2008.12.18 (Thu)
負のスパイラルに陥った自民党

昨日は日中とても暖かくて、雨が降っていたので、雪はほとんどとけたのに、夜から朝にかけて雪が降って、朝起きたら、これだもんな。ちっ。
いつできたのか知らないが、いつのまにか『The Journal』というプロフェッショナルなジャーナリストによる政治系のサイトができていた。
このサイトの主宰は、高野 孟(たかの はじめ)氏で、《THE JOURNAL》宣言によると、「「これがジャーナリズムだ!」という心意気で、インフォメーションの量の多さではなくインテリジェンスの質の高さを追求する、まったく新しいブログ・サイトを創設します。」という出だしで始まっている。
なんでも、「プロフェッショナルなジャーナリストをはじめ各分野の知の達人たちが協働して1つの情報解放空間を共有し、「これでいいのか、日本!」と論じ合っていくクオリティ高いメディア」だそうで、『The Journal』を構成しているブロガーには、政治家やプロのジャーナリストなど著名人の名前が連なっている(中にはトンデモ・テレビ・ジャーナリストや聞いた事もない占い師なども含まれているが・・・・笑)。
【More・・・】
《THE JOURNAL》宣言(前略)
危機感の共有
私たちを突き動かしているのは、日本のマスメディアの今や瀕死状態と言って過言でない批判精神の衰弱に対する危機感です。
もともと日本のメディアは、記者クラブ制度に象徴されるように、政府・権力に取り込まれやすい構造を持っていますが、近年その度合いはますます酷くなっていて、今年前半を振り返っただけでも、日銀総裁人事をめぐる野党叩きの嵐、ガソリン税値下げに先立って半月以上にもわたって続けられた「国民生活は大混乱」という脅迫的なキャンペーン、洞爺湖サミットでの「2050年CO2半減」で何事か合意が達成されたかに錯覚させる虚偽報道の洪水、福田内閣改造に対する大甘の評点の垂れ流しなど、大政翼賛会的な報道ぶりの横行には目を覆いたくなるものがあります。
もちろん個々の新聞はじめマスメディアの記事や論説や番組には優れたものはあるし、それらを発信するために奮闘している記者やディレクターも数多くいることは言うまでもなく、そういう人たちはむしろ私たちとの協働の対象です。しかし、総体としてのマスメディアの報道は、ますます刹那的、短絡的、情動的に流れていて、そこに無知ゆえの誤解や意図的な歪曲だけでなく権力や権威による巧みな情報操作が紛れ込んでいても、多くの一般読者・視聴者には気付かれにくい状況が深刻化しています。たぶん戦前の日本も、このようにして国を挙げて自滅の道へと雪崩れ込んで行ったのではなかったでしょうか。
(後略)

『高野 孟の極私的情報曼荼羅』麻生首相が国会で「ゴルゴ13」を賛美!
