2011.08.02 (Tue)
「東電救済法案」こと「原子力損害賠償支援機構法案」が今日可決
なんでも、この法案は「東電救済法案」とも呼ばれ、「機構」というものを作ることにより、東電の利害関係者を救済し、国民負担を増やすもの。この法案が成立することにより、将来的な電力自由化や電力改革の道が絶たれ、電気料金は高くなったままで自由競争の可能性もなくなると言われている。こんな悪法が今日こっそりと可決される。
8月2日タイムリミット! もうすぐ成立「こんなに問題、東電救済法案」緊急勉強会
ガジェット通信 2011.08.01
8月2日火曜の委員会採決を経て8月3日水曜の本会議で成立予定の「東電救済法案」こと「原子力損害賠償支援機構法案」。この法律によって、以下のような問題が起きると言われています。
・将来、電力自由化の可能性がなくなります
・電気料金が高くなります
・電力会社を破綻させないための継続的な税の投入と増税が起きます
成立までもうあまり時間が残されていないのですが、この法律により何が起きるか理解している人は少ないと言われています。十分な説明と議論がおこなわれないまま、この法案は、とにかく急いで成立へ向けて進んでいます。水面下で与党と野党がガッチリと手を組んでいるため、もう止めることはできないとも言われていますが、今一度この法案の問題点についてまとめるため、松田公太参議院議員の呼びかけで4名の方が集まり緊急勉強会をおこないました。勉強会の様子の動画は先行して公開されており、たいへんわかりやすいと評判です。今回掲載させていただくテキスト版と動画版、あわせて御覧ください。
「こんなに問題、東電救済法案」緊急勉強会参加者
松田公太氏(『みんなの党』参議院議員)
井上高志氏(株式会社ネクスト代表取締役社長)
福井秀夫氏(政策研究大学院大学教授)
原英史氏(政策工房代表取締役)
注)赤字は筆者による。ガジェット通信にはよくみんなの党の議員がでてくるのだが、広告費でももらっているのだろうか。
勉強会動画
松田公太氏緊急勉強会「東電救済法案について」 from socialuniv on Vimeo.
下の動画は、8月1日に参議院、東日本大震災復興特別委員会で行われた松田議員による原子力賠償支援機構法案質疑の様子。
【More・・・】
国民負担を5兆円増やす「東電救済」の法案が衆院復興特委で可決
――民主・自民・公明が水面下で合意した修正内容とは?
ガジェット通信 2011.07.26
「原子力損害賠償支援機構法案」に関する民主党・自民党・公明党の修正合意が成立しました。この修正合意は水面下でおこなわれたものですが、修正案はそのまま26日に提出され、国民に対しては説明もないまま、26日の衆院復興特別委員会で可決、28日昼には衆院を通過する予定です。国民負担を5兆円増やすと言われるこの法案についての説明と議論がもっとあってもよいはずなのですが、なぜ与野党3党は国民に説明をおこなわないまま話を進めているのでしょうか。この問題について詳しい政策工房の原英史さんに話をきいてみました。
――遂に「修正案」が提出され、衆院を通過するそうですが。この与野党3党による「修正案」は「政府案」からどのように修正がおこなわれたのでしょうか。簡潔に教えてください。
原:修正案の内容は、一言でいえば、本来の責任者である「東京電力と関係者の負担」を放置し、「国民の負担」をさらに重くするもの。政府案のさらなる「改悪」です。
通常、企業が破綻したときは、株券が紙切れになり、カネを貸していた銀行などは債権カットを求められます。株主は損失をこうむりますが、もともと株式とはそういうものです。あえてその会社を選んで株を持っていた以上、仕方ないことです。また、銀行も、カネを貸す前にその会社が大丈夫かを審査し、貸したあともおかしなことが起きていればチェックできる立場です。そういう人たちが責任を負担するのは、やむを得ないことです。
――リスクを承知して投資していた人達が守られ、なぜかリスクを承知してなかった国民に負担がかかるという形になってる気がするんですが。民主・自民・公明党の人たちは何故国民に負担をかける修正案に合意するのでしょうか。特に野党である自民・公明党が本来の役割を果たさず特に批判もしないままこの話に乗っかってきているのが不思議です。5兆円も負担額が変わってくるのになぜ説明も議論もないのでしょうか。
