2008.09.30 (Tue)
麻生太郎の所信表明と国連総会演説(YouTube)
一方、日本のメディアを見ても、ほとんど危機感が感じられないのだが、大丈夫か?
カナダでは、ガソリンの値段がいきなり1リットル1・09カナダドルに下がったのはいいけど、これから、資金不足の銀行からお金が借りられなくなって、企業の倒産が次々と相次ぎ、就職難をもたらすだろう。パニックになる必要はないけど、心の準備が必要かも。
追記:NY発の金融危機に関しては、とらちゃんが又情報を集めてくれたよ。
『晴天とら日和』金融危機に際して:自民党は選挙を逃げる道具に使ってるに過ぎません。
今日は、麻生の所信表明を動画で見て、感じたことを書こうと思う。

第170回国会における麻生内閣総理大臣
所信表明演説 (平成20年9月29日)
動画は政府インターネットテレビでも見られるけど、
途中で止まったりするので、You Tubeの方が見易いかも。
麻生首相・所信表明演説 - 1/3
麻生首相・所信表明演説 - 2/3
麻生首相・所信表明演説 - 3/3
なんか麻生のダミ声を聞いていたら、子供の頃によく競り市で聞いた魚屋のオヤジの声そっくりで笑ってしまった。麻生って、政権交代の後、職を失っても、ハチマキしてそのまま築地の魚市場とか、今ダイエットで流行りのバナナの叩き売りで生計を立てられそう(笑)。
それにしても、中身のない、民主党に喧嘩を売るだけの、首相の所信表明らしくない演説だった。普通、所信表明演説っていったら、これから与党が何をしていくかを国民に伝えるものなのに、自民党らしく、国民や弱小野党は一切無視して、民主党の小沢一郎代表に挑戦状をつきつけるのが主な目的だったような内容だった。このことからも、自民党がいかに政権交代が起こる事をビビりまくっているかがわかる。
とんでもないことに、自民党内で29日、衆院の早期解散に反対する署名運動が始まったそうだが、安倍と福田の二人の首相が2年連続で首相の座を投げ出したことへの反省は全く見られず、多くの国民が今何を求めているのか全くわからないKYな議員の集まりであることを証明したのも同然だ。麻生の演説でも感じられた事だが、自民党議員に自分たちが国民を不幸にしたという実感が全くないのは、まさに驚くべきことだ。
例えば、経団連のポチ、小泉の規制緩和で、外資系企業が台頭し、又、国民が支払った消費税を大企業の法人税に充てることによって、上場企業と外資は儲かったが、一般会社員の給与は下がり続けている。
小泉政権の構造改革や規制緩和で、地域格差が拡大され、失業者や自殺者も増えた。こういった小泉政権がぶっ壊した日本経済や雇用問題を全く反省もせず、ただ民主党にいちゃもんをつけるというのは、まるでヤクザのようだ。
麻生が所信表明で行った異例の民主党への逆質問は、次の5つ。
1.ねじれ国会合意形成のルールの準備があるかどうか。
2.補正予算案成立の賛否。
3.地方道路財源を補てんする関連法案とその関連法案に対する賛否。
4.日米同盟と国連のどちらを優先させるのか。
5.インド洋での給油活動を継続させるかどうか。
どれも米国から圧力をかけられているとしか思えないような質問ばかり。こんな質問しかできないとは、本当になさけない。まず、国会でねじれがなぜ生じるかというと、自民党が国民の意志に反した法案ばかり成立させようとするからであり、民主党は国民生活を第一に考えてこれらの法案に反対しているのである。なぜ、これが、政局を第一義としていることになるのか。例えば、ガソリン税にしたって、国民は80%以上が廃止を求めていたではないか。それを自民党が道路利権のために廃止しなかったから、ねじれが生じたのだ。
2.の補正予算にしたって、中日新聞によれば、政府自民党が国会に提出した補正予算は、緊急経済対策を盛り込んだと言われるが、実際は、「『旧来型ばらまき』の色が濃い選挙目当ての利益誘導型補正予算」だと報じている。
補正の中身を見ると「ばらまき」の典型のようだ。まず最初に、燃料費がかさむ漁民対策に燃料費補てん対策を打ち出した。
