
別の必要性とメリットを訴えて、一般財源の中から道路建設費を獲得すればいいで
しょう。道路の優先度に曇りのない自信があるなら、それで問題はないはずです。
環境対策のためにガソリン税を高く保つべきだという俄に取って付けたような意見
には、それなら、道路など新たに造らない方が環境に良いだろうと言っておきましょ
う。少なくともこの方向の論者は、ガソリン税を一般財源化して、なるべく道路建設
から遠ざけるようにしないと、話の辻褄が合いません。
ちなみに、ガソリン1リットル当たりの税金は国によって差があり、アメリカ12
円、日本が61円、韓国が111円、フランスが133円、ドイツが142円、イギ
リスが149円だそうです(2007年4?6月。財務省作成の資料による)。また、
イギリス、フランス、ドイツは過去20年程度の間に趨勢的に税率を上げてきていま
す。
税率が変動することは我々に少なくとも大きな悪影響をもたらさないでしょう。現
実にガソリンの価格は近年大きく変動してきました。もちろん、ガソリン以外にも価
格が変化する物はたくさんあります。ガソリン価格の低下は、原価上昇のコストを転
嫁できずに苦しんでいた企業にとって余裕となるでしょうし、もちろん、相対的に自
動車を使う事が多い地方の暮らしのコストを削減するでしょう。減税のポイントとし
ては、悪くない場所ではないかと思われます。
財政については、歳入にせよ歳出にせよ個別の費目の変更の良し悪しを、財政事情
全体と直接較べるべきではないと思います。ガソリン税が他の税目に較べて、最も優
先度の高い税目だということが言えるのでなければ、ガソリン税を下げて仮に問題が
あれば、より優先度の高い税目の税率を引き上げる(あるいは新設する)といいので
はないでしょうか。
いわゆるサブプライム問題に端を発して、目下景気の先行きが怪しくなりつつあり、
再びデフレに戻る可能性も取りざたされています。今は、財政再建を急ぐべきタイミ
ングではなく、むしろ適切な減税(支出増は「大きな政府」につながりますが、減税
なら「小さな政府」と有効需要増加が両立できます)と金融緩和を組み合わせるべき
なのではないでしょうか。
編集長のご質問に戻りましょう。上記の各論点については、(4)について多少別
の議論(財政赤字の累積は危険だという点にウェイトを置く議論)が考えられる程度
のことで、後の諸点は本来少なくとも大きな問題ではないはずです。にもかかわらず、
政府・与党は、暫定税率を守りたいという意図を強く打ち出しています。そこで、
(1)の声が最も大きいことなども併せて考えると、道路財源が潤沢な特定財源であ
ることに伴ってこれで商売を得る道路関連業者と、業者への影響力と天下り先などを
得る道路官僚、さらにはこれら二者の利益代表をすることで資金と票を集める道路族
議員の合計三者が暫定税率維持の受益者だろうと推測できます。
もろもろの要素を組み合わせて考えると、ガソリンの暫定税率を廃止する事の効果
は大いにプラスだろうと思われます。
経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員:山崎元
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■ 津田栄 :経済評論家
政府・与党は、今回の今年3月末で切れる道路特定財源の暫定税率の問題について、
議論の余地がなく、はじめから延長・継続は当然だとの姿勢をとっています。一方、
野党民主党は、国民生活のためと称して財源の明示もなく暫定税率廃止ありきという
姿勢で政府・与党と対立しています。
そもそも、まず、なぜ暫定税率が24.3円なのか、なぜ更にまた10年も延長す
るのか(編集長の指摘されるように、1974年に導入されて上乗せしながら延長を
繰り返して33年、暫定とはとても言えない恒久的税率になっています)、なぜ道路
に特定するのか、その前にどの道路が必要なのか、そのためにどのくらいの財源が必
要なのかなどの議論をするべきです。政府・与党は、そうした説明や議論を一切せず、
延長・継続すべきと言います。国民は、継続・延長を言うのは政府・与党に何か権益
があるからだと見ていますし、国民生活が混乱を生じさせないためという説明に対し
てもどこに混乱が起きるのか分からず納得できないのではないかと思います。
そして、国土交通省は、昨年11月に「道路の中期計画(素案)」を発表して、2
008年度から10年間で59兆円(あるいは65兆円)の道路事業費が必要だとし
て、道路特定財源の一般財源化を阻止し、暫定税率の延長・継続を前提に入ってくる
