2006.12.18 (Mon)
防衛ミサイルが殺人ミサイルに豹変するとき
その前に、私はミリヲタを見下しているっていうコメントをもらったんだけど、どうしてそう思うのかなぁ?いつミリヲタを見下すような文を書いたっけ?ミリヲタさんたちは私の知らないことをよく知っている方たちなので、見下すどころか尊敬してるのにさ。
あと、私は日本は全く防衛をするべきではないとは一言も言っていない。もちろん、いざというときのために防衛はするべきだと考えているけれども、外交カードとして防衛費に5兆円もかけるのはどうかと言っているのだ。よくコメントを下さるエンプティさんによれば、自衛隊・防衛力は消火器や常備薬、予防接種のようなもので、いざというときの災害に備えるべきものだということだが、確かに、消火器や常備薬や予防接種みたいに安いものなら備えに憂いなしって感じで結局は使わずに終わってもぜんぜんなんとも思わないけど、毎年5兆円近くもかけて、全く意味のないものだったら、国民はやってられないよ。5兆円を納税者数の6000万人で割ると一人8万円もの税金を取られていることになる。それでも本当に防衛に役に立つんならいいのかもしれないけど、全く使えないようだから、やんなっちゃう。それでも大人しい日本国民は文句も言わずにせっせと働いて税金納めているんだから、涙がでてきちゃう。
例えば、前回書いたSM-3は9発のミサイルの他に発射台やイージス艦でそれに対応するためのシステム整備や改修費用に540億円もかかるわけなんだけど、何をするミサイルかっていうと、先日北朝鮮が打ち上げたと言われるテポドンのような弾道ミサイル、ICBM(大陸間弾道ミサイル)を打ち落とすために長い時間かけて開発されたものだ。
『マガジン9条 教えて山田先生 短期集中軍事講座』の「ミサイル防衛システムはどこまで進んでいて、その効果はどれくらい期待できるの?SM3編」では、ミサイルの経路が動画でわかり易く説明されているし、その他の情報にもなぜ役に立たないか書かれている。では、その理由を挙げてみよう。
1.SM-3がICBMに命中する確率はたったの50%しかない。
2.弾道ミサイルを迎撃するには発射直後のスピードが出ていないブースト段階を狙うのが効果的だそうだが、これだと先制攻撃になってしまうのでできない。
3.そこで空中を水平飛行しているところを狙うのだが、SM-3の飛距離では弾道ミサイルに届かないという説と迎撃は可能という説に分れる。SM-3が届くのは、せいぜい高度300メートルくらいだから、北が米国向けに開発中のテポドン2は高度500メートルを飛ぶので、届かないという意見とSM-3は、高度500kmまで届き、日本向けに北朝鮮が配備しているとされるノドンの最高高度は約300kmと推定されているので、理論的には迎撃が可能という意見。どちらが本当なのだろうか。いくらなんでも大気圏外まで上がるのに、300メートルや500メートルということはないだろうとは思うけど・・・・。
4.弾道ミサイルは金属のオトリ弾を出したり、コースをジグザグに変える機能に加えて、ガスパーチョさんが教えてくださったブログ『Spike's Military Affair Review』によると、つい先頃ロシアで弾頭部分に加速用のエンジンがついたものが発明されたそうだ。極めて高速で落下するため、迎撃ミサイルで撃墜できないため、ますますその的中率は落ちるだろう。
5.ノドンクラスで言えば弾頭は約1~2メートルと小さいものなので、確実に撃ち落とすためには一発のノドンに対して何発ものSM3で迎撃しないとならない。それも、弾頭を破壊するには迎撃用のミサイルを直接ぶつける必要があるため、ピストルの弾丸をピストルの弾丸で撃つようなものだそうだ。
6.撃ち落とせなかった場合は落下時をPAC3で狙うのだが、地上に近いため、ICBMの弾頭に核や生物化学兵器が搭載されていれば、いくら空中で撃ち落としても被害は免れない。
日米ミサイル防衛共同開発は壮大なムダ (ゲンダイネット2006年11月21日)より
それなのに安倍政権はイケイケで、きのう(20日)は塩崎官房長官が「第三国の防衛のために用いられることはない」と定めた福田談話の見直しを口にした。軍事評論家の鍛冶俊樹氏はこう見ている。
「ブッシュ政権は中間選挙の敗北を受け、防衛費削減を余儀なくされている。MD開発も削減の対象なんです。日本に共同開発をもち掛けているのは、『削減分は日本がカネを出せ』ということでしょう。いま進めているMDのほか、さらに巨額の米国向けMDシステムの開発を裏で進めている可能性は高いと思います」
安倍はこんなムダ遣いを口約束してきた。国会でとことん聞くべきだ。
そうか、ミサイル防衛を実現させるために、安倍は、憲法を変えようとしているのか。そして、先制攻撃、敵基地攻撃、集団的自衛権を行使しようとしているわけか。つまり、安倍は寄生虫米国政府のために平和な日本や罪のない日本国民を犠牲にしようとしている売国奴の本性を丸出しにしているというわけだ。
さてさて、前置きはこの辺にして、さっそく本題に入ろうか。「SM-3は殺人ミサイルだ」という証拠。