すると「我も我も」というように、農業はもちろんトラックやバス・タクシー業界、国内海運、航空運送、クリーニング業など生活衛生関係業界、石油流通業、建設業界など軒並み予算がついた。政治的に声が大きい特定業界に予算を手当てする手法こそが「ばらまき」である。
生活者の不安解消をうたいながら、その陰で恩恵にあずかれない「小さな声」の人々がはじき飛ばされてしまう。たとえば、山間地から車で医院に通う老人だって、ガソリン値上がりで困っているのは同じではないか。
選挙の票や政治資金目当てのばらまき予算は特定層を潤すだけで、むしろ不公平を拡大する。
ほかにも高齢者医療の負担軽減策や学校の耐震化など、本来なら来年度当初予算で手当てすべき予算を補正で賄っている。概算要求基準(シーリング)の枠外にある補正を使えば、当初予算の編成に余裕ができるからだ。これは一種のごまかしといえる。耐震化工事がなぜ毎年、補正に回るのか、政府の説明を聞きたい。
財源をみても、前年度の決算剰余金や税外収入のほか、三千九百五十億円の建設国債を追加発行する。建設国債であっても借金に変わりはない。財政再建も遠のく結果になった。
景気対策で財政出動が不可欠かどうかについても真剣な議論がいる。かつて事業費で百兆円を上回る補正予算の大盤振る舞いを繰り返しながら、景気が回復しなかった経験から何を学ぶのか。
政府が財政出動に走る一方、日銀は「当面停滞が続いた後は持続的な成長経路に復していく」(西村清彦副総裁)と先行きを悲観していないようだ。政府は日銀と景気認識の落差を詰めるべきだ。
つまり、自民党こそが、政局を第一義とし、国民の生活を第二義、第三義とする姿勢に終始していることがわかるだろう。民主党を批判しているつもりが、実際は自分たちの悪事を晒す結果になっているというすばらしい演説である。
麻生内閣で財務相と金融担当相を兼任することになった中川昭一の経済政策については、
『池田信夫のblog』の「中川昭一氏のためのマクロ経済学超入門」が酷評している。
アメリカで行われている金融危機対策については、経済学者にとっても勉強になるハイレベルの論争が行われているが、日本ではまだ半世紀前のケインズの亡霊が徘徊しているようだ。中川財務相・金融担当相が『中央公論』7月号に書いた「日本経済復活のための13の政策」には、典型的なバラマキ政策が並ぶ・・・・
いくら自民党総裁と言っても、来月にも衆院解散が囁かれる中で、総選挙の結果いかんでは総理の座から転げ落ちる可能性のある地底人以下の最低人の麻生が日本で所信表明演説をする前に、国連総会へと向かい、所信表明を行ったのも異常だ。まるで、日本よりも米国の方が大切であると言っているようだ。それにしても、国連での動画の最初の方で麻生が英語を話しているのだが、下品な英語を話す男だ。英語を第一言語とする人には、通訳なしには何を言っているかわからなかったに違いない。「オレ様は、国連で演説もできるんだぞ!」と日本国民に見せつけたかったのかもしれないが、自民党って、どこまでアフォーマンスがお好きなのだろう。
明日の小沢一郎代表の応酬が楽しみではあるが、小沢代表には、麻生の質問に惑わされることなく、所信表明をしていただきたい。
麻生首相・国連総会演説 1/3
麻生首相・国連総会演説 2/3
麻生首相・国連総会演説 3/3
関連記事:
ニューヨーク・タイムズ麻生を酷評(ゲンダイネット 09月30日)
ただ、このNY Timesの原文を読んでみると、米国に都合のいい小泉の経済改革を推奨しているところが、さすが米紙だななんて思っちゃったんだけど・・・・(汗)。
麻生首相 六本木美人ママとの「カネ」と「仲」 (ゲンダイネット 9月26日)
追記(10月1日):きっこちゃんも安倍や福田の所信表明と麻生の所信表明を比較して厳しく批判している。
『きっこのブログ』所信表明は大ウソだらけ
植草氏も麻生に強烈なアッパーを決めて下さった。
植草一秀の『知られざる真実』 麻生首相代表質問VS小沢代表所信表明演説
麻生の不祥事に関する過去ログ:
