2006.04.27 (Thu)
竹島問題によって悪化する日韓関係
まず、国際司法裁判所とは?
国際司法裁判所は、法律的な判断を下す国連の主要機関です。裁判所に訴えを提起できるのは、個人ではなく、国家だけです。ある国がある事件について国際司法裁判所の管轄権を認める場合、その国は、裁判所の判決に従うことを約束しなければなりません。さらに国連のその他の機関も、国際司法裁判所に勧告的意見を求めることができます。
国際司法裁判所は、多くの紛争の解決に一役買っています。1992年、国際司法裁判所は、エルサルバドルとホンジュラスの間の陸上・海上国境線画定に関する判決を下しました。裁判所はまた、デンマークとノルウェーの間の大陸棚と漁場を分ける海上境界線に関する紛争についても判決を下しました。また最近では、旧ユーゴスラビア諸国での国連ジェノサイド条約適用の問題についても、判決が下されています(1993年)。
国際司法裁判所は、オランダのハーグにあり、恒常的に活動しています。裁判官は15名で、総会と安全保障理事会によって選ばれます。同じ国から2名の裁判官を選ぶことはできません。判決を下すためには、9名の裁判官の賛成が必要です。
さらに、
規定当事国は、特定範囲の国際紛争における裁判所の司法権を義務的なものとして認める宣言(「選択条項受諾宣言」)をすることができ、この場合、一方の紛争当事国の請求のみで、他方の当事国に応訴義務が発生する。
と書いてあるが、外務省のサイトには
3.国際司法裁判所への提訴
(1) 1954年(昭和29年)9月、我が国は口上書をもって本件問題について、国際司法裁判所(ICJ)に提訴することを韓国側に提案したが、韓国はこれに応じなかった(ICJの強制管轄権を受諾することにあらかじめ同意しているか、または、別途同意の意向を表明すること等がない限り、ICJの管轄権は設定されない)。
(2) 1962年3月の日韓外相会談の際にも、小坂善太郎外務大臣より崔徳新韓国外務部長官に対して、本件問題を国際司法裁判所に付託することを提議したが、これに対しても韓国側から前向きな反応は得られなかった。
この辺りに少し矛盾があるので、もっとよく調べてみないとどちらが正しいのかわからないが、1954年に日本は国際司法裁判所に訴えを提起したのではなく、韓国に提起したというのだから、国際司法裁判所に訴えを提起していたら、認められていたはずだ。
それでも、日本が国際司法裁判所に訴えないのは、『世に倦む日日』が「国際司法裁判所の竹島ジャッジメント - 六カ国協議へ差し戻し」で書いているような事情があるからであり、又、下記の例で指摘されているように、国際司法裁判所の力が弱まっていることも関係しているのだろう。
1985年にアメリカのレーガン大統領がこの選択条項受諾宣言を撤回したのをはじめ、すでに中国、フランス、ドイツ、イタリアなども宣言を拒否しており、国際司法裁判所の力はいっそう弱まった。Pol-Words NETの国際司法裁判所のサイト
つまり、今日本が国際司法裁判所に訴えても、韓国がこの選択条項受諾宣言を撤回する可能性は限りなく大きく、こうなると、この問題解決はますます難しくなってくる。まずは、お互いに感情的になってはいけない。冷静に事を運ぶべきだ。昨日のニュースで日本の外務省が竹島問題に関するサイトの「実効支配」という言葉を「不法占拠」に変えたという記事があった。さっそく外務省のそのサイトを見てみたら、下記の通りに変わっていた。
(2) 韓国による竹島の占拠は、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠であり、韓国がこのような不法占拠に基づいて竹島に対して行ういかなる措置も法的な正当性を有するものではない。
(注:韓国側からは、我が国が竹島を実効的に支配し、領有権を確立した以前に、韓国が同島を実効的に支配していたことを示す明確な根拠は提示されていない。)
又、今度は韓国側がこれに反発して
『竹島「不法占拠」表現に韓国反発 来週にも「利用計画」発表』、
『「いずれ日本が上陸も」=竹島問題で共同対処呼び掛け-北朝鮮』、
『「守れ、独島」の水着登場 ソウルの百貨店』
など北朝鮮まで助け舟に乗り出してくる始末だ。それにしても、こんな水着まで売り出すとはすごい力の入れようだ(笑)。でも、どうせなら、もう少し若いモデルを使って欲しかった(^^;)。
「小泉首相は頭がどうかしている」 (朝鮮日報)
これは今さら始まったことではないので....。

とにかく、外務省も韓国の盧武鉉大統領特別談話直後に竹島問題のサイトを韓国に反感を持たれるように書き換えるなんて大人げないのではないか?日本側が韓国を見下すような態度を取れば取るほど、韓国側の反発は強くなり、二国間の距離はますます離れていくだろう。今、日本に大切なのは、韓国や近隣諸国との友好関係であり、敵対関係ではない。そのところを踏まえて、限りなく難しい問題だが、日本の外務省にはうまく交渉していって欲しい。
