2011.03.16 (Wed)
東海地震に耐えられない浜岡原発の危険性
この地震による津波の心配はないということだけど、心配なのが、東海地震に耐えられないとされる浜岡原発2号だ。東北太平洋地震で、東海第2原発のポンプが停止したことが伝えられたが、静岡の地震による東海原発の様子はいまのところ、まだ日本のニュースでは伝えられていない。この原発の危険性を伝える記事があったので、念のため紹介しておこうと思う。
この記事は、『My News Japan』の佐々木敬一氏が、浜岡原発の設計者であった谷口雅春氏から聞いたことを取材、代筆したものだ。日付が2005年の7月13日となっており、6年前に書かれた記事だが、もし、改善が図られていない場合は、大いに参考にするべき記事だと思う。
浜岡原発2号は東海地震に耐えられない 設計者が語る
谷口雅春
08:44 07/13 2005
72年当時、自分が担当していた部分は、原子炉圧力容器内の
炉心支持構造物であった(マーカー着色部分)
実際に原子炉設計に携わり、「データを偽造して地震に耐えうることにする」との会議に立ち会ったことから、技術者の良心で辞表を出した経緯を公表し、警鐘を鳴らした設計者。しかし電力会社を広告主にもつ大手マスコミはこの事実を取り上げず、行政に知らせても音沙汰なし。東海地震が起きれば関東・関西一円に放射能汚染が広まる危険性は高く、早急な対策が必要だ。「このままでは大変なことになる」という設計者の決意の証言を報じる。(取材・代筆、佐々木敬一)
私は1969年に東京大学工学部舶用機械科の修士課程を修了後、東芝子会社の「日本原子力事業」に入社し、1972年当時は、申請直前だった中部電力の浜岡原子力発電所2号機(静岡県御前崎市)の設計に携わっていました。東芝が浜岡原発の受注先の一つで、私は東芝に出向中でした。
浜岡2号機の設計者は数十人で、1「炉心構造物設計」、2「制御棒設計」、3「汽水分離機・蒸気乾燥器設計」の3つのチームに分かれていました。私は1に所属し、核燃料を支える炉心支持構造物といわれる箇所を担当していました。原子炉の中心的な部分です。
必要なデータを私が集計し、それをもとに、計算担当者が耐震計算を行っていました。
◇「この数値では地震がくると、もたない」
ところが1972年5月頃、驚くべき事態が起こりました。部門ごとの設計者の代表が集まった会議で、計算担当者が「いろいろと計算したが無理だった。この数値では地震がくると浜岡原発はもたない」と発言したのです。
原因は、第一に、浜岡原発建設地の岩盤が弱いこと、第二に、核燃料集合体の固有振動数が想定地震の周波数に近いため、とのことでした。
第一の「岩盤が軟弱」という点では、浜岡原発の建設地は、150年前に発生した安政の大地震など200年周期でM8クラスの地震が起きており、岩盤が断層、亀裂だらけで、地震に非常に弱い地盤です。しかも、今後起こるといわれる東海大地震の震源域は駿河湾といわれており、その駿河湾の震源地が、ちょうど浜岡原発の真下に位置しているのです。
第二の「固有振動数」については、地震が起きた際には、周波数があります。その周波数と、核燃料集合体の固有振動数が近い場合は、地面と燃料集合体が共振し、何倍も大きく振れることになります。耐震計算の結果、浜岡原発の核燃料搭載部分はその共振が著しく、地震が起きたらもたない、との結果が出たのです。
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◇3つの偽造
会議では、さらに驚くべきことに、計算担当者が「データを偽造し、地震に耐えうるようにする」と述べました。偽造は三点でした。
第一に、岩盤の強度を測定し直したら、浜岡原発以前に東電が建設した福島原発なみに、岩盤は強かった、ということにする。
第二に、核燃料の固有振動数を実験値ではなく、技術提供先である米ゼネラル・エレクトニック社(GE)の推奨値を使用することで、地震の周波数は近くないことにする。
