2010.03.15 (Mon)
第28回オンタリオ日本語スピーチ・コンテスト
昨日は土砂降りの中、トロント大学で開催された第28回オンタリオ日本語スピーチ・コンテストに行ってきた。なぜかいつも私がトロントに行くたびに大雪とか大雨で、運転しにくい天候となる。途中、雨でスリップした車が事故って、一部、渋滞に見舞われた。トロント市内に到着すると、雨の降りしきる中、傘もささずにカナダでのあざらし猟へのプロテストが行われていた。

渋滞のおかげで、会場には12時に到着する予定が、1時になってしまった。今回のスピーチ・コンテストには、オンタリオ州で日本語のプログラムのある大学から49名の生徒が参加した。後援は、トロント日本領事館とトロント日本基金を初め、日本経済の悪化にもかかわらず、ホンダ、トヨタ、スバル、資生堂、キャノンなど多くの日本企業が賞金や賞品を寄付して下さった。

私の日本語のクラスからは、エミリーさんというリア・ディゾン似の生徒が初級部門に参加して、「やさしいゴジラになりたい」というスピーチを披露した。内容は、一言で言えば、もし、自分がゴジラだったら、人々のために尽くすやさしいゴジラになりたいという内容だ。
ゴジラは怖い姿をしているので、最初は誰もが恐れをなして信用してくれないので、まずは一般の人々の信頼を得るために何をするかを述べた。まず、ゴジラ専門学校に行って頭のいいゴジラになって、それから、得意の泳ぎを生かして、海で魚を取ってきてそれを火炎放射で焼いてみんなに食べさせてあげる。人の信用を得るためにおいしいご馳走を用意することはとても大切だということだけど、この法則を悪用したのが、結婚詐欺師の木嶋佳苗だ(笑)。

それから、ゴジラはいらなくなった家を壊したり、震災や貧困で家を失った人々のために家を建ててあげて人助けをする。そのうち、有名になって映画やコマーシャルに出るようになる。お金を稼いだら、慈善事業に寄付したり、お金を本当に必要としている人や団体に献金する。だから、自分が有名なゴジラになれるように祈っていてくださいというような内容だ。
最初、これを読んだとき、なんとなく子供っぽ過ぎるかなと一瞬思ったんだけど、まあ、初級だし、なかなか面白いかなとも思って、このままこの内容でいくことにした。このスピーチを練習するために、かなりの時間を費やした。エミリーさんも一生懸命暗記したと思う。
当日、エミリーさんは、スピーチの三分の一もいかないところで、つまってしまい、そのまま退場してしまった。スピーチの順番は、苗字のアルファベット順なんだけど、エミリーさんは4番目だった。彼女の前にやった3人がとても初級とは思えないほど、上手だたのもあって、エミリーさんはきっと不安になってしまったのだろうと思う。
あっという間の出来事で、見ていた私もいったい何が起こったのかわからないくらいだった。これまで、何人も生徒がこのスピーチコンテストに参加したけれども、こんなことは初めてだった。
私も子供の頃、小学校の何かの催しで代表として挨拶をしたとき、緊張しすぎて途中で度忘れしてしまって、そのまま何も言えずに退場してしまったことがある。そんな経験があるから、エミリーさんの気持ちは痛いほどわかった。だから、彼女を責めることは決してできなかった。
エミリーさんがなかなか戻ってこないので、心配して楽屋裏に行ってみたら、そこにもいなかった。きっとどこかで泣いているのかもしれないと思ってずっと外で待っていたら、エミリーさんはとてもすまなそうな顔をして楽屋の中から出てきた。「全然、気にすることないよ。大丈夫だから。」というと、少し安心した面持ちで、「先生、本当にごめんなさい。」と謝った。「又、来年があるから。来年こそ、がんばろうね。」というと、「うん。」とにっこりうなずいた。
席に戻ってスピーチの続きを見た。初級部門ではなぜこれが初級なの?と思えるくらい、すごく流暢な日本語を話すスピーカーが続々とスピーチを行った。中級、上級、オープン部門でも、審査員の方々は大変だろうなと思わす人事ながら心配するほど甲乙つけがたいすばらしいスピーチがたくさんあった。3分か4分間のスピーチの中にそれぞれの発表者がまだ短い人生とは言え、最も心に残るエピソードを詰め込んだものなので、どのスピーチも本当にすばらしかった。
スピーチが終わった後、受賞者の発表があった。私がこの人は絶対に受賞するだろうと思った人は受賞せずに、なぜか、それほど印象に残らなかった人が受賞したり、クビを傾げたくなるような結果だった。恐らく、これは、私は日本語教師の立場から日本語の聞きやすさに重点をおいて評価していたけれども、審査員の方は、原稿を見ながら、評価できるので、日本語の発音よりも、スピーチの内容を重視していたのではないかと思う。
最後の授賞式ではとてもくやしそうに受賞者を眺めていたエミリーさん。そこに、ヨーク大学の女の先生がいらして、彼女の生徒も以前、エミリーさんと同じように、途中で退場してしまった人がいるんだけど、翌年、そのことをスピーチコンテストで話して、グランプリ(最優秀賞)をいただいたというエピソードをお話し下さり、エミリーさんを励ましてくれた。本当に暖かいお心遣いを感謝します。
その後、エミリーさんとそのお友達とトロントのヤング・ストリートのおすし屋さんに行って、思う存分「おいしい」お寿司をいただいきながら、スピーチコンテストの感想などを話し合った。そして、2時間くらい過ごした後、豪雨の中、家路についた。来年こそは、がんばろうね、エミリーさん。


