2008.05.02 (Fri)
映画『靖国』いよいよ明日渋谷で封切り
映画「靖国」 封切りへぴりぴりムード (2008年05月01日 Asahi.com)
(前略)
李纓(り・いん)監督や配給・制作会社はこの1カ月、映像の削除要求への対応に追われた。
主要登場人物の刀匠が「映像の使用を承諾していない」として削除を望んだと、3月27日に国会で取り上げられた。右翼系団体向けの試写会では、参加者が「撮影申し入れがなく自分が映っていた。削除を求めたい」と発言した。
靖国神社も「無断撮影がある」として、登場する神社職員や参拝者の承諾を取り、無断の映像を削除するよう求めた。制作会社・龍影は4月25日、「隠し撮りは一切していない」などとする回答を靖国神社に送付。完成している作品はそのまま放映するという。神社は「監督や配給会社の回答も検討し、(対応を)改めて公表したい」という。
そもそも、ドキュメンタリー制作で、取材対象からの許諾はどの程度必要なのか。
メディア訴訟に詳しい喜田村洋一弁護士は「靖国」では、いずれも削除が必要なほどの問題でない可能性が高いとみる。「普通は無許可撮影した段階で神社側が尋ねるはず。包括的な約束はなくても『暗黙の同意』は成立するのではないか」という。また「(登場人物が)思った内容と違うというのは『期待権』の問題だが、編集・表現の自由を上回る権利があるとは思えない」と指摘する。
「期待権」は先月最高裁で上告審の弁論が開かれた、旧日本軍の性暴力をめぐるNHK番組の改変訴訟の争点だ。二審の東京高裁は「取材者の言動により期待を抱くのもやむを得ない特段の事情がある時は、内容への期待が法的に保護される」と判断。NHKと番組制作2社に説明義務違反などを認めた。
この裁判の原告側代理人でもある日隅一雄弁護士は、「刀匠は取材対象で、NHK訴訟の原告・市民団体のような取材協力者と制作への関与レベルが違う。期待権が問題になる『特段の事情』はない」と指摘する。
ビデオジャーナリスト綿井健陽さんは「取材後に相手の要望に応じるのを前例にすると、要望通りにしか撮れなくなる。それはドキュメンタリーといえない」と警戒する。
(後略)
確かにドキュメンタリー映画をつくる際に、出演者の取材許可なんか取っていたら、ドキュメンタリーじゃなくなっちゃうよね。権力寄りの映画ばかりになってしまうだろう。
4年前に公開されたマイケル・ムーア監督の「Fahrenheit 9/11」も、その年のカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞したにもかかわらず、ブッシュ批判の過激な内容のため配給元のディズニーが公開を取りやめた。しかし、別の映画会社が買い取って、公開されると、全世界で220万USドルの興行収入を記録し、ドキュメンタリー映画としては過去最高の興行収入を記録したといういきさつがある。
明日渋谷のシネアミューズで封切られる『靖国』もかなりの混雑が予想され、多くの興行収入を期待できそうだ。そうすると、右翼や自民党の極右議員に圧力をかけられ、これまでに上映を拒否した映画館も再び上映に踏み切ることも考えられ、これまでの混乱は何だったのかということになる。上映前の混乱がかえってこの映画を見たいという思いに人々を煽動することになったかもしれない。又、映画が上映される前に検閲したり、出演者や神社などに圧力をかけた極右自民党議員は恥を知るべきだ。
Mixiの「映画『靖国』を観よう!」で映画上映劇場の情報があったので、転載させていただきたい。
劇場公開日 ( 4/21プレスリリースが配給元より発表されました。 )
5月3日 東京 渋谷 シネ・アミューズ(英語字幕版上映あり)
http://www.cineamuse.co.jp/
5月10日 東京 シネカノン有楽町1丁目
http://www.cqn-cinemas.com/yurakucho/
5月10日 大阪 第七藝術劇場
http://www.nanagei.com/
5月17日 東京 渋谷 シネマアンジェリカ(~5/30)
http://www.gojyu.com/
5月24日 広島サロンシネマ
http://www.saloncinema-cinetwin.jp/
6月7日 新潟 シネ・ウインド
http://wingz.co.jp/cinewind/
6月7日 京都 京都シネマ
http://www.kyotocinema.jp/
7月12日 群馬 シネマテークたかさき
