2012.02.05 (Sun)
いつの時代にも弱い者にしわ寄せが来る
年1ミリ以上「集団疎開を」=広島被爆の医師ら、政府に提言-東京
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2012012700946
2012/01/27-20:37 時事通信
東京電力福島第1原発事故を受け、学者や医師らが設立した「市民と科学者の内部被曝(ひばく)問題研究会」が27日、東京都内で記者会見し、政府に対し、年間1ミリシーベルト以上の被ばくが見込まれる地域の子どもを集団疎開させたり、妊産婦や病人を安全な地域に移したりすることを求める提言を発表した。
提言は、原発を推進してきた学者ら「原子力ムラ」以外のメンバーで委員会をつくり、事故原因を究明することなども求めている。
研究会のメンバーで、広島への原爆投下で被爆した肥田舜太郎医師は「日本人は放射線の被害を教わっていない。もっと勉強し、放射線と縁を切らなければいけない」と訴えた。米国の水爆実験で被ばくした「第五福竜丸」元乗組員の大石又七さんは「(日本は)全然進歩していない。原発を導入した人たちの責任が問われなくて良いのか」と憤りをあらわにした。
広島、長崎に原爆が落とされたことにより、日本が米国による原子爆弾の被爆国であることは、よく知られているが、水素爆弾実験による被爆国でもあることはあまり知られていない。上の時事のニュースで、原発を導入した人たちの責任を問うべきと発言している大石又七さんは、数少ない第五福竜丸の生存者だ。
1954年3月1日に米国が、ビキニ環礁で行った水爆実験(キャッスル作戦・ブラボー:BRAVO)と3月27日の水爆ロメオによって、第五福竜丸の船体・船員・捕獲した魚類が放射性降下物に被爆した。
下の動画は、日テレ系「NNNドキュメント 3・11大震災 シリーズ27 」より。当時、米国の核(水素爆弾)実験によって被曝した日本漁船、第5福竜丸、第5尾住吉丸、第2幸成丸、新生丸などの乗組員や家族のその後を追いながら、被曝の実態解明に迫るドキュメンタリー。
多くの日本の漁師たちが被曝したにもかかわらず、その事件が起こった7ヵ月後に日本政府が、突然、大漁に水揚げされた被曝マグロの放射能検査を打ち切った。その4日後、未解決の難題が山積みだったにもかかわらず、「米国の責任を追及しないこと」の確約をかわし、事件の幕引きを図ったという衝撃的な事実が伝えられている。その裏で、政府は、200万ドル(当時の換算レートで、7億2千万円)の見舞金を米国から受け取っていた。この3分の2がマグロ関係者の損害に充てられ、残りが放射能汚染したマグロの廃棄(築地市場内に埋め立てられた)や第五福竜丸の乗組員の治療に使われたという。
本来なら、マグロ関係者の損害よりも、乗組員の治療により多くの金額をかけるべきだろうが、このときも、政府は船員の被曝に対する保障費用は最低限に抑えようとしたのがわかる。
20120129 放射線を浴びたX年後... by PMG5
あれから、58年も経つというのに、大石さんが指摘するように、日本の国は全く進歩していない。福島第一原発事故が起きた今でも、まだ放射能や汚染水を大量に排出し続け、次の余震で原子炉が倒壊する可能性があるというのに、国は、原発を導入した人たちの責任を問うこともせずに、野田総理に収束宣言をさせてしまった。国民の90%以上が原発事故はまだ収束していないと思っているというアンケートの結果もある。
それでも、福島第一原発事故を受けて、日本の原発を全て廃炉にするならまだいい。原爆、水爆などでこれでもかというほど放射能の被害を受けているにもかかわらず、将来も原発を続けようとしているのには、度肝を抜かされる。原発を続けるかどうかは、利権を受ける者たちが決めるのではなく、被害を受ける立場の国民が国民投票で決めるべきだろう。
