2012.04.09 (Mon)
カナダのキャンパスの桜が咲いたよ

今年の冬はとても暖かかったので、桜も例年になく早く咲いた。逆に今年の日本の冬はとても寒かったので、桜も今頃満開になっているとか。めったにないことだけど、今年は日本よりカナダの桜の方が早く咲いたようだ。
下の写真は今から2週間前に撮ったもので、この桜は、今から8年ほど前に、トロント日本総領事館から、「桜プロジェクト」の一環として当大学にも30本ほど寄付していただいたもの。
桜には2種類のウイルスがあり、カナダの検疫制度上苗木を日本から直接輸入することは難しいため、「桜プロジェクト」の桜の木は、「当地で既に根付いている桜を接木により繁殖させる」、「日本から種子を輸入し検疫試験を経て入手する」、「苗木業者から購入する」、という3つの方法を取っているそうだ。当大学の桜がどの方法で育てられた桜かは不明だが、色からして、正真正銘の日本の桜だと思う。カナダにいながら、こうして日本の桜を楽しめるというのは、とても嬉しいことだ。
まだまだ小さいので、この桜の木の下でお花見をするのには無理があるけど、そのうち、あと数年くらいたって大きくなったら、この桜の木の下で日本語のクラスの生徒とお花見をしてみたい。
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大学の方は、先週、今学期最後の日本語の授業が終わって、あとは、期末試験を残すのみとなった。9月に新学期が始まってあっという間に学期末となった。年を重ねると共に、一年が短くなる。やっとクラスの生徒の名前を全部覚えたと思ったら、もうおしまいだというのは、ちょっぴり悲しい。いつも、カナダ人生徒の名前は簡単に覚えられるのだが、中国人の生徒の名前がけっこう似た名前が多く、なかなか顔と名前が一致しないのだ。おまけに本名とは全く違ったニックネームまでもっている人が多いので、ますます混乱してしまう。

先日、偶然日本人の教授とスーパーでお会いして、ちょっと話したのだが、年々、マクミランの大学のランキングは上がっているにもかかわらず、生徒の質が落ちているという話で盛り上がってしまった。なぜかというと、授業中に携帯やネットで授業とは全く別のことをやっている生徒が増えたからではないかという結論に落ち着いた。
だから、自分で考えずに、宿題など出しても、人の答えをまる写しにする生徒も多い。しかし、カナダでは、答えを他のソースから丸写しにすることをプレジャリズム(Plagiarism:盗用)と呼ぶのだが、プレジャリズムは、学問に対する重大な罪であり、学生がもっとも犯してはならない悪質な不正行為の一つとみなされているため、プレジャリズムに対しては、とても厳しい処置がとられるようになっている。
どのような処置がとられるかは、各大学によって違うし、各教授によっても違うと思うが、私の場合は、初めてだったら、厳重に注意して、自分の宿題を見せた生徒も、又、答えを写した生徒もゼロ点となるようにしている。2度目で単位を落とす。1度目でも、中間試験にゃ期末試験など重要な試験の場合は、大学を退学になる場合もあるので、北米への留学を考えている人は、プレジャリズムは絶対にしないように気をつけたほうがいい。
参考サイト:
北米総領事便り
在トロント日本国総領事 肥塚 隆
2002年3月
トロントでは日本の象徴である桜を10年間で3,000本植樹しようという「桜プロジェクト」が熱心に2年前から進められています。私は2001年8月に総領事として着任して以来、前任の原総領事についでこのプロジェクトを推進する「桜委員会」の委員長に就任し、当地の人々と協力してプロジェクトの推進に努めてきています。今回はこの「桜プロジェクト」についてご紹介したいと思います。
1.桜プロジェクト
桜は、日本で多くの人々に愛されており、春満開に咲く花の美しさは世界に誇れるものといえましょう。このプロジェクトは、美しい桜を当地オンタリオ州の公園等に寄贈し、植樹することで、日本に対する親近感を醸成し、日本とオンタリオ州、日本とカナダの友好親善に寄与することをねらいとしています。「桜委員会」は、私の他に、副委員長にマクミラン・ビンチ法律事務所弁護士のジョン・クレイグ氏を得ている他、トヨタ・カナダ会長の中谷義雄氏(元当地日本商工会会長)、トロント日系文化会館特別大使・シド池田氏、新企会会長松本真一郎氏、トロント加日協会前会長スコット・ラザフォード氏、造園デザイナーのスコット・フジタ氏の7人で構成されています。そしてトロント総領事館は桜委員会の事務局の機能を提供し、プロジェクトの実施を本省の理解と支援を得ながらバックアップしています。
2.幅広い協力
「桜プロジェクト」の活動を通じて、最も貴重な財産となるのは、多くの心あるカナダ人と触れ合うことができることです。桜プロジェクトには多くのカナダ人から自発的な協力が得られています。
桜の苗木の購入、輸送に関する費用、接木など繁殖にかかる費用は、当地カナダ人、日系人、在留邦人等各方面の人々からの寄付金によって賄われています。「桜委員会」は「桜プロジェクト」の趣旨、概要を説明したフライヤーを作成、配布し、また、当館のウエブサイト(http://www.toronto.ca.emb-japan.go.jp/nihongo/index.html)にもこれを掲載するなど幅広い広報活動によって、募金キャンペーンを実施しており、これまで同委員会に対してオンタリオ州の人々から4.5万加ドル以上の寄付が寄せられています。