http://www5.wind.ne.jp/tcc/
7月12日 福岡 シネテリエ天神
http://www.yu-raku.co.jp/cineterrie/
7月12日 福井 メトロ劇場
http://www2.interbroad.or.jp/metro/
7月12日 沖縄 桜坂劇場
http://www.sakura-zaka.com/
他
山形フォーラム、福島フォーラム、盛岡フォーラム、八戸フォーラム、北海道苫小牧 シネマトーラス、北海道十勝・シネとかちプリンス、北海道函館・シネマアイリス、岩手・一関市ネプラザ、宮崎・DENKIKANなど全国13館の劇場と調整中。
前売り特別鑑賞券について
すでに劇場窓口・プレイガイドにてお買い求めになられた前売り特別鑑賞券も全国の各劇場にてお使いいただけます。
関連記事
映画「靖国」公開、5月3日から渋谷で 各地も続々と asahi.com
この映画をご覧になられた方は、感想をお聞かせいただけると嬉しい。
いつもランキングへの応援ありがとうございます♪

にほんブログ村 政治ブログ 現在 4 位

BlogPeopleランキング
「政治」部門 現在 1 位

FC2政治ランキング 現在 1 位
『自エンド - トラックバック・ピープル』
http://member.blogpeople.net/tback/09077
ブログ村トラコミュ『自エンド』
http://politics.blogmura.com/rpc/trackback/85445/9w2tguyw8nnr
にトラックバックしています。
2008.04.07 (Mon)
映画『靖国 Yasukuni』:これまでのいきさつとその背景(備忘録)
映画『靖国』をめぐるこれまでのいきさつは、
「靖国」上映中止 何が起きた「靖国」派の圧力 手貸した文化庁
(2008年4月5日「しんぶん赤旗」)
にとても詳しく書かれているので、その記事から引用させていただきたい(文型など多少短く変更)。
異例の国会議員試写会
ことの発端は、昨年末、『週刊新潮』が、この映画に政府出資の芸術文化振興基金から助成金が出ていることを疑問視する記事を掲載。それを受け二月、自民党の稲田朋美衆院議員らが、文化庁を通じ、製作者に映画を見たいと要請し、三月十二日に異例の国会議員試写会が開かれた。
対応した配給協力・宣伝会社のアルゴ・ピクチャーズらは、協議のすえ、特定の議員に限定せず、全国会議員を対象にした試写会をアルゴ主催で開くことを決定し、文化庁の要請で国会議員のみを対象とした極めて異例の試写会が開かれた。
当日は約八十人の議員らが出席。稲田議員は試写後、「靖国神社が国民を侵略戦争に駆り立てる装置だったという政治的メッセージを感じた」と感想を述べ、翌日には、自身が会長を務める「伝統と創造の会」と、「平和靖国議連」のメンバーで文化庁を呼び、公的助成は不当だと声をあげた。両団体とも、日本の侵略戦争を正当化する議員の集まり。
上映予定だった新宿バルト9が、今後起こりうるトラブルや他のテナントへの迷惑を懸念し、上映中止を決定したのは、この試写会の後。ほかの東京・大阪の四館も、これに続き上映中止を決めた。
助成口実に国会質問
試写後、自民党の水落敏栄参院議員、有村治子参院議員が、この映画が助成対象にふさわしくないとして、映画への公的助成の返還を求める国会質問をした。
水落議員の理由:
●監督が中国人で、スタッフにも中国人が多い。
●タイトルに「YASUKUNI」と英語表記がある。
「靖国」は日中合作の映画だが、「基金」は一定の条件のもとで、合作映画も助成対象になると規定している。
ほかに、製作者が「映画の製作活動を行うことを主たる目的とする団体」であり「日本映画を製作した実績」があることなどが、助成を受ける条件だが、同映画は当然、いずれの条件も満たしているからこそ、審査を通過した。文化庁も審査は「所定の手続き」で審査されたと説明している。
*有村議員の理由:
●靖国神社とは「本来、御霊(みたま)と静かに向き合う場所」で「イデオロギー論争の場であり続けるのは、極めて御霊や御遺族に対して不遜(ふそん)」。
映画を助成した「文化行政の過失は決して小さくない」と述べ、助成審査の中身をただし、審査の具体的内容を書面で提出するよう文化庁に求めた。
会場手配・資料も提供
見過ごせないのは、映画の内容に介入しようとする議員らに、文化庁が手を貸し、公開前に、事前試写や資料提供の協力を図ったことだ。
