2020.04.27 (Mon)
新型コロナウィルス問題の論点 コロナ治療薬と副作用の問題
7日の配信号(「緊急事態宣言も東京はロックダウン無しで感染爆発を防げるのか?」で「治療薬の現況」についてお話をしました。その後、研究や、投与された症例の検討が進んでいます。重症化のプロセスにおいて、患者の体力が残っているうちに、少しでもウィルス増殖を抑制するという目的だけでなく、発症直後の早期に投与することで重症化が抑制できた症例なども出てきています。その一方で、副作用についても問題が指摘されています。今回は、その点を整理しておこうと思います。
1.抗インフルエンザウィルス薬ファビピラビル(アビガン)
日本発の薬剤ということで、期待がありますし、実際に著効したという症例も出てきています。ただ、催奇性が懸念されるので、妊婦と妊娠を予定している男女双方には禁忌というのが要注意です。その他に、かなり血中の尿酸値を上昇させるという報告もあり、そうしたデメリットを越える効果を証明する必要があります。
2.ロピナビル・リトナビル配合剤などの抗HIV薬
カトレラという商品名で、HIVの薬として認可されています。ですが、副作用はかなり強く、嘔吐・下痢・腹痛などの胃腸症状が短期でも出やすいようです。また、高血糖、膵炎、肝障害、不整脈、皮膚障害などの報告があります。血友病のある人は、出血の発現の要注意のようです。
3.抗エボラ出血熱ウィルス薬レムデシベル
アメリカのFDAがフェーズ2へ進むことを認可したとして話題になっていますが、問題は肝機能に障害が出る危険性です。
4.抗マラリア薬であるヒドロシクロロキン
商品名はプラケニル。マラリヤ薬のクロロキンを改良して、全身性エリテマトーデスや他の膠原病の薬として確立している薬剤です。問題は、通常量の使用では網膜症の発症を警戒しないといけない点ですが、大量に投与すると強い心臓毒性を発揮する点です。トランプが「ファンタスティック」だと持ち上げており、信じたトランプ派の夫婦が「感染を恐れて事前に飲んだ」ところ夫が即死するという事件がありました。尚、コロナ患者への投与では高確率で胃腸障害が出たという報告もあるようで、ちょっと難しくなって来たかもしれません。
冷泉彰彦この著者の記事一覧
https://www.mag2.com/p/news/mag_author/0001628903
東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信
- 関連記事
-
- 新型コロナウィルス問題の論点 コロナ治療薬と副作用の問題 (2020/04/27)
- 日本のゆかいな新型インフルエンザ対策 (2009/05/22)
- デヴィ夫人、政権交代モード炸裂♪ (2009/05/21)
- インフルエンザA型(H1N1)の日本の感染者数が世界第4位に (2009/05/20)
- インフルエンザA型(H1N1):発熱などの症状がある患者が診察拒否される (2009/05/06)
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック