2006.08.05 (Sat)
安倍の恥書『美しい国へ』批判
今日は安倍の恥ずかしい恥書「美しい国へ」につてい森田氏の批判を紹介しよう。他の意見も後ほど追加したい。
2006.7.29 森田実の言わねばならぬ[248]
次期首相の最有力候補者を甘やかしてはならぬ。7月24日発売の『サンデー毎日』(8月6日号)の〈安倍本『美しい国へ』に森田実氏が“異議あり”〉の記事に関連して
「虎の威を借る狐」(『戦国策』)
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『サンデー毎日』最新号(8月6日号)に私の談話が掲載されている。安倍晋三氏の著書『美しい国へ』についての私の短い感想を、取材記者が整理したものだ。私の談話の部分のみ引用する。
《「自分について来ない人たちを『闘わない政治家』と呼んで批判するのは、思い上がりもはなはだしい」政治評論家の森田実氏は、そう強く異議を唱える。
「拉致事件はまだ解決していない。タカ派的な激しさではなく、一つ一つ地味な交渉を重ねるほうが効果的と信じる政治家がかなりいる。安倍氏は、全国民から支持されている、とでも錯覚しているんじゃないか」
靖国参拝問題に関する記述への評価も厳しい。
「首相が靖国参拝してなぜ悪い、という調子で貫かれている。それなら、自分が首相なら靖国に行くと明言すればいい」(森田氏)
だが、同書の結論は、「日本の政府や国民が不名誉なことをしたかもしれない人びと(A級戦犯など)を含めて戦争犠牲者の先人に弔意を表することは自然」 という米国の大学教授の論評を引用するのみ。
「安倍氏はあとがきに『いま、政治家としてどう行勣すべきなのか、を正直につづったもの』と記している。だとすれば、外交関係を犠牲にしても信念を曲げずに参拝を続ける小泉首相の道を進む、と宣言しなければ、つじつまが合いません」
森田氏はこう指摘し、さらに、集団的自衛権を巡る憲法改正論議などを例にとり「好戦的で危なっかしすぎる」と退けるのだ。
「平和を守り、国民の生活をよくするのが政治家の責務。闘うより忍耐が必要です。平和はもういらないというような姿勢は根本的に誤りですよ」(森田氏)》
『サンデー毎日』の記者からは、多方面にわたる質問を受けて、私の考えを数十分間話した。記事にはなっていない私の発言の要点は以下のとおり。
(1)「闘わない政治家」への侮辱的的記述に見られるように威勢がいいだけで中身がない。思い上がりが目立つ。謙虚さがない。アメリカのネオコンとマスコミという虎の威を借る狐のごとし、である。
(2)肝心のことを曖昧にしている。ごまかしているような感じすらある。どうでもよいことばかり書いてある。たとえば、首相になったとき、靖国神社に参拝するのかしないのか、をはっきり語らなければならないのに、曖昧にしたままだ。これは政治上の原則の問題であり、曖昧な態度は許されないはずである。
(3)アメリカを絶対的に信じ込んでしまっている。安倍氏は、ネオコンの代表的論客の一人、ロバート・ケーガンのアメリカ=「絶対権力を持つ怪物・リヴァイアサン」(ホッブス)との見方を肯定的に紹介している。しかし、いま世界で現実に起こっていることは、唯一の超大国・スーパーパワーのアメリカが、アメリカ自身の利益のために自らのスーパーパワーを抑制できなくなり、世界平和を乱しているということではないか。アメリカのスーパーパワーが、世界の撹乱要因になっていることではないか。
この危険性から目をそらすことは許されることではない。小泉首相は、ただただブッシュ政権に追従し、ポチのごとく振る舞った。安倍氏はこの小泉政権の路線を継承するのか、修正するのか、自らの姿勢を明言すべきである。アメリカに対しても、はっきりものを言うのか言わないのか、安倍氏は自らの政治的スタンスをはっきりと国民に示さなければならない。安倍氏は、この点においても逃げている。
安倍政治の根底に何があるのか、安倍氏に問いたい。世界平和を守り、日本国民の安全を守る決意があるのか。『美しい国へ』からは平和への強い意思は伝わってこない。政治は、本書のような、甘い抽象的な言葉の遊びではすまないのである。
世間は安倍氏に甘すぎる。政治家を甘やかしたとき、泣きをみるのは国民であることに気づくべきである。
追記:
『美しい国へ』批判が優れていると思われる記事を追加する(日付け順)。
『花・髪切と思考の浮游空間』「安倍晋三の「格差社会論」 -安倍の出方3」
『ONLY HUMAN』「美しい国の美しさ」
2006.8.4(その1) 森田実の言わねばならぬ[257]
政治家・安倍晋三氏批判第2部【10】
ポピュリズム・マスコミ依存の「志なき」安倍政治では日本は崩壊する。政治理念・政策は谷垣氏のほうがすぐれている。自民党員は「小泉・安倍催眠政治」から覚醒すべきである。自民党国会議員と自民党員は高い見識と「志」をもって行動すべきである
『再出発日記』「日本の社会保障を美国に売る人たち」(2006・8.3)
『薫のハムニダ日記』「美しい国って?」(2006.7.27)
『ヘンリー・オーツの独り言』「美しい国へ」は安倍晋三の売国宣言だ!(2006.7.22)
他にも参考になる批判があったら、是非、紹介お願いします。
- 関連記事
7月25日(火):こんな本を出して恥ずかしくないのか
http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/jingo607k.htm
~
8月3日(木):国家の「強制」による力づくの「教育改革」
http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/jingo608z.htm
まで、丁寧に批判を書き綴られています。
それを「「次期有力総理候補者の妄言集-安倍晋三『美しい国へ』を読む」」にまとめられています。
http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/abe0607.htm
安倍氏の参拝 これでは解決にならない ??