第三に、原発の建築材料の粘性を、実際より大きいこととし、これにより地震の振動を減退していることとする。
私は、それを聞いて「やばいな」と思い、しばらく悩んだ末に上司に会社を辞める旨を伝えました。自分の席に戻ったところ、耐震計算結果が入った三冊のバインダーが無くなっていました。そのため、証拠となるものは何も持っておりません。
技術者の良心から日本原子力事業を辞することに。
その時の辞表。
それから1ヵ月位慰留を受けた後、私は技術者の良心に従い、警告の意味を込めて、退社しました。その後は、コンピューター関連会社など、原発とは無縁に30年以上生きてきましたが、浜岡で地震が起きたら、核が飛散する、との考えはいつも頭から離れることはなく、横浜にマンションを買って住んでいた時もありましたが、もっと浜岡から離れた方が安全だと思い千葉に移り住むなど、私の人生に暗い影を落とし続けてきました。
こういうエピソードもあります。東芝の子会社を退社してから10年ほど経ったときのことでした。私は大学院時代の研究室のOB会に参加したのですが、そこでちょうど東芝と同じく浜岡原発2号機の建設の一部を請け負っていたIHI(石川島播磨重工業)に勤める後輩と会いました。
私は、浜岡原発の耐震が持たないのを知って、会社を辞めた、と経緯を話したところ、各地の原発を回っているというその後輩は、「そう言われれば、浜岡はちょっとした地震でもビンビン揺れますね」と言ったのです。中電や下請け会社など原発関係者にとっては、そんなことは周知の事実でありながら、安全に無神経でいることに暗澹たる思いに駆られたものです。
◇関東、関西一円に放射能汚染の危険性
そして、2005年2月8日付の朝日新聞の朝刊記事に、「浜岡原発1、2号機に亀裂」とありました。地盤が軟弱な上、大きな地震も無かったのにひびが入ったのは、やはり耐震性に問題があったのではないか、と私は驚き、このままでは大変なことになると危機感を募らせ、証言を決意しました。
受理を伝える手紙だけ来たが、その後3ヶ月、音沙汰なし
その後すぐに、経済産業省の原子力安全・保安院と市民団体に告発文を出し、4月15日には静岡県庁で記者会見を行いました。経産省からは手紙の返事を受け取りましたが、「今後調べます」との趣旨が記載してあるだけで、その後、音沙汰はありません。記者会見については、結局、取り上げたマスコミは地元静岡のテレビ局や中日新聞社など、ごくわずかでした。
記者会見の折、代表幹事の記者がニヤニヤと笑いながら私に質問してきたため、不思議に思ったのですが、それは、巨大スポンサーである電力会社に楯突いても無駄だよ、という態度でももちろんあったと思いますが、それだけではない、と私は考えています。記者の薄笑いには、「そんなわけがないだろう」との意識が働いていた、と考えます。
後で気づいたことですが、地元静岡では、事実とは逆に、「浜岡原発の地盤は福島原発の地盤より強い」との中電の言い分が、広く浸透しているのです。それは、反原発を訴える人々や記者の人々ほど、そう思い込んでいるように見受けられました。
中電が原子力委員会に提出した浜岡原発2号機の設置申請書には、参考資料として、電力中央研究所のレポートが添付されました。電力中央研究所とは、電力会社の出資による財団法人で、国からの委託も受けており、御用学者を動員し、原発を推進している機関です。そのレポートに、福島原発に比べ、浜岡の岩盤は強かった、との嘘の主張があるのです。
地元の人々にしてみれば、「安全であってほしい」との願いが、安易に中電の話を信じさせてしまっている、と感じました。
早急に対策を打たなければ取り返しのつかない大事故につながってしまいます。それは、一地元住民だけの問題ではありません。地震が起き、原発が破損するということは、核分裂生成物が外に漏れるという事であり、東京・大阪を含む関東・関西一円が放射能に汚染される、ということを意味するのです。
