2012.06.04 (Mon)
大飯原発直下に活断層の可能性
今年の夏は電力は足りているのに、原発が再稼動する準備に2,3ヶ月かかり、最も電気の需要が高まる夏に間に合わせるには今すぐ決断しないと間に合わないなどと誰もがわかるような嘘をつく政府。原子力規制庁もまだ発足していないのに、「特別な監視態勢」をとってまで、なぜ再稼動をここまで急ぐのか。
これだけ国民が反対しているのに、それを無視して責任を全てパペット野田に押し付けて無理やり再稼動させるのは、民主主義とは呼べない。パペットも、自分の判断で再稼動させるなどと言ってしまって、万一事故が起きたら、どうなるかわかっているのだろうか。
細野も大飯原発の安全性について、津波に耐えられることしか主張しておらず、耐震性についてはほとんど語らない。福島第一原発事故の第一原因が津波よりも地震とされている中で、耐震への安全対策をなおざりにしたまま再稼動に突き進もうというのは、あまりにも危険すぎないだろうか。とにかく、野田内閣の閣僚たちは、野田を筆頭にあまりにも頭が悪い者達が集まりすぎていて話しにならない。
市民社会フォーラムのメーリングリストで、大飯原発直下に活断層がある可能性を指摘していたので、ここに転載させていただく。読者のみなさまに広めていただければと思う。
[civilsocietyforum21] 【緊急】福井県原子力安全専門委員会への応援&「大飯原発直下に活断層の可能性」指摘を!【転送歓迎】
今晩は、NGO e-みらい構想の長谷川羽衣子です。
明日夕から細野大臣が福井県庁を訪れ、西川知事と県議会議長と面談すると報道されています。西川知事・おおい町長が再稼働容認の判断を下す、最後の基準となるのが「福井県原子力安全専門委員会」の決定です。 先日、朝日・福井新聞両紙に東洋大学渡満久教授が「大飯原発の直下にある破砕帯は活断層の可能性がある」との指摘をされている、という再稼働判断に対して大きな問題点となり得る記事が掲載されました。アイリーンさんが記事の詳細を送って下さっていますので、転送させて頂きます。この事実をぜひ専門委員会の委員の方に伝えて下さい。
委員に対して働きかけ、なんとか再稼働モラトリアムを実現し、延長戦に持ち込みましょう!皆さん、専門委員会での発言を踏まえた抗議・応援をお願い致します。
以下、委員の方々の発言と連絡先です。じゃんじゃんメールやFAX、お手紙を送って下さい!
どうか宜しくお願い致します。
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アイリーンです。
以下、6月2日の福井新聞と朝日新聞の福井版の記事を転載しました。また、この記事に関する要望書、そして東洋大学渡満久教授のコメントもHPアップしました。そちらはこのサイトで見れます。
要望書:
大飯原発3・4号の破砕帯、活断層3連動に関する 福井県と福井県原子力安全専門委員会への質問・要望書
http://www.greenaction-japan.org/modules/wordpress/index.php?p=583
http://www.jca.apc.org/mihama/ooi/fukuipref_senmoni_youbou120601.pdf
東洋大学渡満久教授のコメント:
http://www.greenaction-japan.org/modules/wordpress/index.php?p=584
☆☆☆☆
↓
新聞の転載はこちら:
(新聞記事の転載なので取り扱い注意お願いいたします。)
2012年6月2日(土)福井新聞
大飯原発直下・破砕帯
「活断層の可能性」
東洋大教授 県に調査求める
関西電力大飯原発3、4号機の再稼働をめぐり、市民団体のグリーン・アクション(京都市)などが県に1日提出した質問・要望書類の中で、東洋大の渡辺満久教授(変動地形学)は同原発直下を通る破砕帯は「活断層である可能性は否定できない」と指摘。詳しく調査するよう求めた。
大飯原発敷地内の破砕帯について経済産業省原子力安全・保安院は2010年、周辺断層を含めた耐震安全性評価(バックチェック)の中間報告を受け、12万~13万年前以降に活動したものではないと判断し、問題はないとの認識を示している。
一方、市民団体は3号機直下の「F6」と呼ばれる破砕帯に関し、3、4号機を建設した際の設置申告書にある「幅0・5センチの粘土の付着した破砕帯と鏡肌を有する小岩片からなる」との表記に着目。渡辺教授に見解を求めていた。渡辺教授は「粘土があるということは、破砕帯が最近に活動している可能性を示す」としている。原子力の利用に反対の立場ではないとする渡辺教授は、大飯原発の再稼働について「今の段階で認めるのであれば『安全性は確保されていないが、いろんな理由で再稼働させる』と明言されるべき」としている。