麻生太郎が献金を受け取っていた「ヤマト樹脂光学」の久保村広子社長が汚職で逮捕(8月25日)
麻生太郎が資金管理団体「素淮(そわい)会」政治資金3500万円を飲み食いに(8月18日)
麻生太郎の金集め:企業・団体などから1年で3億円(8月9日)
麻生太郎のナチス発言にみられる差別主義の根源(8月5日)
品位に欠ける麻生の演説を聞いたら、弱く暗い気持ちになった。総理には全く不適格だと思ったら、今日もランキングの応援宜しくお願いします。

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第170回国会における麻生内閣総理大臣所信表明演説 (平成20年9月29日)
(就任に当たって)
わたくし麻生太郎、この度、国権の最高機関による指名、かしこくも、御名御璽をいただき、第九二代内閣総理大臣に就任いたしました。
わたしの前に、五八人の総理が列しておいでです。一一八年になんなんとする、憲政の大河があります。新総理の任命を、憲法上の手続にのっとって続けてきた、統治の伝統があり、日本人の、苦難と幸福、哀しみと喜び、あたかもあざなえる縄の如き、連綿たる集積があるのであります。
その末端に連なる今この時、わたしは、担わんとする責任の重さに、うたた厳粛たらざるを得ません。
この言葉よ、届けと念じます。ともすれば、元気を失いがちなお年寄り、若者、いや全国民の皆さん方のもとに。
申し上げます。日本は、強くあらねばなりません。強い日本とは、難局に臨んで動じず、むしろこれを好機として、一層の飛躍を成し遂げる国であります。
日本は、明るくなければなりません。幕末、我が国を訪れた外国人という外国人が、驚嘆とともに書きつけた記録の数々を通じて、わたしども日本人とは、決して豊かでないにもかかわらず、実によく笑い、微笑む国民だったことを知っています。この性質は、今に脈々受け継がれているはずであります。蘇らせなくてはなりません。
日本国と日本国民の行く末に、平和と安全を。人々の暮らしに、落ち着きと希望を。そして子どもたちの未来に、夢を。わたしは、これらをもたらし、盤石のものとすることに本務があると深く肝に銘じ、内閣総理大臣の職務に、一身をなげうって邁進する所存であります。
わたしは、悲観しません。
わたしは、日本と日本人の底力に、一点の疑問も抱いたことがありません。時代は、内外の政治と経済において、その変化に奔流の勢いを呈するが如くであります。しかし、わたしは、変化を乗り切って大きく脱皮する日本人の力を、どこまでも信じて疑いません。そしてわたしは、決して逃げません。
わたしは、自由民主党と公明党の連立政権の基盤に立ち、責任と実行力ある政治を行うことを、国民の皆様にお誓いします。
(国会運営)
はじめに、国会運営について申し上げます。
先の国会で、民主党は、自らが勢力を握る参議院において、税制法案を店晒しにしました。その結果、二か月も意思決定がなされませんでした。政局を第一義とし、国民の生活を第二義、第三義とする姿勢に終始したのであります。
与野党の論戦と、政策をめぐる攻防は、もとより議会制民主主義が前提とするところです。しかし、合意の形成をあらかじめ拒む議会は、およそその名に値しません。
「政治とは国民の生活を守るためにある。」民主党の標語であります。議会人たる者、何人も異を唱えぬでありましょう。ならばこそ、今、まさしくその本旨を達するため、合意形成のルールを打ち立てるべきであります。
民主党に、その用意はあるか。それとも、国会での意思決定を否定し、再び国民の暮らしを第二義とすることで、自らの信条をすら裏切ろうとするのか。国民は、瞳を凝らしているでありましょう。
本所信において、わたしは、あえて喫緊の課題についてのみ、主張を述べます。その上で、民主党との議論に臨もうとするものであります。
(着実な経済成長)
緊急な上にも緊急の課題は、日本経済の立て直しであります。
これに、三段階を踏んで臨みます。当面は景気対策、中期的に財政再建、中長期的には、改革による経済成長。
