2011.04.27 (Wed)
京大原子炉実験所の”異端児”たちvs原子力村
今日は期末試験の日だった。来週の木曜日までに採点を終わらせねばならない。今年の期末試験は去年よりも1ページ増えて9ページにしたので、生徒40人分、全部で360ページを採点する。ちょっと気が重い。でも、生徒が私が教えた日本語を8ヶ月でどこまで理解したかということがわかるので、それはそれで、興味深くもある。
さて今日は、原発の危険性を訴えてきた研究者たちが、原発推進派らで構成される原子力村によって虐げられてきた日本の実情を報告したいと思う。メディアなどは「原子力ムラ」と「ムラ」をカタカナで書いているようだが、そうすると、原子力の「力(リョク)」がカタカナの「カ」と読めて、「原子かむら」と読み違えそうなので、このブログでは「ムラ」は漢字で書く。
下の動画は、原発の危険性を私たちにわかりやすく教えてくださっている今話題の京都大学の小出裕章(こいで ひろあき)教授を初め、今中哲二教授ら異端児と呼ばれる研究者たちが、京大原子炉実験所で2年前にその様子を撮影されたものだ。原子力開発が生み出す負の側面を伝えるために日夜研究に励まれている。
なぜ警告を続けるのか~京大原子炉実験所・”異端”の研究者たち~
彼らは、出世コースからはずされ、30年間助教(昔は助手と呼ばれていた)のまま。助教では、研究費も限られているだろう。しかし、決してくじけることなく、人類を放射能汚染から救うという強い使命感を持っているせいか、とても明るく前向きだ。「京都大学は国立大学で、文科省の管轄なので、原子力開発を促進する国の方針と逆のことをしている私たちは疎まれて当然だろう。」と屈託のない笑顔で語る小出教授には、金儲けよりも人類の安全のために活動する神がかり的なスケールの大きさを感じた。小出教授らにとっては、出世や金儲けなどどうでもよく、それよりも放射能汚染から人類を救うことが最も大切なのだ。
一方の原子力村はどうか。狭い人脈社会の中で、自分たちの私欲を満たすために、国民に「原子力は安全だ」と思い込ませ、洗脳するために嘘の発言や報道を続けてきた。そして、それに反抗する者が現れると、決定的に排除してきた。下の「愛川欽也パックインジャーナル」では、関西電力が、小出教授を出演させた番組のスポンサーを降りて、局に圧力をかけたという話が語られているが、それが事実だとしたら、日本には言論の自由もないことになる。
YAMACHANの@飛騨MAVERICK新聞が、4月23日に放映された愛川欽也パックインジャーナル「原発事故工程表は大丈夫か」をアップして下さった。
さらに、本来は、原発の安全規制をするために原発を監視する立場の保安院と原子力安全委員会も「原子力村」の構成員のメンバーであるため、監視するどころか、原子力村の利益を守ろうという意識が強い。そのため、事故の隠滅を図ったり、放射線量を低く見積もったりするのに手を貸している。保安院に至っては、原発を推進する経産省に所属するという構造的問題を抱えているにもかかわらず、誰も疑問を抱かずに放置してきた。
今の保安院は、「保安院全員アホ」と小学生から笑われるほど原発について無知な人が多い。全員クビにして、経産省から分離し、小出教授ら原発の危険を訴えてきた研究者に後を継がせるべきだ。
原発が日常の生活に大きな影響を与えることを知った今、国民の一人ひとりが原発の廃止を訴えるために行動しなければならない。小出教授らの活動を支援したり、反原発デモに参加するのもよし、ブログで反対を訴えたり、政府にメールで苦情を伝えるのもいいだろう。いつまでも静観していたら、原子力村の支配からは逃れられない。
【More・・・】
記者の目:「原子力ムラ」の閉鎖的体質=日野行介(大阪社会部)毎日新聞 2011年4月21日 東京朝刊
◇事故の背景に、批判拒む傲慢さ
東京電力福島第1原発の事故の取材応援で、東電や経済産業省原子力安全・保安院、内閣府原子力安全委員会の記者会見に何度も出席した。そこで強く疑問に感じたのは、「想定外の事態」や「未曽有の天災」という決まり文句を盾に、決して非を認めようとしない専門家たちの無反省ぶりだ。これまで不都合な警告や批判を封じ込め、「安全」を自明のものとして押し付けてきた業界の独善的体質が今回の事故の背景にあると思える。
◇言葉は丁寧だが決して非認めず