文化庁は、稲田議員らの「見たい」との要求にこたえ、製作・配給側に繰り返し話を持ちかけました。製作・配給側は当初、特定議員にだけ見せることはできないと主張。それでも文化庁は食い下がり、製作・配給側も次善の策として、全議員むけの試写会を開くことに合意した。
もとは、文化庁が稲田議員らのためにおさえていた会場を使い、費用も文化庁負担で進められていた話だったが、試写の対象が、一部議員から全議員に変わったことで、文化庁は製作・配給側に費用負担を求めてきた。
文化庁はまた、「靖国」の製作者が助成を受けるため、基金に提出した交付要望書などを、議員の求めに応じて提供。国会質問も、それらの書類をもとに、審査過程を問題にしている。
*その他、有村議員の意見は、前編・映画「靖国」上映中止と参院内閣委での有村議員の質問(read moreにも有村議員インタビュー部分を転載)を参考にしていただきたいのだが、とにかく自分の偏った思想や考えを尾山文化部長に有無を言わせずに押し付ける言葉の暴力はまるでヤクザの脅しのようで、知性のかけらも感じられない。彼らがいかに中国を差別しているか、偏見を抱いているか、又いかに誤った歴史認識の上に暴論を重ねているかがよくわかるインタビューである。
Sohyaさまに教えていただいたDoblogの『悪口雑言罵詈讒謗ブログ』の稲田朋美という議員という記事では、稲田の過去について詳しく書かれている。この記事で稲田朋美が「安倍親衛隊」の一人であったことを知る。
(前略)
そして、この記事を書く下調べをしているときに“出会った”のが稲田朋美衆院議員である。稲田は2005年の9.11「郵政」総選挙の際、安倍晋三の要請を受け、郵政民営化法案に反対した自民党議員への「刺客」として福井県第1区から出馬して当選した議員である。
そして2006年2月には自民党の初当選組の半数を集めて「伝統と創造の会」というグループを立ち上げ、その会長に就任している。このグループは同年8月の自民党総裁選では安倍晋三の応援団役を務め、“安倍親衛隊”とも呼ばれていた。稲田議員は、総裁選予定者討論会の後、「一番感慨深く聴いたのは、安倍官房長官が政策として戦後体制の是正と自主憲法の制定をまっさきに掲げられたことです。誰もできなかったことに安倍官房長官は挑戦しようとされているのです」と述べ、安倍晋三を絶賛している。
稲田議員はまた、同年8月15日の福井新聞に掲載された加藤紘一氏との対談では、「(靖国神社問題は)憲法改正に伴いこれから自衛戦争や国際協力戦争で亡くなった人が出たら、どこで慰霊するのかも含めて議論が必要」と述べており、月刊誌「WiLL」の同年9月号では、「靖国神社というのは不戦の誓いをするところではなくて、『祖国に何かあれば後に続きます』と誓うところでないといけないんです」と語っている。さらに、同年8月29日に開かれたシンポジウム「新政権に何を期待するか?」においては、「教育基本法に愛国心を盛り込むべきだ」と強調したかと思えば、次のようなことも語っている。
「真のエリートの条件は2つあって、ひとつは芸術や文学など幅広い教養を身に付けて大局観で物事を判断することができる。もうひとつは、いざというときに祖国のために命をささげる覚悟があることと言っている。そういう真のエリートを育てる教育をしなければならない」
さて、このような“香ばしい”発言を繰り返す稲田議員が所属するグループは「伝統と創造の会」だけではない。それ以外にも以下のような団体に所属している。
・ 自由主義史観研究会・日本「南京」学会会員
・ 中国の抗日記念館から不当な写真の撤廃を求める国会議員の会事務局長
・ 日本会議国会議員懇談会事務局次長
・ 正しい日本を創る会会員
・ みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会
・ 神道政治連盟国会議員懇談会
スバラシイではないか!(笑) 極右団体にはすべて顔を出しているわけである。さらに、Wikipediaによれば、彼女は「南京大虐殺否定派」であり、弁護士としては、靖国神社参拝関連訴訟の国側の弁護を手がけるほか、「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判の原告側弁護人」(大阪地方裁判所で原告の敗訴)や「南京百人斬り競争名誉毀損裁判の原告側弁護人」(最高裁判所で原告の敗訴)を務めているそうだ。
(後略)
鈴木邦男をぶっとばせ!:靖国が危ない!
