2009.06.19 (Fri)
西松建設前社長・国沢幹雄被告の初公判

読売が報じるところによると、西松建設前社長は、検察側が冒頭陳述で、違法献金の動機として、東北地方の公共工事で談合が行われ、小沢事務所から落札業者を指名する「天の声」が出ることもあったと主張したことに対して、「間違いありません」と、起訴事実を認めたそうだ。
写真:初公判のため、東京地裁に入る西松建設前社長の国沢幹雄被告(19日午前9時31分)=青山謙太郎撮影(読売 6月19日)
しかし、こういった報道を鵜呑みにしてはいけない。
植草さんは、植草一秀の『知られざる真実』 西松事件初公判と政権交代実現への課題というエントリーの中で、国沢被告が起訴事実を認めた理由やこれからの報道の展開を下記のように推測されている。
検察側の主張を被告が全面的に認めているため、メディア各社は公判で示される検察側冒頭陳述の内容などを、事実同様に取り扱って報道するだろう。被告側が認めているのだから、事実と考えて間違いないとの説明を施すだろう。
しかし、この判断には大きな落とし穴がある。被告側が検察側に全面協力して、その見返りとして判決での刑の軽減を期待している場合があるからだ。
植草さんは、さらに、刑事事件の判決が下るとき、「実刑」と「執行猶予」とでは決定的な違いがあり、被告人への実体的な影響では、執行猶予の有無が決定的に重要になるので、国沢被告は「執行猶予」を勝ち取るために、検察側の主張を全面的に認めたのではないかと考えられている。
私も植草さんが述べられている通り、国沢被告にとっては、真実よりも自分の身の安全の方が大切であり、検察の主張をそのまま認めたのだと思う。第一、東北地方の公共工事で1970年代頃から行われていた談合で、小沢事務所の「天の声」を得るため、下請け企業などを通じ、西松を含むゼネコン各社が多額の献金を行っていたということだけど、思ったように工事を受注できなかったため、95年ごろは、年間300万円程度だった献金額を、国沢被告の了承のもと、1000万円以上に増額したってなんかおかしくない。普通、献金して、仕事をもらえなかったら、談合とは言わないし、献金を増額した後に仕事が受注できたのかどうかということが大切なのに、何も触れていない。
そんなわけで、前述の読売の記事は、明らかに検察が言うことをそのまま書いたとしか考えられないのだ。
【More・・・】
国沢幹雄被告の初公判では、検察がかなり強気に見える。それは恐らく、6月民主党第三者委員会の報告の中で、植草さんの言葉を借りれば、「正義の警察・検察神話の否定に一歩も足を踏み入れなかった」ことが原因ではないかと思われる。植草一秀の『知られざる真実』 民主党第三者委員会報告の限界を克服する方策
報告書は問題を丁寧に分析し、詳細な提言を盛り込んでいる点で高く評価できるが、警察・検察当局が忌避(きひ)しようとする「正義の警察・検察神話の否定」に一歩も足を踏み入れていない点に欠陥がある。
警察・検察当局はテレビメディアを駆使して、さまざまなドラマやドキュメンタリーで「正義の警察・検察神話」の流布(るふ)に務めている。
御用メディアも警察・検察との癒着(ゆちゃく)が大きな利得になることから、「正義の警察・検察神話」流布に尽力する。
しかし、今回の足利事件をはじめ、無数の現実が「正義の警察・検察神話」を粉々に打ち砕(くだ)きつつある。
民主党は今回の報告書の有用な部分を積極的に活用するべきだが、報告書が政府や警察・検察の性善説に立脚していることに伴う限界を十分に認識する必要がある。その欠陥を補うため、可能であれば、「性悪説」に立脚した危機対応策を追加的に検討するべきである。
最後に植草さんが述べられている「性善説」や「性悪説」という言葉は、次のように説明されている。
「性善説」:検察捜査が常に適正に行われているとの考え
「性悪説」:政治権力が検察権力を不正に使用することがあり得るとの考え
確かに、この報告書では、「性悪説」に立って書かれた箇所が抜けていた。「国策捜査」と言われてもしかたがないだろうと書かれていただけで、あの事件が「国策捜査」である可能性を肯定した箇所は見つからなかった。「どちらの立場に立つかによって、政党や政治家が示すべき対応はまったく異なってくる」と植草さんがおっしゃられるとおり、一方からだけでなく、両方の視点から、報告を書いて欲しかった。
第三者委員会が報告書で検察に説明責任を求めるというエントリーでも述べたように、この報告は、検察に疑問点の説明を求めてはいたが、いまのところ検察は全く無視をしている。いくら、政府でも、悪いことをしても、何も咎められなかったら、どんどん悪事はエスカレートするばかりだ。
