理想論でしかない「再チャレンジ支援策」の虚しさ
まずは、『幸せになるために』のYohkoさんが「「再チャレンジ支援」は幻想 − 負け組を固定化」という記事の中でこの再チャレンジ政策を芥川龍之介の「くもの糸」に例えて鋭く批判している。
『喜八ログ』では、「再チャレンジ支援議員連盟名簿」を公開されている。その顔ぶれを見ると山本一太を初め、どれも安倍が総理になったときに恩恵を受けたいがために安倍を支持しているなさけない政治家の名前がずらりと並んでいる。来年の参院選ではこういった政治家には投票しないようにしよう。
『否定的意見。』の「支援策は、「余計なお世話」になるだろう。」では、単に表面的で、中身のない政策は「議論の根本を押さえていない空論」でしかないとこの政策に否定的な見解を示している。
その他、安倍氏乗り気 世間は… 『再チャレンジ』考(東京新聞)から、さまざまな批判を引用する。
五日の大阪でのふれあいトーク参加者より:
「ここに来ている人は、みんな再チャレンジしたいと思っている。再々チャレンジの人だっている。いま、自分らが実際にしていることを政治のキャッチフレーズで言われてもね」
渋谷のハローワークに訪れた男性(45)は淡々とこう語った。失業して一カ月。雇用が良くなっているという実感はない。求人票はたくさん寄せられているが、条件が良いところには二十人、三十人が殺到する。家族を養わなければならず「どんな給料でも」と割り切ることはできない。
「再チャレンジはよい考えだと思うけど、現実的には難しい。『ゼロから再チャレンジします』と言ったところで、果たして受け皿になる会社があるのか」
白髪の紳士然とした男性は「私も再チャレンジしっぱなし。もう六十七歳だから」と穏やかに話す。求人票には「年齢、性別問わず」と書いてあっても、実際には年齢がネックで面接すらままならないという。
「再チャレンジ」への感想は「理想ですね」と苦笑い。その一項目にある「七十歳まで働ける企業を。最終的に定年制のない社会を目指す」の記述には、思わず吹き出してしまった。
リストラの現場で格闘する東京管理職ユニオンの安部誠書記次長:
「公務員の中途採用を推進するというが、今は公務員自体を減らすといっている。政策金融にしても、弥縫(びほう)策としか思えない」
「政府は労働契約法制や労働時間法制の改正で、サラリーマンを取り巻く状況を今より悪くしようとしている。再チャレンジどころではない」と怒りの声を上げる。
政府が検討中の労働法制の見直しは、解雇規制の緩和や労働時間規制の適用除外拡大が含まれる。「残業代なしで長時間労働を強いられるサービス残業が適法化されるうえ、解雇もしやすくなる。景気回復も上位の二割ぐらいでお金が回っているだけ。誰がチャレンジできるというのか」
「希望格差社会」の著書がある東京学芸大の山田昌弘教授:
安倍氏の視点を一定評価しつつ「再チャレンジだけでは解決しない問題もある」と注文する。
「第一に単にやる気のなさではなく、やる気をなくさせるような仕事が多い。第二に、何回チャレンジしてもダメだった人をどうするのか。収入格差は仕方がないにしても、機会の均等だけでは不十分。機会均等の前段階である能力を付ける機会の均等が必要だ」
共同生活などを通じ、引きこもりや不登校の若者の再スタートを支援するNPO法人「ニュースタート事務局」の二神能基(ふたがみのうき)代表:
「問題意識を持ってもらえるのはありがたいが、再び上昇志向の競争に入っていく再チャレンジでは、若者はもっとしんどくなる」と心配する。
二神氏が求めるのは、多様な生き方が認められる「雑居」社会。ニートを減らすより、その良さを生かすことが大事だと訴える。
「再チャレンジしたくない人もいる。スローな社会がよいという考えだ。また上昇気流に乗れるよ、だから再チャレンジしようというのは下品で貧乏くさい。再チャレンジがニート狩りになってしまうと困る」
「しのびよるネオ階級社会」の著者で、ジャーナリストの林信吾氏:
「安倍さんのような生まれ育ちの人にノンエリートの苦しみが分かるのか。大切なのはまじめに働けば、公正な機会が保証されること。それは企業のあり方とも絡む。それが、どこまで分かっているのか」と首をかしげる。
格差社会については「グローバルスタンダードだという人がいるが、元凶は長い不況。企業が労働力の買い叩(たた)きをせざるを得なくなった」と解説する。
「政治家が『格差がこれだけ広がってしまい、まずいから何とかしよう』というのは、甘いものを食べ過ぎて虫歯になったから、神経抜いてしまえ、というのに等しい。再チャレンジ支援も対症療法。食生活の改善抜きに効果はない」
東京新聞のデスクメモ:
首相の諮問機関「規制改革・民間開放推進会議」が先月二十一日に提出した意見書には「採用しやすくするため」に解雇規制の適用除外増をにおわせる。退職の勧奨、強要を防ぐ規制を外せとも。再チャレンジ策はいわば「蜘蛛(くも)の糸」。だが、地獄の間口を広げておいて、糸を垂らすのなら本末転倒だ。(牧)
「再チャレンジ」支援政策などと一見国民に就職の機会を与えているようなタイトルがついているが、もし、これが逆に次から次へと新しい労働者を雇用しやすくするために、雇用者が少しでも気に入らない労働者を簡単に解雇できる政策に繫がることになるとしたら問題である。Yohkoさんも書かれていたとおり、これまでも「障害者自立支援法」、「全国青少年健全育成会」などのようにまるで障がい者や青少年のためのものであるかのような法案名や団体名をつけておいて、実態は逆に障害者を阻害するものであったり、暴力団の隠れ蓑であったりすることがあるが、今回の「再チャレンジ」支援政策も、「再チャレンジ」とは名ばかりで、実は負け組みをさらに立ち上がれないほど打ちのめす政策である可能性もある。
上記で批判されているごとく、単なる理想論でしかあらず、実際の問題に全く対応していないことも明らかだ。総裁選に向けての国民向けのリップサービスと見るのが適当だろう。来年の夏の参院選で敗れた後に「再チャレンジ」することになるであろう自民党や安倍自身に向けての皮肉のようにも聞こえないでもないが・・・・(笑)。





