植樹用の苗木の入手にも色々な協力が得られています。桜には2種類のウイルスがあり、カナダの検疫制度上苗木を日本から直接輸入することは難しいため、「桜プロジェクト」では“当地で既に根付いている桜を接木により繁殖させる”、“日本から種子を輸入し検疫試験を経て入手する”、“苗木業者から購入する”、という3つの方法を取っています。接木や植樹等の面で、オンタリオ州グエルフ大学園芸研究所は幅広い協力を申し出て、全面的支援体制をとってくれています。また、日本の桜の種子については財団法人「日本桜の会」から提供して頂きましたが、こうして輸入した種子はブリティッシュ・コロンビア州にある連邦の検疫施設が管理してくれて、順調に発芽、生育が進み、2月に100本をグエルフ大学の方に引き取りました。
3.トロント市から表彰
2001年は「桜プロジェクト」の活動の実質的な初年度にあたりますが、トロント市内のハイパークに34本、ナイアガラのラビッズ・ビュー・パークを中心に30本植樹しました。このため昨年11月、「桜プロジェクト」はトロント市が推進している、植樹計画(Tree Advocacy Program)の参加団体の一つとして認証され、その貢献が公式に認められました。このトロント市のプログラムには桜プロジェクトの他5つの参加団体、35のボランティア植樹団体、3,000人に及ぶ一般の方々等が賛同し、市の道路、公園などを緑で一杯にしようと現在活動しています。
11月6日に市議会の議事の一環として行われた認証式には、私が桜委員会委員長として招かれ、パンタローネ・トロント市議会議員による紹介を受けた後、ラストマン・トロント市長から記念プラークと記念品が授与されました。 また、名誉の木のホール(Tree Hall of Fame) と命名された市庁舎玄関中央ホールの壁面の一部には、参加団体名が刻み込まれた、葉を形どった鋼板の名札が掲げられ、市庁舎を訪れる市民に紹介され、同時に、同プログラムへの参加が呼びかけられています。今回認証を受けたことで、桜プロジェクトは今後市当局による一層の積極的な協力を得て市内随所への植樹を展開していくつもりです。
4.今後の予定
2年度目の活動の予定として、「桜委員会」からオンタリオ州内の主な自治体に桜の寄贈を申し出たところ、多くの自治体から植樹の希望が寄せられ、2002年は、トロント市の他、少なくともミシサガ市、ブランプトン市、ウィンザー市など各所に合計約300本の桜を植樹する運びとなっています。トロント市では、オンタリオ湖岸に位置し、フェスティバル会場や遊園地としても利用され多くの市民が訪れることで有名な「エギシビション・プレイス」(写真下)に、また、緑豊かな自然公園である「エドワーズ・ガーデン」、「サニー・ブルック・パーク」、「オンタリオ・サイエンス・センター」にも植樹する予定です。ミシサガ市は愛知県刈谷市と姉妹都市の関係にあり、市民に親しまれている「カリヤ・パーク」という日本庭園に桜を植樹し、この庭園に一層色を添えることになります。ウィンザー市はデトロイトに面するアメリカとの国境の町ですが、神奈川県藤沢市との姉妹都市で、今後「フジサワ・ガーデン」の建設が進められることになっています。桜プロジェクトの桜はそのキックオフとしてまず桜並木を作る予定です。ブランプトン市については、同市庁舎前の正面広場及びメインストリート沿いに桜並木を提供する予定です。
また、2003年は、日本との関係の深いヨーク大学より桜植樹の希望がすでに寄せられており、同大学構内への植樹を行う計画があります。
桜の美しさを多くのオンタリオの人に味わっていただくことはもとより、満開の桜のように、日本とカナダ、日本とオンタリオの関係が、将来ますます盛んに大きく花開いてくことを願ってやみません。
~エキシビション・プレイス~
以下に、「桜プロジェクト」をめぐる幾つかのエピソードを写真とともに御紹介します。
~植樹式~
2001年4月、桜プロジェクトの下での初の桜の寄贈をトロント市及びナイアガラ公園公社に対して行い、植樹式が挙行されました。4月18日トロント市ハイパークにてメル・ラストマン・トロント市長、ジョー・パンタローネ市議会議員、バリー・スティアーズ元駐日カナダ大使ご夫妻など要人の方々を始め、当地在住の日本人、日系人、カナダ人など約150名の参列者が見守る中、34本の桜が植樹されました。そして4月26日にはナイアガラの滝からナイアガラ河に沿って少し上流に上ったラピッズヴュー・パークにおいて、ブライアン・メレット・ナイアガラ公園公社総裁など約50名の方の参列をいただき、30本の植樹が行われました。これらの式典、そして桜プロジェクトはカナダ全国紙のグローブ・アンド・メール紙や全国ネットワークのテレビでも紹介され、大変大きな成果を収めることができました。
~ハイ・パークの桜の歴史~
ハイ・パークはトロントのダウンタウンにあり憩いの場として多くの市民がスポーツやピクニックで訪れる公園であると同時に、公園内南西にあるグレナディア池のほとりには約100本の桜の木が生育しており、毎年春(5月初旬)には満開の桜並木となることでも知られています。この桜には次のような歴史があります。
第二次大戦の際、カナダの戦時政策によりインターンメント・キャンプへ収容を余儀なくされたカナダ西部の日系カナダ人の方たちは、戦後解放された後トロント地区までたどり着き、当地で再びゼロから出直しの生活を始めたという多大なご苦労をされました。彼らは自分たちを暖かく受け入れてくれたトロント市への感謝の気持ちを示したいと、1958年東京都に対しトロント市への桜の寄贈を要請し、これに応じた東京都は、翌59年、多数の桜(染井吉野)を寄贈し、その一部がハイ・パークへと植樹されました。現在ある約100本の桜はまさにこの桜たちです。
そして、それから42年後、桜プロジェクトで寄贈された34本は現在、この約100本の桜と同じ場所に植樹されています。
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