2009.10.04 (Sun)
映画「少年時代」
少年時代(ウィキペディア)
『少年マガジン』連載当初は、読者からの反響がまったく無く、作者(藤子Ⓐ)自身戸惑っていた。しかし連載終了後、読者からの手紙が殺到したという逸話がある。
1990年、東宝系にて篠田正浩監督で映画化され、日本アカデミー賞を受賞する。また井上陽水の大ヒット曲「少年時代」はこの映画の主題歌である。原作者である藤子不二雄Ⓐが、友人である井上陽水に曲を依頼した、という。
出演者はプロの役者だけでなく、現地の人々も採用している。
1990年には私もまだ日本に住んでいたのに、この映画のことは全く記憶にない。でも、陽水の曲を聴いて、上の動画を見て、なんか、この映画が見たくなってきた。
【More・・・】
「少年時代」YouTubeより最近、映画「少年時代」を観て良かったのでアップしました。
曲を知っていてもこの映画を観ていない人は多いかもしれない。
小説の「長い道」が、
マンガの「少年時代」となり、
マンガの「少年時代」は映画となった。
そして、陽水のつくった映画の主題歌「少年時代」は音楽の教科書に載った。
最後のトンネルを抜けて、二人で撮った古い写真のシーン。
その後、交通事故で亡くなったタケシ(小説では進)の遺影でもあるけれど、コンセプト である亡き友と自分への追憶のシーン・・・。
歌詞は隠されたテーマをすくいあげて、
「亡き友と自分への追憶」を美しく哀しく表現していると感じる。
夏が過ぎ 風あざみ
だれの憧れにさまよう
青空に残された 私の心は夏もよう
夢が覚め 夜の中 長い冬が
窓を閉じて 呼びかけたままで
夢はつまり 想い出の後先(アトサキ)
夏祭り 宵かがり
胸の高鳴りに合わせて
八月は 夢花火 私の心は夏もよう
目が覚めて 夢のあと 長い影が
夜に伸びて 星屑の空へ
夢はつまり 想い出の後先
夏が過ぎ風あざみ だれの憧れにさまよう
八月は 夢花火 私の心は夏もよう
川端康成が終戦を迎え、
盟友であった横光利一が亡くなった時の弔辞の一節。
「私は日本の山河を魂に君の後を生きてゆく」
なにか、この歌や映画の事を想うと、私の中で響きあうものがある。
そしてそれは、川端がノーベル賞受賞講演で語った「美の存在と発見」の中での主題にも つながっている気がする。
講演先のハワイの宿泊ホテル・カハラヒルトンでのテラスに整然と並べられた、常夏の陽 に個々に輝くグラス。
それぞれのグラス輝きとの邂逅は、今後、同じ条件としても二度目はない。それこそが禅 でいう一期一会。ということであった。
私は、夏の陽に輝くグラスに透明な水を入れて、一期一会を感じたような気がしている。
少年時代(ウィキペディア)より
あらすじ (ネタバレあり)
太平洋戦争末期、主人公の風間進一は東京から富山へ疎開する。そこで進一はタケシという少年と友達になるが、学校では級長であり権力の強いタケシは進一を冷たくあしらう。やがてタケシと級友達との権力争いが始まると、進一はその争いに徐々に巻き込まれて行く。
登場人物
風間進一
本作品の主人公。東京から富山へ疎開した小学5年生。東京にいた時は、クラスの副級長をしていた。東京から疎開してきたので、疎開地の学校の同級生にいじめられる。
大原武(通称タケシ)
進一のクラスの級長で番長。頭がよく、彼の父の体が弱いので親の分まで働いている。そのため回りの大人から信頼されている。しかし彼は自分のクラスを支配し、自分の言う事に背いた者はすぐに暴力を振るうため、彼の同級生からは不満をもたれている。その一方で進一には優しい面もあるが、進一がしゃくに障ることをすると、集団で進一をいじめる。ある日、中学生の不良グループからリンチされた事がる。
