2009.02.26 (Thu)
好評だったオバマ大統領の施政方針演説 (動画あり)
これまでは、ブッシュとチェニーにはさまれて、とてもつらそうな顔つきで参加していたナンシー・ぺロシ議長も、今回は、オバマとジョー・バイデンに囲まれてとても嬉しそうにしていたのが印象的だった。
Highlights from President Obama's 2009 Address to a Joint Session of Congress
演説のハイライトその1和訳:
米国経済が危機的状況にあり国民の自信が揺らいでいる中で、私達は毎日、困難と不安の中を生きているが、今晩、全ての国民に知ってもらいたいのは、これから国を再建し、復旧し、そして、米国は以前にも増して力強い国家となるということだ。
今回の危機の深刻さがこの国の運命を決めるわけではない。私達が直面している問題の答えは、手の届くところにある。それらは研究所や大学にある。農場や工場にある。起業家たちの想像力の中に、地球上で最も勤勉な国民の誇りの中にある。米国を人類の繁栄と進化を推し進める最大の原動力としたこうした資質を、米国人はまだ豊富に持ち合わせている。いまこの国に必要なのは、皆が力を合わせて直面する困難にあえて立ち向かい、我々の未来にもう一度、責任を持つことである。
【More・・・】
今回のオバマの施政方針演説は、とても好評で、オバマが施政方針演説する前には61%まで落ち込んでいた支持率も、演説後には、69%まで上がった。ジョー・ザ・プラマーのジョークも交え、聞く人を飽きさせずに、経済危機の深刻さを伝えながら、みんな苦労していることが伝わり、そんな中でも国民に希望を与えるような心に響く演説だった。演説では定評のあったビル・クリントン元大統領も下記のように絶賛していた。
Speaking of Obama’s speech, Clinton said: “I think he drew the right balance — he didn’t sugarcoat anything, he didn’t say it’s gonna get better tomorrow.”

オバマ演説全文(1) (共同通信)の翻訳は、ただオバマが言ったことを訳してあるだけではなく、その内容ごとに短く区切ってあるので、読みやすい。ただ、日本語の演説ではあまり使われない主語、「私」「われわれ」という言葉が多すぎて邪魔になっていたので、いくつかを省いた。又、主語を省略することによって文がおかしくなる場合は、動詞を自動詞から他動詞に、又、他動詞から自動詞に変えたりなどした。
オバマ米大統領が24日行った施政方針演説の全文は次の通り。
議長、副大統領、議員の方々、そして米国の大統領夫人(ファーストレディー)。
【経済危機】
わたしが今夜、ここに来たのは、偉大な議場にいる選ばれた議員の前で演説を行うためだけではなく、議員達をこの場所に送ってくれた国民のみなさんに率直に、直接語りかけるためだ。
今(演説を)見ている多くの米国民、そしてすべての人々にとって、米国の経済状況は懸念としてのしかかっていることだろう。まさにそうなのだ。もし、この景気後退の影響を受けていない人も、その友人や隣人、家族の一員、又、周囲の誰かが影響を受けていることだろう。
経済が危機にあることは、もう統計を聞かなくても分かっているはずだ。なぜなら、みんなが日々直面していることだからだ。眠れぬ夜の原因であり、覚めても気になる心配事だ。定年まで勤め上げようと思っていたのに、失ってしまった職。夢を懸けた事業は今、か細い糸につり下がっている。子どもは、せっかく大学の合格通知を受け取っても、封筒の中に戻さざるを得なかった。この景気後退の衝撃は本物であり、そこかしこにある。
経済は衰退し、自信が揺らいだかもしれない。われわれは困難で不確かな時代に生きている。だが今夜、すべての国民に知っていてほしいことがある。
【米国の再建】
米国を再建し、回復させる。米国はより強い国家としてよみがえる。
この危機の深刻さが、この国の運命を決めるわけではない。今直面している問題の答えは、手の届くところにある。研究所や大学、農場や工場、事業主の創意や世界で最も勤勉な国民の誇りの中にこそ、答えは存在する。
米国を人類史上最も強力な進歩と繁栄の力にしたこれらの資質を、国民はまだ十分持っている。力を合わせ、直面する難題に大胆に立ち向かい、未来に対する責任を再び引き受けることが今、米国に求められている。
もし自分に正直であるなら、政府として、そして国民として、あまりにも長期間にわたって、これらの責任を果たしてこなかったことを認めるだろう。誰かを非難したり、後ろを振り返るためにこんなことを言うわけではない。現在の状況にどのように立ち至ったかを理解することでしか、苦境を脱することはできないのだ。
【危機の原因】
米国の経済は一夜にして衰退に向かったわけではない。問題のすべてが住宅市場の崩壊や株式市場の落ち込みとともに始まったわけでもない。
生き残りの鍵は新たなエネルギー源を見いだすことができるかどうかにかかっているということを何十年も前からわかっていたにもかかわらず、私達は以前にも増して多量の石油を輸入している。医療費は毎年、ますます多額の貯蓄を食いつぶしている。それでも、改革は先送りされ続けている。
子どもたちはグローバル化する経済の中で、職を求めて競争することになるだろう。そのための備えができていない学校があまりにも多い。そして、これらすべての問題が解決されていないのに、かつてない規模で、個人として、そして政府を通じて支出を重ね、債務を増やしているのだ。
言い換えれば、これまでは長期的な繁栄よりも目先の利益が優先されすぎた。次の支払い、次の四半期、あるいは次の選挙のことばかりを考え、その先のことを考えなかった。黒字は富裕層にさらに富を与える口実となり、将来に向けた投資はしなかった。
【総決算の日】
