2008.08.15 (Fri)
北京五輪:スペインのバスケットボール・チームが中国人差別?

スペインの男子オリンピック・バスケットボール・チーム
(写真:Contra Costa Times 08/13/2008)
一見両手で目をさしているように見えるだけなんだけど、実は、指で目のふちをひっぱって、中国人風な細目を表現しているらしい。これがプライベートな写真なら問題はないのだろうが、スペインでこのチームのスポンサーである"Seur"という宅配便会社のオリンピック・キャンペーン広告として使われたことで問題になっている。
スペイン・バスケットチームのメンバー、センターのPau Gasolは、「何か笑えるような面白い写真であるだけで、決して中国人を侮辱するものではない。」とした上で、「もし誰かを侮辱していると取られたとしたら、申し訳なかった。」と謝罪している。
ポイント・ガードのJose Calderonは、「チームはカメラマンのリクエストに応じただけ」
「適当なポーズだったと思うし、中国に対する親しみや愛情を示しただけ。」と述べた。しかし、トロント・ラプターズでもプレイするJose Calderonは、彼の"ElMundo.esblog"に「でも、いくつかのメディアはそんな風に見てくれないのは、疑う余地もない。」と書いている。
国際メディアの反応は、どうかというと、一部を除いて、やはりこの写真を批判する傾向にあるようだ。
"The Hamilton Spectator" Spanish players' pose 'racist,' groups charge
(Thursday, August 14, 2008)より記事を和訳
London's Daily Telegraph:
「スペインの人種差別に対する無神経な評判は、この写真によってさらに悪化するだろう。」
International Olympic Committee (IOC) , Emmanuelle Moreau 報道官:
「この写真は明らかに適当ではないが、スペイン・チームに悪気はなかったということ、そして、すでに謝罪したということは理解している。IOCに関する限り、一件落着とみていいだろう。」
The Chinese Canadian National Council (CCNC) Victor Wong
「この写真は間違いなく中国を冒涜したものであり、人種差別的でもある。北京での試合のために準備してきたチームのメンバーがこういった誤った判断を見せたのは、驚くばかりだ。スペインのオリンピック・バスケットボール・チームは、ホストである中国やスペインの市民、この写真によって冒涜された人々や失望させた人々に心から謝罪しなくてはならない。」
スペインの女子バスケットボールのチームも男子と同じ格好で写真を撮った。そして、アルジェンティーナの女子フットボールのチームの4名も同じようなポーズで写真を撮ったのが先週発表された。

スペインの女子オリンピック・バスケットボール・チーム
(写真:Contra Costa Times 08/13/2008)
国際的なメディアの批判に対するスペイン側の反応は、このくらいの写真で大騒ぎになるなんて意外だという意見が多いようだ。
バスケットボール・チームのメンバー、Pau Gasol:
「このポーズが人種差別主義者だって?馬鹿げてる。僕たちは全くそんなつもりはなかったよ。」
2016年のオリンピック招致委員報道部長、Juan Antonio Villanueva:
「人種差別主義者という批判に驚いている。スペインは人種差別的な国ではないし、実際は、正反対だよ。選手はすでに何が起きたか説明している。それで十分じゃないか。」
マドリッドの宅配便会社の"Seur"の事務官:
「中国人を侮辱するつもりは全くなかったし、問題の広告の使用を緊急に中止する計画は今のところない。」
さてさて、この問題で、中国側が今後どのように反応するかが注目されるけど、この広告はスペイン内だけで使われるとのことだし、まあ、若者達のギャグということでそれほど問題視する必要はないんじゃない?
確かに昔は中国人っていうと目が細くてつり上がったイメージがあったけど、今の中国人を見るとみんな目が大きくてぱっちりしているものね。日本人だってそうだけど、その国民の顔つきは年々変わっていて、イメージもそれにともなって変わってくるだろう。だから、逆に、昔のイメージの中国人をこうして表現しているスペイン人はずいぶんと時代遅れの国際感覚や認識を持っている人種だと非難されるだけだろう。
中国側もかえって騒ぎすぎると、中国人の顔がこの写真で表現された顔のようだと認めたも同然となるだけで、中国にとっては何の得にもならないと思う。笑って見過ごすくらいの度量が欲しいところだ。
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Tags : 北京オリンピック |
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学校、公園、プール行くところどこでも子供達はCHNO(中国人)とこの
選手達と同じく目を細めたポーズでからかわれます。中国人移民が急増したからでしょうか、スペイン人からみれば日本人、韓国人もみな一緒に見えるし
なんかイメージとして貧しい、汚い、弱弱しい、滑稽・・・といった感じに見えるみたいです。そして中国人たちはからかわれても黙って(スペイン語が話せない人が多いから)うつむくだけなのでよけいばかにされるみたいです。
家の子供達は日本人とスペイン人のハーフなのに大迷惑で、又中国人の
人達の事をきのどくに思うからか、そういう程度の低いスペイン人を絶対許しません。はっきりいって、スペインの家庭教育レベルはヨーロッパで最下位
だと思います。母としてできるのは学校に訴えるだけ。スペインは人種差別
がないと思っている人は2008年のスペインをしらないだけです。
VIVA ESPANA!