ーーーー
2012年6月2日(土)朝日新聞
大飯原発敷地内
「活断層確認を」
市民団体、県などに要請
関西電力大飯原発(おおい町)の敷地内を通る断層について、市民団体が1日、地震で動く活断層ではないことを十分に確認するまで、再稼働を認めないよう求める文書を県や県原子力安全専門委員会に出した。国にも同様に求める。
文書を出したのはグリーン・アクションと美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会の2団体。これまで関電や国は、大飯原発の敷地内を走る複数の断層のうち最も長い「F-6」という断層を調べ、活断層ではないと評価している。しかし2団体側は、長い間、地震で動いていない古い断層は固まっていることが多いが、F-6断層は粘土が含まれ、固まっていないと指摘。近くの活断層が連動して動いた場合、F-6への影響を評価すべきだとしている。
東洋大の渡辺満久教授(変動地形学)もF-6断層について「活断層である可能性は否定出来ない」と指摘。原子炉直下を走る断層もあり、「活動性を確認することが非常に重要」としている。(小堀龍之)
【福井県原子力安全専門委員会 連絡先(FAX・メール・郵送)一覧】
●中川英之委員長●→抗議して下さい
委員が関電に対して質問したことに関電が答えられない場合、勝手に自分で回答し、まとめようとする傾向が毎回見られます。とにかく早く「再稼働は妥当」との判断を下したいように見受けられます。委員からの疑問に関電が答えられない場合、委員長である中川氏がそれを厳しく指摘しなければならないはずです。
<中川英之(委員長) 福井大学名誉教授>
(FAX)0776-21-6875 (「中川英之委員長宛」と明記して:原子力安全対策課)
(メール)gennan@pref.fukui.lg.jp
●泉佳伸委員●→応援&激励して下さい
断層の連動性を仮定した地震動および主要施設の固有周期について、関電が「一部の周期で大飯の基準地震動を超えるものがあった、しかし、その比率は大きいものでも1.4倍で、ストレステストのクリフエッジ1.8倍を下回るから問題なし」と説明したことに対し、「それぞれの設備を単体の固有振動数でしか評価していないようだが、連結して評価したものもあるということなら、具体的で正確な資料と説明をせよ。連結すると固有振動数が変わるが、この振動数が地震の振動数と一致したところが最も弱いのだから。」と食い下がっておられました。さらにまとめでは、「規制庁もまだできておらず、今後もっと国に対して、報告書の中で、委員会から意見を述べていく」と発言。
<泉佳伸 福井大学附属国際原子力工学研究所教授>
(メール)y_izumi@u-fukui.ac.jp 〒914-0055 福井県敦賀市鉄輪町1-4-42
●飯井俊行委員●→応援&激励して下さい
制御棒挿入性評価について関電が「2.2秒は目安であって絶対ではない。11秒でも問題は起きないという結果が出ている」という趣旨の発言をしたことに対して、「時間のパラメータが入っているか?」、「それぞれの抗力の寄与度はどの程度か」、「地震による抗力が大きいともっと大きくなっているのでは」等の質問をしておられました。また、大飯発電所周辺斜面の安全性評価について関電が「対策は充分」という趣旨の説明をしたことに対して、「専門家ではないから言いにくいが、印象としてはこの解析結果は納得できない」とか、 「みな内容があまりわかっていないで議論していたことがわかった」とか、中川委員長がまとめようとする中、頑張って発言しておられました。
<飯井俊行 福井大学大学院教授>
(FAX)0776-27-9764 (メール)meshii@u-fukui.ac.jp 〒910-8507 福井市文京3-9-1
●岩崎行玄委員●→応援&激励して下さい
制御棒挿入性評価について関電が「2.2秒は目安であって絶対ではない。11秒でも問題は起きないという結果が出ている」という趣旨の発言をしたことに対して、「もんじゅで、制御棒が引き抜けなくなった事故があったが、制御棒の一つが曲がってしまったら挿入できなくなるのではないか?」と質問。
<岩崎行玄 福井県立大学教授>
(FAX)0776-61-6015(メール)iwasaki@fpu.ac.jp
〒910-1195 福井県吉田郡永平寺町松岡兼定島4-1-1
●田島俊彦委員●→応援&激励して下さい
大飯発電所周辺斜面の安全性評価について関電が「対策は充分」という趣旨の説明をしたことに対して、「一度すべり始めたら、止まるというのはイメージとして理解しがたい」、「仮想すべり線はどうやって想定できるのか」など、かなり激しく批判。
<田島俊彦 福井県立大学名誉教授>
(代表FAX)0776-61-6011(田島俊彦さん宛)
