2007.10.30 (Tue)
Novaの経営破綻(追記あり)

日本で英語を教えたいというカナダ人の学生は多い。私のクラスにも50人中必ず5人はいた。単に日本の文化が好きだからという生徒が意外に多くて、あとはお金になるからと思っている生徒がときどきいた。きっといままではカナダドルよりも日本円の方が高かったからであろうが、日本円が低くなっておまけに、NOVAの倒産による諸問題が生じてきた今となってはお金儲け目的の学生は激減するだろう。
日本で英語を教える際に、私が一番進めるのはもちろん政府が運営しているJETプログラムだ。しかし、JETプログラムの場合、申し込みが11月半ばで、翌年の9月からJETプログラムで日本で働けるかどうかの最終結果は翌年の4月にならないとわからないようになっているので、生徒は翌年の9月から働く仕事のために約一年前から準備を整え、応募した後、結果を半年間待たなければならないわけだ。

一方、NOVAは10月ごろ各大学に企業説明に来て、希望者との面接を行う。それから翌年6月の卒業と共に日本で働けるようになっていた。JETプログラムは4年生大学卒業が条件だったが、NOVAは卒業しなくても休学して日本で教えたい人はそのまま教えることができたので、面接後1、2ヶ月で日本へ行った生徒もいる。又、とても優秀な生徒で、JETの書類審査に合格して、面接を受ける前の段階で待ちきれずにNOVAの面接を受けて合格し、その勧誘の仕方がうまかったのか、日本へ行ってしまった生徒もいた。
いくつかのコメントにNOVAが統一教会と関係があったということが書かれていたが、その迅速な勧誘活動にはたしかに似通ったものがあったかもしれない(笑)。
10月27日のトロント・スターにNovaが破綻して600人のカナダ人を含む4000人の外国人英語教師が路頭に迷っているというニュースが載っていたので紹介したい。
ESL teachers left in limbo in Japan
660 Canadians among 4,000 out of work as 900-school Nova Group chain goes bankrupt
日本で英語教師が路頭に迷う
900ヶ所のノバ・グループチェーンが倒産し、660人のカナダ人を含む4000人の英語教師が失業した
東京-日本で最も大きな英語学校チェーンであるノバ・グループが昨日900ヶ所の学校を閉鎖して倒産申告をした後、660人のカナダ人を含む4000人の外国人英語教師が職を失った。
多くの教師は9月と10月分の給与4000ドル(約40万円)が未払いのままだと13年間日本のさまざまな学校で英語を教えてきたキャサリン・キャンベルさん(ケープ・ブレトン出身)は言う。
さらに、「家賃は教師の給与から引かれるので、ノバの寮に住んでいたら、家賃も払われていない」と日本の労働組合代表であるキャンベルさんは続ける。
「立ち退き通告もとても短かったという多くの報告を受けていて、いくつかのケースでは、2日しかない場合もあった。」とキャンベルさんはインタビューに答えた。「友達の家でお世話になる場合もあったし、立ち退き通告を受けた後もノバの寮にそのまま滞在し続けている場合もある。ビザはまだあるし、他で仕事を見つけることもできるけど、今日本では仕事不足が大きな問題となっている。」
弊社(トロント・スター)がトロントにあるカナダで唯一のノバ・グループの事務所に電話したところ、留守電になっていた。
教師たちや外国人労働組合のリーダーたちは、1980年代のバブル経済の間は稼ぎ時だったが、今回のノバの悪夢は日本で外国人労働者への待遇が悪化していることを世に知らしめたと言っている。
ノバの社員は1981年に創立され、いまでは40万人の生徒を持ち、日本の半分の英語教育市場の半分を占めていたノバ・グループをあまりにも早く大きく成長しすぎたせいで、借金して夜逃げするような無責任な精神をもった巨大企業と特徴づけている。
今年前半に裁判所がノバの虚偽の説明をした「不実の告知」や事実に反する「誇大広告」などの違反事実を認定した時点ですでにノバ・グループの問題は山積みされていた。
キャンベルさんは指摘する。経済産業省は最初にノバを監督するのを怠りながら、いきなりノバが生徒との長期契約を中止させるなど過激に対応した。その後、ノバは顧客を失い始め、社員に給料が未払いであるという報告もノバの評判を落とすのを加速させた。
講師によれば、2000人の日本人社員には7月から給料が未払いのままだということだ。