第一段階は、景気対策です。
政府・与党には「安心実現のための緊急総合対策」があります。その名のとおり、物価高、景気後退の直撃を受けた人々や農林水産業・中小零細企業、雇用や医療に不安を感じる人々に、安心をもたらすとともに、改革を通じて経済成長を実現するものです。
今年度内に、定額減税を実施します。家計に対する緊急支援のためであります。米国経済と国際金融市場の行方から目を離さず、実体経済への影響を見定め、必要に応じ、更なる対応も弾力的に行います。
民主党に要請します。緊急総合対策実施の裏付けとなる、補正予算。その成立こそは、まさしく焦眉の急であります。検討の上、のめない点があるなら、論拠と共に代表質問でお示しいただきたい。独自の案を提示されるももちろん結構。ただし、財源を明示していただきます。双方の案を突き合わせ、国民の前で競いたいものであります。あわせて、民主党の抵抗によって、一か月分穴があいた地方道路財源を補てんする関連法案を、できるだけ速やかに成立させる必要があります。この法案についての賛否もお伺いします。
第二段階は、財政再建です。
我が国は、巨額の借金を抱えており、経済や社会保障に悪い影響を与えないため、財政再建は、当然の課題です。国・地方の基礎的財政収支を黒字にする。二〇一一年度までに成し遂げると、目標を立てました。これを達成すべく、努力します。
しかし、目的と手段を混同してはなりません。財政再建は手段。目的は日本の繁栄です。経済成長なくして、財政再建はない。あり得ません。麻生内閣の目的は、日本経済の持続的で安定した繁栄にこそある。我が内閣は、これを基本線として踏み外さず、財政再建に取り組みます。
第三段階として、改革による成長を追い求めます。
改革による成長とは何でありましょうか。それは日本経済の王道をゆくことです。すなわち、新たな産業や技術を生み出すこと、それによって、新規の需要と雇用を生み出すことにほかなりません。「新経済成長戦略」を強力に推し進めます。
阻むものは何か、改革すべきものは何か。それは規制にあり、税制にある。廃すべきを廃し、改めるべきは改めます。
強みは何か。勤勉な国民であり、優れた科学と技術の力です。底力を解き放ちます。日本経済は、幾度となく厳しい試練に対して果敢に応じ、その都度、強くなってきました。再び、その時が来たのであります。
以上、三段階について申し上げました。めどをつけるには、大体三年。日本経済は全治三年、と申し上げます。三年で、日本は脱皮できる、せねばならぬと信じるものであります。
(暮らしの安心)
暮らしの安心について、申し上げます。
不満とは、行動のバネになる。不安とは、人をしてうつむかせ、立ちすくませる。実に忌むべきは、不安であります。国民の暮らしから不安を取り除き、強く、明るい日本を、再び我が物としなくてはなりません。
「消えた年金」や「消された年金」という不安があります。個人の記録、したがって年金給付の確実さが、信用できなくなっております。ひたすら手間と暇を惜しまず、確かめ続けていくしか方法はありません。また、不祥事を行った職員に対しては、厳正なる処分を行います。わたしは、ここに頭を垂れ、国民のご理解、ご協力を請い願うものです。あわせて、年金等の社会保障の財源をどう安定させるか、その道筋を明確化すべく、検討を急ぎます。
医療に信を置けない場合、不安もまた募ることは言うまでもありません。わたしはまず、長寿医療制度が、説明不足もあり、国民をいたずらに混乱させた事実を虚心に認め、強く反省するものであります。しかし、この制度をなくせば解決するものではありません。高齢者に納得していただけるよう、一年を目途に、必要な見直しを検討します。
救急医療のたらい回し、産科や小児科の医師不足、妊娠や出産費用の不安、介護の人手不足、保育所の不足。いつ自分を襲うやもしれぬ問題であります。日々不安を感じながら暮らさなくてはならないとすれば、こんな憂鬱なことはありません。わたしは、これら不安を我が事として、一日も早く解消するよう努めます。