道路財源をすべて使い切る考えを示して、政府・与党の姿勢を後押ししています。と
いうよりは、国土交通省の政策に政府・与党が従っているとも見えます。国民の立場
というよりは、国土交通省の存在意義として道路ありきという考えに与党が乗っかっ
ているともいえましょう。
また、道路を10年間造り続けるということは、その前提として暫定税率の延長・
継続であれば、道路関連業界としても10年間食いっぱぐれしないことを意味します。
そうであれば、国土交通省の道路官僚の天下りを受けても、十分ペイします。また、
与党(特に道路族議員)に政治献金しても、やっていけます。後は、いかに自分の会
社に事業の割り当てを多くしてもらうかだけですから、その競い合いだけになります。
結局、道路特定財源の暫定税率が延長・継続された場合、国土交通省の道路官僚と
与党(道路族議員)と道路関連業界の利害は一致し、各自その既得権益を維持しよう
としているといえます。そういった点で、彼らが利益を得るといえましょう。
つまり、国土交通省は、道路を造り続けることで道路予算権限を維持でき、そして
道路官僚は、道路関連業界への天下りはもちろん、道路が伸びるほどに大きくなる民
営化された旧道路公団(三高速道路株式会社他)への天下りも増えることになって、
こうした予算の裁量権と天下りという既得権益を維持拡大できることになります。ま
た与党(道路族議員)は、道路関連会社から献金を受け、与党における発言権を維持
できると共に、来る選挙に備える軍資金を得、特に地方出身議員はその選挙区での発
言権を維持拡大することができます。そして、道路関連会社は、今後10年の収入が
約束されます。こうした三者の持ちつ持たれつの関係が続くことになります。
もちろん、暫定税率の延長・継続により道路が造られ続けることは、道路がほしい
地方およびそこに住む住民にとっても利益になります。また、道路建設により、地方
にもお金が落ちることになって地方景気にもプラスになるという点からも、地方の行
政、政治家、土建業界(地方の政治家には土建関係者が多い)には利益になるはずで
す。それが、景気が今一つ盛り上がらない地方の声として、暫定税率の維持を訴えて
いるのではないかと思います。
とはいっても、地方は、財政の厳しい状況で、暫定税率の廃止による道路特定財源
収入がなくなれば、一般財源から道路の建設・整備・維持にお金を出すのは大変だと
いう面もあります。むしろ、地方にとって、道路に特定している財源であるものの、
それで道路関連予算を組んで、一般財源をその他の行政サービスなどに振り向けてい
る面があります。ただし、地方によっては道路以上に重要な政策に予算を振り向けた
くても道路以外に使えないのですから、いやいやながらも予算として道路特定財源を
もらうという消極的な地方があるかもしれません。
一方で、この暫定税率の延長・継続によって損をするのは、もちろん自動車を利用
する人たちです。また、最近国内での自動車販売が伸び悩んでいますが、暫定税率が
維持されてそれを含めたガソリン価格が150円台から今後一段と上昇することにな
れば、ますます自動車を利用する人が減り、その結果自動車販売や中古車販売が低迷
することで自動車関連業界が損をすることになるかもしれません。そして、郊外へ出
かけることが少なくなれば、買い物が減って、郊外に店を出しているスーパー、家電
やスーツなど小売業が損をするかもしれません。
あるいは、暫定税率の廃止になれば、輸送コストが下がって、物価低下につながる
可能性がありますが、その延長・継続となれば、最終的に物価は下がらないという意
味で国民に利益にはならないということが言えましょう。そうなれば、景気にはマイ
ナスに働き、最終的には国民に何らかの損ということになるかもしれません。そして、
暫定税率が維持されて、もし無駄な道路が建設されるならば、その負担は広く薄くで
はあっても、国民全体が負うことになります。結局、ごく一部の者が利益を得、多く
の国民が損をするということになりましょう。
最後に、与党には環境という観点で暫定税率の延長・継続を主張する意見がありま
すが、それで自動車が走る道路を造るというのですから論理が破たんしているのでは
ないかと思います。環境のために維持するのであるならば、環境にやさしい公共輸送
手段の整備・維持に向けるとか、環境重視の政策を打ち出すべきでしょう。そして、
個人的意見として、その観点からすると、暫定税率をやめて、恒久税率としてもかま
わないですし、税率をもっと上げて、環境に使ったほうが国土交通省の評価が高まる
のではないかと思います。
