2008.10.25 (Sat)
橋下府知事が「教育よりも道路」と今度は女子高校生を泣かす
植草一秀の『知られざる真実』朝日放送名誉毀損訴訟「お詫び放送」で和解
植草さん、和解おめでとうございました。マスコミによる虚偽報道などで、一度失ってしまった名誉を挽回するのは容易ではないと思いますが、『週刊金曜日』などの雑誌の執筆活動も復帰され、少しずつですが、元の状態に戻っているようで、とても嬉しく思います。訴訟はかなりストレスがたまるでしょうが、これからも名誉を挽回するためにがんばって下さい。心より応援しております。
先日も収穫前の幼稚園の農園に道路を建設することを巡って、幼稚園児を泣かしたばかりの橋下だが、今度は、高校生を泣かせてしまった。下記の朝日の記事が詳しい。さすがは朝日(笑)。
橋下知事、高校生と熱く議論 財政難訴え「皆で我慢を」(2008年10月24日0時18分)
大阪府の橋下徹知事は23日、府の財政再建策で私立学校への助成を削減したことなどについて、府内の高校生12人と意見交換をした。財政難を訴えて「みんなが我慢しないと借金はなくならない」と熱く語り、府職員が止めるのを制止して、20分の予定を1時間以上延長して「本気トーク」を繰り広げた。
『自エンド』TBPにTBして下さった『dj19の日記』橋下知事「日本は自己責任が原則」…私学助成の不安を訴える女子高生を泣かすというエントリーでその意見交換の様子、高校生が助成金をカットしないようにと涙ながらに橋下に訴えるのだが、冷たくあしらわれてしまう様子が見られるYouTubeがアップされていた。
上の動画の中での木村太郎キャスターの「私学助成」の考え方については、『dj19の日記』がブログで反論しているので、ここでは、違った視点からこの問題を考えてみたい。
それにしても、橋下の非情さにはただただあきれるばかりだ。「子供が笑う大阪」を宣伝文句に当選した橋下が道路利権のために弱い者虐めしている姿は、目も当てられない。大阪に笑顔を取り戻すために知事になった橋下が、いまの制度が気に喰わなかったら日本から出て行けとか、我慢しろとは何事か。ヲマエは府知事になる前に言っていたことを忘れたのか。「大阪を新しく生まれ変わらせたい」とそう言っていなかったか。
しかし、上の動画を見て、今の日本の高校生がとてもしっかりしているのを知り、ほっとEカップの胸をなでおろした。高校生たちは、日本政府が米軍や道路に必要以上の血税をつぎ込んでいることを熟知しており、なぜ助成金をカットしなければならないのかと橋下にしつこく食い下がっていた。だが、橋下は、全く聞く耳を持たなかった。私が彼だったら、無下に高校生の言う事を否定することはせず、「いい意見だ。ぜひ、考えてみよう。」と答えた上で、高校生の願いを叶えてあげるためにできることを考えるだろう。高校生にしてみたら、橋下府知事ならわかってくれるのではないかと期待してしまったのがいけなかった。まさか高校生達も、「子供が笑う大阪」をキャッチフレーズにして当選した橋下と意見交換して、「ヲマエら貧困層の教育よりも米国や道路の方が大切だ!」と言い放たれ、泣かされるとは思いもしなかったのではないか。
「少子化でも強い日本の大学ランキングトップ100」というエントリーでも触れたが、民主党の小沢代表は、所信表明で、母子家庭など特に所得の低い家庭にはとても助けになるのではないかと思われる中学校卒業までの子供手当(子供一人当たり2万6千円)の支給、公立高校の無料化、大学での学費負担軽減などを約束してくれた。
今回、橋下に泣かされた高校生達は、次期衆院選ではぜひ民主党に投票するよう、ご両親を初めとした周りの大人達にすすめて欲しい。
問題は、親が大企業の役員や官僚などの富裕層の子息が、国立大学付属高校や公立高校など授業料の安い教育機関に行く傾向があり、貧困層の子息が授業料の高い私立に行かなければならないことだ。なぜなら、日本では、公立高校よりも私立高校のレベルの方が低く、公立高校に入学できなかった生徒を私立高校が受け入れるようなシステムになっているからだ。
このところ、少子化の傾向で、底辺の私立高校の経営がかなり難しくなってきていると聞く。高校までを義務教育にすることによって、経営の難しい私立高校を国が買い取って公立化したらどうか。経営難の銀行を救うことができる財力を持つ日本が、教育を救えないわけがなかろう。そうした上で、公立高校を全て無料化すれば、貧困層の子息も授業料の心配なく、勉学に励む事ができると思う。高校まで義務教育のカナダに住んでいる私としては、学歴主義の日本でなぜ高校が義務教育にできないのか不思議でならない。