次代の日本を担う若者に、希望を持ってもらわなくては、国の土台が揺らぎます。
困っている若者に自立を促し、手を差し伸べます。そのための、若者を支援する新法も検討します。最低賃金の引上げと、労働者派遣制度の見直しも進めます。あわせて、中小零細企業の底上げを図ります。
学校への信頼が揺らいでいます。教育に不安が生じています。子どもを通わせる学校を信頼できるようにしなければなりません。保護者が納得するに足る、質の高い教育を実現します。
子どもの痛ましい事件が続いています。治安への信頼を取り戻します。
ここで、いわゆる事故米について述べます。事故米と知りつつ流通させた企業の責任は、断固処断されるべきとして、これを見逃した行政に対する国民の深い憤りは、当然至極と言わねばなりません。わたしは、行政の長として、幾重にも反省を誓います。再発を絶対に許さないため、全力を挙げます。
すべからく、消費者の立場に立ち、その利益を守る行政が必要なゆえんであります。既存の行政組織には、事業者を育てる仕組みがあり、そのため訓練された公務員がありました。全く逆の発想をし、消費者、生活者の味方をさせるためにつくるのが、消費者庁であります。国民が泣き寝入りしなくて済むよう、身近な相談窓口を一元化するとともに、何か商品に重大な事故が起きた場合、その販売を禁止する権限も持たせます。悪質業者は、市場から駆逐され、まじめな業者も救われます。
行政の発想そのものをめぐる改革であればあるだけ、甲論乙駁はもっともであります。しかし、国民の不安と怒りを思えば、悠長な議論はしていられません。消費者庁創設に、ご賛同いただけるのか否か。民主党に問うものです。否とおっしゃるなら、成案を早く得るよう、話合いに応じていただけるのか。問いを投げかけるものであります。
(簡素にして温かい政府)
行政改革を進め、ムダを省き、政府規模を縮小することは当然です。
しかし、ここでも、目的と手段をはき違えてはなりません。政府の効率化は、国民の期待に応える政府とするためです。簡素にして国民に温かい政府を、わたしはつくりたいと存じます。地方自治体にも、それを求めます。
わたしは、その実現のため、現場も含め、公務員諸君に粉骨砕身、働いてもらいます。国家、国民のために働くことを喜びとしてほしい。官僚とは、わたしとわたしの内閣にとって、敵ではありません。しかし、信賞必罰で臨みます。
わたしが先頭に立って、彼らを率います。彼らは、国民に奉仕する政府の経営資源であります。その活用をできぬものは、およそ政府経営の任に耐えぬのであります。
(地域の再生)
目を、地域に転じます。
ここで目指すべきは、地域の活力を呼び覚ますことです。それぞれの地域が、誇りと活力を持つことが必要です。
しかし、その処方箋は、地域によって一つずつ違うのが当たり前。中央で考えた一律の策は、むしろ有害ですらあります。だからこそ、知事や市町村長には、真の意味で地域の経営者となってもらわなければなりません。そのため、権限と責任を持てるようにします。それが、地方分権の意味するところです。
進めるに際しては、霞が関の抵抗があるかもしれません。わたしが決断します。
国の出先機関の多くには、二重行政の無駄があります。国民の目も届きません。これを地方自治体に移します。最終的には、地域主権型道州制を目指すと申し上げておきます。
農林水産業については、食料自給の重要さを改めて見直すことが、第一の課題となります。五〇パーセントの自給率を目指します。農業を直ちに保護の対象ととらえる発想は、この過程で捨てていかねばなりません。攻めの農業へ、農政を転換するのです。
一〇月一日に発足の運びとなる観光庁の任務に、観光を通した地域の再生があることを申し添えておきます。沖縄の声に耳を傾け、沖縄の振興に、引き続き取り組みます。
昨今は、集中豪雨や地震など、自然災害が相次いでいます。被災された方に、心よりお見舞いを申し上げます。復旧・復興には、無論、万全を期してまいります。
(持続可能な環境)