一方、生徒は授業料の返還を要求している。日本人の学生の一人は記者会見で3年分の授業料、60万円を支払い、そのうち、40万円の返還を求めているという。しかしながら、返還される可能性は低いであろう。
昨日大阪地裁で会社再生法の下、保全命令を受けた。地方紙によると、負債総額は439億円(370億ドル)で、ジャスダック東京証券取引所はノバの株取り引きを中止し、11月27日には上場からはずされる予定だ。
ノバはこれまでに英会話、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、中国語のクラスを開講。カナダ、米国、英国、オーストラリアで雇用した教師が全体の半分を占めていた。
日本国内では生徒が受けた被害が大きく取り上げられているが、教師の蒙った被害についてはあまり詳しい記事がないので、上の記事は参考になるのではないか。私の元生徒もNovaで教えるために今年の9月に日本へ行った者がいるが、連絡をとって状況がどのようなものなのか聞いてみたい。
追記:
10月31日 読売新聞の記事「解約殺到しシステム崩壊…破綻 駅前留学(下)」によると、「残されたのは、30万人の受講生が納めた前受け金400億円で、法的整理では、税金や社員の未払い給料の方が優先され、1円も戻らない可能性が高い」ということで、ノバの倒産で一番の被害者は全体の80%を占める現金で前払いをしてしまった受講生であろう。
こういった悪徳企業をここまでのさばらせた経済産業省の監督不行き届きの罪は大きいと思う。経済産業省は、ノバの倒産で被害を受けた教師や受講生に損害賠償金を払うべきであり、受講生が支払った金額の時間数と等しい授業を、他の英語学校で無料で受講できる特典を与えるなどの対策をとるべきだろう。そうでなければ、被害者は浮かばれない。
とにかく、これは外国人労働者を巻き込んだ英語学校では過去最高の倒産であり、日本企業の信用を損なうとても深刻な事件だと思う。万一Novaの教師に知り合いがいて、困っていたら、下記の連絡先を教えていただきたい。
◆外国人講師の相談窓口開設
NOVAで従業員への給与の支払いが遅れ、外国人講師からの問い合わせが増加していることから、厚生労働省は26日、東京、大阪の両労働局に外国人講師専用の相談窓口を開設した。
通常は異なる部署が担当する賃金未払いや雇用保険などの相談を、同じ窓口で受け付ける。24日までに外国人講師から東京や大阪など8都府県のハローワークなどに寄せられた相談件数は計563件に上る。舛添厚労相は26日、閣議後の記者会見で「(賃金未払いなどの問題については)法令に基づいてしかるべき対応をとりたい」と述べた。
窓口は、東京労働局の新宿外国人雇用支援・指導センター(03・3204・8609)、大阪労働局の大阪外国人雇用サービスセンター(06・6344・1135)。
(2007年10月26日 読売新聞)
生徒の方には朗報が。大手英会話学校のGABAがNOVAが会社更生法を申請した10月26日以降もレッスンが残っている受講者を対象に支援策をすることが決定した。入会金3万1500円を無料にする上、既存のコースより授業回数を1割増やした特別コースを設けるそうだ。受け入れ人数については、既存の受講生を考慮して、数百人規模に限られてしまうようだが。レッスンを10月26日以前に解約してしまった方にはまだ支援策がでていない。
関連記事:
『I CAN'T TELL YOU WHY』
(動画)NOVA社長室 家賃は月額270万なんだってね>中山泰秀さん
裏の裏の情報まで満載です。
『言ノ葉工房』「みなさま、いざってー時に日本国は手を伸ばしてくれるとお思いですか?では、このニュースから。 」
英・豪の在日大使館がNOVA講師の支援を始めたようです。
参考新聞記事:
Nova問題 特集 Yomiuri.online
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- 関連記事
NOVAの経営破たんの事ですが、私は偽装倒産ではないか?と疑っています。
米国や欧州では、サブプライム問題で金融機関やファンドが巨額の損失を被っていますし、日本の金融機関やファンドにも大きな問題として波及してくるでしょう。
NOVAの経営者等は、統一教会系の胡散臭い輩の様ですから、世界恐慌の一歩手前の状況でこれ以上営業を続けても恐慌の呷りで倒産は免れないと考えたのでしょう。
本当は、財務内容はそんなに悪化していないのではないでしょうか。
