2011.02.01 (Tue)
社会保障制度改革の実体
村上龍編集長が発行するJMMの『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』シリーズの中で、今日届いたメルマガに、信州大学経済学部の昭夫教授が、とてもわかりやすく菅政権による社会保障改革について書かれていたので紹介したい。
真壁教授によると、現状では、消費税を増税して、その上大幅に社会保障のベネフィットをカットしない限り、日本の財政状況の悪化に歯止めをかけるのは難しいと述べられている。あくまでもこれは、真壁教授の個人的見解に過ぎないけれども、「限りなく真実に近いブルー」だと思う(笑)。
■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』
Q:1149 消費税増税で社会保障はどの程度の改善・改革が見込めるか
◇回答
□真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
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■今回の質問【Q:1149】
増税率にもよりますが、消費税増税を社会保障目的とした場合、 社会保険(医療
・雇用・介護保険など)、生活保護、社会福祉(障がい者・老人・児童・母子福祉)、
さらに税方式の年金システムなど、どの程度の改善・改革が見込めるのでしょうか。
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村上龍
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■ 真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
まず、わが国の予算に占める社会保障費のマグニチュードについて整理します。2011年度の民主党の予算案を見ると、一般会計の予算総額は約92兆円4千億円です。その中で、社会保障費予算分は約28兆7千億円です。ということは、予算案全体の約31%が社会保障に関する歳出ということになります。また、国債費や地方交付税交付金などの既に歳出が決まっていて政府の裁量の余地のない部分を除く、一般政策経費の約53%を占めています。この数字を見ると、わが国の予算の中で、社会保障費が占める割合が高いことが分ります。
一方、政府の収入である歳出についてみると、2011年度の税収は約40兆9千億円と予想され、今年度も、昨年度と同じように44兆円を超える国債の発行が必要になると見られています。国債の発行額が、税収を上回る事態が続くわけです。その結果、国債の発行残高は雪だるま式に拡大することになります。
米国の有力格付け会社であるS&Pは、1月27日にわが国の格付けをAAからAAーにダウングレードを行いました。同社のダウングレードの基本的な見方は、わが国の政策当局が財政を立て直せるか否かに疑義を持っているようです。つまり、政策当局が実効性のある対応策を打つことができず、いずれかの段階で国債発行残高が返済能力を超え、長期金利が上昇することに警鐘を鳴らしていると考えられます。
そうした事態を防ぐために、民主党政権は消費税率を引き上げると同時に、社会保障制度全体を改革することを考えているようです。そうした改革の意思は、民主党外から与謝野氏が入閣したことにも表れていると思います。
財政の立て直しの観点から、税制と社会保障スキームの一体改革を見ると、基本的に、税収を増やして、なお、社会保障で国民が受けるベネフィットを減らすことは避けられないでしょう。現在の経済状況で消費税率を1%引き上げると、約2兆円程度の税収が増えるといわれています。ということは、社会保障費を消費税で賄うためには、消費税率を10数パーセントまで引き上げることが必要になります。
その場合、二つの問題があると考えます。一つは、消費税率を一度に現行の2倍にすることは現実的ではないでしょう。そんなことをすると、わが国の経済を過度に冷やしこんでしまうからです。段階的に時間をかけて税率を引き上げることになると思いますが、その間にも、財政状況の悪化が続くことになります。それを防ぐためには、社会保障のスキームを改革することが必要です。
具体的に社会保障の制度改革を行うということは、国民が受けているベネフィットを低下させることになるはずです。国民にとっては痛みを受けることになります。本当に、そうした政策を打てるかどうかがポイントになることでしょう。個人的には、現在の民主党政権が、そうした政策を実行できるかと言えば、かなり大きなクエスチョンマークがつくと考えます。
もう一つ、わが国は少子高齢化が加速していることもあり、現在の社会保障のスキームでは、毎年、社会保障費は自然に増えます。ですから、消費税率を引き上げて、一時的につじつまを合わせたとしても、時間の経過に伴って、社会保障費が膨らみ、財政赤字が増加傾向を辿ることが考えられます。
これらの事を総合的に考えると、消費税率の引き上げと、かなり思い切ったベネフィットの縮小を含む社会保障制度の改革を断行しない限り、わが国の財政状況の悪化に歯止めが掛からないことになります。重要なポイントは、政府が、増税・社会保障の制度改革という不人気な政策を実行できるか否かということになります。それに対する一つの選択肢として、選挙を実施することによって、国民に事態の重要性を喚起した上で、直接賛否を問うことも検討に値すると考えます。
信州大学経済学部教授:真壁昭夫
鳩山政権では、将来的には沖縄米軍基地を国外に移転したり、年間12兆6千億円の税金を無駄にしている天下りを根絶したりして、無駄な税金を省こうとしていた。又、官房機密費の透明化をはかり、記者クラブを解放するつもりだった。しかし、菅政権では米軍基地をそのまま沖縄に居座らせ、つい先日、前原売国奴害相が米国への思いやり予算の1881億円を5年間維持することを発表した。天下りを廃止することもとっくに忘れられている。官房機密費に透明性を求めるほうが間違っているといわんばかりに、マスコミとグルになって意味のないパフォーマンスに過ぎない仕分けで、国民の目を眩ますことだけに必至になってきた。
本来なら日本の悪化した財政を立て直すために民主党が一丸となって経済回復に取り組むべき時なのに、経済オンチの菅政権では何一つ日本経済促進のための政策は実行できず、そればかりか、小沢一郎氏を離党させることに必至になり過ぎて、党を二分させる始末。結局、最も被害を被るのは国民だ。国民は、経済が悪化する中、増税と社会保障の縮小のダブルパンチを強いられることになるのだ。
米国、官僚、大企業、大手マスコミらの悪徳ペンタゴンを温存し、国民には痛みを強いるのみ。これでは自民党政権とどこが違うのか。あまりに国民を愚弄したお粗末な空き菅内閣は、いますぐ総辞職して欲しい。

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ヨーロッパなどでは国によってはかなり社会保障が整備され、しっかりと作られてますが、逆にそうでは無い国もまだまだたくさんあります。日本の社会保障制度も、安心して暮らしていけるものになれるよう、頑張らないといけない気がします。
早ければ3月、遅くても夏にはまた奸は遍路に戻ることになりましょう。そして旅に病み寂しき最期を迎えると私は確信しています。
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ふつう冤罪被害者を批判するか?
ふつうの感性を持っている人なら冤罪被害者より他の
もっと悪い連中を批判するはずだが、
無能な奴は順番と言うものを知らない。
だいだい収入が1000万の者も200万の者も
同じ貧乏人と真顔で言う精神障害者に
日本語など通用するわけがない。
あんなものがしたり顔でリベラルを説くところに
日本の左派の限界がある。