2011.10.24 (Mon)
アーニー・ガンダ‐セン氏の警告
Nuclear Oversight Lacking Worldwide from Fairewinds Associates on Vimeo.
概要和訳:
ニューヨーク・タイムズは、福島第一原発事故は、日本政府が東京電力の監督を怠ったからであると述べているが、フェアウィンズ・アソシエイツの見解とは異なっている。フェアウィンズは米国でもNRC (原子力規制委員会:Nuclear Regulatory Commission)と原子力産業界の間に同じ馴れ合いの関係が存在することを示す。原発の安全性の向上を促す義務を拒否するような動きは、日本だけではなく、世界中の原子力産業で見受けられる。
全和訳書き起こしは、次のページへ。
【More・・・】
フェアウィンズ・アソシエイツNuclear Oversight Lacking Worldwide
こんにちは。フェアウィンズのアーニー・ガンダ‐センです。今日は原子炉を所有している側と原子炉を規制する側との関係についてお話したいと思います。これはアメリカだけの話ではなく、日本をはじめ世界中においてのことです。先週NYタイムスに載っていたある論説を目にしてこのことについて考えさせられました。その論説というのは南カリフォルニア大学のある教授によって書かれたもので、その教授は各国の原子炉の規制について研究している方です。その論説で、教授はフクシマの事故について「安全神話のなかで起きた怠慢の結果であり(中略)安全保安院ひとつをとってみても、原子力産業から独立した機関ではありませんでした。原発を稼働している東電は今まで長きにわたって安全性を軽視し、政府からの監視を最小限に抑えてつつ原発を稼働できるような、お粗末としか言いようのない脆弱な安全体制だったと言えます」と語っています。そして、こうした問題の解決案として、「国と規制機関をもっと緊密に共同運営させる必要がある」と提案しています。
私は教授の意見には賛成しません。国同士のより緊密な連携など必要ありません。我々がやるべきことは今ある安全基準をきちんと守らせることであり、フクシマの事故の原因を東電と日本政府の蜜月関係にしてしまってはいけません。それでは他の国々は日本よりきちんと管理しているということになってしまいます。実際はそうではないはずです。今日の動画ではこのことについてお話したいと思います。
フクシマの稼働が始まったのは45年前。福島第一原発はアメリカの設計で、アメリカの会社が建設しました。福島原発の問題を日本の原発規制機関と東電との蜜月関係だと断定してしまうはごまかしであり、原発業界全体の隠ぺい体質に蓋をしてしまうことになります。
1974年までNRC(原子力規制委員会)は原子力委員会という名前の機関によって規制されていました。原子力委員会(AEC)は外郭支部として推進、規制を行っていましたが、アメリカ議会はこうした状況がうまく機能していないと認識していました。そこで、AECをNRCとエネルギー省の2つに分割しました。エネルギー省が推進を担当し、NRCが規制を担当するというのがもともとのコンセプトでしたが、実際には中のスタッフはすべて同じでユニフォームのゼッケンを替えただけでした。
1974年にアメリカ議会は慣れ合いが過ぎると認識していました。さて80年代に飛んでみましょう。状況は変わったのでしょうか。 ここに1987年に発行された報告書があります。そのタイトルは『業界とNRCの慣れ合い』で、米議会の内務島民事務局の委員会が作成したものです。とても長い100ページある報告書で、スキャンイメージされたものですが、みなさんには3点ピックアップして読んでみたいと思います。
まず最初のポイントは、議会内部のスタッフや議員たちは「NRCはミシガン州のフェルミ原発の許認可の不正捜査を妨害、誘導している」ことを突き止めました。
第2に、5人のNRC委員の1人が「不正に抵触する行動をとっており、原子力業界と引き続き緊密な関係を 保っていることを表わしている」ということが調査で発覚しました。
最後に、みなさんにもよく聞いてほしい部分なのですが、調査で「解決すべき問題があることを十分示す記録が豊富に挙がっているにも関わらず、NRCは既存の原発において自らが安全性の向上を促す義務を制限するようなルールを課している」 と書かれています。
ではもう10年飛んで、1990年代にいきましょう。1990年代、NRCの監察総監は、デビッド・ウィリアムス氏という方でした。彼は委員への手紙で、NRCの問題は、彼らは原子力発電所を所有する人々にだけ耳を傾け、原子力に真っ当な懸念を抱いている人たちの話を全く聞かない、と書いています。彼の正確な言葉だと、「NRCは、受注業者の受け売りに依存している」というものです。
当時、私のことも一部、その報告書に触れられました。私はNRCに安全性に関していくつか問題点を報告しましたが、無視されました。その過程で、規制機関と規制の対象になるものとの間に蜜月関係があることを発見しました。この蜜月関係は、ジョン・グレン上院議員との議会の公聴会にも影響を与えました。その公聴会でNRC議長はこう言いました。「これは真実です。ガンダーセン氏の発言は完全に正しかった。彼はとても貢献してくれました。」ですが公聴会の後、何も変わりませんでした。NRC議長の議会への発言は、規制機関の行動に何も影響を与えませんでした。
では更に10年進んで、21世紀初めへ進みましょう。オースチン・クロニクル誌に掲載された素晴らしい報道記事がありました。記事は調査報道として秀逸で、『原子力のためのやらせ(Will Shill For Nukes)』というタイトルです。この記者は原子力業界の交易組織であるNEIが論説を書き、それらを国内の原子力工学専門の大学教授へ送り、地域の新聞へ寄稿するよう依頼していることを突き止めたのです。結構な数の教授が便宜を図りました。原子力業界によって書かれた論説が大学教授に渡され、大学教授の名前で地域の新聞の社説に掲載され、原子力の有益性を売り込んだのです。
