2011.03.18 (Fri)
自衛隊の注水作業もいまのところ効果なし

福島第一原発1~6号機の状態推移(産経)
集中的に注水作業が行われた3号機は、上のグラフを見ていただければお分かりの通り、燃料棒の炉心溶解が進んでおり、使用済みの燃料棒を冷やしているプールの水もほとんどなくなっている。プールが必要とする水量は約1千トンであるにもかかわらず、自衛隊ヘリのバケットの容量は、最大約7.5トン。昨日はヘリが2機出動し、計4回、30トンの空中注水が行われたが、的をはずれ、ほとんど効果がなかったと言われている。
その後の警視庁の高圧放水車を使った注水も、現場の放射線濃度がかなり高く、すぐに退散してしまったため、どれだけの注水が行われたかもわからないまま、ほとんど効果なしだったようだ。
注水で思い出されるのが、日本の捕鯨船からシー・シェパードの乗組員のボートにすごい勢いでかけられた水。あの捕鯨船を使って海から水をかけることはできないのだろうか。海から原子炉までは遠すぎて届かない場合は、民間会社から、コンクリートを注ぐトラックを貸したいとの申し出があったそうなので、そのトラックに捕鯨船から海水を放射して注水してもいいのではないだろうか。
また、原子炉の建屋のコンクリートが破壊され、使用済みの燃料棒を冷やしているプールの水がなくなり、燃料棒がむき出しの状態になっているという。核分裂反応が再び始まる「再臨界」に至る可能性を指摘する声も一部にはある。それを避けるためにも、壊れた建屋をすばやくコンクリートで囲いこむ必要がある。その作業にコンクリートを注ぎ込むトラックを使用するべきではないか。時間は限られている。日本を救うために、リーダーの正しい即断と即行が求められている。
今日は、ロサンジェルス・タイムズのニュースをお伝えしよう。
High radiation levels hamper efforts to cool Japanese reactors
By Thomas H. Maugh II, Los Angeles Times
March 17, 2011, 11:51 a.m.
(和訳)
高い放射線濃度が、日本の原子炉冷却作業の障害となる
自衛隊は、震災で被害を受けた福島原子力発電所のメルトダウンを食い止めるための最後の手段である注水作業をおこなったが、高い放射線濃度のため、ヘリコプターと放水車を使うのを途中であきらめざるをえなかった。ヘリコプターから散布された約30トンの海水は、大部分が目標をはずした。
木曜の朝、自衛隊のヘリコプターは原子炉に約30トンの海水を4回にわけて投下したが、ほとんどが的をはずした。もし可能ならば、再度海水の投下を行うと発表している。
ヘリコプターからの注水作業のすぐ後、通常暴動が起きたときに使われる警察と自衛隊の高圧放水車が原子炉に向けて放水したが、高い放射線が検出されたため、途中で退散した。
もう一つの残念なニュースは、福島原発を所有する東京電力社が、外部の送電線から電気を送る工事が完了するのが、もっとも早くて金曜日になってしまうと伝えたことだ。当局は、当初、木曜日の午後に新しい線が繋がれることを希望していた。
その工事が終わると、送電線が原子炉の弁とコントローラーと、4号機、5号機、6号機の原子炉上部にあるプール内の使用済みの核燃料に水を送る冷却ポンプへ電気が供給されるはずだ。しかしながら、1号機、2号機、3号機に関しては、水素爆発によって建屋が破壊され、それらの原子炉用の冷却装置が損害を受けた可能性があり、2号機の格納容器を破損した恐れも考えられるので、送電線は役に立たないだろう。
ヘリコプターは、原子炉内の上部にある使用済みの燃料が置いてあるプールの新しい写真を撮影したが、4号機のプールには、一滴の水もないことが確認された。東京電力は、プール内の燃料棒は部分的に蓋で覆われていると言っているが、米NRCのグレゴリー・ジャッコウ会長によれば、プールは乾燥して、燃料棒はむき出しになっており、高レベルの放射線を放出しているのというのが、彼の知りうる情報の中で最も信用できるものだと水曜日に発表した。
新しい写真には、明らかに、プールから上がっている煙や水蒸気は映っていない。
特に4号機は、少なくとも135トンの燃料棒を含むので、使用済みの燃料プールは懸念のもととなっている。さらに、その使用済み燃料棒は格納容器内部にはないため、もし、それらが燃え始めれば、灰が直接地上に放出されてしまう恐れがある。
東京電力は、水曜日の夜、元いた50人の職員に加え、少なくとも320人の職員を現地に動員した。米NRCのジャッコウ氏は、高水準の放射線のため、彼らの防護服にもかかわらず、労働者の多くが致死量の放射線を浴びて苦しむ恐れがあると言った。そのため、多くの労働者は、会社が、短時間のシフトで交替させるなら、現地で働くつもりがあるとしている。