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2006.04.26 (Wed)
日韓友好関係の重要性
○独島領有権は韓国がはじめから持っていたので、どの国際裁判所においても独島の領有権を確認する必要はない。日本政府は独島問題をICJに提訴することによって、独島領有権に関し、韓国と同等の位置に立とうと試みている。
○独島紛争は、植民地時代の直前という混乱期に、日本が当時の植民地獲得方法として悪用された先占理論をもちい、独島を日本領土に編入した。これは侵略略奪行為であるので、これを純粋で、明白な法律紛争として見ることはできない。
この韓国で作られた『サイバー独島』というサイトは韓国語、中国語、英語、日本語の4カ国で書かれており、韓国と日本の両方の立場に立って竹島問題が議論されている。これは、日本の竹島問題についてのサイトに比べると、対外向けに作られたという点で数段優れている。これを読むと、真実かどうかはともかく、やはり、竹島はもともと韓国の島だったのかもしれないという気になってしまうほど説得力がある。日本の竹島問題に関する外務省のサイトは全く説明不足で説得力がない。こういった国際問題に関するサイトは日本国内用だけに作るのではなく、韓国のように外国向けに数ヶ国語で書かれなければ意味がないのではないか。二国間だけで解決できない場合、世界に働きかけることも可能だからだ。
例えば、日本と韓国でもめている争いでは、この他にも日本海呼称問題がある。クライン孝子の日記によると、韓国は日本海を東海と呼び換えるように海外に実際に働きかけて、日本海という名前を特定の航空会社が機内で配布している機関紙の地図から消してしまっているそうなのだ。ルフトハンザやキャセイ・パシフィックの地図からは他の小さな海の名称は載っているのにもかかわらず、日本海という表記は欠落しており、エール・フランスには、少し前には、日本海と東海が併記されていたそうだ。今度みなさんが飛行機に乗ったときに是非地図を調べてみて欲しい。『世に倦む日日』の「竹島と日本海の交換 - 島の領有権を放棄して海の名称を守る」にその他もろもろの日本海呼称問題の詳しい事情やこの問題をどう解決していったらいいのかといった提案が載っている。
竹島問題においても、日本海呼称問題においても、日本と韓国の対応を比べてみると、韓国のほうがより真剣に問題に取り組んでいるというのがよくわかる。日本の外務省にはもうちょっとしっかりして欲しい。
盧武鉉大統領の特別談話に対しても日本の総理大臣でありながら、小泉は全く重く受け止めていないようで、
「(日本は)日韓友好を大前提に考え、冷静に対応していきたいと思う。総合的、全体的に未来志向で考えた方がいい」と述べた。
途絶えている日韓首脳会談に関しては、「やった方がいいと思う」と語った。(2006年4月25日13時49分 読売新聞)
というお粗末さだ。あれだけ、真剣に盧武鉉大統領が特別談話をしたのだから、どのように冷静に対応するのか、総合的、全体的に未来志向でとはどういう意味かもっと具体的に応答するべきだろう。これでは小泉政権に対する国民の不信感がますます大きくなるだけだ。おまけに、靖国参拝をやめるまで首脳会談はしないとあれほど言われているのに、参拝をやめもせず、日韓首脳会談は「やった方がいいと思う」と述べる軽率さは救いようがない。全くわかっていない。小泉には韓国に行って竹島が日本の領土だと言って訴えたり、靖国参拝や日本の歴史認識について語る勇気はないだろう。
これは、小泉だけではなく、日本のマスコミ全体にも同じ傾向が見える。『世に倦む日日』が「日韓平和の生命線としての村山談話 - 右傾化のシミュレーション」でも力説していた通り、盧武鉉大統領の特別談話が紹介された後も日本のマスコミはそれを重く受け止めようとせず、「重大な二国間の外交問題を外交問題として正面から受け止めようとせず、本質を逸脱した別の問題にスリカエて説明をゴマカシている。自己欺瞞している。」のだ。
これからは、日本はアメリカのポチになるよりも、同じアジアの近隣国である韓国、中国との結びつきを強化してアジア大帝国となり、日本を初めとしたアジア諸国から軍事資金を騙し取ろうとしているアメリカに対抗するべきだ。それには、まず、独善的なナショナリズムの行為そのものである靖国参拝をやめなければならない。そうすれば、それが、韓国や中国との良好な関係を築く第一歩となるはずだ。それから、外務省は韓国に敵対心を持って接するのではなく、もっと友好的に精力的に領土問題に取り組まなくてはならない。
参考記事:
サイバー独島
日本海呼称問題
韓国大統領談話、首相「未来志向で考えた方がいい」(2006年4月25日13時49分 読売新聞)
クライン孝子の日記
『世に倦む日日』「日韓平和の生命線としての村山談話 - 右傾化のシミュレーション」
『世に倦む日日』「竹島と日本海の交換 - 島の領有権を放棄して海の名称を守る」
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