2011.05.14 (Sat)
福島第一原発の作業員が死亡
確かに、今この厳しい状況の中、被曝で作業員が即死されたとすると、ますます作業員の確保が難しくなるだろう。だからといって、事実を隠蔽するのはよくない。作業員たちは、現在の福島第一原発がどれほど危険なのか、ほとんど知らされないまま働かされているのである。真実を伝えれば働く者はいなくなってしまうだろう。
公表はされていないが、作業員用に東電が4月23日に発表した福島第一原発の「汚染地図(サーベイマップ)」によると、3号機近くに散乱した瓦礫から毎時900ミリシーベルトの放射線を測定したことが明記されていたそうだ。メディアは、作業員男性の同日の被ばく線量は0.17ミリシーベルトとしているが、170ミリシーベルトの間違いではないのか。現在、1号機の燃料棒が完全にメルトダウンし、建屋もほとんど崩壊している状態で、被ばく線量がこんなに低いとは思えない。
また、これからは気温が高くなり、タービン建屋の床は汚染水で水びだしになっており、建屋内は湿度も高い。マスクと防護服などの完全防備で作業に当たれば、それこそサウナに入っている状態と同様で、しばらくするとマスクには数センチの汗がたまり「熱中症で倒れている人がたくさんいる」という。
最近では、作業員たちは、自分たちがどれだけ放射線量を浴びたのかもわからない状態らしい。作業員らの安全を確保するためのルールや手順がなし崩し的に緩和されていることを知り、不安や戸惑いが広がっているそうだ。それに加え、過酷な作業環境やそれらに伴う人的ミス、専門外の慣れない作業内容など、作業員を取り巻く状況は複合的な危険にさらされているとの指摘もある。
サーベイマップ通りに『被曝量は900ミリシーベルト』などと公表したら、作業員の労働限度を超えた放射線となり、作業員は全員1F(福島第一原発の通称)から退去しなければならない。そうすると、1号機の格納容器の底には穴があいていて、水棺などとても不可能な状態であり、以前楽観的過ぎると批判したとおり、『6~9ヵ月のうちに原子炉を安定的な停止状態にする』という東電の作業工程は大幅に変更しなければならなくなる。
内閣府原子力委員会専門委員で、中部大学教授の武田邦彦氏によると、「900ミリシーベルトというのは、4時間浴び続ければ半分の人が数週間以内に死ぬレベルであり、1時間浴びただけでも、4人に1人が皮膚を再生できなくなり、内皮が露出したままになるほどの数値だそうだ。250ミリシーベルト以下の被曝量ならがんや白血病を発症しない人もいるが、それを超えると、白血球が大幅に減り、免疫力が落ちてしまうため、間違いなく何らかの障害が出る。そんな場所での作業はせいぜい15分が限界だそうだ。
亡くなられた作業員は、前日に3時間、当日も3時間働く予定であった。この状況下で長時間働かせれば、即死してもおかしくないだろう。その日、放射線量がどのくらいあったのかは、公表されていないので、わからないが、かなり高かったことが想像できる。その作業員は、間違いなく被曝で即死したに違いない。
【More・・・】
参考記事:福島第一原発 作業員が死亡
NHK 5月14日 12時52分
14日朝、東京電力の福島第一原子力発電所で、協力企業の60代の作業員の男性が作業中に意識不明になり、福島県いわき市内の病院に運ばれましたが、死亡が確認されました。男性は全身を覆う防護服を着て作業に当たっていて、放射性物質の付着はなかったということで、死因については、まだ分かっていないということです。
14日午前6時50分ごろ、東京電力福島第一原子力発電所の敷地内にある「集中廃棄物処理施設」で、機材の搬送作業をしていた協力企業の60歳代の作業員の男性が体調不良を訴え、発電所内の医務室に運ばれました。男性は、意識を失っていて、救急車でいわき市内の病院に運ばれ手当てを受けていましたが、午前9時半すぎに死亡が確認されました。死因については、まだ分かっていないということです。東京電力によりますと、男性は13日から機材の搬送作業に当たっていたということで、14日は午前6時から午前9時までの3時間、作業に当たる予定だったということです。男性は全身を覆う防護服を着て作業に当たっていて、放射性物質の付着はなかったということです。今回の福島第一原発の事故のあとに、復旧作業に当たっていた作業員が死亡したのは初めてだということです。