海外に住んでいないと、この写真の意味がわからなのでしょうか・・・。
先日はカナダ政府による災害補償の事例を教えて頂きありがとうございました。
屋根の修理代まで払ってくれるとは、いや、「それでこそ政府」ですね。
件の広告写真の記事からサッと思い巡らしました。
海外旅行で何度か出くわした不愉快なことについてなんですが。
例えば機内で、客室乗務員が初めからイヤな態度を取ったことがありました。
やがて、どうやら自分が日本人だからだろうと思い至ったものの、なす術がありません。
すると、様子に気付いた同国人らしい隣席の人が「気にするな(笑」とウインクしてきたりして、まァ、「xx人ってヤツは!」とひと括りにするのはマズいのだろうなと思います。
相手を知らなければ知らないほど短絡的な判断に陥り、簡単に軽蔑の対象になると思います。
私の会社にも「毛唐のヤツらが考えてることはホント分からねえよ(笑」などと言っているのが少なからずいます。
20万人が死んだと言われるスーダンのダルフール虐殺に中国は手を貸してるし、そんな国にオリンピックを開催する資格があるかどうかは疑問です。
(しかも過去の問題ではなくて、いまも進行中の問題です)
スピルバーグが北京オリンピックの顧問を辞任したのもそのためですし。
ここのブログでは捕鯨問題でかなり怒ってたけど、
20万人の虐殺に手を貸してる国のお祭りを手放しで喜んでる気持ちがわかりません。
クジラより20万人のアフリカ人の方が命が軽いのでしょうか。
はじめまして。
なんとなくじっくり読ませてもらえる優良な文字情報のブログは
ないかなぁ・・と思い、さがしてました。
おもしろいですねぇ~。
視点も良いし、文章もすごい読みやすいですぅ~。
読みごたえありますねぇ。
私は文章を書くのは苦手なのです。
写真は好きなのでやっとります。
ブログを拝見していたら、毎日新聞の英語記事の事件のことを
思い出してしまいました。「毎日新聞 waiwai事件」で
グーグル検索すると、日本人女性をすごく馬鹿にした内容の
記事が書かれていたというニュースにいきつきました。
カナダに、この話は伝わってましたか?
スペイン語圏の場合、特に中国や日本など東洋系との関わりの歴史が英語圏と比べると浅いこともあり、あまりこのあたりの人たちのことを知らないというのが正直なところです。そのため、目が細いとされている中国人の特徴を強調することが人種差別的だと思っていないというのは、スペインやアルゼンチンではごく一般的な認識だと思います(日本で言えば、韓国人といえばキムチをよく食べる人たちとか、ドイツ人といえばビールばかり飲んでいる人たちというイメージと同程度)。ただ、そう言われた中国人はそうは思わないでしょうけどね。
個人的には、目が細かろうが広かろうがちゃんとモノは見えるんだから、ほっといておいてくれぐらいの感想しかありませんが、スペイン語圏の人からしたらどうしてそんな細い目でモノを見ることができるのか、不思議でならないようです。
それにしても、差別することはよくない。
差別があるから憎しみが増えるから。
あっ、僕のブログもよろしく(政治色は弱いが)。
あまりコメントが入ってないからネ。
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「どうせ」や「しょせん」と対極の世界--オリンピック・アスリートを称える
スペインってそこまで差別するのですか?ひどいですね。でも、なんとなくわかるような気がします。私が教えていた大学の学部のChairがスペイン人の女性になったとたん、日本語と中国語のコースがなくなりましたから。スペイン人の人種差別はカナダでも健在ですよ(笑)。
でも、差別にめげず、これからもスペインでがんばってくださいね。