〒910-1195 福井県吉田郡永平寺町松岡兼定島4-1-1
●三島嘉一郎委員●→応援&激励して下さい
飯井委員と同じく、制御棒挿入性評価について関電が「2.2秒は目安であって絶対ではない。11秒でも問題は起きないという結果が出ている」という趣旨の発言をしたことに対して、「時間のパラメータが入っているか?」、「それぞれの抗力の寄与度はどの程度か」、「地震による抗力が大きいともっと大きくなっているのでは」等の質問をしておられました。
<三島嘉一郎 (株)原子力安全システム研究所 技術システム研究所長>
(代表FAX)0770-37-2008 (三島嘉一郎さん宛)
〒919-1205 福井県三方郡美浜町佐田64(株)原子力安全システム研究所
●山本章夫委員●→応援&激励して下さい
制御棒挿入性評価について関電が「2.2秒は目安であって絶対ではない。11秒でも問題は起きないという結果が出ている」という趣旨の発言をしたことに対して、「鉛直方向と水平方向の揺れの相関性はないという評価の仕方は学会では一般的なのか?」と質問。関電はそうだとの回答。また、大飯発電所周辺斜面の安全性評価について関電が「対策は充分」という趣旨の説明をしたことに対して、「国の意見聴取会でさらなるコメントはなかったか?」と質問。
<山本章夫 名古屋大学大学院教授>
(FAX)052-789-3608 (メール)a-yamamoto@nucl.nagoya-u.ac.jp
〒464-8601 名古屋市千種区不老町
●その他委員●
「事故が起こったら責任がある」「住民の安全を守ってほしい」「専門家としての責務を果たして欲しい」と訴えて下さい。
<西本和俊 福井工業大学教授>
(代表TEL)0776-29-2620(「西本和俊教授に伝言したい」と)
〒910-8505 福井県福井市学園3-6-1
<小野公二 京都大学原子炉実験所教授>
(FAX)072-451-2627
(メール)onokoji@rri.kyoto-u.ac.jp
〒590-0494 大阪府泉南郡熊取町朝代西2丁目 京大原子炉実験所
<大堀道広 福井大学附属国際原子力工学研究所准教授>
(代表TEL)0770-25-0021(「大堀道広准教授に伝言したい」と)
〒914-0055 福井県敦賀市鉄輪町1-4-42
<釜江克宏(臨時委員)京都大学原子炉実験所教授>
(代表FAX)072-451-2600(釜江克宏さん宛)
(メール)kamae@rri.kyoto-u.ac.jp
〒590-0494 大阪府泉南郡熊取町朝代西2丁目 京大原子炉実験所
<竹村恵二(臨時委員)京都大学大学院教授>
(FAX)0977-22-0965
(メール)takemura@bep.vgs.kyoto-u.ac.jp
〒874-0903 大分県別府市野口原 京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設
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NGO e-みらい構想
長谷川羽衣子(Hasegawa Uiko)
T&F:075-202-7584 e-mirai21@hotmail.co.jp
http://e-miraikousou.jimdo.com/
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下の動画は、5月30日に小沢一郎氏がパペットと会談した後にテレビ出演したときのもの。すでにご覧になられた方も多いと思うが、いつものように全くブレない小沢氏の主張を聞いて、原子力村の方針通りにしか動かない霞ヶ関を改革できるのは、小沢氏しかいないといまさらながら確信した。
小沢氏のインタビューの後に、野田が「大飯原発運転再開を自らの責任で決める」と明言しているので、今後、何かあったときのために永久保存しておこうと思う。
【More・・・】
20120530 小沢一郎、野田総理と会談後の会見 & 生出演 大飯原発再稼働
Beaucoup2011 さんが 2012/06/01 に公開
小沢一郎がテレビに生出演したようですね。
確かに、彼のほうが本来の民主党という気がしますね。
というより、野田政権は自民党より自民党臭い、て感じですもんね。
本当に、日本は滅茶苦茶になってしまいました。
小沢一郎はネット上では、出演も多く、かなり人気があるようですね。
確かに、昔から言っている行っている事はブレませんね。
テレビと共産党と検察が冤罪をでっち上げて、彼が総理大臣になるのを邪魔をした、という経過を知っているだけに、どうしても小沢一郎に判官贔屓してしまいますね。
今のところ、マスコミと検察の改革が出来そうなのは彼しかいないのかも...