原子炉の放射線濃度は、劇的に変動した。あるときは、毎時10ミリシーべルトまで上昇した。このことが、労働者が放射腺をあびることのできる時間を制限している。
ニュースの深層3/17(木)「福島原発事故 メディア報道のあり方」も必見だ。
日本人は、一般市民も政治家もほとんど日本の原発の現実について知らなすぎる。上の動画は、3部ある中の1部だが、ノンフィクション作家の広瀬隆氏が、福島原発を初め、日本の原発について、とてもわかりやすくその現実を解説している。市民のMLで、広瀬氏の発言をまとめてくださったものがあったので、ここに引用させていただきたい。
現在の福島第1原発は、冷却のための電源がなくなったのが最大の問題であり、津波の際に真っ先に電源を回復させるべきであった、この冷却が重要であり、外から水をまいてもあまり効果はないとのことでした。また、原子炉の構造は実際は複雑であり、テレビに出てくる簡略化されたようなものではない、その、何百度のところに海水を入れたら塩が出て、バルブ、配管系にトラブルが起こるだろうとの事でした。そして、東京電力は原子炉のハードは知らない、作った東芝、日立の技術者の力が要る、原子力保安員など何も知れないとのことでした。
また、被曝に関して、特にNHKの情報はひどい、放射線量、1年間に浴びる限度と、1時間あたりの量を意図的に混同している、両者には8000倍の差があり、また、現地で活動している人は致死量の被曝をしている懸念がある、そして、現地で子供たちが被曝している写真はニューヨークタイムスにしか載っていない、なぜ日本の新聞が載せないのかという指摘がありました。
現状の福島第1のトラブルは、チェルノブイリのようにコンクリートで覆って放射性物質が出ないようにするしかないのでは言うことでした。そして、地震は、テレビにはまともな学者は出ていない、神戸大の石橋先生のような頼りになる人は出ておらず、今回の地震を地震予知連はまったく予知できなかった、そして、東海地震も起こる可能性があるということでした。
最後に、広瀬さんは原発は全て止めるべきであり、原発を止めても、火力、水力で十分まかなえる(電力最大の真夏の昼でもOK)、今は火力発電が打撃を受けたか、燃料なしで使えないのだ言うことで、特に浜岡原発はマグニチュード8の地震で数m隆起するところにあり、地震に原子炉が耐えられるわけはないとの指摘もありました。さらに、危険なのは若狭湾(もんじゅを含めて10数基ある)と六ヶ所村、六ヶ所村がやられたら世界破滅との事でした。
【More・・・】
High radiation levels hamper efforts to cool Japanese reactors
By Thomas H. Maugh II, Los Angeles Times
March 17, 2011, 11:51 a.m.
Workers are forced to pull back in their attempt to use helicopters and water cannons to spray the damaged Fukushima nuclear plant and stave off a meltdown. About 30 tons of seawater dumped from helicopters mostly miss their target.
High radiation levels at the Fukushima Daiichi power plant have forced workers to abandon at least temporarily their desperate efforts to spray water from helicopters and water cannons in a last-ditch effort to cool the plants and stave off a meltdown.
Helicopters supplied by Japan's military dumped only four loads of seawater, totaling about 30 tons, on the plant, before abandoning the effort Thursday morning, although officials said they would resume efforts when possible. Most of the water missed the reactors.