原:今回、政府が出した「原子力賠償機構法案」は、株主や銀行の責任をあいまいにしたまま、電気料金値上げや税金という形で国民が負担する内容でした。
これに対し、「国民で広く薄く負担しよう」という前に、まず、本来責任をとるべき人がいるでしょう、というのが、「公正な社会を考える民間フォーラム」や古賀茂明さんが主張してきたことです。株主や銀行にまず責任をとらせるかどうかで、国民負担の額は5兆円ぐらい違ってきます。国民全体で長期にわたって負担するといっても、無視できる金額ではないのです。
(参照)
「原発事故の損害賠償に関する公正な処理を求める緊急提言」報告会テキスト起こし
http://getnews.jp/archives/131244
民間フォーラム緊急提言
http://getnews.jp/archives/128820 [リンク]
こうした中、今回の3党合意はなされました。従来、民間フォーラムなどと同じような主張をしていた河野太郎議員はブログで、今回の修正合意は「東電処理への大きな一歩」と評価しました。即時法的破綻処理ではないが、二段階方式で破綻処理をさせることになったと言います。しかし、条文で確認してみると、何となくそれらしき字句は追加されているものの、結局のところ、何ら改善していません。
例えば、45条で、「関係者に対する協力の要請が適切かつ十分なものであるかどうかを確認しなければならない」という規定が追加されています。これはたぶん、「株主や銀行など関係者の責任をしっかりと求める趣旨で追加した規定」ということなのでしょう。
しかし、要請した結果がどうなるかは問われていません。また、「協力」の内容が何なのかも分かりません。つまり、「協力の要請」とは、「株券を紙切れにするけど、いいですか」ということかもしれないし、「今年は配当をしませんが、いいですか」という程度かもしれないのです。
「二段階方式」というのは、附則6条で、「この法律の施行後早期に……国民負担を最小化する観点から、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずる」という規定を加えたことを指しているのでしょう。しかし、この規定では、期限も不明、「必要な措置」の内容も不明です。
しかも、第一段階で、この法律に基づいて、「機構」による支援措置は始まります。賠償に必要な金額は「機構」から投入されます。河野議員のブログではいずれ「債務超過」になるとありますが、本当にそうでしょうか。もし本当に債務超過になって法的整理になれば、それまでに投入された支援額は返ってこない、つまり「国民負担」になってしまうでしょう。つまり、第一段階でひとたび支援を始めれば、その先は、「今さら破綻させたら、これまで投入したおカネが返ってこなくなって、国民負担になってしまう」といって、“延命装置”を外せなくなる可能性が高いのです。
これまでの話は、「一見改善したように見せかけながら、何も改善していない」という話でした。もっと大きな問題があります。今回の修正案では、「国民の負担」をより一層拡大していることです。
2条で、これまで原子力政策を推進してきた「国の責務」という規定が追加されました。「東電だけでなく、原子力政策を推進してきた立場の国にも責任がある」というのは、一見もっともに見えるかもしれません。しかし、賠償負担という議論の中で、これはどういう意味を持つのでしょうか。
「国の責任」といっても、菅総理や大臣たちが払うわけではありません。これまで原子力政策を推進してきた自民党の大物議員たちが払うわけでも、原子力安全・保安院の官僚たちが払うわけでもありません。「国の責任」とは、結局、国民が税金で負担するということです。
さらに、51条で「資金の交付」という規定が追加されました。もともとの政府案では、予算を直接投入するのではなく、国債を交付する形をとり、いずれは国に返すということになっていました。ところが、この規定では、「国の責任」という観点で、予算を直接投入することも可能にしてしまいました。これはもう返ってきませんから、より明白に、税金による「国民負担」を求められるようになります。
21日前後、3党修正合意がマスコミで報じられるにつれて、東京電力の株価は急騰しました。一時は150円を切った株価が、今や4倍前後です。この修正案をみると、株式市場が、事態を正確に認識していたことがよく分かります。この修正合意は、東京電力とその関係者たち(株主や銀行)の救済にほかなりません。