www.asahi.com/paper/editorial20060805.html
安倍官房長官がこの春、靖国神社に参拝していたことが明らかになった。
ただ、安倍氏は参拝を公表せず、きのうの記者会見でも「この問題が外交問題化、政治問題化しているなか、行くか行かないか、参拝したかしないかについて言うつもりはない」と口を濁した。
もともと熱心な参拝推進論者の安倍氏である。小泉首相の参拝も強く支持してきた。だが、内閣の要である官房長官として参拝すれば外交的、政治的な問題になるのは避けられない。ならばひそかにお参りすればいい??。こんな思惑からのことだったのだろうか。
だが、参拝を期待する人々にはその事実を知ってほしい。この二律背反を乗り越えるには、のちに報道で伝わるという形が必要だったのかもしれない。
安倍氏が認めるように、この問題は日本の政治、外交をめぐる大きな焦点になっている。口をつぐんで済まされる問題ではない。自民党総裁選の最有力候補とされる安倍氏ならなおさらだ。きちんと考えを語る責任があるはずだ。
安倍氏が首相になれば、靖国神社に参拝するかどうかが常に問題であり続ける可能性が大きい。その場合も、こうした方式で切り抜けようということなのだろうか。
大勢の警備陣に囲まれ、マスコミの目も格段に多くなる首相に、果たして可能な策だろうか。
それに結果的に参拝の事実が明らかになるのなら、この5年の小泉首相と変わらないことになる。是非をめぐって国内の世論は分裂し、中国や韓国などとの外交的な行き詰まりは続く。
ポスト小泉の時代を担う政治家には、この不幸な状況をどう乗り越えるか、明快な出口を示すことこそが求められている。ひそかに参拝するという抜け道のような手が、その答えになるとはとても思えない。
折しも、昭和天皇がA級戦犯の合祀(ごうし)に不快感を抱き、それが理由で靖国参拝を取りやめていたことが明らかになったばかりだ。
総裁選に名乗りをあげた谷垣財務相は、参拝を控えると表明した。党内ではA級戦犯の分祀論や、別の追悼施設をつくる案なども議論されている。この問題を解きほぐし、外交を立て直す策はないか、政治の真剣な努力が続いている。
急逝した安倍氏の叔父、西村正雄・元興銀頭取は死の少し前、「次の総理になにを望むか」という題で月刊誌に寄稿した。その中で、こう述べている。
「A級戦犯が合祀されている靖国神社への総理の参拝を正当化する理屈は、国内では通用しても国際的にはまったく通用しない。中国・韓国から言われたから参拝を止めるのではなく、自ら過去の戦争責任を自覚して現実的な外交を優先すべきである」(「論座」7月号)
安倍氏にも、真正面からこの問題に向き合ってもらいたい。
>特に、中国、韓国、アメリカ、南米、ヨーロッパ、ロシア、中東などなどに住んでいる人達が参加するような…
>リンクしていただければ、ときどき、読んでみたいと思います。
マスメディアの議題設定効果の術中にはまらない、ブログの一次情報発信、オリジナリティ追求ということを考えると大賛成ですが、例えばネットで読めるカナダ発信のニュースから最近の日本関係の記事を検索すると、主なものでは「中国政府招待によるカナダ人教師の南京虐殺の歴史学習」ぐらいで、後は経済関係のがちょこっとあるぐらいで、記事は本当に少ない。経済関係の記事は格段に多いがアメリカでもさほど事情は変わらず。欧州は経済関係の記事はアメリカ以下、カナダ以上くらいでしょうが、日本関係記事が少ないのは不変。北朝鮮のミサイル発射の時も、GoogleNewsをチェックしていましたが、それほど大きくも、本数多くも、長くも取り上げられませんでした。というわけで、ハムニダ薫さんの居る韓国や中国、台湾、日本のニュースが比較的多い東南アジア以外の在住者に、ご当地ニュース報道に関連してブログを書けというのは無い物ねだりに近い話。
筆者の美爾依さんがカナダにいながら日本の国内報道に関わることが多いのは残念な気がしないでもありませんが、「カナダde日本語」は、AbEndの発案者で、そのブログ・リンクの中心の役割を果たしていることを、第一等の意義として評価するべきでしょう。
本のタイトルはたまたまの偶然でしょうけど、
「美しい国へ」が売国宣言だとか、
コメント欄の「美」の使い方うんたらや、
このページにあるリンクの一つ、"忘"の漢字の意味が書いてある中文.comが私の頭でたまたま合わさって、
そう言えば、何かの映画で見た中国語で米国は美国だったと思い出しました。
ちょっと、ぞっとしてます。もし、米国(美国)へのメッセージだとしたら。。。
久しぶりにトラバお送らせていただきます。
最新記事より、こちらにトラバをしたほうが相応しいかなと思ったので、こっちにしました。
これからも真実を伝えて続けていきましょうね!
