2011.09.26 (Mon)
小沢秘書裁判が無罪でなければ日本の司法の資質が問われる
一応、検察側の求刑は、当時陸山会の事務担当者だった石川氏に禁錮2年、後任の池田光智氏に同1年。中堅ゼネコン「西松建設」から違法な献金を受けたとして別の同法違反(虚偽記載)でも併せて起訴された元公設第1秘書の大久保隆規氏には同3年6月となっているが、地裁は論告求刑の直前に、取り調べに問題があったとして捜査段階の供述調書を却下しており、検察側に厳しい判決が出ることが予想される。
この陸山会の土地購入については、メディアは意図的に国民を混乱させようと非常にわかりにくく説明しているので、実際何が起こったのかを把握している人はそれほどいないだろう。植草一秀氏の『日本の独立』の「第25章小沢一郎氏の「政治とカネ」問題研究」にこの事件の一部始終がとても明確でわかりやすく書かれているので、混乱している方はぜひ読まれることをお勧めしたい。
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植草さんの著書にも書かれている通り、とにかくこの問題は、事務処理上の問題だけであり、普通なら収支報告書の修正を求めれば済むことなのだ。それを、小沢一郎氏を政界から消すためにメディアや官僚、警察、検察、裁判所などがタッグを組んで大バッシングを続け、2010年1月15日に3人の秘書をいきなり逮捕し、起訴した。このとき、テレビでは大々的にこの逮捕劇が報道された。以下、植草さんの著書を参考に大雑把に事件の概要を時系列にまとめてみたい。
秘書を起訴はしたものの、検察は小沢氏に対しては証拠不十分のため、2004年と2005年の収支報告に関しては、2010年2月4日に、2007年の収支報告書については2010年2月23日に不起訴とした。
すると、今度は市民団体が小沢氏を刑事告発し、審議申し立てを求めた。市民団体というのは、すでに知らない人はいないと言われている悪名高き右翼団体の『在特会』桜井誠氏であった。しかしながら、桜井氏による申し立ては一度受理されながら却下され、実際に受理されたのは、行政書士、元新聞記者、元公務員などの男性10人からなる「真実を求める会」という市民団体だったらしい。行政書士というと山本太郎氏を告発した27歳の芦田氏を思い浮かべるが、もしかしたら、このお決まりのメンバーが、検察審査会の議決もやっていたりして・・・・(笑)。
「東京第一検察審査会」と「東京第五検察審査会」がこの告発状を受理し、「東京第一検察審査会」が2007年の収支報告書を、「東京第五検察審査会」が2004年と2005年の収支報告書を審査することとなった。
「東京第一検察審査会」は、同年7月15日に「不起訴不当」を議決、これに対して検察は7月15日に小沢氏に対して4度目の事情聴取を行った。新証拠は見つからず、9月30日に不起訴を言い渡した。
一方の「東京第五検察審査会」は、2004年と2005年の収支報告書に関して、4月27日に審査員11名の全員一致で「起訴相当」と議決したが、検察は再度不起訴とした。すると、「東京第五検察審査会」は10月4日に示された2度目の議決でも小沢氏を「起訴相当」とし、小沢氏は強制起訴されることとなった。
こうして検察が不起訴としても、小沢氏を無理やり強制起訴した「東京第五検察審査会」だが、審査員の平均年齢をめぐっていかにも怪しい報道が流れた。本来なら6ヶ月ごとに新しい審査員および審査補助員に交代するため、一度目の議決を下した審査員と二度目の議決を下した審査員の平均年齢が同じになることは決してないのだが、それが一致してしまったのだ。
さらに、11人の審査員および審査補助員の平均年齢が30.9歳と異常に若いことが判明した。20代から70代までの全国民からランダムに選ばれた平均年齢がここまで低くなる確率は、0.065%だという。その後、何度も平均年齢が訂正され、国民からは、検察審査会は実態のない団体ではないかとの疑問があがった。
小沢氏をさらに窮地に追い込んだのが、民主党内のアンチ小沢派だ。菅直人などは小沢氏を名指しで新年の挨拶で批判し、小沢派とアンチ小沢派の2派に民主党を分裂させた。特に、菅直人、岡田克也、仙谷由人、前原誠二、渡辺恒三らは同じ政党に属しながら、小沢氏をメディアの前で痛烈に批判し犯罪人に仕立て上げ、小沢氏に対する人権侵害もはなはだしかった。そのあげく、政権交代の第一の功労者である小沢氏を党員資格停止にした。彼らが小沢氏に対してやってきたことは、決して許されるものではない。
今日の判決で小沢氏の秘書が一人でも有罪となれば、日本の司法の資質が問われることになるだろう。
関連ブログ:
■植草一秀の『知られざる真実』西松・陸山会事件被告は判決と関わりなく完全無実
■『かっちの言い分』無所属議員・石川ともひろの「汚名返上!」 メルマガ第3号を読んで。
追記:秘書3人に有罪判決、それもほぼ検察側の求刑通りの判決がでたという。やはり日本の司法は信じられない。