もう一つ、今回で思うことは、暫定税率の必要性を十分議論し、国民の合意が得る
のに時間がかかるのであれば、一旦暫定税率を廃止するという選択肢があってもいい
ような気がします。その上で改めて暫定税率の必要性が認められれば、それがすべて
道路に特定する必要性があるのかをも吟味し、道路とそれ以外の一般財源に区別して、
あるいは全て一般財源化して、その財源をそっくりそのまま地方に渡し、道路の建設
・整備・維持などのほか、道路以外にも予算が使えるように地方の自由を認めてもい
いのではないかと思います。もちろんそれだけ地方の自主権を認めるからには責任も
伴うことを明確化しての話です。
経済評論家:津田栄
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観潮楼 |
2008.02.22(金) 20:03 | URL |
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■ミニーさま。
お早うございます。コメント有難うございます。
日付を見ますと2/20に、このコメントを頂いていますが
ちょうど四国遍路中で返信できませんでした。
化学物質の汚染も深刻になってきましたが、地域によって
差が大きいようです。
海の豊かさは、その背後にある「森」に大きく左右されると言います。
ワインについては「エスペラ」氏のコメントにある通り、「シャブリ」の白を
飲んでみたいものですね。
では、また。
お早うございます。コメント有難うございます。
日付を見ますと2/20に、このコメントを頂いていますが
ちょうど四国遍路中で返信できませんでした。
化学物質の汚染も深刻になってきましたが、地域によって
差が大きいようです。
海の豊かさは、その背後にある「森」に大きく左右されると言います。
ワインについては「エスペラ」氏のコメントにある通り、「シャブリ」の白を
飲んでみたいものですね。
では、また。
sohya |
2008.02.22(金) 09:31 | URL |
【編集】
各論者の意見を見ました。
メリル・リンチのおっさんの論点逸らしは論外として、他の慶応の教授などの言う、環境への影響というのは、まったく根拠を示せない、アバウトなものです。
実際に、暫定税率で、どの程度ガソリン需要の抑制になっているかを精査しないで、環境問題を持ち出すこと自体がいかがわしいです。
現実には、車を利用しなければ病院にも買い物にもいけない、地方の人や、陸運業界が、必要不可欠なものとしてガソリンを利用している場合があり、暫定税率がなくなったからと言って、急激にガソリン消費が増えるわけではないでしょう。
また、もしガソリン消費が伸びれば、税率の本則部分が伸び、道路特定財源の金額は増加するはずです。
このように、環境と絡めて、暫定税率の維持をもくろむ側の発言は、単に政権におもねるものとして、経済の専門家の発言とは言えません。
違うというなら。、実証すべきです。おっしゃるように、水元氏の発言が、特に偏りも無く、客観的で良いと思います。
メリル・リンチのおっさんの論点逸らしは論外として、他の慶応の教授などの言う、環境への影響というのは、まったく根拠を示せない、アバウトなものです。
実際に、暫定税率で、どの程度ガソリン需要の抑制になっているかを精査しないで、環境問題を持ち出すこと自体がいかがわしいです。
現実には、車を利用しなければ病院にも買い物にもいけない、地方の人や、陸運業界が、必要不可欠なものとしてガソリンを利用している場合があり、暫定税率がなくなったからと言って、急激にガソリン消費が増えるわけではないでしょう。
また、もしガソリン消費が伸びれば、税率の本則部分が伸び、道路特定財源の金額は増加するはずです。
このように、環境と絡めて、暫定税率の維持をもくろむ側の発言は、単に政権におもねるものとして、経済の専門家の発言とは言えません。
違うというなら。、実証すべきです。おっしゃるように、水元氏の発言が、特に偏りも無く、客観的で良いと思います。
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2008/02/25(月) 01:18:43 | 村野瀬玲奈の秘書課広報室
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実は、密かにブログの引っ越しをしました。今までのブログは原則としてバックアップ用にしようと思います。そこで、新しいブログにリンクを張らせていただきたいのですが。よろしいでしょうか。
アドレスは上記の通りです。
まだ不慣れなために、使いこなせてませんが。