鈴木邦男氏というのは、コメント欄でやっしゃんに教えていただいて初めて知ったのだが、政治活動家、新右翼団体「一水会」顧問でいらっしゃるそうだ。こういった右翼の方でも今回の靖国を国民に見せないことに対しては、意義を唱えている。一水会(いっすいかい)は、ウィキペディァによると、「1972年に創設された民族派政治団体。所謂新右翼といわれる政治団体の一つ。発足当時、それまでの右翼団体とは一線を画す、「理論派右翼」であるとして警察(公安)からマークされた」そうだ。
⑤「国民に見せない」のは、よくない
又もや、映画「靖国」だ。実は、内容についての反対は余りない。8.15の左右の集会、靖国刀をつくる刀鍛冶の仕事が紹介されて、貴重なドキュメントだ。文句のつけようがない。ただ、ラストに、南京事件の「写真」が出る。数十秒か、数分か。「それがけしからん」と言う。それと日本芸術文化振興会から750万円が出てるという。「反日映画に金を出すとは何事か!」というのだ。
しかし、多くの映画に出している。こうした真面目なドキュメントに金を出すのはいいことだ。たとえ、日本に対し批判的だろうと、(そんなことはないのだが)、それに金を出すなんて、日本の寛容さを示すことだ。いいことだ。世界に誇るべきことだ。
又、最後に「ニセ写真」を流したというが、まだ論議されている写真があるのなら、その点をクレジットで付けたらどうですかと、監督に言った。しかし、「確信があります」と言う。それ以上は、こちらも言えない。あとは公開した後に皆で話し合ったらいい。又、そのための〈場〉を作ったらいい。何度も言うように国民に見せないで、「上映中止しろ!」はおかしい。
又、新聞、テレビもだらしがない。こんな大きな騒ぎがあるのだ。ちゃんと関係者に取材して報道すべきだ。街宣をかける右翼の言い分も聞けばいい。映画制作側の言い分も聞けばいい。右翼が恐くて上映をやめた映画館の言い分も聞けばいい。そして、堂々と、討論させたらいい。今は、吉野VS浪人会の大正時代よりも、ずーっと言論が不自由になっている。勇気がない。
いや、平成の時代になってからでも、少しは自由な報道があった。嘘だと思うなら、ネットの「You Tube」を見たらいい。かつてTVで放映された右翼の映像が随分と流されている。「曲がり角に立つ平成の右翼」とか、「密着・少年右翼」などだ。又、右翼が車に火をつけて首相官邸に突っ込む衝撃の映像も流されている。島田紳介にインタビューされて私が答えている。又、一水会の若き活動家・徳弘三十四が街宣をやって人々を引き付けている様子も映っている。これを見て、「おーっ、右翼は立派だ」と思う人もいるだろう。又、「右翼は横暴だ」と思う人がいてもいい。見る人の自由だ。そして、多くの人に考えさせたらいい。
映画「靖国」の中でも、右翼の活動はかなり紹介されている。これだけでも、多くの人に見てもらう価値はあるだろう。
今の日本は、稲田朋美、水落敏栄、有村治子のような極右と言われる思想の偏った者が政治権力を握り、映画などの芸術を通しての表現の自由が奪われたり、国民が見たい映画を鑑賞する権利まで奪われる状況になってしまった。もっと恐ろしいのは、旧日本軍の行いを反省することなく、愛国心を教育の場で子供に押し付けたり、祖国のために命をささげる覚悟があるものこそが真のエリートであるなどと恥ずかしげもなく語る政治家が言論の自由を規制していることだ。
あまりにも右翼化してしまった日本。嘆くべき現実である。
本日もランキングの応援、宜しくお願いいたします。

にほんブログ村 政治ブログ 現在 2 位
みなさまの応援のおかげでこれまでの最高順2位になれました♪
1位になれるでしょうか。引き続き応援ありがとうございます。
『自民党 - トラックバック・ピープル』
http://member.blogpeople.net/tback/09077
ブログ村トラコミュ『自エンド』
http://politics.blogmura.com/rpc/trackback/85445/9w2tguyw8nnr
にトラックバックしています。
Tags : 映画 |
靖国 |
Yasukuni |
週刊新潮 |
アルゴ・ピクチャーズ |
稲田朋美 |
水落敏栄 |
有村治子 |
尾山眞之助 |