手っ取り早く利益を手にするために規制は骨抜きにされ、健全な市場は失われた。銀行や金融会社は悪質なローンを押し通し、人々は買えるはずがないと分かっていながら住宅を購入した。重大な議論や難しい決定は先送りされてきた。
その総決算の日が来た。未来への責任を引き受ける時が来たのだ。
経済再生だけではなく、永続的な繁栄の新たな礎を築くために、今こそ大胆かつ賢明に行動する時だ。財政赤字削減という厳しい選択がなされた。それでも早期に雇用を創出し、融資を再開させ、経済を成長させるエネルギーや医療、教育などの分野に投資する時だ。それがわたしの経済政策であり、今夜、皆さんにお話ししたいことだ。
【雇用対策】
雇用から始める。
わたしは就任して直ちに議会に対して大統領の日(2月16日の祝日)までに、人々が仕事に戻り収入を得られるための大型景気対策法案を送るよう要請した。「大きな政府」を信じているからではない。われわれが受け継いだ巨大な負債を忘れてしまったからでもない。
わたしが行動を求めたのは、そうしなければさらに多くの職が失われ、より多くの試練を生み出したかもしれないからだ。事実、行動しなければ今後何年にもわたる経済成長の鈍化を確実にし、長期の赤字を悪化させていたかもしれない。わたしが素早い行動を推し進めたのは、そのためだ。そして今夜、わたしは議会が結果を出したことに感謝し、大型景気対策法が成立したことを喜んでいる。
今後2年間、この計画は350万の雇用を守り、あるいは創出する。その90%以上は民間部門となる。道路や橋の再建、風力タービンやソーラーパネルの生産、ブロードバンド敷設や大量輸送機関を拡充する仕事だ。
この計画によって、教師は職を失わずに子どもたちを教育することができる。介護従事者らは病気の人たちの世話を続けることができる。ミネアポリスの街角には今夜も57人の警察官が働いている。なぜならこの計画が、警察署が実施しようとしていた解雇を食い止めたからだ。
この計画によって、米国の95%の勤労世帯が減税を受ける。この減税は4月1日以降の給料で確認できるだろう。
この計画によって、授業料支払いに苦しむ家庭は大学4年間で2500ドルの減税を受ける。そして、この景気後退で職を失った米国人は拡充された失業保険や継続した医療保険を受け、嵐をしのげるだろう。
【浪費を監視】
この議場にいる人や自宅で見ている人の中に、この計画がうまくいくかどうか懐疑的な人がいるのがわかる。それは理解できることだ。ここワシントンで、善意がいかに早く公約破りや無駄遣いに変わるかを見てきた。これほどの規模の計画には、正しく遂行するための巨大な責任が伴う。
だからこそ、バイデン副大統領に、困難で前例のない監督役を担うよう依頼したのだ。ジョー(バイデン副大統領)に口出しすることは誰もできないのだから。
全閣僚と同様に、全国の市長、知事に対し、1ドルごとの支出についてわたしと米国民に説明する責任があると伝えてある。あらゆる浪費や不正を見つけ出すことができる有能で積極的な監督官を指名した。われわれは、「政府再生」と名付けた新たなウェブサイトを作った。そこでは、全国民が自分の税金がどのように、どこで使われているか確認することができる。
オバマ演説全文(2)
オバマ演説全文(3)
オバマ演説全文(4)
オバマ演説全文(5)
英語原文から冒頭部分のみ転載:
Remarks of President Barack Obama -- Address to Joint Session of Congress
Tuesday, February 24th, 2009 at 9:01 pm (ホワイトハウスHPより)
Madame Speaker, Mr. Vice President, Members of Congress, and the First Lady of the United States:
I’ve come here tonight not only to address the distinguished men and women in this great chamber, but to speak frankly and directly to the men and women who sent us here.
I know that for many Americans watching right now, the state of our economy is a concern that rises above all others. And rightly so. If you haven’t been personally affected by this recession, you probably know someone who has – a friend; a neighbor; a member of your family. You don’t need to hear another list of statistics to know that our economy is in crisis, because you live it every day. It’s the worry you wake up with and the source of sleepless nights. It’s the job you thought you’d retire from but now have lost; the business you built your dreams upon that’s now hanging by a thread; the college acceptance letter your child had to put back in the envelope. The impact of this recession is real, and it is everywhere.
