2009.01.11 (Sun)
駐日大使に内定したナイ教授のソフトパワー論とは?

ブッシュ政権は、京都議定書から離脱したり、地球温暖化防止に非協力的だった。又、日本が国連総会に毎年提出している核廃絶決議にも反対していた。これに対し、オバマ政権は環境問題に敏感で、温暖化対策での国際協調を重視し、究極的核廃絶を目指す方針も掲げている。
駐米大使や全米15都市に駐在する総領事らは、これまでは、環境・エネルギー問題や核軍縮などブッシュ政権との間で連携が図りにくかった分野での協力をオバマ政権とは積極的に推進していく方針を確認したそうだ。
中には、ナイ氏が創価学会と繋がっていると見る向きもあるようだが、その辺は確固とした証拠があるわけではないのでわからない。
ナイ氏は日本はアジアで最もソフトパワー能力を持っていると述べているが、それでは、いったいナイ教授の唱える「ソフトパワー論」とはどのようなものなのか。10月2日に行われたカーネギー・カウンシル・トークに参加したナイ教授が、歴代の大統領らにたとえて、リーダーに必要な3つのソフトパワー能力について語っていた。
【More・・・】
カーネギー・カウンシル・トークでは、主にナイ教授の著書"The Powers to Lead "について説明しており、ソフトパワーの他にもハードパワー、又その2つのパワーのコンビネーションであるスマートパワーについても説明していたが、ここでは、ソフトパワーのリーダーシップに必要な3つの能力だけに焦点を絞りたい。Joseph Nye: Soft-Power Skills
ナイ教授によると、リーダーに求められる3つの重要なソフト・パワー能力は、
1.感情をコントロールする知性 (Emotional Intelligence)
2.未来を想像できる能力 (The Ability to have a vision)
3.意志伝達能力 (Communication Skills)
だそうだ。
人生の成功者を見てみると、知能指数の高い人は20%くらいで、あとの80%は知能指数とは違った能力で成功をおさめている。それではその80%にはどんな能力が含まれているのだろうか。ナイ教授によれば、その1つは、「Emotional intelligence」と心理学では呼ばれている能力で、自分の感情を理解してコントロールし、それを他人に近づいたり、魅了する能力のことだと言う。例えば、ニクソン大統領は知能指数の高さなら誰にも負けないだろうが、自分の感情の狂乱をコントロールできず、関係する人々は全て敵にまわすような人だった。
もし、成功について考えるなら、感情をコントロールする能力はおそらく最も重要なソフトパワー能力だろう。
2番目は未来を想像する能力だ。つまり、未来像を描くことができて、その絵に人々が惹きつけられてあなたに従うような能力のこと。もし、未来像があまりにも非現実的で、大げさになりすぎると、ダメージとなる。人々が崖の上に連れて行かれると知ったら、あなたについてくる人々はいなくなるだろう。だかr、人々を惹きつける現実的な未来像が描ける能力は偉大なるソフト・パワー能力となる。
ロナルド・レーガンにはこの能力があった。レーガンがこの能力の詳細や他のやり方を知っていたかどうかわからないが、ソフトパワーを持ったリーダーとして、人々を惹きつける未来像を描く能力を備えていたと言えよう。
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3番目に大切なソフトパワー能力は、意志伝達能力だ。あなたの未来像を伝えるコミュニケーション能力はとても重要だ。普通、意志伝達には、雄弁さがついてまわると考えるだろう。マーティン・ルーサー・キングがアフリカ系アメリカ人教会の韻律や語彙を使って、コミュニティーを広げ、未来像を大きくしたことは、コミュニケーションが成功した一例であった。
しかし、意志伝達は言葉だけでないというのを知ることも重要である。研究によると、人間の伝達能力のうち、半分は言葉以外で伝えられている。つまり、言葉以外のコミュニケーションがあなたの言葉のコミュニケーションと一致し、又はそれを補足することがとても重要になってくる。*マハトマ・ガンディーを例に挙げれば、最初にガンジーがスピーチをしている映像を見て、なんと話すのが下手なのかと驚いた。ガンディーは20世紀を代表する最も優秀なリーダーであるが、マーティン・ルーサー・キングはガンジーからまなんだと言われているが、雄弁なマーティン・ルーサー・キングとは大違いだった。
しかしながら、ガンディーは言葉にできないコミュニケーションを熟知していた。もし英国製のスーツとネクタイを身に着けて、裁判所から出てくるガンジーの写真と1920年代や1930年代のリーダーとして、乞食のような格好をして何週間もかけて海岸まで塩の行進をするガンディーの写真を比べてみると、法律を破るためにに海岸で塩を作る前に、緊張感をはりつめていたガンディーが言葉にできないコミュニケーションを熟知していたことがわかる。
つまり、言葉によるコミュニケーションと言葉以外によるコミュニケーションが重要なソフトパワー能力となる。
*日本では「マハトマ・ガンジー」というカタカナ表記が慣例的に使用されているが、欧米ではガンディーと発音するので、ここではガンディーという表記を使った。
経歴 (ウィキペディア「「ジョセフ・ナイ」より)