受講生に先に高い授業料を支払わせて、たんまり現金を抱えていて、海外なんかに隠しているのだろう。
表向きは、「資金繰りの悪化」→猿橋社長の経営能力を疑っている役員によるクーデターによって社長解任→会社更生法申請って流れでしょう。
報道で、「クーデターによる社長解任」を強調していたのは、責任の所在を曖昧にする為ではないだろうか。
kaetzchenさんの日本人は討論させようとするとびびってこなくなるという話は興味深い
文化の違いがあらわになっていますね
生徒さんや講師の皆さんには気の毒ですが、NOVAは朝賎カルト統一教会系の企業でその資金源となっており、以前からそのあくどい商法で知られていました。日本の企業とはいえ、カルトが絡んでいる企業も少なく、関わると非常に危険です。
コムスンの折口会長も統一教会の信徒でしたね。
そういう企業の波長に合う人が来ているのか分かりませんが、講師の麻薬所持やレイプ事件、生徒の講師殺害と何かと問題の多いNOVAでした。
これから日本の企業に就職される外国人の方がよく下調べをされてから来ていただきたいと思います。
NOVAの猿橋前社長の別の肩書きです。
自民党の口利き議員の父親や、元皇族など、怪しい団体です。外務省がらみの闇の一つなのでしょうか?
元皇族の関係者と山口組幹部は、世界宗教法皇庁という団体でつながりがあります。不明朗な資金はどこへいったのでしょうか?興味があります。
アメリカって確か国連への納入金も何年も払っていなかったですね。大使館の方は日本政府が払わなくても思いやり予算で処理しておくからいいよ、と言っていそうです。どうなんでしょう?
NOVAは、CMが面白かったですが。
でもNOVAにかぎらず、語学学校の従業員はこきつかわれているようです。
美彌依ちゃんの生徒さんの事も心配ですね。
asahi.com:米大使館、地代10年滞納 国有地、年額250万円 - 政治
2007年10月29日10時01分
http://www.asahi.com/politics/update/1028/TKY200710280133.html
asahi.com : Japan seeking unpaid rent from U.S. Embassy - ENGLISH
http://www.asahi.com/english/Herald-asahi/TKY200710290135.html
低気温のエクスタシーbyはなゆー: 〔史料〕在日米国大使館敷地(赤坂)の貸付料の10年間滞納問題
http://alcyone.seesaa.net/article/63184165.html
U.S. eight years behind on rent for embassy | The Japan Times Online
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nn20051001a4.html
話はかわりますが、従姉妹の結婚相手がイギリス人だったと思います。こちらで英語教室の講師をしている、ということまでは、結婚式の時に聞いたのですが
もしかしたら、もしかして、とかなっているかもしれませんね。何か心配になってきました。それにしても、その従姉妹、二人姉妹なのに二人とも英語を話す人と結婚したのです。私は、カタカナはだめなのにね。親戚でも違いますね。
一番嫌なのが,教授法にいちゃもんをつけられることだそうです.ちゃんと言語学や日本語を学んで来日した講師がオリジナルの授業を始めると,上から叱られる.
特に頭に来たのが「会話でなく討論を始めると,ただ黙って発音を聴きに来てる「お客さん」がびびって来なくなる」と抑え付けられたことなんだそーだ.
西洋の学問では基本的に哲学,つまり「討論」が最重要視されます.だから,自分の価値観と異なる意見を生徒が発言して,討論する(勝ち負けは関係ない)ことを彼らは「外国語のマスター法」として大学で教わってきたのにも関わらず,「日本の常識」はそれを許さないことに驚いていました.ただ,給料が良かったので,カネのためだと割り切って教えていた人がほとんどだったようです.< 私と接した講師は
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きっこさん、高知白バイ事故は冤罪です。何時我々に降りかかるか・・・・・・
(動画)NOVA社長室 家賃は月額270万なんだってね>中山泰秀さん
守屋前事務次官:2007年10月29日・証人喚問(全文掲載・映像ノーカットで。) メモとして。