それでも日本は米国に貢ぎ続けるのか?
米国の強みが、軍事力と知的財産権の独占、それに石油支配力にあるとすると、ブッシュ政権の最大の弱みは、経済面ーーとくに貿易競争力の衰退と財政赤字を自国で穴埋めできないことである。「むき出し資本主義」のドルではなく「修正資本主義」のユーロで、石油を買おうという運動が本格化し、マクドナルドやコカコーラなど米国系多国籍企業の購買ボイコットが広がり、イラクの戦費調達のために発行される米国国債の購買ボイコットが広がれば、イラク戦争の遂行は不可能になるであろう。
地球政策研究所をたちあげたレスター・ブラウンによると、すでに中東や欧州では、その予兆が現われているという。ドイツにおけるコカコーラの売上高は前年同期比で16%の下落になったし、マクドナルド社の欧州全体での売上の伸びはストップした。流通業のGAP社はドイツから完全に撤退し、海外売上高の10%下落の一因となったし、パリ郊外にあるディズニーランド・パリは、入場者の減少によって収益が悪化し、親会社の救済を仰いでいる。世界最大の小売企業たるウォルマート社も、ドイツで大幅な損失に直面している。自動車産業に目を移すと、GM社もフォード社も欧州での販売台数は低迷し、経営危機に直面するに至っている、等々。
このように世界中で反イラク戦争の動きが活発化している中、藤岡教授によると、日本はイラク戦争に突入した2003年に発行された米国債の44.3%を購入し、イラク戦争の遂行を経済面から支えてきたそうだ。現在イラク戦争に伴う財政コストはベトナム戦争を大きく超える勢いで増えつつあり、2003年から2005年までに2044億ドルが支出され、その他にも453億ドルが追加補正された。このままいけば、10年後には7000億ドル(約70兆円)を超える戦費総額に達する可能性があるということだ。そして、もし、今イラク戦争に使われている費用を貧困対策に使うならば、「貧しいエイズ患者へのエイズ薬を行きわたらせたり、世界の貧困率を半減させる役に立ったはず」だと藤岡教授は指摘している。
一方、長周新聞の「専制国家示す政府間最終合意米軍再編 国民搾り米軍に3兆円 日本全土を米軍の前線に」(2006年5月3日付)という記事も「小泉政府は「日本防衛」の建前もかなぐりすて、アメリカがたくらむアジアへの戦争に日本を総動員する実質「安保」改定をすすめている。戦後60年、政治も経済も分化や教育もすっかり乗っ取ったアメリカにまたも命まで差し出そうというのである。」と批判している。
私の知るかぎりでは政府は米軍再編がなぜ、そして、どのように行われるのか、又3兆円がどのように使われるのかまだ国民に真実を具体的に説明していないと思うが、この記事によると政府は日本側の「負担軽減」を口実にしているが、実際は、米軍が自衛隊を指揮し、日米司令部を一本化する為に、米軍再編やそれに伴う法の整備が行われようとしており、又、3兆円と聞いただけで卒倒しそうになったが、実際はそれ以上の血税が米軍再編に必要な施設整備、軍備増強などの費用として使われるそうだ。
最終報告は「自衛隊と米軍の戦略面での融合」を最大重視した。キャンプ座間(神奈川)には米本土から陸軍第一軍団司令部を改編した司令部(UEX)を08年9月末までに移転。在「韓」米軍が縮小し、座間を朝鮮半島有事の作戦拠点にすると明記した。ここへ2012年度までにテロ対応の「中央即応集団」司令部が入る。いずれ陸自主力となる部隊で、陸自部隊がまるごと米軍の下請軍として指揮下に入ることを意味する。
米空軍と航空自衛隊の関係も、在日米軍司令部と第五空軍司令部のある横田基地(東京)に空自航空総隊司令部が2010年度に移転し、米軍指揮下の性格を強める。日米共同統合運用調整所を設置し「ミサイル防衛拠点」にもなる。空自車力分屯基地(青森)に配備する米軍の最新型ミサイル防衛用「Xバンドレーダー」は今年夏までに施設を改修し、07年3月までに運用開始。日本の将来警戒管制レーダー(FPS―XX)と連携しミサイル警戒網の穴をなくす。米軍の指令で日本がミサイルを発射できる体制である。
海軍はすでに米第七艦隊の旗艦ブルーリッジや空母キティホークが横須賀を母港化し、米第7艦隊司令部、在日米海軍司令部と海自の自衛艦隊司令部が一体化。そこへ原子力空母も配備する。
自衛隊基地の米軍との共用化で米軍への後方支援体制も露骨になった。空自築城(福岡)、新田原(宮崎)の両基地は緊急輸送機の駐機場や隊舎を数百億円かけて建設し、有事のとき米軍の輸送や救助など後方支援を行う中継拠点にする。そのため海兵隊むけの訓練施設や、輸送機・ヘリが使える駐機場、格納庫、緊急用の隊舎も建設。これまで普天間基地にあった有事の滑走路機能も加わる。
