2011.01.29 (Sat)
「消費税増税で社会保障整備、財政再建」の矛盾と検察審査会への疑惑

いまのところ、カナダではこの2,3日は雪が降らずにいいお天気が続いているけれど、そのうち、NYのような大雪がやってくる日がくるかも。そんな日に備えて、食べ物の買い出しにいかなくちゃ。
今日は日本一新の会の平野代表が小沢氏と懇談されたときのお話をMLに書かれていたので、紹介したい。\
一つは、消費税増税と社会保障整備と財政再建の関係について。やはり、菅首相の主張する消費税増税で社会保障を整備し、財政再建をするという考えについても、30年古いとし批判されている。
仮に消費税が10%まで増税されるとしても、福祉目的税としても、現行制度をどんなに変えても、対応できる時期はせいぜい5年間で、たちまち破綻するだろうと指摘されている。
「さらに現在の深刻な経済停滞の中で、現行5%の消費税を、さらに5%上げると、国民生活への影響は計り知れないし、消費を萎縮させ税収を減らし、財政再建どころではなくなる」と予測されている。
二つ目は、検察審査会の問題について。小沢氏の強制起訴を控えて、森ゆう子参議院議員を中心に「検察審査会の疑惑を究明する市民と国会議員の会」(仮称)を組織することを計画中だそうだ。
「検察審査会の疑惑を究明する市民と国会議員の会」で何をするかというと、「国会の各機関や各党、政府や司法関係機関に問題点を指摘して改革を迫ろうという、一大国民運動」を繰り広げられるそうだ。
最後に平野代表は、「日本一新の会」も参加して、積極的に活動することになるので、会員の皆さんにご協力をお願いする。」と結んでいる。
「日本一新運動」の原点―39
日本一新の会・代表 平野 貞夫
1月26日(水)午後、小沢一郎氏と懇談した。用件は私が今年の春出版する『消費税をめぐる攻防』(仮案)(千倉書房)について、事前に知らせておくためであった。昭和62年に中曽根内閣が「売上税法案」を提出して、大紛糾
の国会となる。議長斡旋で廃案とし、税制改革協議会を経て、翌63年に竹下内閣で消費税制度を成立させた。この間の私の日記や、各党からの要請にどう対応したのか、資料などを公開するのである。
この時期、小沢さんは竹下幹事長の側近として、あるいは竹下内閣の官房副長官として大活躍していた。小沢一郎という政治家がいなかったら、消費税制度は成立していないと思う。表の話や裏の話など、当時の苦労話に一刻を過ごした。
丁度、国会では菅首相が絶叫する「消費税増税と社会保障を一体とした協議」が、議論されている最中である。私は25年前の税制抜本改革を思い出し、「消費税と社会保障」の21世紀でのあり方について、小沢さんに意見を聞いてもらった。
(社会保障を消費税で賄える時代ではない)
菅首相は「消費税増税で社会保障を整備し、財政再建をすることが、平成23年という時点で国会議員の責任である」という趣旨のことを方々で大言壮語している。果たしてそうであろうか。私はそうは思わない。消費税を福祉目的税にして、社会保障制度を整備するという政策は、30年前に実現すべきことである。菅首相の絶叫は30年古い。平成6年2月の「国民福祉税法案」構想が、最後のチャンスだった。潰したのは誰か、菅氏が所属したグループだった。歴史観がまったくない。
仮に消費税を10%とし、福祉目的税としても、現行制度をどんなに変えても、対応できる時期はせいぜい5年間で、たちまち破綻する。さらに現在の深刻な経済停滞の中で、現行5%の消費税を、さらに5%上げると、国民生活への影響は計り知れない。消費を萎縮させ税収を減らし、財政再建どころではなくなる。財政再建は確かに必要だが、自民政権や財務官僚の責任逃れ、菅政権の延命策でしかない。消費税増税による社会保障の整備論は、財政再建どころか経済を破綻させ、未曽有の混迷経済となる元凶だ。
昭和62年の中曽根内閣の売上税の失敗は、総選挙でやらないと公約した大型間接税を、謀略的衆参同時選挙で勝利したことに悪乗りして、政権延命のために「売上税法案」を提出したのである。現在の菅内閣のパターンもこれにそっくりだ。一昨年の総選挙で、任期4年間は消費税率を値上げはしないと公約して政権交代を果たした。それを、1年も経たないうちに「消費税率値上げ」を突然に言い出し、参議院選挙に惨敗した。その反省もなく、巨大メディアの阿呆としかいえない幹部記者たちに煽てられて、政権延命として税制抜本改革を大言する。国民はこの不誠実さに怒るのである。菅首相の消費税増税論は、本来あるべき税制の本質的改革を妨げるものである。
私は財政再建に反対しているのではない。真の財政再建を実現させるためには「国民の生活が第一」という国家社会にとって、どうしても必要な仕組みをつくらなければならない。そのためには官僚の帳尻合わせの財政再建であってはならない。資本主義社会の変質に応じ、人間の価値観が変化向上しなければならない。いま最も大切なことは、国家社会や経済発展の決定的要因は「人間の精神のあり方」であることを、政治家たちが自覚することである。政治家や官僚、既得権をもつ人たちの意識改革が先だ。
一昨年、民主党への歴史的政権交代を選んだ国民を裏切って、何が財政再建か、社会保障の整備か。私は率直に小沢さんに尋ねた。“国民の生活が第一”・“自立と共生”は、新しい社会をつくるための正しい発想だ。しかし、国民に具体的にその思想や理念、そして系統的な政策についてわかりやすく説明する努力が足りなかったことが、民主党政権劣化の原因ではないかと。小沢さんは静かに頷き、私が持参した書籍を手にとった。それは日本一新の会の活動を通じて、元田厚生札幌大学院教授から頂いた『豊かさをつかむために―落ち穂を残す精神』(元田厚生著・中西出版)であった。その帯には「ミレーの代表作『落穂拾い』から“真の豊かさ”を考える。モノに依存しない豊かさとは何か? その豊かさを 実現するために 一人一人がすべきことは?そして、その豊かさをつくりだす 経済システムとは何か」とあった。財政再建の根本はここにある。
小沢さんは「国民の一人一人が、幸せで豊かさをつかむために、あらゆる努力をしよう」と、力強く語った。小沢事務所の外には小沢番の記者たちが、今日にも検察審査会の議決による起訴が、あるかも知れないと待機していた。政治謀略による冤罪に間違いないと私は確信しているが、旧体制の政治権力と官僚、そして巨大メディアの「新しいファシズム」と闘いながら、政治家小沢一郎は、しっかりと国民を見つめているのだ。これを理解できない政治家たち、メディアに洗脳された人々の存在が、日本を亡国に導いていると思う。