【シミュレーションの状況設定】
■事故想定:突然、1~4号炉のうち2号炉がメルトダウン事故(BWR1タイプ)。
■事故原因:ミサイルテロ、東海地震、等考えられるが、ここでは特定しない。
■風向き:年間のうち御前崎で観測される約7割の南西風(偏西風)
■日時:実測の大気データ2002年8月9日で拡散した場合
◆放射性物質発生データ提供:京大原子炉実験所(小出裕章助手)
◆拡散分布シミュレーション計算協力:鈴木基雄(元日本気象協会調査部)
引用: 「浜岡原発、巨大地震対策虹のネットワーク」より
チェルノブイリ原発事故の汚染を浜岡に当てはめると、近畿地方と関東一円から新潟に至る広い地域で長期間、人が住めない程の放射能汚染が生じます。
参考:「放射能の風はこうして首都圏まで流れてくる!」
また、浜岡2号機から放射能が放出され、東京方向が風下と想定した場合、放射能汚染によりガンで亡くなる人数は176万人に達し、名古屋方向が風下なら95万人が死亡する、との試算もあります。(京大原子炉実験所の故・瀬尾健助手の開発したプログラムをもとに同研究所の小出祐章助手が計算した「ガンによる死亡予測」より)
しかも、これは2号機に限った予測であって、5号機までの全てに原発震災が起きた場合は、この程度ではすみません。
原発は、エネルギー政策の一環として、国策でつくり続けてきました。最近いろいろ調べてみて思ったことは、国と電力業界、原子力産業が一体となって、人々の安全を無視し、つくり続けているということです。
浜岡に地震が起きた時、どういう事態になるのか、想像するだけで恐ろしいことです。そして、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
+++ 記者コメント +++
7月26日発売の月刊「WILL」に掲載予定でしたが、広告主(発売中の号には4頁も広告があることが判明)ということで急遽、取りやめに。タブーがない税金ネタに差し替えました。やはり原発はマスコミタブーです。メディアリテラシーを持たない国民は、残念ながらそれに気づけない。事故が起きてから後の祭りになりかねないわけですが…。(編集)
東海第2原発ポンプが停止 「冷却に支障なし」
2011/03/14 04:05 【共同通信】
東日本大震災の揺れで自動停止した茨城県東海村の日本原子力発電東海第2原発で、原子炉の圧力抑制プールの水を冷やすためのポンプ2台のうち、1台が地震当日に停止していたことが、13日までの茨城県への報告で分かった。
茨城県原子力安全対策課によると、もう1台は動いており、冷却には支障はないという。同原発の原子炉には全ての制御棒が完全に挿入されているとしている。
日本原子力発電安全管理室は「炉心は問題なく冷却されている」としている。
メールで名前と住所を送って、『予想される東海地震の震源域で運転されている浜岡原子力発電所の運転の停止を願う要望書』 への賛同しよう。

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東日本大震災後、
東海地震の震源域に住んでいる静岡県の人々が、なぜ『浜岡原発の停止』の声を上げないのか、疑問に思っていました。至れり尽くせりの恩恵を受けている御前崎市はともかく、近隣の自治体は原発のリスクだけを背負わされているのに。
地震後、地元のTV局が浜岡原発の緊急特集を放映しました。
その内容は驚くべきもので、
浜岡原発は東海地震が起きても大丈夫なように設計されている…福島原発の事故を受けてこのような対策をしている…等々、浜岡原発の安全性を強調するものでした。
最後にインタビュアーが中電の技術責任者と思われる人に
『東海地震が来ても本当に大丈夫なのか』との質問をしたとき、その技術者は『明日地震が来ても大丈夫』と言い放ったのです。笑みを浮かべながら…。