『田原総一朗の「タハラ・インタラクティブ」』ビジネスと「突破力」
その中にある『田中良紹の「国会探索」』というブログなんだけど、12月17日の「悲しき自民党」というエントリーは、自民党がなぜ崩壊寸前なのかをわかりやすく分析しており、このブログの読者だったら誰でも強く共感できると思うので、ぜひ読んでみることをお薦めする。
【田中良紹氏の経歴】
1945年宮城県仙台市生まれ。 1969年慶應義塾大学経済学部卒業。 同年(株)東京放送(TBS)入社。 ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。 1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。 TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。 2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。
なによりも、田中氏のブログは、鈍感な自民党や公明党議員にこそ、一番読んでもらいたいものだ。
悲しき自民党
麻生総理がテレビに映るたびに自民党は支持を失う。そんな状態が続いているのに本人も周囲も気づいていないのか、総理は週末ごとに地方に赴いてテレビに映り、小泉チルドレンとランチを共にしてはワイドショーにネタを提供する。それが支持率アップのためだと考えているのなら勘違いもはなはだしい。
勘違いをしているのは総理だけではない。政府与党からは「景気対策を反転攻勢のきっかけにする」とか、「支持率は間もなく底を打つ」とか、「国民にわかりやすく説明する」とか、そんな言葉が聞えて来る。それを聞く度にまた支持率が下がる。これらの言葉にはまるで危機感がない。その鈍感さにこれが政治家かと驚く。
デフレスパイラルではないが、自民党は既に負のスパイラルにはまり込んでいる。景気対策をしっかりやれば反転攻勢をかけられるというレベルは過ぎた。総理と国民との信頼関係が崩れてしまっているから、そもそも「政策」を説明する前提を消失している。どんな対策を打とうとも麻生総理がやるのでは国民は受け付けない。この状況を変えられるのは「政策」ではなく「政局」である。選挙をやるしかないのだが、麻生総理の下では自民党議員が受け付けないから、一刻も早くリーダーを代えてもらうしかない。それが出来ないなら自民党はもはや政権政党ではない。
かつての自民党であれば10月末に解散を見送った時点で「麻生おろし」が始まっていた。それに麻生総理が抵抗して党内抗争が勃発すれば、分裂状態にならないうちに知恵者が裏で根回しをし、なるべく傷がつかないやり方でリーダーの顔を変え、自民党のダメージを回避した。そうした巧妙さをかつての自民党は持っていたが、今の自民党にはその片鱗もない。
「選んだばかりのリーダーを代える訳にはいかない」などと言っている。一体誰のためのリ-ダーなのか。総理は自民党だけのリーダーではない。日本国1億3千万人のリーダーである。そして自民党議員は総理に雇われている訳ではない。国民の税金で養われている。自民党の都合ばかりを優先すると自民党はいよいよ「国民の敵」になっていく。
間違いだと気づいたら直すのに早すぎる事はない。政治空白を再び作る訳には行かないから、自民党は国民に詫びた上で、時間をかけずに国会議員だけで次の総裁を決めれば良い。そして決めたら速やかに衆議院選挙を行うことだ。国民に信任されない限り政治不信は解消されない。
麻生総理の間違いは国民の審判を逃げたことにある。金融危機を口実に景気対策で誤魔化そうとした。しかしその景気対策が命取りになった。選挙が出来ないほどの危機だと言いながら、選挙のことだけを考えた「バラマキ」を景気対策と言ったので収拾がつかなくなった。本気で危機に立ち向かう気がない事を国民は見破った。だから政権は信頼を失った。
そうなった以上、どんなに景気対策をひねくり回して国民の鼻面にぶら下げても、国民の審判から逃げていては説得力がない。だから次の総理の仕事は何よりも選挙を行うことである。誠実な態度で選挙に臨めば、仮に政権を失っても自民党が死ぬ事はない。いずれ政権に復帰する日が必ず来る。しかし今のような対応を続けていれば、自民党は消滅する。