渋滞のおかげで、会場には12時に到着する予定が、1時になってしまった。今回のスピーチ・コンテストには、オンタリオ州で日本語のプログラムのある大学から49名の生徒が参加した。後援は、トロント日本領事館とトロント日本基金を初め、日本経済の悪化にもかかわらず、ホンダ、トヨタ、スバル、資生堂、キャノンなど多くの日本企業が賞金や賞品を寄付して下さった。

私の日本語のクラスからは、エミリーさんというリア・ディゾン似の生徒が初級部門に参加して、「やさしいゴジラになりたい」というスピーチを披露した。内容は、一言で言えば、もし、自分がゴジラだったら、人々のために尽くすやさしいゴジラになりたいという内容だ。
ゴジラは怖い姿をしているので、最初は誰もが恐れをなして信用してくれないので、まずは一般の人々の信頼を得るために何をするかを述べた。まず、ゴジラ専門学校に行って頭のいいゴジラになって、それから、得意の泳ぎを生かして、海で魚を取ってきてそれを火炎放射で焼いてみんなに食べさせてあげる。人の信用を得るためにおいしいご馳走を用意することはとても大切だということだけど、この法則を悪用したのが、結婚詐欺師の木嶋佳苗だ(笑)。
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それから、ゴジラはいらなくなった家を壊したり、震災や貧困で家を失った人々のために家を建ててあげて人助けをする。そのうち、有名になって映画やコマーシャルに出るようになる。お金を稼いだら、慈善事業に寄付したり、お金を本当に必要としている人や団体に献金する。だから、自分が有名なゴジラになれるように祈っていてくださいというような内容だ。
最初、これを読んだとき、なんとなく子供っぽ過ぎるかなと一瞬思ったんだけど、まあ、初級だし、なかなか面白いかなとも思って、このままこの内容でいくことにした。このスピーチを練習するために、かなりの時間を費やした。エミリーさんも一生懸命暗記したと思う。
当日、エミリーさんは、スピーチの三分の一もいかないところで、つまってしまい、そのまま退場してしまった。スピーチの順番は、苗字のアルファベット順なんだけど、エミリーさんは4番目だった。彼女の前にやった3人がとても初級とは思えないほど、上手だたのもあって、エミリーさんはきっと不安になってしまったのだろうと思う。
あっという間の出来事で、見ていた私もいったい何が起こったのかわからないくらいだった。これまで、何人も生徒がこのスピーチコンテストに参加したけれども、こんなことは初めてだった。
私も子供の頃、小学校の何かの催しで代表として挨拶をしたとき、緊張しすぎて途中で度忘れしてしまって、そのまま何も言えずに退場してしまったことがある。そんな経験があるから、エミリーさんの気持ちは痛いほどわかった。だから、彼女を責めることは決してできなかった。
エミリーさんがなかなか戻ってこないので、心配して楽屋裏に行ってみたら、そこにもいなかった。きっとどこかで泣いているのかもしれないと思ってずっと外で待っていたら、エミリーさんはとてもすまなそうな顔をして楽屋の中から出てきた。「全然、気にすることないよ。大丈夫だから。」というと、少し安心した面持ちで、「先生、本当にごめんなさい。」と謝った。「又、来年があるから。来年こそ、がんばろうね。」というと、「うん。」とにっこりうなずいた。
席に戻ってスピーチの続きを見た。初級部門ではなぜこれが初級なの?と思えるくらい、すごく流暢な日本語を話すスピーカーが続々とスピーチを行った。中級、上級、オープン部門でも、審査員の方々は大変だろうなと思わす人事ながら心配するほど甲乙つけがたいすばらしいスピーチがたくさんあった。3分か4分間のスピーチの中にそれぞれの発表者がまだ短い人生とは言え、最も心に残るエピソードを詰め込んだものなので、どのスピーチも本当にすばらしかった。
スピーチが終わった後、受賞者の発表があった。私がこの人は絶対に受賞するだろうと思った人は受賞せずに、なぜか、それほど印象に残らなかった人が受賞したり、クビを傾げたくなるような結果だった。恐らく、これは、私は日本語教師の立場から日本語の聞きやすさに重点をおいて評価していたけれども、審査員の方は、原稿を見ながら、評価できるので、日本語の発音よりも、スピーチの内容を重視していたのではないかと思う。
最後の授賞式ではとてもくやしそうに受賞者を眺めていたエミリーさん。そこに、ヨーク大学の女の先生がいらして、彼女の生徒も以前、エミリーさんと同じように、途中で退場してしまった人がいるんだけど、翌年、そのことをスピーチコンテストで話して、グランプリ(最優秀賞)をいただいたというエピソードをお話し下さり、エミリーさんを励ましてくれた。本当に暖かいお心遣いを感謝します。
その後、エミリーさんとそのお友達とトロントのヤング・ストリートのおすし屋さんに行って、思う存分「おいしい」お寿司をいただいきながら、スピーチコンテストの感想などを話し合った。そして、2時間くらい過ごした後、豪雨の中、家路についた。来年こそは、がんばろうね、エミリーさん。