Shortly after the helicopters made their runs, police and military vehicles mounting water cannons normally used to control riots began spraying water at the reactors, but they too had to pull back because of the high radiation levels emanating from the plant.
Photos: Earthquake and nuclear crisis in Japan
In another disappointment, officials of Tokyo Electric Power Co., which owns the plant, said that a new power line being strung to the plant from the country's electric grid would not be completed until Friday at the earliest. Officials had originally hoped to start connecting the new line Thursday afternoon.
When finished, the line should provide power to valves and controllers at the plant and for the cooling pumps that feed water to the spent fuel pools on the roofs of reactor buildings Nos. 4, 5 and 6. The line probably will not provide any benefit for reactors Nos. 1, 2 and 3 because the cooling systems for those reactors are thought to have been damaged by the hydrogen explosions that destroyed the outer buildings and that may have cracked the containment vessel of reactor No. 2.
The helicopters also took new pictures of the spent fuel pools on the roofs of the reactor buildings and have apparently confirmed fears that the pool at reactor No. 4 has boiled dry. Although the company has been saying that the fuel rods in the pool have remained partially covered, Gregory Jaczko, chairman of the U.S. Nuclear Regulatory Commission on Wednesday said that the best information he had at that time indicated the pool was dry and emitting high levels of radiation.
The new pictures apparently show no smoke or steam rising from the pool.
The spent fuel pool is a particular source of concern because it contains at least 135 tons of fuel rods, more than is in any of the reactors. Moreover, the fuel rods are not inside a containment vessel. If they start burning, the ash will be released directly into the environment.
The company has now brought at least 320 workers onto the site, up from a skeleton crew of 50 working Wednesday night. Because of the high levels of the radiation, Jaczko said he feared many of those workers would suffer lethal radiation doses, despite their protective gear. The higher number of workers will allow the company to rotate workers through the plant for shorter shifts.
Radiation levels at the plant have fluctuated dramatically. At some times, they have reached 10 millisieverts per hour, which would limit the time workers could be exposed.

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とりあえず浜岡原発や同年代の原発を止めて安全策を講じて欲しいです。第2の福島を避けるために。
総理の談話なんかより、何故か天皇陛下の国民へのメッセージの方がいたく心にきたのは私だけ?
ゲンダイに書いてました。
さて…
開いた口がふさがらない政府ですが…
テレビで言わない事を列挙します
どなたか詳しく解る方コメ頂ければ幸いです。
原子炉には日本には
3種類あるとの事
?マーク?型
GEからまんまの
ノックダウン型(福島1/2号機)
?マーク?型
国内メーカーが改良を加えた日本仕様(福島3/4号機)
?マーク?型改
マーク?型を更に改良したバージョン(福島5/6号機)
今回ホントに炉がヤバいのはGE製
プールがヤバいのは古い日本仕様
津波の問題もそこら辺にあるらしい
(その前に津波の基準が70センチだった噂アリ)
実は衛星写真で見て欲しいのはこの
古い1/2号機は自家発電ユニットが海側にあって津波で丸ごと
もっていかれたとの事。(blog株式日記より)
しかもこの問題は
日本共産党が震災前から指摘して東電がシカトくれてたとの事。
このblogで触れてる〃塩の問題〃2ch
で作業に加わった作業員が既に投稿済み
ところでどういう訳かロシアも一応救援隊総計100名以上投入してる筈なのに外国援助隊の報道はアメリカのみ?
中国がやたら突質してる位援助してくれてる(ガソリン1万リッター等)政府からの要請とあるが…これ小沢さんかな?
柏崎原発は何故稼働出来ない? 新聞によれば(朝日か読売だったか?)この時期だから動かせないとあるが実は重大な何かがあるのか? (動いてる奴もあった筈)
などが新聞に出ない
謎なんですが… どなたか解る方コメ欲しいです
ところで年末に日本の次期主力戦闘機の選定がありますが
これでボーイングになりそうな雰囲気ですね!
放水作業をされている方たちの懸命な姿にかける言葉もありません。
無事で帰ってきてほしいそれだけです。
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