2012.05.01 (Tue)
日米首脳会談の要旨と記者会見の動画
オバマ大統領と日米同盟の強化を誓い合い、北朝鮮のミサイルをダシにして、日米防衛協力の強化を強調し、日米共同声明を発表した。
日米共同声明を発表するのは、06年に小泉元首相とブッシュ元大統領が共同文書で「世界の中の日米同盟」と両国関係を位置づけ、対テロなどの重要性をうたって以来となる。
野田総理は、TPP交渉参加の是非をめぐって日本国内で意見が分かれていることから、「TPP参加」の明言は避けたが、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を築くという長期目標に沿って、高い水準の市場開放のルールを築くことを盛り込んだ。今回の訪米で、日本のTPP参加は決定的となったといえよう。
日米首脳共同会見要旨
(時事 2012/05/01-07:55)
【ワシントン時事】4月30日午後(日本時間1日未明)に行われた野田佳彦首相とオバマ米大統領の共同記者会見の要旨は次の通り。
〔日米同盟〕
大統領 日米同盟は両国の安定と安全保障、アジア太平洋地域の平和と安全保障の礎だ。
首相 大局的な日米同盟の意義や在り方を確認することができた。日米同盟は新たな高みに達した。アジア太平洋地域は世界の成長センターだが、北朝鮮の存在や軍備拡張などの不安定要素を内包している。米軍再編を実現するとともに、2国間の安全保障、防衛協力を強化していく。
〔普天間飛行場移設〕
大統領 米軍再編に取り組み、沖縄への影響を減らす。米軍再編は日米の安全保障の利益にかなったものだ。
首相 これまでの経緯を踏まえ、早期解決に取り組んでいく。
〔北朝鮮〕
大統領 北朝鮮の挑発的な行為については日米で共同で取り組む。北朝鮮が国際規範を守るということを求める。
首相 北朝鮮は2006年、09年と核実験を行っている。今後も核実験を含むさらなる挑発行為を行う可能性が大きい。国際社会で協調して自制を求めていかなければいけない。
〔中国〕
大統領 中国を封じ込めようとしているわけではない。平和的に台頭する中国を歓迎する。中国は国際ルールや規範に従ってほしい。それが長期的には中国の利益にもかなう。
首相 中国は地域のパートナーだ。日米中の戦略的な対話が必要だ。中国の発展はわが国にとっても、国際社会にとってもチャンスだ。(国際)ルールに基づいた対応を中国に求めていくことは大事だ。
〔TPP〕
首相 環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に向けた協議を前進させる。
【More・・・】
関連記事:北朝鮮核実験、阻止へ連携=野田首相「同盟、新たな高みに」-日米首脳会談
(時事 2012/05/01-09:19)
北朝鮮核実験、阻止へ連携=野田首相「同盟、新たな高みに」-日米首脳会談
【ワシントン時事】野田佳彦首相とオバマ米大統領による首脳会談は4月30日午前(日本時間1日未明)、ホワイトハウスで約1時間行われた。両首脳は、核実験実施の構えを見せる北朝鮮に対し、中国とも協力しながら自制を求めていくことで一致。また、同盟深化を確認し、日米関係を包括的に規定した文書となる共同声明を6年ぶりに公表した。
首相は会談後の記者会見で、北朝鮮情勢に関し「2006年、09年と核実験を行っている。今後も核実験を含むさらなる挑発行為を行う可能性が大きい」と指摘。大統領も「北朝鮮の挑発行為に対し、日米で共同で取り組む」と述べ、北朝鮮を強くけん制した。
首相はまた、「(首脳会談で)大局的な日米同盟の意義や在り方を確認することができた。日米同盟は新たな高みに達した」と強調。オバマ大統領は「共同声明は今後数十年間にわたり、アジア太平洋(の枠組み)を形作っていく」と表明した。
会談では、両首脳は環太平洋連携協定(TPP)に関する日米協議を前進させる考えで一致。オバマ大統領は自動車、保険、牛肉の3分野が「米国内で関心が高い」と言及した。米国産業界の意向を紹介する形で、輸入規制の緩和や仕組みの見直しを日本に迫ったものとみられる。これに対し、首相は日本国内の慎重・反対意見に配慮して、交渉参加表明を見送った。
日米共同声明要旨
(時事 2012/05/01-07:48)
【ワシントン時事】野田佳彦首相とオバマ米大統領が4月30日午後(日本時間1日未明)発表した日米共同声明と関連文書の要旨は次の通り。
【共同声明】
一、日米同盟は、アジア太平洋地域における平和、安全保障、安定の礎。同盟の力強さは東日本大震災でも示されたが、両国とその国民の間の緊密な絆に基づく。
一、日米は、アジア太平洋と世界の平和、繁栄、安全保障を推進するため、あらゆる能力を駆使し、われわれの役割と責任を果たすことを誓う。
一、安全保障・防衛協力のさらなる強化を目指す。日米同盟が日本の安全保障と、アジア太平洋地域の平和、安全保障、経済的繁栄に必要不可欠であることを再確認。日本の動的防衛力の構築と、米国がアジア太平洋を重視する戦略を含め、それぞれのコミットメントを実行。米国の戦略は、地理的により分散し、運用面でより(敵の攻撃に持ちこたえる)抗堪性のある兵力態勢を地域で実現しようとする取り組みを伴う。見直した米軍再編計画は、地域の多様な緊急事態に日米同盟が対応する能力をさらに高めるものだ。