上に述べたように、SM-3は防衛のためのミサイルと言われている割には、全く役に立たないのだ。そんな役に立たないものを540億円も出して無駄にできないだろう。そこで、戦争になったら、これを地上攻撃用に使おうとするだろう。だから、殺人ミサイルになるのだ。『マガジン9条 教えて山田先生 短期集中軍事講座』にも防衛のためのミサイルも簡単な改良によって地上攻撃用に使えると書いてある。
それから、藤岡惇教授(立命館大学)の論文「米国の宇宙と核の覇権と軍産複合体」にもあったとおり、このまま米国の宇宙軍事化が進んで、宇宙空間が核戦場となれば、放射能汚染が地上を襲い、癌で死ぬ人が激増するだろう。そうすれば、一見防衛のためのミサイルが結果的には癌を蔓延させる殺人ミサイルに変わってしまうというわけだ。今でも、核実験と癌の関連は政府によっては一切公開されていないが、被爆者が癌で亡くなる率は世界的に増えているそうだ。
防衛力の増強を支持する人には、自分の身にもふりかかる可能性の高い癌のリスクや、環境汚染など現実的なことについても深く考えて欲しい。又、「宇宙の軍事化」から「宇宙の兵器化」を企て、全世界を制覇しようとしている米国に一つの駒としてただ利用されるだけの日本はこのままでいいのだろうか。
最後に藤岡教授の論文から米国がいかに日本や東アジアをコントロールしようとしているかが書かれた部分を抜粋して終わる。
藤岡惇教授(立命館大学)の「米国の宇宙と核の覇権と軍産複合体」より
日本・東アジアへのインパクト
米国は、経済的なライバルに成長しつつある中国とAsean諸国とを危険視し、封じ込めようとしている。それに伴い、米軍は東アジア、とくに中国シフトを強めている。たとえばトライデント核ミサイル24基(1基あたり8個の核弾頭を積んでいるので、1隻から合計192個の核弾頭を敵地に打ち込むことができる)を搭載する戦略原子力潜水艦の配属先をみると、1997年には大西洋に10隻、太平洋に8隻が配置されていた。8年後の2005年になると、大西洋には5隻と配置数が半減したのにたいして、太平洋には9隻配置された。米軍の核戦略の重点は、明らかに大西洋から太平洋、特に東アジアにシフトしつつある。
2006とは、日本版のMD網づくりが本格化する年である。ペイトリオット3型ミサイル(PAC3)4個高射群がまもなく地上配備され、開発中の改良型スタンダード・ミサイル3(SM3)搭載のイージス駆遂艦4隻も2007年には横須賀と新潟に配備される予定だ。
TMD(戦域ミサイル防衛)をMDに統合したので、北朝鮮や中国が打ち上げるミサイルが、米国向けなのか日本向けなのかが分からなくなる。したがって日本の国外を標的とするミサイルも、自衛隊が迎撃するほかなくなってしまう。まさにMD参加をスプリングボードにして日米分時同盟の痛いかが完成するわけだ。MDとは、ブッシュ政権のもとで、宇宙への兵器配備を不可欠とする「宇宙の軍事化」の第2段階突入を前提とした計画に変質した。国民の命を北朝鮮のミサイルから守るものというよりも、中国・ロシアのミサイルの宇宙進出を阻止し、アメリカ軍の宇宙占領体制を維持し防衛するための「トロイの木馬」計画に変質したわけである。
と同時に北東アジア・中国から中央アジアを経て中東にいたる「不安定の弧」地帯をにらんだ米国の「宇宙覇権を背景とする地球規模攻撃」態勢の前線基地として、日本が組み込まれるところまで事態は来ている。日米安保条約の極東条項の空文化の機器が来ているだけでなく、宇宙開発事業団法の成立にさいして日本の国会が行った「宇宙開発を平和目的に限定する」とした国会決議(1969年5月)にも定職する事態になっている。
Note.
最後に私は全く軍事のことには素人なので、足りないところや、追加するべきところがあったら、コメント欄でお知らせ下さい。読者のみなさまは私よりずっと詳しい知識をお持ちだろうと思うので。そして、一つのブログが長いので間違いもよくある。そんな時は、誤りを指摘してくださった方には知らせるけど、これは、お金を払って読む出版物ではないし、趣味でやっている無料のブログなので、文中でいちいち「訂正しました」なんて書いていられないので、そのところ、宜しくね。
昨日のブログのコメント欄にも書いたけど、批判と誹謗・中傷の違いのわからない人がたくさんいるようです。誹謗・中傷というのは理由もなく感情的に個人攻撃をすることで、批判というのは、その人の発言、行動、書いた内容に対して違う意見を述べたり、間違っていると思われる場合は、自分が正しいと思う意見、どこが違うのか、何故違うのかなどを明瞭に理論的に表現することです。内容と全く関係ない宣伝、広告のためのコメントやTBも承認されません。

現在第4位-政治ランキング

現在第1位-社会・経済、海外生活、ダイエット
ランキングの応援もよろしく♪
*この記事は『安倍晋三 - トラックバック・ピープル』にトラックバックしています。
安倍晋三についての記事を書いたとき、下記のURLにTBを送るだけで参加できます。あなたも参加してみませんか。
http://member.blogpeople.net/tback/06610