私は強い憤りのために涙さえ出ました。
ただただ情けなくて。この期に及んで、まだ電力会社やマスコミは誤った情報を発信し続けるのかと…。
静岡に限らず原発のある自治体に住む人々は、みんなこうして原発安全神話を信じ込まされてきたのでしょう。
絶対に安全な原発などあり得ないのに…
今日、住民の一時帰宅を行いましたが、その一方やっと政府が原発20キロ圏内のペット救出に動き出すようです。
あまりの対処の遅さに、本当に腹が立ちます。
マスコミも余りその事について報道しません。
さっきのニュースなどではゲストが、「(一時帰宅で)思い出の品に見入ってしまうのだから、もっと機会を何度も増やしてほしい」なんて呑気な事を言っている。思い出の品より生きてる命ではないでしょうか。
後、データ捏造の件ですが、別の複数の研究機関等で分からないように行われているようです。そのため、原発関係者がデータ捏造と言っても、全く驚きません。悲しい事ですが、日本って、実はその程度の国です。
きっと静岡新聞は、中部電力からがっぽりと広告費をもらっているのでしょう。なさけないですね。こういう新聞は購読をやめるのが一番です。
浜岡原発のみならず、日本全国の原発の廃止を希望します。 危険をいつも隣り合わせにしてまで、便利さは求めません。 東海地震が確実に起きるとされている今、"大丈夫"なんて言ってられないんです。 地震大国に原子力発電は必要ない!
こんな時なので、はっきりとした情報が入らず…本当なら、人間じゃあありません。
沖縄高江は、どういう状況なのでしょうか…
ただちに近辺の自衛隊・米軍を総動員して救助に向かわせ、全国各地の自衛隊基地・米軍基地を原発事故難民キャンプとして使用するよう首相命令を出せ。
米軍基地使用に地位協定が邪魔になるなら衆院本会議を緊急に開いて地位協定破棄決議を可決即施行すれば済む。
ただちに近辺の自衛隊基地・米軍基地を原発事故難民キャンプとして使用し、そこに被曝避難国民を収容保護するよう首相命令を出せ。
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福島原発-1では、メルトダウンして2ヶ月以上経って、圧力容器と格納容器に穴が開いている1,2,3号炉の新たな核爆発が切迫している。
その上、東海・東南海・南海・日向灘連動の「西日本大地震」+大津波+原発爆発(震源近くて活断層上の浜岡原発・猛毒PuとUのMOX燃料の愛媛県伊方原発・同佐賀県玄海原発・活断層上の鹿児島県川内sendai原発の爆発)の3大破局が目前に切迫している。
1都6県の首都圏は壊滅し、その住民4240万人は、浜岡原発大爆発で福島原発-1との挟み撃ちになる。国内に避難先はない。海外避難が必要になる。
中部・近畿・中国・四国・九州も壊滅する。
だが菅亡国内閣はそれらへの緊急対策を何もやっていない。知らん顔で、G8会議でサルコジと握手しながら笑っている。背任・国家反逆罪・過失殺人罪だ。
国会でも金権奴隷・ゾンビ低脳の首相・閣僚・議員らが、民主、自・公から共産まで全与野党と共に、議論から除外して、国民を騙している。
日本人全滅の危機が迫っているのに、この亡国のていたらくだ。直ちに菅亡国内閣打倒のため数百万の首相官邸前デモに決起せよ!
http://gold.ap.teacup.com/tatsmaki/84.html
YouTube=
欧州放射線危機委員会のバズビー教授の指摘:「福島原発-1の爆発は水素爆発ではなくて、核爆発だった。日本人は既にチェルノブイリ事故以上の放射線被曝を受けている」
映像:http://www.youtube.com/watch?v=5PFRQ4jDUE4
当方はそれより前に、それを指摘していた。
PuとUのMOX燃料使用の3号炉が核爆発したキノコ雲の写真を見よ:
http://gold.ap.teacup.com/tatsmaki/82.html