原発を推進することによって、利権は日本に原発を導入した原子力村に集まる。3.11の事故後も彼らはほとんど被害を受けずに、除染やがれき処理など新たなビジネスで大儲けしようとしている。一方の国民は、放射能汚染された食事や水や空気の心配をしながら、毎日不安な日々を過ごさなくてはならない。その中でも特に、原発作業員はろくな労働賃金も与えられないまま、被曝し、労災や治療費が十分支払われればいいが、それも保障されていない。
動画最後で「いつの時代にも弱い者にしわ寄せが来る」と語る第二幸成の故・丸崎山船長の妻の言葉が胸につきささる。
【More・・・】
第五福竜丸(ウィキペディア)第五福竜丸(第五福龍丸、だいごふくりゅうまる)は、1954年3月1日に、アメリカ軍の水爆実験によって発生した多量の放射性降下物(いわゆる死の灰)を浴びた、遠洋マグロ漁船の船名である。無線長だった久保山愛吉がこの半年後の9月23日に死亡した。
被爆事件
キャッスル作戦・ブラボー(ビキニ環礁)
1954年3月1日、第五福竜丸はマーシャル諸島近海において操業中にビキニ環礁で行われた水爆実験(キャッスル作戦・ブラボー (BRAVO) 、1954年3月1日3時42分実施)に遭遇し、船体・船員・捕獲した魚類が放射性降下物に被爆した[1]。実験当時、第五福竜丸は米国が設定した危険水域の外で操業していた。危険を察知して海域からの脱出を図ったが、延縄の収容に時間がかかり、数時間に渡って放射性降下物の降灰を受け続けることとなり、第五福竜丸の船員23名は全員被爆した。後に米国は危険水域を拡大、第五福竜丸以外にも危険区域内で多くの漁船が操業していたことが明らかとなった。この水爆実験で放射性降下物を浴びた漁船は数百隻にのぼるとみられ、被爆者は2万人を越えるとみられている。
予想以上に深刻な被害が発生した原因は、当初米国がこの爆弾の威力を4 - 8Mtと見積もり、危険区域を狭く設定したことにある。爆弾の実際の威力はその予想を遥かに超える15Mtであった為、安全区域にいたはずの多くの人々が被爆することとなった。
第五福竜丸の水爆災害(とりわけ久保山無線長(当時40歳)が「原水爆による犠牲者は、私で最後にして欲しい」と遺言を遺して息を引き取った事)は、当時の日本国内に強烈な反核運動を起こす結果となった。反核運動が反米運動へと移行することを恐れた米国は、日本政府との間で被爆者補償の交渉を急ぎ、「米国の責任を追及しないこと」の確約を日本政府から受け、事件の決着を図った。1955年(昭和30年)に200万ドルが支払われたが、連合国による占領からの主権回復後間もなかったこともあり、賠償金でなく“ex gratia(好意による)”見舞金として支払われた。また事件が一般に報道されると、「放射能マグロ」の大量廃棄[2]や、残留放射線に対する危惧から魚肉の消費が落ち込むなど、社会的に大きな影響を与えた。
これに対して米国は、第五福竜丸の被爆を矮小化するために、4月22日の時点で米国の国家安全保障会議作戦調整委員会 (OCB) は「水爆や関連する開発への日本人の好ましくない態度を相殺するための米政府の行動リスト」を起草し、科学的対策として「日本人患者の発病の原因は、放射能よりもむしろサンゴの塵の化学的影響とする」と明記し、「放射線の影響を受けた日本の漁師が死んだ場合、日米合同の病理解剖や死因についての共同声明の発表の準備も含め、非常事態対策案を練る」と決めていた。実際、同年9月に久保山無線長が死亡した際に、日本人医師団は死因を「放射能症」と発表したが、米国は現在まで「放射線が直接の原因ではない」との見解を取り続けている[3]。 米公文書が放射能が直接の原因ではないとの見解を出している理由は、日本医師団が診断した放射能症(放射線障害)の主な症状は白血球や血小板と言った血球数の減少、小腸からの出血、脱毛等で、肝機能障害は放射線障害特有の特徴的症状ではないことと、被曝が原因で肝機能障害が起きたなら、同様に被曝したはずのマーシャルの被災者にも多数の肝機能障害を起こした被爆者が居るはずであるが、実際はマーシャルの被爆者に重度の肝機能障害の患者は全く発生せず、第五福竜丸の被災者17名でのみ発生し、治療中の死亡に至っては久保山無線長のみだからである。