私は自民党総裁選挙が華々しく行われていた最中に、「自民党破滅へのシナリオ」というコラムを書いた。そこで総裁選挙が「自民党を破滅に導く」と予測した。政治は今そのように動いている。コラムで指摘した事は、代表選挙を見送った民主党と異なり、総裁選挙を実施した自民党は国民の支持を得ると言うが、そうはならない。第一に、政権交代がない時代の自民党総裁選挙は国民の関心事だが、政権交代が近づいている今は、総裁選挙が関心を呼ぶ事はない。自民党は勘違いをしている。
第二に、党首選挙は民主主義と何の関係もない。だから英国などの民主主義国はなるべく党首選挙をやらない。やれば党内分裂を生み出して有害である。国民が参加する選挙に負ければ党首を代えるが、選挙で勝てば党首は代えない。民主党が代表選挙を見送ったのは民主主義の道理に適って正解だが、自民党には分裂の可能性が高まる。
第三に、リーマンブラザースが破綻した時に総裁選挙をやっている暇はない。さっさと総裁を決め、直ちに国会を召集して補正予算を成立させ、速やかに解散すべきだと書いた。しかし自民党の感覚は鈍かった。リーマンブラザースの破綻を「蚊に食われた程度の影響」と言い切り、総裁選挙をダラダラと続けた。テレビに映る時間が長ければ支持率も上がるという錯覚である。
自民党総裁選挙は私の予想どおり国民の関心を呼ばなかった。そして自民党内は分裂含みとなった。選ばれた麻生氏は金融危機に手を打つため補正予算の成立に全力を挙げるかと思ったら、国連総会出席という意味のないパフォーマンスに懸命で、真面目に政治に取り組むタイプでない事がはっきりした。
だから10月初めに「政治家の資質」というコラムで、麻生総理には「総理の資質がない」と書いた。組閣人事と所信表明の内容のひどさ、さらには株価の暴落を口実に解散を先送りしたからである。政治のプロならば金融危機は解散の絶好のチャンスと思う筈である。黙っていても危機は与党に追い風になる。それを見逃したのだから政治音痴もはなはだしい。
何故こんなに政治を知らない政治家が存在するかを考えてみた。おそらく傍流を長く続けてきたからだろう。権力が何かを外からしか眺めてこなかった。外形だけで判断して内実を知らない。だから総理の格好はするが中身が伴わない。権力者は決して自分の心を漏らさないものだ。ところがこの総理はそうではない。つまらない相手にもむきになる。感情を抑える術も知らないが、言葉の重みも分かっていない。
仮に支持率が下がらなくとも自民党の総裁が務まる人物ではなかった。その人物を守ろうとしている自民党に政権政党の面影はない。このところ資質に欠ける人物が総理を務めてきたせいで、自民党の感覚も麻痺してしまっているのだろう。あまりにも悲しい政治の現実である。
最近、麻生総理を最後の将軍徳川慶喜にたとえる話が出回っているがとんでもない。慶喜は徳川家康の再来と言われるほどの明晰な人物だった。将軍に担ぎ出された当初から幕藩体制が続かない事を知っていた。だから無駄な抵抗はせず、権力を朝廷にお返しする事で、徳川家がその後も政治を続けられるように策した。幕藩体制に代わる郡県制を用意して新時代に備える準備もしていた。つまり時代を読む力があった。しかし西郷の謀略で鳥羽伏見の戦いが始まると、内戦を避けるために戦場から逃げ、そのまま静かな隠遁生活に入った。その生き方は麻生総理ではなく、民主党と大連立を策した福田前総理にこそ良く似ている。
ここに来て福田前総理の言った「私はあなたと違って自分を客観的に見る事が出来るんです」という言葉が思い出される。メディアは「逆ギレ」と言って散々馬鹿にしたが、私は素直にその言葉を受け入れた。福田氏は総理就任当初から現在の政治状況を正しく把握していた。だから民主党と対立するよりも協調する道を選んだ。大連立はまさしく大政奉還に匹敵する政治行動である。安全保障政策を大転換する覚悟までした。それ以外に自民党が生き延びる道はないと判断していた。しかし徳川慶喜と同様にその企てはかなえられず、慶喜が江戸開城の2ヶ月前に鳥羽伏見の戦いから逃亡したように、自らも政権を投げ出した。福田氏は自らの立場を客観的に理解していたからこそ政権を投げ出した。それを理解できない「あなた」とは質問をした記者だけではない。現在の行動を見ていると麻生総理の事を指していたのかもしれないと思えてしまうのである。
さすが、ジャーナリストだけあって、自民党を的確に批判しているし、かなり手厳しい。日本の既存の大手メディアでは、ここまで批判できないだろう。田中氏の文の中に普段から自エンドでみんなが訴えていることが全て託されている。非常に頼もしいブロガーを発見した。
1月には、銀座で田中氏の講演会があるようだ。
第8回銀座田中塾