クロスオーナーシップ禁止とか、電波のオークション制度とか、検事総長の国会承認とか。
そこだけでも改善されれば、日本は大きく変わりそうですが,,,
--
大飯原発再稼働ですが、原子力安全委員会のあの班目氏すら、安全を認めていないのに、なんでドジョウ総理がと嘘つき枝野が安全を保証できるんでしょう。
国会事故調で、日本には原発を安全に稼働する能力がないという事が明確になった、というのに。
大飯原発再稼動 原発相と福井知事がきょう会談
(2012年6月4日 読売新聞)
30キロ県内首長も注視
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働への理解を得るため、細野原発相が4日夕、福井県庁を訪れ、西川一誠知事と会談する。地元同意が得られれば、政府は再稼働を正式決定する。会談は、原子力規制庁の発足までの「特別な監視態勢」の内容などが焦点となりそうだ。
政府はすでに経済産業副大臣を現地に常駐させるなどの特別な監視態勢をとる方針を打ち出している。
これについて、原発の安全性を独自に検証している福井県原子力安全専門委員会の中川英之委員長は、「国と福井の安全監視に関する連携が進むだろう」と好意的に受け止める。
同原発から半径30キロ内にある京都府綾部市の山崎善也市長は「その監視態勢に、隣接する綾部市も参加できる仕組みを要望したい」とする。ただ、西川知事は、こうした声に「(福井と隣接府県では)立場が異なる」と否定的だ。
滋賀県高島市の西川喜代治市長は、防潮堤のかさ上げなど恒久的な安全対策が施されないまま、大飯原発を再稼働する場合について「他の原発も動かしてよいと国が判断する材料にされかねない」と不安を示している。京都府舞鶴市の多々見良三市長も「まだ安全が確保されたとは言えない」と話している。
会談は、一部非公開で行われる。政府の説明に福井県側が納得した場合、西川知事は近く、県の専門委から、国が示した安全基準などを妥当とする報告書を受け取る。時岡忍・おおい町長と県議会が、報告書を踏まえ、同意の意向を知事に表明。西川知事は、これらの手続きを経て、野田首相に最終判断を伝える。

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(ふじふじのフィルターさま「法人税を下げて消費税を上げると、どこが得をするのかな。野田首相は誰のために働いているのかな。」へコメント)
>>http://fujifujinovember.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-7505.html
不信任案可決すれば解散総選挙か内閣総辞職のふたつにひとつ。どっちでも野豚政権は即終了、黒焦げの誰も食わない焼き豚残飯ゴミ一丁上がりだね(wっw)。
解散衆参同日総選挙になれば日本には不逮捕特権のある会期中国会議員は一人もいなくなるから刑事犯罪者だらけの菅内閣閣僚野田内閣閣僚議員はぜんぶ牢獄行きだ。センゴクがロウゴク入り、ぴったしですなw野豚は不逮捕特権悪用して逮捕されないように(亡命の時間稼ぎw)するためには会期延長して総辞職するしかない。
不信任案を提出しない国会は、国会議員全員の怠慢だね。
解散総選挙になれば黒ボールペンで投票用紙に記入して選管の投票不正改ざん犯罪を予防しよう。
公職選挙法違反をする候補者を警察に告発して厳重に取り締まろう。死に馬前原も政治家終了したね。
岡田も叩くまでもなく埃だらけだからこいつもすでに政治家としてしんでいる。
国会議員の責務は内閣不信任案提出である。いますぐやれ。
【菅直人の棄民テロ犯罪を証言する記事。】
>たとえSPEEDIが作動していなくても、私なら事故の規模を5秒で予測して、避難の
警告を出せると思います。(全国の原発事故の対策システムを設計した元責任者)