「大変なご心配をおかけして申し訳ありません」。東電の記者会見は必ずと言っていいほど謝罪の言葉が出る。だが、「多重防護」を誇ってきたはずの原発の安全性自体に疑問が及ぶと、会見する幹部の態度は途端に硬くなる。言葉は丁寧だが、非は決して認めず、自分たちの言い分だけを強調する。都合の悪い質問には、記者をにらみつけながら木で鼻をくくったような対応をする幹部もいる。
こうした会見の模様はテレビやインターネット動画でそのまま報道され、政府の対応への不信とも相まって、国民は「本当に大丈夫なのか」「うそをついているのではないか」と疑念を募らせている。
私は02年から3年間、若狭湾に原発15基が林立する福井県敦賀市に勤務した。「原発銀座」と称される地域で、取材の最重要テーマが原発だった。
取材で接した原子力の技術者・研究者たちの印象は決して芳しいものではない。都合の悪い問いにまともに答えず、批判的な意見に耳を貸さない尊大ぶりが印象に残った。
高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)の設置許可を無効とした名古屋高裁金沢支部判決(03年1月)の際には、電力会社や研究者が業界を挙げて判決を攻撃した。判決に関する討論会で、推進派の大学教授が専門用語を駆使して野党の国会議員をやり込めた後、会場の片隅で「素人のくせに」と仲間内で笑い合っているのを見た。
ある地方テレビ局が数年前、原子力に批判的な研究者をドキュメンタリー番組で取り上げたところ、地元電力会社が「原子力を理解していない」と猛烈に抗議した。番組はこの電力会社を直接批判する内容ではなかったが、テレビ局は広告主の抗議を無視できず、記者による定期的な原発見学を約束した。
この件について取材した私に、電力会社の役員は「(原発が)いかに安全か理解していない。『反省しろ』ということだ」と言い放った。その傲慢な態度は、今回の事故を巡る会見で見た東電幹部と重なり合う。
◇官民にまたがる狭い人脈社会
なぜ、こんな体質が醸成されるのだろうか。
原子力の技術者だった飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長は、業界の実態を「原子力村(ムラ)」と名付けた。大学や大学院で原子力を学んだ学生は、電力会社やメーカーに就職したり、国や立地自治体の技官になる。就職先は担当教官の意向で決まることが多い人脈社会で、彼らは官民に分かれても「ムラ」の一員として育っていく。
原発関係の事故はメディアで大きく報じられる。市民団体などの批判にさらされることも多い。“被害者意識”から、彼らは批判を「素人の意見」だと一方的に決めつけ、独善的な専門家意識を強めていくのだろう。
原発の安全規制は、保安院と原子力安全委員会による「ダブルチェック」体制とされる。しかし現実には十分機能していない。チェックする方も、される方も、同じ「ムラ」の構成員なので、業界全体の利益を守ろうという意識が働く。保安院に至っては、原発を推進する経産省に属するという構造的問題を抱えている。
組織の名称にしても、米国は「原子力規制委員会(NRC)」なのに、日本の機関には「規制」ではなく「安全」が使われている。「原子力は安全」という宣伝を優先するあまり、規制や監視という視点が欠落していたとしか思えない。
今回の事故を受け、保安院を経産省から分離する組織改革がようやく検討される見通しとなった。必要なことだとは思うが、組織いじりだけでは専門家たちの体質を変えていくことはできない。
これまで私たちは原子力の問題を「専門家の世界だから」と、直視することを避け、「ムラ」に委ねすぎてきた。だが今回の事故で、放射能への不安から電力不足問題に至るまで、原子力が一人一人の生活に密接にかかわることが明白になった。もう無関心は許されない。
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ご意見をお寄せください。〒100-8051毎日新聞「記者の目」係/kishanome@mainichi.co.jp
愛媛新聞社特集 ONLINE
特集社説2011年04月25日(月)
「東日本大震災」原子力ムラの過誤 保安院分離だけで解決しない
福島第1原発事故をめぐる専門家たちの決まり文句といえば「想定外」。己の非を棚上げにする魔法の合言葉だ。
謝罪しても何を反省しているのか分からない東京電力。人ごとのように事務的説明をこなす官僚。いまだ思想的援助を続ける識者。ひたすら原発を擁護する彼らの共通項は素人にも伝わっていよう。