――ありがとうございました。
尚、この法案は本日中に衆院を通過し、今週中に成立する見込み。
松田議員の質問は東電への賠償=被災者への賠償という形で軽くかわされてしまったが、東電や政府の怠慢から発生した事故を賠償するために、官僚や東電の幹部らはこれまで稼いだ多大な資産をそのまま維持しながら、東電の社員もいままでどおり一般の会社員よりも高い給与をもらながら、苦しい生活の国民の負担だけが増えるというのは、絶対におかしい。その前に、官僚や原発を促進した全ての電力会社の社員やマスコミや政治家の給与を20%カットしたらどうか。

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Tags : 東電救済法案 |
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>>http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/gentennikaerinetuobirusengosoukatu.html
原点に返り熱帯びる戦後総括
広島「原爆と戦争展」開幕
被爆の真実全国に発信 2011年8月1日付
(中略)
宮崎県都城市から来た70代の男性は、終戦当時小学生で陸軍飛行場があった都城からも多くの特攻隊が飛び立っていった経験とともに、戦後は酪農業の普及に携わってきたことを語った。「中国侵略から原爆投下にまで至った経過は六五年前の話ではなく、現在もまったく同じ政治が続いている。原発事故の対応をめぐって日本は国家としての国際的な信用を失い、農産物は放射能汚染によって敬遠されている。牛のセシウム汚染の騒ぎ方をみても意図的に日本の農業をつぶす方向だ。私たちは戦後、脱脂粉乳など米国からの粗悪な救援物資で学校給食がやられ、日本人が胃袋から抑えられようとしていることに危機感を感じて、協同組合を立ち上げて学校給食への国産生乳の普及を開始した。その過程はアメリカの植民地政策とのたたかいだったし、何度も国会デモを繰り返した。食料は国の基礎だし、国の未来を担う人間を育てるためには譲ることのできない問題だ。そういう公的な共同理念にもとづいて築かれてきた社会が、この数十年のあいだに株主主導、経営者至上主義による利潤追求がもてはやされて、今やなにも信用できない時代になってしまった」と振り返った。
また、「戦後のアメリカによる“救援物資”は、明らかに日本人への餌付けだったし、日本人を動物としてしか見ていない。これとたたかって作り上げてきた自給自足による食料確保が“国際競争”“コスト競争”によってつぶれるところまで放棄され今や自給率はカロリーベースで40%、質量では22%に追い込まれた。TPPをやれば日本は完全に主権を失ってしまう。農業者をはじめ、日本全国がおとなしすぎる。立ちあがってデモくらいやらなければいけない情勢だ」と語り、今後のつながりを求めて再び訪れることを約束した。(以下略)
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ほんとにそう。絶対におかしいですよ。
しかし、そもそも政権交代だって、この手の不公平はもうたくさん!という国民の声が、かつてないほど高まったから実現したハズなんですが。
それを、とくに菅政権は、そういう声に応えようと汗流している姿を全く見せないまま、国民をことごとく裏切り続けてきたわけです。つまり、この連中が「一般国民の側に立つつもりなど、さらさらない」のは、すでにハッキリしています。
だから、件の「東電救済法案」があっさり通ってしまうのも当然なんです。
-不公平と言われようが、何と言われようが、イヤなこと、めんどくさいことは、下々の一般国民に押し付けたままにしておきたい。じゃないと、自分たちの今の快適な暮らしが続けられなくなるから。今までずーっとそうやってきたんだから、これからもそれでええの-
権力持っている側は、いつもこの「原理」(=ただの自己チュウ)で動いているだけ。
それを誤魔化そうと、しちめんどくさい詭弁、屁理屈を並べるのもいつものことですが、いったい日本は、いつまでこんなことを続けるのか?!