陸山会事件:小沢元代表の元秘書3人に有罪判決
毎日新聞 2011年9月26日 13時35分(最終更新 9月26日 14時20分)
小沢一郎・民主党元代表(69)の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元秘書3人の判決で、東京地裁(登石郁朗裁判長)は26日、元事務担当者で衆院議員、石川知裕被告(38)に禁錮2年、執行猶予3年(求刑・禁錮2年)、後任の元事務担当者、池田光智被告(34)に禁錮1年、執行猶予3年(同・禁錮1年)、元公設第1秘書、大久保隆規被告(50)に禁錮3年、執行猶予5年(同・禁錮3年6月)を言い渡した。
小沢元代表元秘書の裁判 石川知裕被告らに有罪判決(11/09/26)
【More・・・】
陸山会事件:小沢氏元秘書3人、午後に判決 東京地裁毎日新聞 2011年9月26日 10時28分(最終更新 9月26日 10時43分)
小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた衆院議員、石川知裕被告(38)ら元秘書3人の判決が26日午後、東京地裁(登石郁朗裁判長)で言い渡される。無罪を主張する被告と検察が全面対決する構図の中、地裁は論告求刑の直前に、取り調べに問題があったとして捜査段階の供述調書を却下。検察側に厳しい判決が出ることも予想され、10月6日に始まる小沢元代表の公判にも大きな影響を与える可能性がある。
検察側の求刑は、当時陸山会の事務担当者だった石川被告に禁錮2年、後任の池田光智被告(34)に同1年。中堅ゼネコン「西松建設」から違法な献金を受けたとして別の同法違反(虚偽記載)でも併せて起訴された元公設第1秘書の大久保隆規被告(50)には同3年6月を求刑している。
公判で検察側は、小沢元代表からの4億円を政治資金収支報告書に記載しなかったことについて「多額の資金の流れを隠す悪質な犯行」と指摘。この4億円を隠蔽(いんぺい)するため、土地購入日に受けた同額の銀行融資を記載した上、同時期に複数の関連政治団体から多額の入金をしたり、土地登記を翌年にずらすなどの偽装工作もあったと主張した。
これに対し、石川被告は報告書の借入金欄に「小澤一郎 4億円」とあることを根拠に、正しく記載したと反論。銀行融資は同額の陸山会の定期預金を担保にしており、実質的に使える資金に増減がないことなどから「計8億円の借り入れとなると実態に反すると思い、融資は載せなかった」と釈明した。一方、池田被告は「元代表の4億円は一時的な預かり金で、返済の際も載せる必要はなかった」と食い違う説明をしたうえで、違法の認識がなかったとした。
会計責任者だった大久保被告は「名目上の責任者に過ぎなかった」として他の2人との共謀を否定。計約3500万円の違法な企業献金を受領したなどとされる西松建設事件でも「企業献金ではなく政治団体からの許容される献金と認識していた」と無罪を主張した。
検察側は、虚偽記載に至った背景として、土地購入前後に中堅ゼネコン「水谷建設」から計1億円の裏献金が石川、大久保両被告に渡ったと主張したが、2人は全面否認。地裁は6月、「取り調べに問題があり任意性がない」として、石川、池田両被告が大久保被告や小沢元代表に4億円を記載しないことを報告して了承を得たとする供述調書などを却下した。【野口由紀、山田奈緒】
【ことば】陸山会事件
民主党の小沢一郎元代表の資金管理団体「陸山会」が04年、元代表の手持ち資金4億円を土地購入の原資に充てながら同年の政治資金収支報告書に記載せず、05年にずらして土地購入を記載し、07年に4億円を元代表に返済しながら記載しなかったなどとされる事件。東京地検特捜部は石川知裕衆院議員ら元秘書3人を政治資金規正法違反(虚偽記載)で起訴し、元代表は容疑不十分で不起訴とした。だが、東京第5検察審査会は3人との共謀があったとして「起訴すべきだ」と2度議決し、検察官役の指定弁護士が今年1月、同法違反で元代表を強制起訴した。
陸山会事件:小沢元代表の元秘書3人に有罪判決
毎日新聞 2011年9月26日 13時35分(最終更新 9月26日 14時20分)
陸山会事件の判決前に、東京地裁に入る(写真左から)石川知裕被告、大久保隆規被告、池田光智被告=東京都千代田区で2011年9月26日、いずれも三浦博之撮影
小沢一郎・民主党元代表(69)の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元秘書3人の判決で、東京地裁(登石郁朗裁判長)は26日、元事務担当者で衆院議員、石川知裕被告(38)に禁錮2年、執行猶予3年(求刑・禁錮2年)、後任の元事務担当者、池田光智被告(34)に禁錮1年、執行猶予3年(同・禁錮1年)、元公設第1秘書、大久保隆規被告(50)に禁錮3年、執行猶予5年(同・禁錮3年6月)を言い渡した。