環境問題、とりわけ地球温暖化問題の解決は、今を生きる我々の責任です。自然と共生できる循環型社会を、次の世代へと引き継ぐことが求められます。資源高時代に対応した、経済構造転換も求められます。
なすべきは、第一に、成長と両立する低炭素社会を世界に先駆けて実現するということ。第二に、我が国が強みを持つ環境・エネルギー技術には新たな需要と雇用を生む力があることを踏まえ、これを育てていくこと。そして第三に、世界で先頭をゆく環境・省エネ国家として、国際的なルールづくりを主導していくということです。
(誇りと活力ある外交・国際貢献)
次に、外交について、わたしが原則とするところを、申し述べます。
日米同盟の強化。これが常に、第一であります。以下、順序を付けにくいのをお断りした上で、隣国である中国・韓国やロシアをはじめアジア・太平洋の諸国と共に地域の安定と繁栄を築き、共に伸びていく。これが、第二です。
人類が直面する地球規模の課題、テロ、温暖化、貧困、水問題などに取り組む。第三です。
我が国が信奉するかけがえのない価値が、若い民主主義諸国に根づいていくよう助力を惜しまない。第四です。
そして第五に、北朝鮮への対応です。朝鮮半島の安定化を心がけながら、拉致、核、ミサイル問題を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、日朝国交正常化を図るべく、北朝鮮側の行動を求めてまいります。すべての拉致被害者の一刻も早い帰国の実現を図ります。
以上を踏まえて、民主党に伺います。
今後日本の外交は、日米同盟から国連に軸足を移すといった発言が、民主党の幹部諸氏から聞こえてまいります。わたしは、日本国と日本国民の安寧にとって、日米同盟は、今日いささかもその重要性を失わないと考えます。事が国家・世界の安全保障に関わる場合、現在の国連は、少数国の方針で左右され得るなど、国運をそのままゆだね得る状況ではありません。
日米同盟と、国連と。両者をどう優先劣後させようとしているか。民主党には、日本国民と世界に対し、明確にする責任があると存じます。論拠と共に伺いたいと存じます。
第二に伺います。海上自衛隊によるインド洋での補給支援活動を、わたしは、我が国が、我が国の国益をかけ、我が国自身のためにしてきたものと考えてきました。テロとの闘いは、まだ到底出口が見えてまいりません。尊い犠牲を出しながら、幾多の国々はアフガニスタンへの関わりを、むしろ増やそうとしております。この時に当たって、国際社会の一員たる日本が、活動から手を引く選択はあり得ません。
民主党は、それでもいいと考えるのでしょうか。見解を問うものであります。
(おわりに)
わたしが本院に求めるものは、与野党の政策をめぐる協議であります。内外多事多難、時間を徒費することは、すなわち国民に対する責任の不履行を意味します。
今、景気後退の上に、米国発の金融不安が起きています。わたしどもが提案している、緊急総合対策を裏付ける補正予算、地方道路財源を補てんする関連法案を、速やかに成立させることが、国民に対する政治の責任ではないでしょうか。
再び、民主党をはじめ野党の諸君に、国会運営への協力を強く要請します。当面の論点を、以上にご提示しました。お考えをお聞かせ願いたく、わたしの所信表明を終えます。
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# M.D. になるとまた意味が異なって Medicinae Doctor (ラテン語で医学博士).某 CD-ROM 英和辞典には間違いがかなりある.
それにしても,日本の税金をアメリカの零落れ銀行に突っ込むなんて,アホじゃない? やっぱり,国内に米軍基地が多いのが原因ですよ.ドイツや韓国は米軍基地が1つに縮小されたから,米軍が基地から出てきて戦争を仕掛けても負ける.日本は東京という首都を米軍に抑えられているから,白旗を上げるしかない.立川基地と厚木基地と横須賀基地を即事撤退させないとマジでやばいことになる……という想像力はないんだろうなぁ.Give me chocolate bandit!