2012年6月3日 日曜日
◆福島第一原発事故を予見していた電力会社技術者 5月31日 鳥賀陽弘道
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35339
──「全交流電源喪失」はどの時点で分かるのですか。どこから起算すればいいのですか。
「簡単です。『原子力災害対策特別措置法』第15条に定められた通り、福島第一発電所が政府に『緊急事態の通報』をしています。3月11日の午後4時45分です。このときに格納容器が壊れることを想定しなくてはいけない。つまり放射性物質が外に漏れ出すことを考えなくてはいけない。ここからが『よーい、スタート』なのです」
私はあっけにとられた。そういえばそうだ。法律はちゃんと「こうなったら周辺住民が逃げなくてはいけないような大事故ですよ」という基準を設けていて「そうなったら黙っていないで政府に知らせるのだよ」という電力会社への法的義務まで作っているのだ。「全交流電源喪失・冷却機能喪失で15条通報」イコール「格納容器の破損の恐れ」イコール「放射性物質の放出」なのだ。
そして、それは同日午後2時46分の東日本大震災発生から、わずか1時間59分で来ていたのだ。すると、この後「全交流電源喪失~放射性物質の放出」の間にある「メルトダウンがあったのか、なかったのか」という論争は、防災の観点からは、枝葉末節でしかないと分かる。
「15条通報」があった時点で「住民を被曝から守る」=「原子力防災」は始まっていなくてはならなかったのだ。
原子炉を助けようとして住民のことを忘れていた?
「甲状腺がんを防止するために子どもに安定ヨウ素剤を飲ませるのは、被曝から24時間以内でないと効果が急激に減ります。放射性物質は、風速10メートルと仮定して、1~2時間で30キロ到達します。格納容器が壊れてから飲むのでは意味がない。『壊れそうだ』の時点で飲まないといけない」
ところが、政府が原子力緊急事態宣言を出すのは午後7時3分である。2時間18分ほったらかしになったわけだ。これが痛い。
「一刻を争う」という時間感覚が官邸にはなかったのではないか、と松野さんは指摘する。そういう文脈で見ると、発生から24時間経たないうちに「現地視察」に菅直人首相が出かけたことがいかに「ピントはずれ」であるかが分かる。
──首相官邸にいた班目春樹(原子力安全委員会)委員長は「情報が入ってこなかったので、総理に助言したくでもできなかった」と言っています。SPEEDIやERSSが作動していないなら、それも一理あるのではないですか。
「いや、それは内科の医師が『内臓を見ていないから病気が診断できない』と言うようなものだ。中が分からなくても、原発災害は地震や台風より被害が予測できるものです」
「もとより、正確な情報が上がってきていれば『専門家』は必要ないでしょう。『全交流電源喪失』という情報しかないから、その意味するところを説明できる専門家が必要だったのです。専門家なら、分からないなりに25時間を割り振って、SPEEDIの予測、避難や、安定ヨウ素剤の配布服用などの指示を出すべきだったのです」
ひとこと説明を加えるなら、福島第一原発が全交流電源を失ったあと、首相官邸が必死になっていたのは「代わりの電源の用意」(電源車など)であって、住民の避難ではなかった。本欄でも報告したように、翌日3月12日午後3時前の段階で、原発から3キロの双葉厚生病院(双葉町)での避難すら完了せず、井戸川克隆町長を含む300人が1号機の水素爆発が噴き出した「死の灰」を浴びたことを思い出してほしい。
「ERSSの結果が出てくるまでの間は、SPEEDIに1ベクレルを代入して計算することになっています。そのうえで風向きを見れば、避難すべき方向だけでも分かる。私なら10の17乗ベクレルを入れます。それで住民を逃がすべき範囲も分かる」