原子力にかかわる専門家集団の閉鎖性、産官学の構造的癒着は、事故や不祥事のたびに指摘される。その「業界」を[「原子力ムラ」と名づけたのは、かつて原子力技術者だった環境エネルギー政策研究所長の飯田哲也さんだ。
飯田さんは日本記者クラブでの講演で、福島原発事故を「きっかけは天災だが、事故そのものは人災だ」と断罪した。官民にまたがる狭い人脈社会が「国策」をつくり、専門家の「業界」の利益を追求した結果、起こるべくして起こった惨事というわけだ。
国の原子力行政に致命的問題がある。監督する側も監督される側もムラ社会の一員なのだ。原子力安全・保安院と原子力安全委員会によるダブルチェックの建前が機能していないのは、福島の事故対応をみれば歴然である。安全委に至っては、事故後1カ月以上も委員が現地入りせず、当事者能力さえ失っている。
菅直人首相は国会で原子力行政を根本から見直すと表明した。原子力政策推進の旗振り役である経済産業省から保安院を分離する検討を、ようやく始めるという。独立性の高い規制と監督が保証された組織が必要なのは論をまたない。日本も加盟する原子力安全条約の要請であり、民主党の公約でもあったはずだ。
ただ、保安院の分離だけですべては解決しない。人材の供給源が今と同じでは、推進する側にとってはただ一手間増えるにすぎない。政府が決めた官僚OBの電力業界への天下り禁止も小手先だ。
組織の見直し作業は一刻の猶予も許されない。原発事故は、当事者である専門家に頼らざるをえない難しさがあるため、知識と技術が人質にとられ、政治に借りができてしまう。事故の収束を待っていては、原子力ムラの体質は温存され、福島の教訓の過小評価につながりかねない。
「想定外」と言い訳する専門家がいる一方、津波による重大事故の可能性を指摘していた専門家は在野にいくらでもいた。立地自治体が規制にどうかかわるかも含め、対抗知見が見いだせる人材を無視してはならない。
原子力ムラの過誤とは、都合の悪い指摘や批判を素人扱いし、排除し続けたおごりと無責任である。科学者による政治への異議であったはずの「民主・自主・公開」の原子力三原則を自ら破壊してきた姿勢を悔い改めるべきだ。

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東京電力福島第1原発 |
>>http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20110424/1303618256
で孫正義氏への批判意見を見たので紹介する。
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1. 2011/04/25 01:11 ソフトバンクの孫氏の巨額な寄付は携帯電話で一番無能を出したのがソフトバンクの携帯電話と報道されました。売名行為です。被災地の高校生や中学生に無償でプレゼントをする報道もありますが、美談ではなく偽りの美談です。au(KDDI)は
KDD(国際電話)+稲盛和夫のDDIが合併をして誕生しました。無料で配る事は可能ですが、商売としておかしいのでやらないでしょう。NTTドコモは法律(NTT法)で禁止されているので・できません。孫氏は平成9年ごろにテレビ朝日の株を朝日新聞社に高額で売却をしています。かなり話題になりました。
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2. 2011/04/25 02:47 孫氏は商工中金も売却しないという約束で引き受けておきながら結局、約束を破り売却しました。(あおぞら銀行)どんなに便利で使い易いかもしれませんが大事な通信手段をソフトバンク系に委ねたくはしません。
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auやdokomoなど電波利権総務省談合詐欺電話会社は7月からの電話帯域の切り替えが遅れて自社が投入した新機種が損失を出すことがいやで追随しないだけである。
被災者のために無料通話用の旧式機を配れば新機種への強制切り替え官製談合商売の目論見が大きく狂うからね。
ちょうどテレビの地上波デジタル放送全国強制全面切り替えが被災地3県ではできなくなったように。