日本を変えるなら、教育システムから変えなければならない。格差が進んで貧困層が増加しても、勉強したいのに勉強できない子供を増やしてはならない。せめて高校までは義務教育にするべきだ。そして、いい人材は、貧困層に眠っている可能性が高い。富裕層だけが塾へ通い立派な教育を受ける資格があるというのはおかしい。高校生が訴えていたように、将来、良い人材を増やす為にも、道路よりも米軍よりも教育に重点をおくべきだ。
橋下の朝日新聞との確執のエントリーやそれに続く続編のコメント欄に、橋下への痛烈な批判のコメントを下さったみなさま、府知事になる前には調子の良い事を言っていたけど、いざ府知事になると権力のいいなりで、弱い者虐めばかりする橋下知事は、公約違反だと思いませんか。大阪府に橋下への不満をぶつけようではありませんか。
『大阪府』知事への提言より
【「知事への提言」電話、FAX、はがきでのご意見等の受付】
電話:#8001 (府民お問合せセンター)
(または06-6910-8001)
※電話等は、お間違えのないようご注意ください。
ファックス:06-6944-1010(専用ファックス)
はがき:〒540-8570(住所記載不要) 大阪府庁「知事への提言」あて
インターネットでの「知事への提言」入力フォーム
参考サイト:
『しんぶん赤旗』列島だより「私学助成カットやめて 高校生が立ち上がる」大阪府 (2008/06)
『Matimulog』osaka:橋下知事、もう公約を翻す(2008/02/06)
『ザ・選挙』橋下徹 立候補者情報
『大阪府』ようこそ知事室へ

関連過去ログ:
大阪府知事選:投票する前にマニフェスト比較
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親に平均かそれ以上の収入があり、学費のことなどまったく気にせず私学に通っている高校生の方が多数派なのではないでしょうか。さらにその後、アパートを借りて東京の私立大学へ進むという人たちもいるでしょう。
守られていることを「当たり前」と考える「甘やかされた子供」になってしまうのでは、という危惧の目は、そのような恵まれた高校生たちにこそ、向けられるべきだと思います。学費のことで府知事に会いに行くような生徒たちは、上記のような高校生たちよりも、この世界の厳しさを身にしみて分かっているのではないでしょうか。
誤解のないように言っておきますが、私は、「あの子たちを優しく、暖かく見守りたい」という考えではありません。「学費は援助するから、その代わりしっかり勉強して、一円でも高額の納税者になって、府や国に恩返ししろ」という考えです。
経済状況に対しての考慮はしてあると思います。
高校生を守ってあげよう。というのも立派ですが、守られているほうがそうと認識しなければ「当たり前」になります。そうして、甘やかされた子供が増えるのもどうかと思います。
大きな壁にぶつかって、それに対して乗り越えよう!という気概がなくなった人たちが社会に出て躓いているというニュースもみました。
守ると育てるの間を見極めるのはむずかしそうですね。
橋下知事に限らず、多数者がすべてを決定して少数者がそれに従うのが民主主義だと曲解している輩が多すぎるような気がします。この人、多数とってから意見を言えとか言ってましたしね。
思うに、自己責任というのは基本的に経済活動について妥当するものであって、なんでもかんでも自己責任で済ませるというのには違和感を感じます。
教育に関しては個人の利益ばかりでなく、将来の民主制を担う国民を育てるという公益上の観点も必要ですから、箱物や道路と同列には扱えないと思うのですが。
「百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」
そういえばかつて、米百俵の精神云々と演説した首相がいましたねw
知事は、「あなたが私学を選んだ」と言ったそうですが、それは100のサービスを前提に選んでるわけでしょう。いまになって入学前の彼らの選択を批難するのはどうかと思います。
90に減らす側がすべきなのは「説教」ではなく、「説明」や「説得」ではないでしょうか。
あなたのおっしゃっているのは、結局のところいままでよくある~の前に~をすべきであるという不毛な論理ではないでしょうか。今大阪府では府立高校の生徒数減少による閉鎖が相次いでおります。このような中私学への助成金の必要性があるのか疑問です。