──どうして初動が遅れたのでしょうか。
「地震で送電線が倒れても、津波が来るまでの1時間弱は非常用ディーゼル発電機が動いていたはずです。そこで東京にあるERSSは自動起動していたはずだ。このとき原発にはまだ電源があったので、予測計算はまだ正常に進展する結果を示していたでしょう。しかし、ERSSの担当者が、非常用ディーゼル発電機からの電源だけで原子炉が正常を保っている危うさを認識していれば、さらに『ディーゼル発電機も故障するかもしれない』という『全電源喪失』を想定した予測計算をしたと思います。この計算も30分でできる。私がいた時はこのような先を読んだ予測計算も訓練でやっていた。原子力安全・保安院のERSS担当部署がそれをやらさなかったのではないか。この最初の津波が来るまでの1時間弱のロスが重大だったと思う」
──すべてが後手に回っているように思えます。なぜでしょう。
「何とか廃炉を避けたいと思ったのでしょう。原子炉を助けようとして、住民のことを忘れていた。太平洋戦争末期に軍部が『戦果を挙げてから降伏しよう』とずるずる戦争を長引かせて国民を犠牲にしたのと似ています」
──廃炉にすると、1炉あたり数兆円の損害が出ると聞きます。それでためらったのではないですか。
「1号機を廃炉する決心を早くすれば、まだコストは安かった。2、3号機は助かったかもしれない。1号機の水素爆発(12日)でがれきが飛び散り、放射能レベルが高かったため2、3号機に近づけなくなって14日と15日にメルトダウンを起こした。1号機に見切りをさっさとつけるべきだったのです」
──その計算がとっさにできるものですか。
「1号機は40年経った原子炉なのですから、そろそろ廃炉だと常識で分かっていたはずです。私が所長なら『どうせ廃炉にする予定だったんだから、住民に被曝させるくらいなら廃炉にしてもかまわない』と思うでしょう。1機1兆円です。逆に、被害が拡大して3機すべてが廃炉になり、数千人が被曝する賠償コストを考えると、どうですか? 私は10秒で計算します。普段から『老朽化し、かつシビアアクシデント対策が十分でない原子炉に何かあったら廃炉にしよう』と考えておかなければならない」
このままうやむやにすると、また同じことが起きる
私にとって不思議だったのは、これほど事故を予見し尽くしていた人材が電力業界内部にいたのに、その知見が無視され、死蔵されたことだ。松野さんにとっても、自分の長年の研究と専門知識が現実の事故対策に生かされなかったことは痛恨だった。
「私の言うことは誰も聞いてくれませんでした。誰も聞いてくれないので、家で妻に話しました。しかし妻にもうるさがられる。『私の代わりにハンガーにかけたセーターにでも話していなさい』と言うのです」
松野さんはそう言って笑う。
「このままうやむやにすると、また同じことが起きるでしょう」
「広島に原爆が落とされたとき、日本政府は空襲警報を出さなかった。『一矢報いてから』と講和の条件ばかり考えていたからです。長崎の2発目は避けることができたはずなのに、しなかった。国民が犠牲にされたんです」
「負けるかもしれない、と誰も言わないのなら(電力会社も)戦争中(の軍部)と同じです。負けたとき(=最悪の原発事故が起きたとき)の選択肢を用意しておくのが、私たち学者や技術者の仕事ではないですか」
そして、松野さんはさらに驚くような話を続けた。
そもそも、日本の原発周辺の避難計画は飾りにすぎない。国は原子炉設置許可の安全評価にあたって、格納容器が破損して放射性物質が漏れ出すような事故を想定していない。もしそれを想定したら、日本では原発の立地が不可能になってしまうからだ。
そんな逆立ちした論理が政府や電力業界を支配している、というのだ。
(阿修羅から転載)
>>http://www.asyura2.com/12/genpatu24/msg/370.html