たしかに孫氏もかならずしも純粋に商売抜きで無償配布配信しているわけではないが、他の官製談合電波利権癒着利益至上主義の電話業者に比べればはるかに公共の利益電話使用者国民の利便向上につくす電話業者として優れている。まず第一に顧客のニーズに柔軟に全力でこたえるのが公共インフラに携わる業者の武士道でありノブレスオブリージュである。
対して最も国民の利便向上のためだけに尽くさなければならない公僕としての責務を負う総務省行政の、電波利権汚職談合随時契約(NHKおよびau&docomoとの不公正取引)は国民と国家に対する叛逆行為そのものである。総務省の課長以上の役職公務員をすべて公務員法違反公正取引法違反で全員摘発逮捕全員懲戒罷免しなければならない。同時に総務省の違法行政である地上波デジタル全面移行と携帯電話帯域変更を直ちに破棄中止する。官製談合にかかわったNHKおよびau&docomoの利権提供者企業経営陣には公正取引法違反および贈収賄罪で刑事処分民事処分を科す。さらに公正な競争を阻害する憲法違反のNHK放送法を直ちに破棄し、NHKテレビ部門を経営陣総入れ替えして民間会社化する。
総務省に限らずすべての霞ヶ関省庁は全身官製談合行政汚職犯罪組織でありそれ以外の何者でもない。また「司法」と詐称して霞ヶ関官僚と法務省職員公務員だけで組織される最高裁という「行政機関」は法匪の法匪による法匪のための匪法機関である。霞ヶ関は検察という法匪の飼い犬をけしかけて国民を匪法最高裁で冤罪有罪判決し投獄することを常習している人権無視国家でもある。
霞ヶ関が日本国憲法を無視して恥じることが無いのは、在日米軍の治外法権にべったりと癒着して「思いやり予算」という賄賂献金で自分の後ろ盾についてもらっているからである。
霞ヶ関法匪官僚が恃みとする在日米軍の日本国土内治外法権は日本国憲法の埒外にあり、二国間条約である日米安保条約のうちの地位協定規定に基づいている。
地位協定は人権上の不平等条項のみで成り立っており、これを直ちに破棄しても安保条約上何の問題もないことは国連の人権監視委員会の査察を受けるまでも無く独立国家同士の共通認識国際法上の常識である。
霞ヶ関を解体再建するためには地位協定破棄=対米独立が絶対必要条件である。日本が国難から復興するためには霞ヶ関解体再建が絶対必要条件である。
対米独立するためには国会で地位協定単独破棄決議するだけで必要十分条件が満たされる。独立不羈の日本復興のリーダーたらんという気概ある国会議員はただちに地位協定破棄可決動議を衆議院へ提出せよ。
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1700万円を自民側に献金=東電役員、07年から3年間-「組織ぐるみ」の指摘も あややの夏
http://www.asyura2.com/11/senkyo111/msg/341.html#c16
コラム・社説 - AGARA紀伊民報
http://www.agara.co.jp/modules/colum/article.php?storyid=209490
「原子力村」の犯罪
「原子力村」という言葉がある。原発を推進することで互いに利益を得てきた政治家と企業、研究者の集団を指すそうだ。福島第1原発の事故以来、新聞などでよく見掛けるようになった。
▼例えば、毎日新聞は20日の1面で「東電の現役幹部やOBらの自民党に対する政治献金が07年から09年までの3年間で2千万円超に上る」「原発で想定される津波の指針を決めた土木学会の部会は委員の過半数が東電を含めた電力関係者だった」と書いている。
▼さらに「東電は研究機関との結びつきも深く、東京大などで開設中の寄付講座に総額5億円を拠出」「接待代わりに研究者向け原発見学ツアーを組むこともある」と続ける。
▼マスコミも例外ではない。15年ほど前、ある新聞社の友人から「電力会社で1時間ほど講演したら、ウン十万円の講師料をくれた」と聞かされたことがある。僕の勤めていた全国紙で、ある支局長が法外な講師料の伴う電力会社の講演会で講演したことを理由に処分されたのもそのころだ。
▼こうした癒着の構造について、内田樹神戸女学院大名誉教授は『サンデー毎日』24日号で「大学の原子力工学科を卒業した人間には電力会社に入るか、大学で原子力工学を教えるしかない」「原発がなくなると失業する人間に原発の安全を議論させること自体が間違っている」と書いている。
▼日本の再生は、こういうシステムをたたきつぶすことから始めるしかないだろう。 (石)
(2011年04月25日更新)