検察審査会による2度の「起訴すべきだ」との議決を経て強制起訴された小沢元代表の初公判は10月6日。元秘書3人の判決内容は元代表の公判の行方に影響を及ぼしそうだ。
3被告は、秘書寮建設用地購入のため小沢元代表が提供したとされる現金4億円を、陸山会の04年分政治資金収支報告書に記載しなかったなどとして昨年1月に逮捕され、同2月、起訴された。
会計責任者だった大久保被告は03~06年、中堅ゼネコン「西松建設」から計約3500万円の違法な企業献金を受けたにもかかわらず、同会の収支報告書には西松OBが代表を務める政治団体からの献金であるとの虚偽を記載したとされる罪でも起訴された。
捜査段階で石川、池田両被告は大筋で起訴内容を認めたが、公判では無罪主張に転換。大久保被告も「名目上の会計責任者で報告書作成にかかわっていない」、「西松建設からではなく、政治団体からの献金とは思っていた」などと無罪を訴えた。
地裁は今年6月、石川、池田両被告が大久保被告の関与を認めた捜査段階の供述調書の任意性を否定し、検察側の証拠請求を却下。検察側も決め手を欠く中、判決が注目されていた。【野口由紀、和田武士】
陸山会事件:石川議員 有罪でも「政治活動続ける」
毎日新聞 2011年9月25日 10時44分(最終更新 9月25日 12時11分)
インタビューに答える石川議員=北海道帯広市で2011年9月24日、三沢邦彦撮影
石川知裕議員=北海道11区=が24日、帯広市内で、26日の判決を前に毎日新聞のインタビューに応じた。判決について「無罪を信じているが、有罪でも政治活動を続けたい」と話す一方、将来的に有罪が確定し失職した場合は「選挙区は自分のものではない。周囲と相談し、現実的に考えたい」と揺れる胸中を吐露した。【田中裕之、伊藤直孝】
--今の心境は。
◆逮捕前に未明に目が覚めていたように、昨日は午前4時に起きた。緊張しているのかも。無罪を信じている。有罪なら控訴するが、無罪なら検察が控訴する。裁判は26日で終わらない。
--西松建設の違法献金事件以降の2年半は激動だった。
◆田中派対検察という歴史の流れに、私も登場人物としてノミネートされてしまった。小沢さんがどう4億円を作ったか分からない。私は会計処理しただけ。「裏金を隠そう」という意図はない。国民が判断することだが、後ろめたいことをした意識は全くない。
--裁判で「合理的に説明できない」と語る場面もあった。
◆例えば4億円を分散入金したのは(マスコミなどに)詮索されるのが嫌でそうした。当時私は30歳。今から見て合理的でないと言われたら仕方ない。
--特捜部の再聴取の録音を、半年後に証拠提出した理由は。
◆録音は(元外務省主任分析官の)佐藤優さんから強く勧められた。公表するつもりはなかったが、昨年末に弁護士に説明すると「検事の誘導を示す証拠になる」と強く説得された。子供のころの日記を見るようなもの。恥ずかしいので私は一切聞いていない。ただ、その後、供述調書の大半が不採用になった。取り調べ可視化にかじを切るきっかけとなったかもしれない。
--先月の首相指名で小沢元代表に投票した。
◆大震災の被災地に安心感を与え、中国など諸外国との関係もいい。支援者の評価に一喜一憂する民主党議員に一石を投じたかった。小沢さんは「何やってるんだ、ばか」と思っているだろう。
--小沢元代表の公判は傍聴するのか。
◆証人尋問で呼ばれている。その他は行くつもりはない。
--有罪でも政治活動は続けるのか。
◆確定前は、推定無罪だから続ける。ただ(被選挙権が停止する)公民権停止の期間が長いと、タイミングによっては、選挙に2回出馬できない。今はスピード感のある時代。そうなったら、周囲と相談し、現実的に考えたい。

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私も今しがたニュースで知りました。酷いものですね。
本来なら、こんな事件をデッチ上げたものの、その後どんどん捜査のイカサマぶりがバレちゃって、ついに干された極悪検事、サクマー(佐久間達哉)とオオッツルー(大鶴基成)こそが、縛り首にならなければウソでしょう。
だいぶ前に見た実話のドイツ映画「白バラの祈り」をふと思い出しました。ヒロインは戦争中にナチス批判のビラをまいた罪で逮捕された女子学生で、最後の法廷で裁判官が喚き散らすわけです-「うるさい!死刑といったら死刑なんだよ!とっとと連れて行け!」-たしかこんな感じでした。本当の台詞はもう覚えていませんが;)
まさに今の日本じゃないですか。
あれから今に至るドイツの変化を考えると、日本の戦後の歩みは、うすら寂しいですねぇ...
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>しかし最高裁は「行政裁量の分野」だとし、反対派の訴えを退けた。
http://ameblo.jp/pochifx/entry-11030164724.html
つまり
もともとこの国には司法などないのです。
われわれ国民は断固声を上げるべきだ