「負担軽減」といわれる沖縄は第三海兵遠征軍司令部など、約7000人のグアム移転とともに、牧港補給地区やキャンプ瑞慶覧などの施設は人口の少ないところへ統合移転。野蛮な実戦部隊を残し、激しい訓練を活発化させる内容となった。キャンプ・ハンセンは今年から陸自が米軍の傭兵として共同使用を開始。嘉手納基地も米軍の変わりに空自が日米共同訓練で使うようになる。普天間の辺野古移設も「負担軽減」の口実で、激しい訓練を継続できる施設建設が狙いである。
そして米軍普天間飛行場の空中給油機部隊は岩国基地に移し、訓練は海自鹿屋基地で実施。嘉手納、三沢、岩国基地の戦斗機訓練は、築城、新田原、百里(茨城)、小松(石川)、三沢(青森)、千歳(北海道)の六空自基地に移転。全国の自衛隊基地を米軍基地へ変えようというのである。
岩国基地も中国・朝鮮をにらんだ原子力空母配備と連動した大増強である。厚木基地から空母艦載機57機(米兵1600人)と輸送機2機、普天間の空中給油機12機(米兵300人)を2014年までに移転。米軍機数は極東最大の嘉手納基地をこす120機となる。これに沖合拡張による大滑走路、空母接岸可能な軍港機能が加わる。2009年7月までに九州・瀬戸内に恒常的な夜間着艦訓練(NLP)施設をつくると明記。米海軍はアジア太平洋地域を空母2隻体制とする計画で、佐世保沖に空母を配備しその艦載機部隊を岩国基地に飛来させる構想である。
辺野古の普天間代替施設もV字型に1800辰粒蠢路2本を有する大増強。2014年までに完成させるとしている。
世の中にはいろいろな意見がある。櫻井よしこ氏の 「中国が日本に『軍事侵攻』する日」によれば、「中国の軍事的脅威に備えるために米国は太平洋に6機動部隊の配置を決定した。」そうだ。小泉政権と同じく実に右翼的な考えで、中国の軍事力を脅威として、だから、日本はアメリカと協調して軍事力を高め自ら自国を守るべきだと主張する。アメリカの本当の目的を見失ってしまっている。
アメリカは米経済を回復させる為、宇宙軍事司令部と宇宙ベースの軍需産業を発展させ、全世界及び宇宙を制覇するステップとして、日本の軍備体制を整え、経済的なライバルになりつつある中国やASEAN諸国、中近東を威圧しようとしているのだ。日本はアメリカの単なる駒として使われているだけなのだ。
藤岡教授は「今ブッシュが一番恐れていることは、中東産油国、中国、日本が米国の国債を買い支えない姿勢を明確にすることである」と言っており、長周新聞も「日本で米軍再編計画を頓挫させる力を発揮するなら、世界平和にとって決定的な貢献ができる」と提案している。ヨーロッパ諸国ではすでにイラク戦争をやめさせるために米国系多国籍企業の購買ボイコットや米国国債のボイコットを広めている。しかしながら全く思考能力ゼロのブッシュのいいなりの小泉総理及び安倍国防長官は世界の動きに逆行しており、国民の反対を無視してまでも米国再編に協力し、それにむけた法整備、三兆円支出の予算化などに移ろうとしている。このままいけば、日本は間接的にイラク戦争を助けることになり、ヨーロッパやアジア市場では日本製品を買うことは日米の帝国主義的支配につながるとされて、日本製品ボイコットが起こる可能性があり、日本は米国と共に深刻な経済危機に直面するであろう。
癌で死ぬ人が世界的に増えているのは、核実験のせいではないかと藤岡教授は疑っている。このまま軍事化が進み、核戦争に突入したら、いくら米国の軍備をもってしても日本は助からないだろう。『真実のステートメント』のテッドさんが、防衛問題について「戦争をするのか、それとも、マハトマ・ガンジーのように非暴力・不服従を貫くのか」と「憲法改正を論議する前に」という記事の中で問いかけていたが、私だったら、もちろん戦争しない方を選びたい。 人類を滅亡に導く戦争を一国の経済発展のために利用するのは恐ろしいことだ。軍産複合体(軍部、軍需産業買い、政治家=国防族議員、大学の研究者や専門家)に営利追求を許しても貧富の格差が拡大し、テロの温床が生れるだけだろうし、社会不安を導くだけだ。人類の平和のためには核廃絶を世界に訴えることの方が大切だ。藤岡教授が提案しているように「宇宙の平和利用条約を強化して、あらゆる兵器の宇宙配備の禁止を明文化する」ことが今一番求められていることなのではないだろうか。
参考記事:
『米国の宇宙と核の覇権と軍産複合体 ーー「宇宙の軍事的占領」めざすブッシュ政権の深層ーー』
長周新聞の「専制国家示す政府間最終合意米軍再編 国民搾り米軍に3兆円 日本全土を米軍の前線に」(2006年5月3日付)
櫻井よしこ 「中国が日本に『軍事侵攻』する日」
『真実のステートメント』「憲法改正を論議する前に」