第三者委報告では、小沢前代表が説明責任を果たしていないと書かれた部分もあったが、小沢前代表は、これに反論している。
第三者委報告に反論=民主・小沢氏
民主党の小沢一郎代表代行は12日、自身の公設秘書が逮捕された政治資金規正法違反事件を受けて同党が設置した第三者委員会の報告書で、説明が不十分だったと指摘されたことについて「政治資金の収入と支出はすべて報告している。私は一番オープンにしていると自負している」と述べ、説明責任は果たしたと反論した。松山市内で記者団に語った。
また、衆院解散に関して「(会期末の7月)28日までにできなければ、麻生太郎首相はそのまま野垂れ死にになる。だから、会期中に間違いなくあるだろう」と指摘した。(2009/06/12-17:55)
衆院解散がいつになるのかは、誰もが関心を持っていることと思う。私は麻生は野垂れ死にになると思う(笑)。自分で衆院を解散できたら、もうとっくにしていたと思うので。多分、鳩山氏を更迭すれば、任期切れの9月30日まで麻生降ろしはさせないと小泉に言われたのではないだろうか。
今後の主な政治日程 - 時事通信より
日 付 概 要
6月17日 党首討論(2回目)
6月22日 海賊対処法案の衆院再可決が可能に
6月下旬 骨太の方針2009を決定(経済財政諮問会議)
6月29日 日本郵政株主総会
7月03日 都議選告示:東京都
7月08日 主要国首脳会議(~7月10日、イタリア・マッダレーナ)
7月12日 都議選投開票:東京都
7月28日 第171通常国会会期末(55日間延長のため)
9月10日 衆議院議員任期満了
9月24日 金融サミット(~7月25日、米・ピッツバーグ)
9月30日 麻生太郎自民党総裁任期切れ
話がプチ脱線しちゃったけど、一方の与党閣僚、議員らは、民主第三者委が報告書で言及した「法相指揮権」をめぐり、森法相が不快感を示し、予党議員らにも波紋が広がっているというのだ。
「法相指揮権」めぐり波紋…民主第三者委が報告書で言及 (読売 6月19日)
西松建設の違法献金事件を受けて民主党が設置した「政治資金問題を巡る政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会」が、今月10日にまとめた報告書の中で「法相の指揮権」に言及したことを巡り、与野党から疑問の声が上がっている。
その後の記者会見で、森法相は「看過できない」と不快感を示し、民主党の岡田幹事長も「我々の考え方と全く違う」と述べた。19日に東京地裁で開かれる西松建設前社長らの初公判を前に、戦後一度しか発動されたことがない「法相指揮権」を考える。
民主第三者委:法相指揮権発動に言及…検察・識者疑問の声 (毎日6月12日)
■検察・法務省のあり方
西松事件では、検察の権限行使が野党に対して向けられた事案であるため、検察当局は自らの権力行使の正当性について、主権者たる国民に向けて踏み込んだ説明をすることが求められる。
検察の権限行使が国民の政治的選択に影響を与えることが容易に予想され、直接的な民主的正当性を持たない検察官がその権限行使に踏み切るにあたっては、幾重にも慎重な考慮がなされることが求められる。現場レベルでの判断があったとしても、法務行政のトップに立つ法務大臣は、高度の政治的配慮から指揮権を発動し、検事総長を通じて個別案件における検察官の権限行使を差し止め、あえて国民の判断にゆだねるという選択肢もあり得たと考えられる。
やはり、今回の三者委報告は、調査に限界があったことも含めて、民主党にとっても、検察や与党にとっても、当たり障りのない報告だったため、両者側から不満が噴出してしまったようだ。
最後に、西松建設献金事件のこれまでの経過を時事通信から転載する。
西松建設事件の主な経過 (時事6月19日)
2008年 6月 4日 東京地検が西松建設を外為法違反容疑で捜索
11月19日 元海外事業部副事業部長の高原和彦被告を業務上横領容疑
で逮捕
2009年 1月14日 元副社長藤巻恵次被告ら4人を外為法違反容疑で逮捕
20日 前社長国沢幹雄被告を同容疑で逮捕
2月24日 東京簡裁が外為法違反罪で同社に罰金100万円の略式命令
3月 3日 小沢一郎民主党前代表の公設第1秘書大久保隆規被告と
国沢被告ら3人を政治資金規正法違反容疑で逮捕
24日 大久保、国沢両被告を同法違反罪で起訴
5月 1日 国沢被告が保釈される
15日 西松が内部調査結果を公表。ダミー団体を使った献金総額が