美那子
東京から疎開してきた女の子。校長先生の親戚の子。タケシは彼女の事が好きなのか、進一と一緒にいると決まって、進一を集団でいじめる。
フトシ
進一のクラスで副番長的な存在。無口で大柄。唯一、進一のクラスでタケシから独立しているが体が大きく力もあるためタケシは彼には暴力を振るわない。ノボル、キヨシ、コウジの3人をまとめて倒したり、タケシとのタイマンでは、タケシの用意した木刀を一瞬でへし折ったり、タケシを苦しめる等、ケンカは強い。「うるさくて縄がなえない」や「頭が痛くなる」と言いつつも進一へのいじめを止めているので、若干進一に好意を持っている様子。多少の攻撃ではビクともしない。
ケンスケ
進一のクラスでタケシのライバル。体が弱く、ずっと病院で長い間休んでいたが、進一たちが進級し6年生になった時復学した。タケシには非常に大きな不満を持っており、クラスの皆と団結しタケシを倒そうとしている。頭がよく幼稚園の時東京にいたためタケシ自身も彼のことを妬み嫌っている。タケシが中学生達にリンチされたのを知り、クラス全員でタケシに復讐の計画を立てた。
風間進二
進一の弟。東京にいた時級長をしていた。やはり進一とともに富山へ疎開した。進一には他に兄もいる。
マサル
進一と同級生。おとなしく進一には好意を持っている太った男の子。
キスケ
進一と同級生。彼もまたおとなしく進一には好意を持っている。キスケとマサルと進一の3人は仲が良く一緒にいることが多い。マサル日く素早い足の持ち主。
ノボル
進一と同級生。マサルとキスケとは違い進一に非常にいじわる。タケシのやり方には非常に不満を持っている。また、キヨシとコウジと仲が良く、タケシが進一のいじめに参加しない時はこの3人が中心になって進一をいじめる。
庵寿さん
光禅庵に住んでいる尼さん。進一が富山へ疎開した時、そこに住んでいた。明るくて優しい。
映画
原作少年時代とは若干異なる部分もある。また、原作では進一が主人公だったが、その役が進二に替わっている。進二は一人で富山に疎開する。
キャスト
風間進二:藤田哲也
大原武:堀岡裕二
須藤健介:小日向範威
田辺太:山崎勝久
佐伯美那子:小山篤子
登(浜見集落):工藤彰吾
勝(浜見集落):細池孝二
清(浜見集落):岩渕健
喜助(浜見集落):中島賢太郎
滋(浜見集落):高鉾龍
秀(浜見集落):沢田博志
野沢(五年男組):黒田垂歩
河村(五年男組):加藤隆司
光夫(五年男組):長谷川靖夫
風間修作(進二の父):細川俊之
風間静江(進二の母):岩下志麻
風間秀一(進二の兄):鈴木武次郎
風間まさ(進二の祖母):鈴木光枝
風間辰男(進二の伯父):河原崎長一郎
風間しげ(進二の伯母):三田和代
武の祖父:伊達三郎
武の弟:古川秀二
太の父:益富信孝
太の母:絵沢萌子
太の姉(昭子):仙道敦子
美那子の母:高畑淳子
修作の運転手:田村錦人
校長先生:芦田伸介
益田先生:津村鷹志
女先生:谷口朋子
風泊の駅長:大滝秀治
銭湯の老人:浜村純
本田清二:渡浩行
益田先生を殴る在郷軍人:井上博一
アナウンサーの声:天野脩次郎
写真館の主人:大橋巨泉
写真館の妻:三好美智子
鳥舞の高等科:鈴木健
鳥舞の六年生:加藤岳史
鳥舞の五年生:森岩健太郎
鳥舞の五年生:川畑健一郎
その他の児童たち:
大家庄小学校(朝日町)のみなさん
五箇庄小学校(朝日町)のみなさん
泊小学校(朝日町)のみなさん
笹川小学校(朝日町)のみなさん
山崎小学校(朝日町)のみなさん
横山小学校(入善町)のみなさん
椚山小学校(入善町)のみなさん
城端小学校(城端町)のみなさん
スタッフ
監督:篠田正浩
原作:柏原兵三、藤子不二雄Ⓐ
脚本:山田太一
音楽:池辺晋一郎
製作:「少年時代」製作委員会