ブログにコメントありがとうございました。
私もSohyaさまのブログを読んで、いつも日本の四季や日本語の美しさを再確認しています。とても癒されます。
今月も宜しくお願いします。
Tさま、
小泉の息子ですが、やっと悪魔が去ったと思ったら、その息子が後を継ぐだなんてしゃれになりませんよね。
きまぐれさま、
麻生の国連総会での演説は、聞いてもお分かりの通り、本当にひどい内容でした。唯一笑いがとれたのが、機械の故障だったなんて、なさけないですね。日本のメディアも他に伝えることがないから、馬鹿げたことでもニュースにしてしまったのでしょう。
Flyer_2006 さま、
米国での経済危機が共和党の立場をますます追い込んでいますね。支持率では、マケインのオバマとの差もかなり広がってしまったようです。新自由主義の末路が社会主義だなんて、皮肉ですね。
MQさま、
アホウが自民党のラスト・エンペラーだったとは、アホウの親戚であられる天皇陛下も大喜びだったりして(笑)。
みよさま、
株価が下がって真っ青になっている人はみよさんだけではないでしょう。あまり気を落とされませんように。最終的には金融安定化法案が可決されるようなので、株価は一時的にせよ、上がるのではないでしょうか。
kaetzchenさま、
大変なことになっていますね。MDどころではないようです。
お早うございます。
10月になりました。
ほぼ毎日みています。コメントがなくてもご安心を。
勉強になることが多いので参考にさせてもらってます。
昨日のペイリンの記事など日本では報道されていないので
「へぇー」というところです。
この頃は東西ともに政治家には賢い人はなりません。
彼女のような頭の悪い野心家のみが跋扈します。
日本でもアメリカの金融恐慌はトップ記事で報道されてます。
最近は「貯蓄より投資」なんていう甘言によって、今まで株や
証券などに無縁の人が、おだてられて郵便局や銀行の窓口で
投資信託などを買ったようですが、何割も下って大損をした、と
思われますが、人は自分の失敗は喋りませんから、表面には
出てこないだけです。私のような老人は何十年も前から株を
やってますから、その「怖さ」も経験済みですが。
「小沢一郎」も面構えが悪くて損をしてます。それに改進党などの
「過去」の分裂の張本人ですから、印象を悪くしてますね。
せいぜい「新鮮な」記事をお願いします。 では、また。
収穫収穫。貴重な情報ありがとう。
通訳機械の不具合、日本外務省の仕込みか、とかんぐった下品な僕チンでありました。
だって、マスコミの奴、演説の内容はほとんど報じず
「日本製の機器~」のジョークが会場にうけていた、とバカな報道の繰り返しなんだもの
今回の否決でも下院議員(共和)は「社会主義に陥れるものだ」との見解を表明した。 」と。
ブッシュ-小泉が推進させた新自由主義の末路が社会主義なんです。
格差社会の挙げ句、下の崩壊は放置、上の崩壊は公金で救済。
システミックな問題とされながらも、救済基準、買い取り価格の基準の曖昧さは大きく問題視されてます。
今回の否決で注目点は、共和党が大きく反対したこと(民主党:賛成140反対95、共和党:賛成が65反対133)。
事前のブッシュ中心の万全の調整を考えると、合理的理由以外の心理的影響を感じます。
ここで共和党イデオロギーの崩壊が、多額の税金によって確定、長期に影響するという恐怖を感じたのではないでしょうか。
一連の金融問題はある種の自己矛盾を生じているわけです。
ショックです。
なんとか国会議員さんにがんばってもらいたいです。
大証でも5%近く落ちたらしい.いま空売りする奴がぎょーさん出たら,みんな金魚の糞みたいについてくるんじゃ?
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小沢の所信表明?演説・・役者の違いか:机上の空論自民案!!!
【笹川総務会長】緊張感の欠片もないシロアリどもに日本の将来は託せない!【米下院議長を侮蔑】
で、のっけから、批判で申し訳ないですが、政府与党を責めるのに、ここで池田信夫を持ち出すのは、へんなのではないですか? blogを読んでみればわかりますが、池田信夫って、バリバリのハイエキアンですよ。財政政策による弱者救済は、どんな中身であろうと大嫌いな、(この界隈の言い方で言えば)ネオリベ理論家です。
だから、ケインジアンの植草先生も、彼の手にかかれば、地底人ということになります。だから、植草先生と池田先生を両方持ち出すのはおかしい。
経済学が少しでもわかる人は、「ああ、この人は、政府与党に対する批判であれば何でもいいんだな」ととるでしょう。
ちなみに、私自身は、ケインジアンの民主党支持者です。