肝癌、肝硬変の原因因子はその大半が肝炎ウイルスの感染が原因であり、アルコールやNASHは肝癌、肝硬変の原因としては全体から見れば少数派であり、放射線被曝での発症率はアルコールよりも低く放射線被曝が原因での肝炎肝癌発症の症例は非常に希である。また、事件当時は医療器具、特に注射針に関してはディスポは殆ど行われず、消毒して使いまわしされることもしばしばであり、各種法定予防ワクチンの集団接種で使い回しされた注射針が原因でB型肝炎ウィルス感染が引き起こされ集団訴訟になったのは周知の事実である。第五福竜丸乗組員17名が重度の肝機能障害を引き起こした原因は、ウィルス感染した売血による輸血であるという指摘も存在する[4]。
第五福竜丸被爆者22名の事故後の健康状態調査は放射線医学総合研究所により長期継続的に行われている。また、2004年度の明石真言博士らの研究所報告によれば、2004年までに12名が死亡、その内訳は、肝癌6名、肝硬変2名、肝線維症1名、大腸癌1名、心不全1名、交通事故1名である。また、生存者の多くには肝機能障害があり、肝炎ウィルス検査では、A,B,C型とも陽性率が異常に高い。
第五福竜丸は被爆後、救難信号 (SOS) を発することなく他の数百隻の漁船同様に自力で焼津漁港に帰港した。これは、船員が実験海域での被爆の事実を隠蔽しようとする米軍に撃沈されることを恐れていたためであるともいわれている[5]。
この第五福竜丸の被爆により、日本は原子爆弾・水素爆弾と両核爆弾の被爆(被曝)体験を持つ国となった。
核実験 (ウィキペディア)
核実験(かくじっけん)とは、核爆弾の新たな開発や性能維持を確認したり維持技術を確立するために実験的に核爆弾を爆発させることを指す。1945年から約半世紀の間に2379回(その内大気圏内は502回)の核実験が各国で行われた。そのエネルギーはTNT換算で530メガトン(大気圏内は440メガトン)でこれは広島へ投下されたリトルボーイの3万5千発以上に相当する[1]。
核実験の種別
核実験の種別:1.大気圏内、2.地下、3.大気圏外、4.水中
核実験は、実施された場所と高度により4つの種別に分類される。
1.大気圏内核実験 地上、海上、及び空中で行われる核実験である。実験方法には、棟上、気球、船舶、離島、及び航空機からの投下が用いられる。また数は少ないが、高高度核爆発実験もロケットにより行われる。地上近くの核爆発では、土砂とチリがキノコ雲により巻き上げられ大量の放射性降下物が発生してしまう。また高々度での核爆発では強力な電磁パルスが発生し、周辺の電子機器に深刻な障害を引き起こす。
2.地下核実験 地表面下の様々な深度で行われる核実験である。実験の手法は、冷戦時に米国及びソ連にて確立されたが、本実験以外の手法は1963年に締結された部分的核実験禁止条約 (PTBT) で禁止された。核爆発が完全に地中で収束した場合には、放射性降下物は殆ど発生しない。しかし爆発によって地面に穴が空いてしまった場合には、そこから大量の放射性降下物が発生してしまう。地下核実験では、その核出力と爆弾の構造に応じた地震波が発生するが、多くの場合で地殻の陥没によるクレーターも生成される。1974年には、地下核実験の最大核出力を150キロトンとする地下核実験制限条約 (TTBT) が米国とソ連の間で署名されている。
3.大気圏外実験 大気圏外で行われる核実験であり、実施にはロケットが使われる。この実験の目的は、主に敵国から発射されたICBMを大気圏外で迎撃すること、及び敵国の衛星(主にスパイ衛星)を破壊することの検証である。ただし宇宙空間には大気が無く、核爆発の衝撃波によるターゲットの破壊が出来ないため、目的の達成には近接距離の核爆発による熱線・放射線によるターゲットの物理的な破壊、および電磁パルスによるターゲットの“電子的”破壊(無能化)が必要になる。しかし核爆発で生ずる電磁パルスは、地上の電子機器にまで影響を及ぼすこと、及びターゲットの物理的破壊は近年特に問題になっているスペース・デブリを大量に発生させることから、PTBTにて実験が禁止された。