福島第1原発:過酷作業 防護服にマスク「サウナ状態」
毎日新聞 2011年5月14日 2時34分(最終更新 5月14日 2時53分)
東京電力が9日に撮影した福島第1原発1号機原子炉建屋内で作業する人=東京電力提供
東京電力福島第1原発事故の復旧作業で、作業員らの安全確保のルールや手順がなし崩し的に緩和されていることが分かり、作業員の間に不安や戸惑いが広がっている。こうした規制の緩和に加え、過酷な作業環境やそれらに伴う人的ミス、専門外の慣れない作業内容など、作業員を取り巻く状況は複合的な危険にさらされているとの懸念も指摘されている。【町田徳丈、市川明代、日下部聡】
福島県に住むベテランの下請け作業員は先月、福島第1原発のタービン建屋の汚染水を排水するため、現場でホースを取り付ける作業に従事した。原発から約20キロ南の福島県楢葉町にあるナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」で防護服や全面マスクなどの装備をもらい、所属する会社の車で第1原発の構内拠点の免震重要棟へ。作業直前に線量計をつけ、現場に向かった。
暖かい季節となり、マスクなどのフル装備は「サウナスーツを着ているようなもの」。しばらくするとマスクには数センチの汗がたまり「熱中症で倒れている人がたくさんいる」という。「途中で苦しくなったら『しゃがんで落ち着いて深呼吸をしろ』と言われた。(作業は)正直2、3時間が限度。これから夏になったらさらにきつさが増す」と懸念する。
作業にあたったのは約10人。タービン建屋の中は湿度が高く、さらに暑く感じたという。敷設したホースは太さ約10センチ、長さ20メートルほどの蛇腹。それを金具でつなぎ合わせて構内の集中環境施設のタンクまで延長する。
現場のタービン建屋の床面はぬれていた。津波の水か放水かは不明だが「間違いなく放射性物質で汚染されている」と感じた。ホースは2人1組で運ぶが、重いため転がした。ホースもぬれ、「これ、やばいんじゃないの」と思わずつぶやいた。敷設の際には再び肩にかつぎ、首筋から後頭部にかけホースが当たった。防護服は耐水性のものではなく、水がしみ込んだ。「元請けの放射線管理担当者の事前サーベイ(調査)がちゃんとなっていなかった。原発の仕事で『水に触るな』は原則なのに」
作業後、放射性物質が体に付着する「身体汚染」が判明した。一緒に作業していた約10人も同じだった。そもそもホースの敷設は専門外だった。「簡単に誰でもできる作業。だから『応援してもらいたい』(と元請けから依頼された)ということだったと思う。一緒にいた約10人は全員、ホースの作業は初めてだった。元請けの現場責任者から指示を受けてやった」
身体汚染した作業員のうち3人は、放射性物質を洗い流す「除染」を完全にできなかった。暑さで毛穴が開き、そこに放射性物質が入り込んだ後、毛穴が閉じた疑いがあるという。だが、汚染部位などを記録した「確認証」を東電から発行され、作業に復帰した。
「今は何でもあり。『まずは(原発の)いまの状態を止めろ』と。多少のことは目をつぶるという感じ」。作業員はそう指摘する一方、「怖いっすよ。この先、どのくらいの放射線量を浴びるのか」と漏らした。
福島第1原発:収束工程表見直しへ 細野補佐官が謝罪
毎日新聞 2011年5月13日 21時07分
東京電力福島第1原発1号機の燃料棒が溶融し、原子炉圧力容器が損傷して水漏れが起きている問題で、政府・東電統合対策室事務局長の細野豪志首相補佐官は13日の会見で「認識が甘かった」と謝罪した上で、6~9カ月かけて事故の収束を目指すとした工程表を見直す見解を示した。
1号機の炉心溶融について、細野首相補佐官は「溶融していると思っていたが、圧力容器の底にほぼたまっているとは想定していなかった」と釈明。「既存の計測器の(温度や圧力などの)値が正しいか検証し、工程表に反映させる」と述べた。
一方東電は同日、1号機の冷却システムを構築するため、空冷式の冷却装置の搬入を始めたと発表した。原子炉建屋の外側に設置するため、格納容器などからの水漏れによる作業への影響は受けないという。17日までに10基搬入する予定だ。