But while our economy may be weakened and our confidence shaken; though we are living through difficult and uncertain times, tonight I want every American to know this:
We will rebuild, we will recover, and the United States of America will emerge stronger than before.
The weight of this crisis will not determine the destiny of this nation. The answers to our problems don’t lie beyond our reach. They exist in our laboratories and universities; in our fields and our factories; in the imaginations of our entrepreneurs and the pride of the hardest-working people on Earth. Those qualities that have made America the greatest force of progress and prosperity in human history we still possess in ample measure. What is required now is for this country to pull together, confront boldly the challenges we face, and take responsibility for our future once more.
Now, if we’re honest with ourselves, we’ll admit that for too long, we have not always met these responsibilities – as a government or as a people. I say this not to lay blame or look backwards, but because it is only by understanding how we arrived at this moment that we’ll be able to lift ourselves out of this predicament.
関連ニュース:
とらちゃんがオバマ麻生会談についてとても楽しいニュースを集めてくれている(笑)。
『日米首脳会談』:記者会見なし、昼食会なし←バカにされてやんの。そして、ワシントンポストでボロカスに書かれる。ハハハ
自民党にも困惑、失望の色が隠せない模様。
政権浮揚、期待できず=日米首脳会談、自民にも厳しい声 (時事通信 02月25日)
麻生太郎首相とオバマ米大統領との日米首脳会談について、政府・自民党内では25日、「非常に意義深い」(河村建夫官房長官)などと評価する声が相次いだ。しかし、与党からは「形だけでは政権浮揚にもならない」と厳しい声も出ている。日米首脳の緊密な関係をアピールして失地回復を狙った首相だが、思惑は空振りに終わったようだ。
外務省幹部は記者団に「ホワイトハウスの最初の客として迎えられ、日米同盟強化を確認できた。サプライズはなかったかもしれないが、よかった」と成果を強調した。公明党の北側一雄幹事長も記者会見で「米国のジャパンファーストの姿勢が示された。世界的な課題に対して重要なパートナーとしての協力関係を確認し、非常に意味があった」と評価した。
しかし、首脳会談と大統領の施政方針演説が同じ日で、米メディアの関心もほとんどがオバマ演説。両首脳の昼食会や共同記者会見は行われず、「強固な日米同盟」を十分に世界に発信することはできなかった。
自民党内からは「国民に伝わらない」「アピールがいまいちだ」との声が相次いだ。党幹部の1人は「これまでの失点が大き過ぎて、今回の訪米も起死回生の一打にならない」と指摘した。
一方、野党は「国民の支持の低い首相が大統領と対等の話し合いができたのか」(鳩山由紀夫民主党幹事長)などと酷評。同党の山岡賢次国対委員長もCS放送の番組収録で「(米国は)『基軸通貨ドルの信認維持』を日本に言わせるため、首相を一番先に呼んだ。特に米国債を日本にはしっかり買ってもらおうということだ」などと指摘していた。 (了)
もちろん、オバマ、麻生会談前には米国は「麻生炭鉱で何が起こったか」から、麻生がこれまで放った失言、リアリティ・ツアーの不法逮捕、麻生内閣の支持率まで全て調査済み。支持率一桁台の首相と仲むつまじく談笑しているところがテレビに映し出されたら、オバマ人気も麻生に引っ張られて落ち込むことを全て承知の上で、冷たくあしらったのだと思う。海外のメディアの方が国内よりも、麻生に対してよほど批判的だよね。
英紙、麻生政権を批判 政治まひで危機深刻化(共同通信 2月26日)
【ロンドン25日共同】25日付の英紙フィナンシャル・タイムズは、麻生政権は経済危機への対応が不十分で、政治のまひが日本の経済危機を一層深刻化させているとの社説を掲載した。
同紙は、輸出に依存する日本経済は世界の需要落ち込みの影響を受けやすく、株式市場の下落によって銀行にも悪影響が及び始めていると指摘。麻生政権は経済危機の当初、名ばかりの景気刺激策を出したにすぎず、世界経済の回復を待つだけだったと、無策ぶりを批判した。
また麻生政権は政治基盤が弱く国会で法案を成立させることができない上、自民党に対する国民の支持が低いため、総選挙に打って出ることもできないと日本政治の閉塞状況を指摘した。
普通、民主主義国家だったら、これほどまでに低い支持率の首相が居座ることはまず考えられないだろうね。日本は民主主義の仮面をかぶった独裁国家。その上、国民がみんな羊のようにおとなしすぎちゃうから、一向に事態が変わらないのだろうね。
経済対策の具体性にしても、国民への思慮深さにしても、オバマと麻生じゃ、あまりにも差がありすぎると思ったら、今日もランキングの応援宜しくお願いします♪

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