4.水中核実験 水面下で行われる核実験であり、実施には船舶やはしけ(これらは実験時の爆発で破壊されてしまう)が用いられる。この実験の目的は、水中核爆発の艦船への効果(クロスロード作戦等)と、艦船用兵器(爆雷や魚雷)への核兵器の転用可能性を検証することである。しかし海面近くの核爆発では、放射性の水及び蒸気を大量に拡散させ、近くの艦船や建物を汚染してしまう。
核実験の一覧(ウィキペディア)

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さっそく見ましたが、なんとも酷い話です。
覚えたくもないテレビCMのBGMは勝手に耳に刻まれるのに、本当は誰もがアタマに刻むべきこういった話はまず広がらない。
それが3.11の原発事故があって、ようやく私などもこのようなドキュメンタリーを見る機会を得る...そんなことでいいのでしょうか?
知らなかったことが幾つもありましたが、2年前に南海放送が入手したという旧アメリカ原子力委員会の機密文書はよかったですね。(棒読み)
「(1954年)5月初期の(水爆)ヤンキー実験の際、太平洋高気圧が強まり、日本には大量の放射性物質が降下した。多分、夏と初秋の実験では、日本は最も放射能汚染されるであろう」
そして、実際に放射性物質が拡散していった様子を描いた地図で日本はすっぽり放射能に覆いつくされていました...めでたしめでたし...そんなアメリカの「トモダチ作戦」とやらを有り難がる、どこまでもオメデタイ国...いや、惨めな国でしょう。
昨夏だったか、NHK-ETV特集「大江健三郎 大石又七 核をめぐる対話」で大石氏は次のように語っていました。
「いつも疑問に思っていて、分からないことがある。私たちは太平洋戦争の中で、あれだけの軍国教育というものを受けてきました。
そして戦争が、負けて終わりました。しかしその時、指導していた人たちが責任を取らない。
はっきりと、もう、責任はある...「あれは責任があるよな」というようなことをずっとしてきているのを見てますよね、私たちは。
でも、その人たちは責任を取らないで、(戦争が)終わってから、新憲法ができても、また国の中のいい地位に座って、動き出している...
今度の福島の原発の問題でも、あれだけの大きな問題が持ち上がった。しかし、それを導入した者、あるいはそれを推進してきた者、そういう人たちは一切顔を出さない。それで、責任を取らないで、例えば、現政権を批判したりとか、足を引っ張ったりとか、そういうことを政治家はやってますよね。
そういうのを、一般の国民として、どのように受け止め、理解したらいいのか、私は非常に疑問に思っているんですね。
そういう人たちが、何か世の中で、いい地位にいつも居座って、大きな顔をしているというのが、どうも私には我慢ならないんですけどね」
> 「いつの時代にも弱い者にしわ寄せが来る」と語る第二幸成の故・丸崎山船長の妻の言葉が胸につきささる。
まさに「いつの時代にも弱い者にしわ寄せが来る」根本の原因を大石氏は指摘していると思います。
<(_ _)>
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NHK-ETV特集「大江健三郎 大石又七 核をめぐる対話」での大石氏の発言を教えてくださりありがとうございました。とても貴重な発言でした。戦争でも、原発でもいつの時代も責任逃れをしてきた指導者たちとそれを助けるマスコミには、もううんざりですね。
このドキュメンタリーは長いけれども、余韻の残る番組で、見て本当によかったと思いました。