東電によると、格納容器の水位は現時点で不明。冷却システムを構築するには、格納容器内の冷却水を取り出す配管の高さまで水位がなければならず、東電は「格納容器内の水位の確認が必要」と話す。一方、格納容器を水で満たす「水棺」作業については「圧力容器は安定して冷えている」として、燃料棒の上端から1メートル上まで冠水させるとした当初計画の見直しもあり得るとの考えを示した。
また東電は13日、1号機の原子炉建屋を覆うカバーの設置工事の準備を始めた。水素爆発で吹き飛んだ屋根などから放射性物質が飛散するのを抑え、作業員の被ばく線量も抑えるのが目的。6月上旬から基礎工事を始め、本体工事着手後は2~3カ月で完成させるという。東電によると、カバーはポリエステル製。大きさは縦47メートル、横42メートル、高さ55メートルで、表面積は1万平方メートル。原子炉建屋の周りに鉄骨を組み立てた上でカバーをかぶせる。【河内敏康、比嘉洋、岡田英】
『現代ビジネス』16分で年間被曝限度突破!福島第一原発「超高濃度汚染の作業現場」
東電が公表しなかった毎時900ミリシーベルトの驚愕事実!作業員は死ね、と言うつもりか
これまで東京電力(以下、東電)が隠してきた、汚染し尽くされた福島第一原発内の実態の一つが明らかになった。
東電が福島第一原発の「汚染地図(サーベイマップ)」を発表したのは、4月23日のこと。作成したのは4月20日だが、東電は3日も遅れて公表したのだ。しかも、このマップは敷地内の約230ヵ所で測った放射線量を示したもので、「免震棟」(鉛のシートで放射線を遮断した原発内の特別な建物)などに定期的に貼り出されるのだが、3号機近くに散乱した瓦礫から毎時900ミリシーベルトを測定したことが明記されていたのである。
今回の原発事故で、国は作業員の年間被曝量の限度を250ミリシーベルトと定めた。900ミリシーベルトとは3号機近くに16分ほどいただけで、1年間の限界を突破する超高濃度の放射線なのだ。4月21日には3号機原子炉建屋前で瓦礫の撤去作業が行われたが、作業員にとっては命に関わる問題だ。
福島第一原発で10年近く働いている東電の協力会社の作業員・牧田正氏(30代、仮名)が、この数値を知って憤る。
「東電がこんな恐ろしいデータを隠していたとは、俺たち作業員に『死ね』と言っているのと同じじゃないですか! 冗談じゃない。納得できないので、元請け(親会社)の所長に『どうして隠していたんですか』と聞きました。すると『Jヴィレッジ(福島・楢葉町にある事故対策の拠点)の入り口にあったじゃないか』と答えたんです。
確かにJヴィレッジの入り口には、サーベイマップが貼ってあります(2ページ写真)。でも同じボードには、防護服の着方や各社の作業員の動向などさまざまな情報が掲示されていて目立たない。命に関わる、重大なデータでしょう。東電が俺たちに本気で伝えようと思ったら、もっと確実な伝達方法がいくらでもあるはずです」
牧田氏は「事故後の東電は、何事も隠蔽しようとしている」と続ける。
「普段は『「APD」(警報付き放射線測量計)を携帯しろ』とか、『作業後に測った放射線量は「原発手帳」(放射線管理手帳の通称)に必ず打ち込め』などと口うるさく注意するのに、事故が起きてから作業員は野放し状態です。作業を終えると免震棟で待機するのですが、そこで被曝量を測る保護官は『大丈夫ですよ』『少し高いかな』と言うばかり。
俺たちは、自分たちが浴びた放射線量さえ教えてもらえないんです。そりゃそうでしょうね。サーベイマップ通りに『被曝量は900ミリシーベルト』などと通達したら、作業員は全員1F(福島第一原発の通称)から退去しなければなりません。『6~9ヵ月のうちに原子炉を安定的な停止状態にする』という東電の作業工程の実現は、夢のまた夢になってしまうのですから。
だったら『遠隔操作できる無人ロボットに仕事させればいいじゃないか』と思うかもしれません。でも、どの工程でも必ず人間の手でやらなければならない作業があるんです。東電なら、俺たちを過酷な現場へ送り込むため、不都合なデータを隠すことぐらい平気でするでしょう」
作業員たちは、現在の福島第一原発がどれほど危険なのか、ほとんど知らされないまま働かされているのである。しかも敷地内は瓦礫に覆われ、余震のたびに作業が中断するので、業務は長引かざるを得ない。