さらに興味深いのは、話の中で触れられている大学教授のひとりに、デイル・クライン氏の名前があることです。この調査報道レポートが掲載された1年後、クライン氏がNRCの議長になっているのです。
さて、最後に、2年前のことになります。NRCの検査官長がNRCの委員の1人について書いた報告書があります。この方はジェフリー・メリーフィールドという方です。メリーフィールド委員は、委員である間になんとか原子力業界で再就職先を見つけようと思っていました。そこで彼は、規制される側の人たちに呼びかけ、仕事の斡旋を頼んでいたのです。頼んだだけでなく、実際彼は就職先を見つけました。委員として最後の2,3ヵ月間彼は再就職先に有利になるような決定をしていました。NRCを退職したら年間100万ドルの年収を約束してくれている再就職先です。その報告書のこのウェブサイトに掲載されています。興味深い報告書です。
今日、事態はまったく変わっていません。ちょうど先月、国際原子力機関との会合がありました。非公開で行われ、原子力業界の重役と、政府高官たちが集まりました。
日本で起きたこの重大な事故は、日本の文化に特有の話ではありません。むしろそれは世界中の国々に、原子力業界が強いている圧力を物語っているのです。このことは、あなたの国でも起こりえるのです。
ありがとう。
日本だけでなく、世界中に御用学者がウジャウジャといることや、原発推進派の人々は、世界中でお金のために悪事を働いていると言うことが改めて再確認できた。でも、彼らは、死後、地獄に落ちることを今のうちに知っておくべきだ。
そして、最後は、ガンダーセン氏の最新のビデオ。
New TEPCO Photographs Substantiate Significant Damage to Fukushima Unit 3 from Fairewinds Associates on Vimeo.
概要和訳:
先週、東京電力によって公開された3枚の福島第一原発の写真を分析したところ、3号機の爆発は使用済み核燃料プールから始まったというフェアウィンズの説を実証するものだ。フェアウィンズは、3号機の格納容器も大きなダメージを受け、使用済み燃料プールの爆発と格納容器からの放射能漏れは同時に起きたものではないという見解に至った。このビデオは、福島原発一号機を覆うために設置されたテント・システムについても手短に語っている。
『parisienne75の日記』には、 オーストラリアの医師で反核運動家のヘレン・カルディコット氏とアーニー・ガンダーセン氏の対話が紹介されていた。
カルディコット「フクシマの現状を説明して下さい」
ガンダーセン「福島第一原発はまだ放射性物質を1日何ギガベクレルも放出し続けている。ひとつだけよいニュースは、汚染水循環システムが機能していること。もう汚染水を生み出さないですむ。そのかわり、高放射性物質を含むフィルターがたくさん出るので、その処理が問題となる」
「この1月間、3号機の燃料プールの写真が一切出ていないのが不可解だ。爆発後プルトニウムが発見されていて、3号機燃料プールで臨界が起きたのは確かなのに、2週間前のNRC(米原子力規制委員会)発表では、燃料プールは問題ない、と言っている。4号機は使用済み燃料プールの下につっかえ棒を作っただけで、建物の強化はされていない。大きな地震がきたら、すぐ逃げよ、と日本の友だちにいってある」
「1号機を覆ってガスを閉じ込めるテントも完成しそうだ。ただし放射性ガスは出続けるし、それはさらに高所に排出される。テントの意義は、付近で働く作業員を保護するだけのものだ」
カルディコット「チェルノブイリ事故後、政府はただちに多くの人を強制避難させたが、日本政府は活発な動きをせず、国民を被曝するに任せている。今後ガンを発症するひとがどんどんでる。政府のこの無気力は一体どういうわけか?」
ガンダーセン「まったく、説明できない。政府、役所、産業のエリートは、事態の深刻さを否定、大きな問題があるのにそれを認めないのだ」
「 これから日本人にとって重要な、米の収穫時期にはいる。どれだけの汚染が発見されるか、大問題になるだろう。汚染が見つかった米をどうするか?焼却すれば、ふたたび放射性物質が大気中にでて、フクシマ事故の再現だ。北半球をも汚染しかねない」
「除染に1500億ドルと見積もったが、あと500億ドルは必要だろう。日本で中規模の畜産業者が倒産したが、これだけでも負債額50億ドル。除染にはもっともっと経費がかかる」
カルディコット「除染って、一体全体、可能なことですか?放射能はどうしたってなくならない。山も川も森もすべて汚染されている。ひまわりに土地の除染効果があると言っても、セシウムを吸ったひまわりをどうするのか」
「ICRPやWHOなど原子力、保健関係の国際機関は一体何をしている?」
ガンダーセン「つい最近ジュネーブで国際原子力委員会の会議があったが、密室会議だった。あなた呼ばれた?私も呼ばれていないよ」
「 珍しいことだが、 日本人もやっと怒り始めた。レンタルビデオ店でガイガーカウンターの貸し出しを始めたり・・・」
カルディコット「でも、もう遅すぎる」
ガンダーセン「この5年で日本北部の肺がん発生率は20-30%増えるだろう。それが最初で、そのあとは・・・」
カルディコット「白血病、障害児、低IQ児など、問題がどんどんでてくる。チェルノブイリの繰り返しだ」と泣き出しそうな声で続けた。

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