藤子スタジオ
小学館
中央公論社
テレビ朝日
旭通信社
シンエイ動画
企画製作:藤子不二雄Ⓐ
主題歌:井上陽水「少年時代」
藤子不二雄A先生の不朽の名作
少年時代「疎開日記」
このページは、故・柏原兵三氏の「長い道」を原作に藤子不二雄A先生のアレンジを加えた名作漫画「少年時代」のストーリーを、主人公・進一の当時の日記として紹介するページです。
夏のある夜、僕は上野駅21時18分発の寝台特急「北陸」に乗った。
次の朝の4時頃…寝台車の窓に夜明けの日本海が見えてくる…。
4時10分、北陸本線「泊駅」に止まる。僕はここで降りた。
駅前にタクシーが一台、そのタクシーに乗りこむ…。
僕は34年ぶりにここへやって来たのだ。まるで、タイムマシンに乗って昔に戻るような気持ちだった。
やがて、かすかに記憶が残る風景が次々に現れ、僕は興奮を抑えることが出来なかった。
僕はとうとう戻ってきたのだ!この長い道に!!
僕の名前は風間進一、当時、世田谷国民学校の5年生だった。
だが、昭和19年の夏、この富山県下新川郡泉山村まで学童疎開してきたのだ。
あの日の、あの頃の日記帳が引っ越しの時の棚卸しで見つかり、急に懐かしくなってこの地に戻ってきた。
稚拙な文だが、思い出すには充分な内容だった。それだけで、当時の匂いが伝わってくる。そんな日記だ。
今日はこの思い出の地で、ボロボロになって変色してしまった当時の日記を読みながら、じっくり噛み締めたいと思う。タケシを初めとする、あの懐かしいやつらの想い出、ぼくの『少年時代』を…。
子供時代の葛藤を回想するスタイルは、日本版 『スタンバイミー』(1986)のような雰囲気がする。「少年時代」、日本語のクラスでも紹介してみよう。
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エントリーから脱線して恐縮なのですが、私の場合『少年時代』という言葉で思い出すのは、ロバート・R・マキャモンの同名の小説(原題はBoy's Life)です。ファンタジー色の濃いミステリーですが、差後に判明する犯人が私の職業と同じでいささかショックでした。懐かしく感じていたところ、最後になってキングが出てきたので、思わずコメントしてしまいました。
マキャモンの『少年時代』の序文に次のようなくだりがあります。
「わたしたちはいろんな重荷を背負わされる。いい荷もあれば、さほどよくない荷もある。」
近頃の日本の少年たちが背負わされるのは、さほどよくないというより背負う価値のない悪い荷ばかりではないか、と案ずる次第です。
脱線ついでに、「少年の成長記」が大好きで、少年たちに是非とも読んでほしいのは下記のとおり。
『少年時代』、『スタンドバイミー』(S・キング)、『ボトムズ』(J・R・ランズデール)。日本ものでは、『サウスバウンド』(奥田英朗)、『母恋旅烏』(荻原浩)、『アナン、』(飯田譲治)あたりでしょうか?
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身に余るお褒めの言葉をいただき、ありがとうございます。「きっこの日記」と一緒に朝イチでお読みいただいているなんてとても光栄です。
琵琶の小鮎さんは、文学にとても詳しいのですね。私の場合は、マキャモンの『少年時代』、『ボトムズ』(J・R・ランズデール)、『サウスバウンド』(奥田英朗)、『母恋旅烏』(荻原浩)、『アナン、』(飯田譲治)など、名前すら知りませんでした。私も少年の成長期の子供と大人の狭間でいろいろな冒険や体験をする話を回想するようなストーリーが大好きです。機会があったら、琵琶の小鮎さんが挙げられた小説をぜひ読んでみたいと思います。