「サンデー毎日」は、発行部数約9万部という、消滅寸前の週刊誌ですが、小泉や安倍を批判する記事が比較的多く、頑張っています。新聞社系の週刊誌としては、「朝日ジャーナル」なき今、一番「左」にあたるのがこの雑誌でしょう。別に左翼誌ではありませんけど、世の中が右傾化したので、相対的に最左派になってしまってます。私だって、「左翼」のつもりなんか全然ありませんけど、中曽根やナベツネが「中道左派」だなんていわれるとんでもない時代だから、いやおうなく相対的には「左翼」ということになってしまうのかもしれません(納得できないけど)。まあ「アカ市民」なんてのは勝手に言ってやがれ、って感じですけど。
脱線しましたが、以前にも書いたように、昨年例の「B層」記事を巡る竹中の口利き疑惑を報じたのもこの「サンデー毎日」でしたし、このところ毎号のように安倍批判の記事が載っているので、買い込んでいます。AbEndには結構金がかかります(笑)。
ただ、最大の欠点は、あの勝谷の「小説」が連載されていることです。もちろんそんなもん読みやしませんけど。
ジャンクさん
Yahoo!掲示板で活躍されている方ですよね。あそこは「おすすめ掲示板」に上がっているトピ以外は読者が少なくて、影響力がほとんどないので、AbEndに参加されませんか?
ところで、日本のいまのマスコミでは、本当に、世界の状況が分からなくなっています。
私の希望としては、美爾依さんやハムニダ薫さん、suyapさんのように外国で暮らす日本人(日本人でなくてもかまいませんが日本語のできる方を希望)が日本やアジアについて報道している記事や、その人の周りの人達の意見などを知りたいのですが、そんなネットワークを作ってくれませんか。
特に、中国、韓国、アメリカ、南米、ヨーロッパ、ロシア、中東などなどに住んでいる人達が参加するような…
リンクしていただければ、ときどき、読んでみたいと思います。
今話題の中国、韓国の「反日」にしても「反日本人」なのか「反日本政府」なのか「反日本軍国主義」なのかなどなど、各国の意見、傾向についても知りたいと思います。
ほかのブログで見るような「反日」、「嫌中」、「嫌韓」など内容のはっきりしない、省略しすぎた言葉を安易に使ってはいけませんね。
よろしくお願いいたします。
BLOG版「ヘンリー・オーツの独り言」 「美しい国へ」は安倍晋三の売国宣言だ!
http://henrryd6.blog24.fc2.com/blog-entry-137.html
のコメント欄に書きましたが、このレポートが発表された同じINNSサイトはこれまでと今後の日本の外交軍事戦略の動向を見る上で重要なレポートがめじろ押しです。
ミニーさんが英語に苦労しないという能力を活用して、このサイトのwatchをしていただけると有り難いですね。
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〒he Greatest Contributor to U.S. 主権在米経済
「流れるプールで死亡した女児死亡事件」キーワードを並べれば小泉改革の象徴ではないか。
ABENDキャンペーンに敬意を表します。ハッキリと言うべきことをいっているすがすがしいブログ、好きになりました。
いつもは労働・失業問題のブログを書いているわたしのほうからも、安部のような好戦的な政治家はお断りです。貧乏でぼろぼろになりながら働いている人たちに取材すると、3世政治家なんてやめろ、と言いたくなります。