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Tags : 第28回オンタリオ日本語スピーチ・コンテスト |
トロント大学 |
|
マイケル |
2010.03.15(月) 23:44 | URL |
【編集】
それにしても,毎日ブログ更新してる人って,頭が下がります.
年度末は仕事に追われて,書くヒマがない.しくしく.
しかし,マスゾエくんは自分が総理大臣になるつもりでしょーか.だったら,かなり勘違いをしているような気もする.
年度末は仕事に追われて,書くヒマがない.しくしく.
しかし,マスゾエくんは自分が総理大臣になるつもりでしょーか.だったら,かなり勘違いをしているような気もする.
カナダは何年も前のバンクーバーしか分かりませんが、たしか日本語だけでも生活は出来ます
まあカナダ人で日本に関心がある人はだいたいはアニメが好きな人では
歌手のヒメカ(ケベック出身)もそうです
多民族国家なので、人によっては白人でも日本語に触れる機会もあるのでは
今でも、カナダは白人が大半を占めていますが、バンクーバーは中国や日本関係な人も少なくないです
入手した話しでは今はチャイナタウンや日本人街はダウンタウンイーストサイドの影響で治安が悪化して、リッチモンド(でいいかな)方向にアジア系な人が移動しつつあるそうです
>日本経済の悪化
日本(ただし地方は撃沈しました)、カナダ、フランス、ドイツはまだましですが、英国やアメリカはもうダメです
多少はエコビジネスや税金投入で一時的に改善されたとしても、もう景気回復はないです
アメリカドルが1ドル=89円とかをつけているのも、アメリカドル、いやアメリカそのものがリスキーな状態だということがバレてきているのが理由です
対外債務も山ほどありますし
まあカナダ人で日本に関心がある人はだいたいはアニメが好きな人では
歌手のヒメカ(ケベック出身)もそうです
多民族国家なので、人によっては白人でも日本語に触れる機会もあるのでは
今でも、カナダは白人が大半を占めていますが、バンクーバーは中国や日本関係な人も少なくないです
入手した話しでは今はチャイナタウンや日本人街はダウンタウンイーストサイドの影響で治安が悪化して、リッチモンド(でいいかな)方向にアジア系な人が移動しつつあるそうです
>日本経済の悪化
日本(ただし地方は撃沈しました)、カナダ、フランス、ドイツはまだましですが、英国やアメリカはもうダメです
多少はエコビジネスや税金投入で一時的に改善されたとしても、もう景気回復はないです
アメリカドルが1ドル=89円とかをつけているのも、アメリカドル、いやアメリカそのものがリスキーな状態だということがバレてきているのが理由です
対外債務も山ほどありますし
マイケル |
2010.03.15(月) 18:22 | URL |
【編集】
教え子さん残念でしたね。でもこういう大会にチャレンジしたという事自体が尊敬出来ます。勇気のいる事です。
アザラシ漁・・・調べてみるとカナダ叩かれてますね・・・。
アザラシ漁・・・調べてみるとカナダ叩かれてますね・・・。
けん |
2010.03.15(月) 15:07 | URL |
【編集】
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2010/03/15(月) 22:56:26 | 嗚呼、負け犬の遠吠え日記(新館)
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2010/03/15(月) 22:03:01 | Die Weblogtagesschau laut dem Kaetzchen
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