一、テロ、大量破壊兵器の拡散、海賊といったグローバルな課題に共に取り組むことにコミットする。海洋、宇宙、サイバー空間といった死活的に重要な空間が、責任を伴い、ルールに基づいて利用されることを確保しつつ、その大きな潜在性を保護し、発展させることに取り組む。
一、2国間の経済調和と地域経済統合の推進を通じ、両国の経済成長と繁栄を強化することを目指す。環太平洋連携協定(TPP)に関する2国間協議を引き続き前進させる。
一、クリーン・エネルギーや再生可能エネルギー源の開発、原子力エネルギーの平和的、安全・安心な利用といった協力にコミットすることを確認する。
一、相手国の学校や大学に通う学生や研究者の数を増加させ、渡航や観光を一層推進するために共に取り組む。
【関連文書】
一、日米両国は、東京電力福島第1原発事故後の緊密な協力を基盤として、民生用原子力協力に関するハイレベルの2国間委員会を設置し、この分野の協力を強化する。
一、日米両国は、レアアース(希土類)のリサイクル、その他の分野の研究開発に関する新たな連携を開始する。
一、日米両国は、全地球測位システム(GPS)と日本の準天頂衛星システムの間の相互運用性、地域的ナビゲーションの向上の観点を含めた協力などにより、民生宇宙協力を深化させることにコミットした。
一、日米両国は、環境調査、科学的発見、国家・国際安全保障、経済成長に取り組む上での宇宙に関する協力に対する対話を強化する。
日米首脳会談:防衛協力を強化 中国の海洋進出にらみ
毎日新聞 2012年05月01日 03時26分(最終更新 05月01日 08時36分
【ワシントン高塚保】野田佳彦首相は30日昼(日本時間5月1日未明)、オバマ米大統領とワシントンのホワイトハウスで会談した。会談後、両首脳は共同記者会見し、日米共同声明「未来に向けた共通のビジョン」を発表。声明で両首脳は、「日米はアジア太平洋地域の安全保障のため、あらゆる能力を駆使することにより役割と責任を果たす」として、中国の海洋進出をにらんで日米の安全保障・防衛協力のさらなる強化を目指すことなどを確認した。
日米同盟関係の未来を規定する文書を発表するのは、06年に小泉純一郎首相(当時)とブッシュ大統領(同)が共同文書で「世界の中の日米同盟」と両国関係を位置づけ、対テロなどの重要性をうたって以来となる。
ホワイトハウスで日米首脳会談が行われるのは、自公政権時代の麻生太郎首相以来約3年ぶりで、民主党の首相が招かれるのは初めて。09年9月の民主党政権発足後、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で両国関係は一時冷え込んだが、声明は民主党政権下でも日米同盟が最も重要な2国間関係とする基本線は変わらないことを演出する狙いもある。
声明で両首脳は、日本が10年の「防衛計画の大綱」(防衛大綱)で掲げた動的防衛力の構築と、米国のアジア太平洋重視の新国防戦略の実行を確認。日米両政府が4月27日に発表した在日米軍再編ロードマップ(行程表)見直しの共同文書について、「多様な緊急事態に日米同盟が対応する能力をさらに高める」と位置づけた。
日米の防衛協力のうち、自衛隊と米軍の連携を強化する「動的防衛協力」は共同声明の付属文書に明記。両首脳は会談で、中国が海洋進出を図る南西諸島などを念頭に共同訓練、警戒監視、偵察活動、施設の共同使用の促進などで合意した。北朝鮮の核・ミサイル開発問題でも意見を交わした。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)については、交渉参加の是非をめぐり日本国内で意見が分かれていることから、「現在行っているTPPの2国間協議を引き続き前進させる」ことを確認するにとどめた。ただ、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を築くという長期目標に沿って、高い水準の市場開放のルールを築くことを盛り込んだ。
海洋、宇宙、サイバー空間は死活的に重要な空間であるとし、ルールに基づいて利用されるよう目指す。
また、両首脳は会談で、民生用原子力協力に関する2国間委員会を新たに設置することで合意した。東京電力福島第1原発の事故を踏まえ、民生用原子力エネルギーを安心、安全に運用することや、事故対応の教訓を共有して活動できるようにする狙いがある。
◇日米共同声明の骨子
・アジア太平洋地域と世界の平和、繁栄のため、あらゆる能力を駆使し役割と責任を果たす
・日本の動的防衛力構築と米国のアジア太平洋重視戦略を実行。在日米軍再編見直しは緊急事態に同盟が対応する能力を高める
・テロ、大量破壊兵器の拡散、海賊などのグローバルな課題に共に取り組む。海洋、宇宙、サイバー空間のルールに基づく利用確保
・アジア太平洋地域の貿易・投資に関する高い水準のルールを築く。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に関する2国間協議を前進させる

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