1958年プリンストン大学を優等(Summa Cum Laude)で卒業、ローズ奨学生としてオックスフォード大学で学び、ハーバード大学大学院で博士 (政治学)の学位を取得。1964年からハーバード大学で教鞭をとり、1995年から2004年7月までハーバード大学の行政・政治学大学院であるケネディスクールの学長を務めた。現在は、ハーバード大学特別功労教授。
カーター政権で国務次官補(Deputy to the Under Secretary of State、1977年-1979年)、クリントン政権では国家情報会議議長(1993年-1994年)、国防次官補(国際安全保障担当、1994年-1995年)として政策決定に携わる。
1995年2月、国防次官補として通称「ナイ・イニシアティヴ」と呼ばれる「東アジア戦略報告(EASR)」を作成。東アジアに約10万の在外米軍を維持するなど、冷戦後のアメリカの極東安保構想を示した。この構想は1997年の日米防衛協力のための指針(いわゆる新ガイドライン)における日米同盟再定義とつながっていき、第一期においてはまとまった東アジア政策を持たず、日米経済関係を巡って緊張しがちだったクリントン政権が再び東アジアへの関与を強め、対日関係を重視していく重要な契機となった。2000年には対日外交の指針としてリチャード・アーミテージらと超党派で作成した政策提言報告「アーミテージ・レポート」(正式名称:INSS Special Report "The United States and Japan: Advancing Toward a Mature Partnership")を作成、2007年2月には、政策シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)においてアーミテージと連名で再度超党派による政策提言報告「第二次アーミテージ・レポート」(正式名称:"The U.S.-Japan Alliance: Getting Asia Right through 2020")を作成・発表し、日米同盟を英米同盟のような緊密な関係へと変化させ、東アジア地域の中で台頭する中国を穏健な形で秩序の中に取り込むインセンティブとすることなどを提言している。
2009年1月、バラク・オバマ政権発足に伴って退任する予定のジョン・トーマス・シーファー日本駐箚アメリカ合衆国大使の後任大使に内定したことが報道された[1]。
こうしてみると、オバマがナイ教授のソフトパワーを参考にして、米国大統領の座を射止めたことがわかる。オバマには、ナイ教授が提唱する3つのソフトパワー、1.感情をコントロールする知性、2.未来を想像できる能力、3.意志伝達能力が全て備わっているように見える。
それに比べて麻生太郎はどうだろうか。ぶらさがりで記者によくブチギレすることからも感情をコントロールできる知性が備わっているとは思えない。又、国民が麻生政権の下に描く未来像は増税だけ、これじゃ、誰もついてこないだろう。そして、ころころ考えを変えても、なぜ考えを変えたのか、その理由を国民に伝えることもできず、国会の質問にも答えられず、国民にしてみたら、麻生が何を考えているのか全くわからない。意志伝達能力も全くないと言える。ナイ教授が言うソフトパワーは、麻生にはナイナイづくしなのである。
民主党の小沢代表を見ると、オバマと共通点が多く、感情をコントロールする知性、民主党の政策に表れている未来を想像できる能力、ネット対談などに参加して若者とコミュニケーションをはかり、お互いをよりよく知る為の意思伝達能力も全て備わっていることがわかる。
参考資料
マハトマ・ガンディー(ウィキペディア)
追記:
読者の方から、ナイ教授については、否定的な見方もあるということを教えていただいたので、一応、その記事もリンクしておく(日付順)。
●オルタナティブ通信 2008年12月28日
動き出す「戦争屋」たち
●オルタナティブ通信 2008年04月14日
日本と中国の戦争を画策する者達
●オルタナティブ通信 2006年09月19日
速報
2005年10月25日、26日、ブッシュの支持基盤であるネオコン派の政治家、知識人が集まるワシントンの政策研究所、AEI・アメリカン・エンタープライズ・インスティテュートが主催して日本の国会議事堂裏のホテル、キャピトル東急で「政策研究集会」が開かれた。テーマは「日本と中国をどのようにして戦争に突入させるか、そのプラン作り」である。
●オルタナティブ通信 2006年01月15日
「日本国内での臨戦体制確立の背景」
理想的なリーダー像からはほど遠く、麻生は全く総理の資格が無い。こんな奴を総理にした自民党はいますぐ解散しろと思ったら、今日もランキングの応援よろしくお願いします。

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「オバマ政権と米軍再編」を読み解く――名護で梅林宏道氏講演会-JanJanニュース
http://www.news.janjan.jp/area/0901/0901290420/1.php
大統領候補選挙戦でオバマと同じくアフガン増派を主張していたクリントン国務長官のスマートパワー論はブッシュ政権がハードパワー一辺倒でうまくいかなかったから国務省が代表する米国外交のソフトパワー行使も組み合わせよとの主張であり、ナイのソフトパワー論を言い換えたものに過ぎない。
