2010.08.24 (Tue)
菅首相による新人議員囲い込みに嫌悪菅

写真:『Rolland 's Public Gallery』より
これまでは、ただ官僚のいいなりで、自分では何もできなかった菅直人首相が、代表選を控え、あの手この手で得票集めのパフォーマンスに奔走している。その中でも特に目を覆いたくなるのが、当選一年未満の新人議員へのパワハラである。
新人議員は、去年の衆院選で初当選した144人と今年の参院選の13人を合わせた157人を対象とし、「小沢一郎政治塾」の日程(22日~25日)に合わせて、23日から25日の3日間、新人議員を衆院第1議員会館の自室に招き、異例の懇談会を行っている。この新人議員の92%を占める144人は、小沢氏が幹事長時代に大勝利を収め、政権交代を実現できた2009年の衆院選での成果である。
何が許せないかというと、代表選で再選したいがために、小沢氏が幹事長だったおかげで勝利できた新人議員をよく言えば、「洗脳」、悪く言えばたぶらかし、彼らを囲い込もうとしていることだ。
まずは、現在では官僚に言われるままの菅首相が、橋本内閣の厚相時代に薬害エイズ問題で官僚機構と闘ったことが記されているサイン入りの自著「大臣」を各新人議員全員に配り、原点に返る姿勢をアピールしたという。報道によると、新人議員の名前も書かれたこの菅の直筆のサインに痛く感動した新人議員も見られる。
しかし、反菅派が主張する原点とは、参院選で政権交代した時点のことを言っているのであって、菅が薬害エイズ問題で官僚機構と闘ったときのことではない。あのときの菅直人厚相は確かに評価できるが、現在、私たちの目の前にいる菅直人は、民主党が公約で否定した増税さえも、官僚に言われるままにあっという間に呑んでしまう全くの別人なのである。いまさら、昔の栄光を持ち出されても、新人議員だって馬鹿じゃないんだから、何を言ってるんだコイツって心の中で思っただろう。
次に、一週間前には、菅首相、代表再選後も「脱小沢」維持 幹事長に起用せず(朝日 2010年8月17日4時1分)という記事で、報道されている通り、「菅首相は9月の民主党代表選で再選された場合、小沢一郎氏を幹事長に起用しない方針を固めた」ばかりなのに、この新人議員との懇談会では、「小沢氏のおかげで政権交代ができた。代表戦後は、小沢氏も鳩山氏もこれならみんなで一緒にやっていけると思うような挙党一致でがんばりたい。」などと、朝日の報道とはまるで正反対なことを新人に吹聴していることだ。実際には、可能性は限りなく低いと思うが、菅直人が再選された場合は、報道の通り、脱小沢を維持するつもりだろう。
そして、最後にもっともひどいと思ったのが、自分が再選された場合は、衆参同時解散・総選挙は3年後になると新人議員に言い放ったことだ。現首相が、解散権を自ら封印したのだ。あきれることに、小沢氏が首相になった場合は、国民に信を問うため総選挙をやらなきゃいけないとまわりには伝えているという。
自分は参院で大敗したにもかかわらず、全く自己反省もなく、国民に信を問おうとせずに、居座り続けているのに、どうして、小沢氏が首相になったら、国民の信を問わなくてはならないのか。首相の専権とされる「解散・総選挙」を代表選で再選されたいがために弄(もてあそ)ぶこの男は、首相失格である。
小泉純一郎のように、米国と官僚が言うままに従っていれば、長期政権が保てると思ったら大間違いだ。時代は変わっているのである。小泉時代には、米国や官僚のやり方に気付かなかった国民も、今ではネットを通して全てお見通しなのである。
ブレ続け、迷走を続ける菅直人が、9月14日の代表選で再選されたら、参議院で過半数に満たない民主党は、必ず一年以内に解散せざるを得ない状況に追い込まれるだろう。民主党を「国民の生活が第一」の原点に戻し、安定した長期与党政権にするには、小沢一郎を総理にするしかない。
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