日時:2009年1月8日又は13日
午後6時半~8時半
テーマ:終るアメリカ一極支配
場所:東京都中央区銀座6-13-15
銀座ウォールレジデンス401号
会費:2500円(飲み物・軽食)
どちらかの日を指定して
電話:03-3357-0828
Email:morim-p@gol.com
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はじめまして、美爾依さん。
一月ほど前くらいからちょこちょこ拝見させてもらってます。
私は、その田中良紹氏のブログを以前から拝読してました。
たしか新党日本代表の田中康夫氏とも懇意にされていて、田中康夫氏自身が、小沢一郎氏と並んで「敬愛する~氏」と公言されてる人物(ジャーナリスト)です。
何度もBS[にっぽんサイコー」にも出演されていて(おそらく最多)、非常に面白くためにもなる内容であると思います。
ユーチューブにもあるようなので機会があれば(http://jp.youtube.com/results?search_query=%E7%94%B0%E4%B8%AD%E5%BA%B7%E5%A4%AB&page=2)
また、その繋がりなのか新党日本のサイト内にでも連載を続けておられ、より日本の統治構造のほうに視点を置いていて、こちらもまた違う意味で面白くためにもなると思われます。
こちらも機会があれば(http://www.team-nippon.com/ishin.htm)
ご存知のように、TBSの出身の方で(私自身が、氏の民主主義に対する思考・哲学とに共有しているところもありますが)彼のような方が、それこそ筑紫氏の後継として「本来の立憲民主主義の姿」などの視点から、TVニュース・キャスターを務めていただけたらと個人的には切望するところです。
ちなみに、上記からもお分かりのように私自身、前記したお三方の理念・信条に共感を抱いており尊敬もしている方々です(無論、植草氏も同様です)。
政権交代で民主党政権が樹立したならば、是非とも田中良紹氏や政治学者・山口二郎氏や植草一秀氏やらを代表とする、優れて良識と見識・教養、理念を併せ持つ方々らに、本来憲法が予定していた議院内閣制民主主義の健全な機能のため、国民のため、民主党政権とともに活躍されることを切に願うところです(田原総一郎氏や竹中親派・新自由主義路線の知識人とはオサラバです)。
とにかく、ここまでジャーナリズムとしての責務を放棄している、既存のメディア体制には本当にウンザリなのです。
それでは、長文失礼いたしました。
# ふりがなは「狙撃手 (スナイパー)」のように,一部にしかついてなかったよ.(^^;)
> 今日の植草先生のブログに
> 「「カナダde日本語」様と「晴天とら日和」様は、いつも連携して貴重な情報を伝えてくださるので、チェックを怠れない」と書かれていましたね


あたたかいコメントありがとうございます。
私も植草さんの文を読んでとても嬉しくなりました。
とらちゃんと私は、ゴールデンおばちゃんコンビとでもいいましょうか(笑)。
英語で"Two heads are better than one"(一人の知恵より二人の知恵)という諺がありますが、二人の知恵を合わせて、トピックについてより深く、より広く書く事ができるようですね。
人数が増えればそれだけいろいろな意見が出てきて、広がっていくので、自エンド仲間とコラボしてこれからも自民党を追い込んで、なるべく早くエンドさせたいと思っています。
「「カナダde日本語」様と「晴天とら日和」様は、いつも連携して貴重な情報を伝えてくださるので、チェックを怠れない」と書かれていましたね


> B6版の「ゴルゴ13」の発売日でしたね(笑) アッソーも恐らくこれを読んで,アホな発言しはったんとちゃうやろか.(^^)
昨日は、麻生夫人が自民党広報誌に載せたコメントが話題になりましたね。主人だって難しい本を読めるんですのよ。おほほほ・・・・。というものでしたが、彼女にとって難しい本とは、「ゴルゴ13」かもしれませんね。どうせ漢字にふりがながふってあるか、漢字は飛ばし読みでしょう。
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田中良紹氏もそうですが、田中康夫氏も政府の欺瞞を鋭く追及し、そして具体的に行動を起す、信頼に値する人物だと思っています。野党内閣成立の暁には、田中康夫氏が大臣になると、内閣が引き締まるはずです。