ゲイツ国防長官を留任させたオバマ政権をブッシュ政権と比べて何でも賞賛する風潮には同意できない。
安倍が推進した軍事路線はナイが共同執筆したアーミテージレポートに沿ったもの。
ナイの駐日大使就任はアーミテージレポート完遂を執筆者本人を貼り付けて日本に迫るものと理解すべきであり、散策氏の「ナイ氏を歓迎し、期待します」とのコメントには全く合点がいきません。
>小沢一郎氏をそこまで評価する「感覚」が理解できない。正直言って。麻生首相を否定する反動で、小沢氏を冷静に評価できないばかりか、オバマと同様に見なすのは、次期米国大統領に失礼極まるし、汚らわしい。小沢一郎は日本の若者の一員である自衛隊を「活用」し、アフガンという戦地へ送り込む人物だ。自分の子供は戦地へ派遣することなはない人物。そんな政治家を崇拝する感覚がわからない。
>なお、子供に米国籍を持たせることは勧められない。ある一定の年齢に達すれば、軍兵士候補リストに掲載される。良く連邦法律を確認してもらいたい。
名誉会長をハーバード大学の講演に招聘したのは、
このジョセフ・ナイ氏ですよ。
今朝1/11の日経新聞には、一面で、「アフガン首都 日本主導で再開発計画 政府貢献策 人材・資金でも協力」という記事があります。
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090111AT3S1000O10012009.html
また、3面では、「世界この先 サバイバビリテイ」という大きな記事でナイ氏のインタビューを掲載しています。副題は、「スマートパワーの行使を」です。「軍事力を中心とするハードパワーと文化などのソフトパワーを融合した『スマートパワー』を行使すべきだ」と述べています。以上です。
これからあと2ヶ月は流産しやすい時期なので慎重に生活しています。
あ 子供にはもちろん米国籍を与える予定です。
こんにちは。昨日は、「ガザに光を! 即時停戦を求めるピースパレード」に参加してきました。写真の一枚も取りませんでしたが。YMCAとかキリスト教系の団体もいくつかありました。通りの教会は、鐘を鳴らしていました。
知日派のナイさんに期待したいと思います。一方、産経新聞によれば、12月の訪日時に、【ナイ氏が「オバマ次期政権下で(日本の)民主党が安全保障政策でインド洋での給油活動をやめ、日米地位協定などの見直しに動いたら反米と受け止める」とクギを刺す場面もあったという。】とのこと。アフガニスタンのPRTへの文民派遣を3月にもすることが、1/9の閣議後に中曽根外相から発表されました。アフガン、海賊対策などアメリカから日本への要望は着実に強まっていると想像されます。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081222/stt0812222130007-n2.htm
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【ニコ動画】小沢代表・第二部【生放送分】+過半数以上の議席を獲得しますから政界再編などする必要は無いと思っています。自公チュ~は雲散霧消すればいいのです。
散策さんがおっしゃられていることは、いつも支離滅裂で何がいいたいのかさっぱりわからないというのが私の感想です。例えばTBしてきた記事の最後にある下の文章。
話は、違いますが、「アルファブロガー・アワード2008」には、私は産経新聞、阿比留瑠比さんに投票しました。
時々コメントさせていただくヘンリーオーツさんの「BLOG版「ヘンリー・オーツの独り言」」、「植草一秀の『知られざる真実』」、「きっこのブログ」など常時拝見し、ためになるブログもノミネートされています。
私は、ネットでブログを見るようになって、随分、それまで意識していた情報とネット情報に距離があるなあと思っておりました。今回、ご自身の問題意識を記事にできる阿比留さんに驚嘆し、また自分の中に出来つつあった、マスコミとの距離感を縮めてくれるものでした。阿比留さんに感謝したいと思います。
1.まず、上の文章では、最初に阿比留さんに投票したということを言っています。
2.次にヘンリーさん、植草さん、きっこちゃんのブログもノミネートされているということを伝えています。
3.その次に、情報とネット情報に差があると言っています。この文章は2通りの意味にとれます。1つは、情報(多分マスコミ?)が正しく、ネット情報(ヘンリーさん、植草さん、きっこちゃん)は間違っているという意味。もう1つはマスコミ情報がまちがっていて、ネット情報が真実だという意味。
4.次にマスコミとの距離感を縮めてくれる阿比留さんに感謝。
4.を読んで初めて、3.はマスコミの情報が正しいと信じていることがわかる。
散策さんの文章は、全てがこんな調子なので、読むたびにストレスを感じます。阿比留の記事を推薦するなどといったちょっと頭のおかしい人なので、左派のお面をかぶった右派と見るべきでしょう。そう考えれば、なぜ「ナイ氏を歓迎し、期待します」と書いたかわかると思います。左派からは敵視されたり、あまり相手にされなかったりしている人なので、気にする必要はないと思います。
ネットには散策さんのような人がごまんといるので、気をつけるべきだと思います。