約4億8000万円に上ることを明らかに
26日 大久保被告が保釈される
6月 1日 自民党二階派のパーティ券問題で、地検が同派の元会計責任者
らを不起訴処分
16日 パーティ券問題で、東京第3検察審査会が二階派元会計責任者
らの不起訴不当、国沢被告の起訴相当を議決
19日 東京地裁で国沢、藤巻両被告の初公判
(2009/06/19-06:18)
ちょっぴりごたごたのあった民主党と社民党の連立だけど、いよいよ本格的な協議に入った模様。野党共闘で、政権交代をめざせば、怖いものなしだと思うので、これからも、末永く仲良くやって欲しい。
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考えは多種多様、でも、政権交代を目指す心意気は一つのブログリストを
とらちゃんが作ってくださいました。
【政権交代】を目指すブログリスト
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という言葉があります。どこの国民も、これくらい賢く教育されれば民主主義が有意義に働くという気がします。
談合会の貴重な記録は20年以上も昔の言葉であり、時代がかった
悪党宣伝の検察体制でしかない事が見えてくる。
検察官僚が古くさい感性に惑いながら、言葉まで時代がかって
己ら検察官僚の腐った体制の実態を見せつけている。
欠席裁判の本質的目的は,今日の裁判の結果から宣伝効果をとらえ
ただちに解散総選挙に突入しようとする麻生太郎側の作戦です。
この目的効果から,同日選挙が計算され,情報として流された。
ところがどうだ・・・急速な変化に対応出来ない検察の作文は
今日現在の実態までは予測出来なかった。
国会の転換ばかりか、国民意識の転換さえも予知出来ないほどの
検察の感性でしかないことが、今日の裁判で暴露されている。
マスゴミの偽装工作に騙される事のなくなった人が増えたことも
この検察と麻生政権の悪行を露見させているのだ。
幼稚な思考力を露見させた,麻生政権のゾンビ達に同情の余地は
ない。
狂気の検察官僚と,自民党・創価学会の麻生政権に
それこそ,天からの雷鳴が轟く事だろう。
問題は、マスメディアがどのように報道するかにかかっています。
現在ののマスメディアの報道を見ていると、かってモットーにしていた真相に迫るという報道の本旨にかけ離れていると考えざるをえません
ただ問題は、これを正すすべが残念ながら、今の制度の中にできていないことです(新聞、テレビなどマスメディアの報道は正しいと普通の人は思っているのが大多数です
)。
失礼ながら、相互リンクしていただきたくて、コメントさせていただきました。
http://sirube-note.com/public-prosecutor/
もしよろしければ、こちらのページから相互リンク登録していただけましたら幸いです。
http://sirube-note.com/public-prosecutor/link/register/
今後ともよろしくお願い致します。
bkgeiUEv
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【西松問題】官僚主導の政治体制打破するためにも団結して立ち向かうべきだ!【検察ファッショ】
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090619/trl0906191613021-n1.htm
二階派 838万円
二階俊博(経産相) 30万円
尾身幸次(元財務相) 2080万円
加藤紘一(元幹事長) 1400万円
藤井孝男(元運輸相) 600万円
森 喜朗(元首相) 500万円
藤野公孝(元参議院議員) 400万円
山口俊一(首相補佐官) 200万円
加納時男(国交副大臣) 200万円
川崎二郎(元厚労相) 140万円
山本公一(元総務副大臣) 114万円
林 幹雄(前国家公安委員長) 100万円
古賀 誠(元幹事長) 16万円
渡辺具能(元国交副大臣) 14万円
中島直人(参議院・自民党) 200万円
桜井 新(参議院・自民党) 100万円
自民党・伊吹派
平成研究会 「自民党・橋本派・津島派」90万円
新財政研究会「自民党・堀内派」 30万円
宏池会 「自民党・小里グループ」 28万円
上野公成(元官房副長官) 1億5000万円
「上野公成は積水ハウスと大和ハウスからの政治献金とパーティー券」
岩永峯一(元農相) 6000万円
国策捜査は許してはいけません。