>箱物や天下り、不必要な道路の削減等々、財政の無駄を十分に排除した後<
このように述べておられますが不必要な箱物や天下り、不必要な道路とは具体的にどれとどれのことを申されているのでしょうか。ドーンセンターをはじめとする女性~のための施設のことをおっしゃっているのでしょうか。いっておられることが抽象的すぎて具体性に乏しいように感じられます。しかしながら私学というある意味贅沢にたいして助成金を削減することになんの躊躇がひつようなのでしょうか。また橋下知事は大阪府のすべての経費の見直しを進めておられ、その一環が私学助成金の削減であるにすぎずあなたのおっしゃっていることは的外れです。
Heroさんのおっしゃることに賛同します。天下りなどの諸問題を後回しにして、教育や一般公務員を犠牲にするやり方は本末転倒です。
「奨学金を利用すべきであるし、学力が原因の場合は通う必要がなく、働くのもよい」 日本の奨学金制度ははアメリカなど海外に比べてまだまだ遅れている。学力が低いのなら、なおさら高校に行って勉強するべき。知事の政策はそういう機会を奪う。
「自身学費を貯蓄し、学力を高め、入学することも可能であるし」中卒で雇ってくれるところといえば、安い賃金で長時間働かされる職場しかないでしょう。
言うはやすしです。
ただ、わたしはこの問題にたいしてはambivalentです。例え私立の高校に入学したとしても、今の日本の教育制度では偏差値・学力主義に毒されるわけで、それほど質のいい教育を受けることができるとは思えないのです。そして、宮台真司さんもこの問題に触れていると思うのですが、日本の大学教育はほかの先進国に比べても低いような気がします。進学校に行き、よい大学へ行ってサークル活動をして、三年生になったころから就職活動を始め、勉強をせずバイトに明け暮れ、平均以下の成績でも卒業し、学歴だけでよい企業に入社できてしまうこの現状。わたしはアメリカの大学を卒業したので、今の日本の大学生とアメリカの大学生の差に愕然としてしまいます。(カナダの大学教育はどうなっているのでしょうか?)
橋本知事もそれに賛同する方々も、結局はこうした日本の教育制度の枠組みの中でものをいっているだけであって、学力・偏差値を上げればよい人材が生まれるか言えばそうではない。
ところでVideonews.comの神保さんと宮台さんが教育に関する本を出されたそうです。お読みになった方はいますでしょうか。もしお薦めであれば教えてください。
高校生の方がましですね。
言ってやればよかったのに、「国を変えるって、あなたのような政治家をいなくすることですね。はい、僕たち頑張ります」って。
本当は私はこう思う: 多分そういう言葉は彼らの頭に浮かんだろう。でも礼節を守って敢えて口にしなかったのに違いない。
橋下の言うように、確かに社会は厳しく、時には冷酷です。
しかしねえ、進んで厳しく冷酷な社会にしているのは、橋下のような人たちじゃないの?人情と道義心の排除を進歩と取り違えている人たち。 人情と道義心に欠けた人を、「えげつない」といいます。
言っていることは、なるほどごもっとも。
しかし大きなことがすっぽり抜けています。それは橋本知事が優先順位を完全に間違えているということです。
箱物や天下り、不必要な道路の削減等々、財政の無駄を十分に排除した後でこの記事のような措置を取ったのならば仕方ないでしょう。しかし実際は違います。これは現在の与党が天下りや随意契約に全く手を入れないのに福祉を削っている構図と全く同じです。左派サラリーマンさんの言うとおりですね。
更に彼は自分に甘く他人に厳しいという、上に立つ物としては最悪の性格をしています。府の職員の休憩時間を削っておきながら、自分は勤務中にスポーツジムに通っていたのが良い例です。
彼は自分より強い者には限りなく卑屈、自分より弱い者には限りなく冷酷にふるまう事が全ての行動原理になっている。
しかし大阪府民は彼が弱い者をいじめているのを見て喝采を送っています。学校のいじめとおなじで、次は自分がいじめられるかも知れないとびくびくしながら、いじめられっこがいじめられているのを見てストレスを発散しているみたいです。「いじっめられっこが馬鹿なのさ、自分は犠牲者にならないよううまく立ち回ろう」
大阪はいじめっこによるいじめが頻発して、担任がそれに加担しているクラスみたいな状況じゃないでしょうか。
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