普段なら2~3時間で終わる仕事も、日によっては強烈な放射線を浴びながら9時間以上も屋外で働かされるのだ。内閣府原子力委員会専門委員で、中部大学教授の武田邦彦氏が呆れる。「900ミリシーベルトというのは、4時間浴び続ければ半分の人が数週間以内に死ぬレベルですよ。
1時間浴びただけでも、4人に1人が皮膚を再生できなくなり、内皮が露出したままになるほどの数値です。250ミリシーベルト以下の被曝量ならがんや白血病を発症しない人もいますが、それを超えると間違いなく何らかの障害が出ます。白血球が大幅に減り、免疫力が落ちてしまうからです。そんな場所での作業はせいぜい15分が限界で、長時間働かせるなんて信じられません。即死してもおかしくありません」
まさに〝地獄の現場〟である。NPO法人「原子力資料情報室」の澤井正子氏も、作業員を見殺しにするような東電の態度に、語気を強めて語る。
「東電は、福島第一原発内の放射線量を以前から当然測っていたはずです。しかし事故を起こしてから測定した〝とんでもない数値〟は、握り潰そうと考えたのでしょう。放射線量さえ分からなければ、後で作業員の身体にどんな障害が起きても、因果関係が分からないですからね」
東電の「作業員の命を軽視する体質」は、データの隠蔽にとどまらない。〝被曝検査の差別〟まで行われているのだ。福島第一原発で15年以上働く、大石和義氏(40代、仮名)が明かす。
「4月下旬になって、ようやく『ホールボディカウンター』(体内の内部被曝量を計測する機器)が復旧しました。でも私たち作業員は、なかなか受けられない。東電や元請けの社員が優先され、順番が回ってこないんです。作業員たちは『内部被曝していることが明らかになるので、東電がわざと受けさせないようにしているんじゃないか』と噂しています。
私たちは、現場任せでいつも他人行儀な東電の社員を『お客さん』と呼んでいます。東電が、自分たちの考えた工程通りに事故を収束させることより、私たちの安全を優先するとはとても思えないのです」
不利なデータを隠すことに汲々とする東電。4月23日のサーベイマップでは100ミリシーベルトを超える地点はなくなったとはいえ、汚染現場で必死に働いている作業員たちの不安は払拭されない。

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どうしたって考えてしまいますよね
放射線の影響かどうか
そんななか、現場で何が起きたのか。
未解明のまま作業をつづけることは許されません。
原発をめぐる労使関係、そして労働環境は、元請けと下請けといった誰の目にも明らかな構造ではありません。
幾重にも下請けの構造が積み上がり、末端作業員の命が守られる保証はありません。
真相を明らかにしていかなければ、現場作業員ばかりではなく、強いては国民の命も守れなくなると考えます。
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福島第1原発の作業員が死亡。おそらく被曝ではないが、予想できた人災だ。
原発や原子力工学のプロでもない細野氏がこんな風に喋っても意味がないと思う。
畑違いなんだから、主導権を握っているポーズを取るのはいい加減に止めてほしい。
こんな謝罪や釈明より、そもそも、どんなプロジェクトチームを組んで事態収束に当たっているのか詳しく説明すべきでしょう。
・メンバーや役割分担
・各ミッションの責任の所在
・計画立案~遂行の詳しいプロセス
・外国との連携状況
等々。
要するに、スポーツ実況中継の如く、放射能封じ込めプロジェクトのダイナミックな動きを国民や世界に伝えるのが先決じゃないでしょうか。
実は昨日、東電のカスタマーセンターにダメ元で上のような要望を伝えると、「社員の自分も、福島の現場の様子や挙げられたことはまるで分からず、もどかしいばかりです...」
広瀬隆氏の言葉(4/30講演)を思い出します-「原発現場(福島)の作業者は絶望的な気持ちで働いている。上は『大丈夫』と繰り返しているが」
亡くなった方が出た以上、もはや超高濃度の汚染水処理などは空き菅、詐欺ブタ、岡田らにやらせるしかない。彼らは特別あつらえの防護服持ってんだろうから。