2011.04.02 (Sat)
福島第一原発作業員の労働環境

じゃなくて、

が、今回の福島第一原発事故で「死者はまだ出ていない」と大きな鼻の穴をますます大きくして興奮気味に話していたが、実際は、地震があった日に、東電の社員が2名、4号タービン建屋内で行方不明になっている。地震のあった日に行方不明になって、いまだに見つからないということは、お気の毒なことだが、すでに死亡している可能性が高い。
福島第一原子力発電所事故というサイトの負傷者の状況(3 月 28 日 08:00 現在)を見ると、東電だけではなく、協力会社の作業員や自衛隊員からも負傷者がでている。しかし、詳細は、メディアではほとんど語られていない。
このところ、海外のニュースでは、福島第一原発で働く東電社員の労働環境の悪さに注目が集まっている。いかに過酷な労働条件で働かされているかを語る東電社員のメールを紹介して、「なぜ、こんな待遇の下で働いているのか。」と批判している。
さらに、福島第1原発の作業員が大量被ばくした場合に備え、作業員の造血幹細胞を事前に採取する計画が紹介され、専門家を呼んで、さまざまな議論がかわされている。
個人的には、もちろん、被曝に備えて、白血病になったときのために自分の造血幹細胞移植の準備をするのはいいことだとは思うが、その20万円かかると言われている移植手術の費用は個人ではなく、その社員を被曝の危険に晒した東電が払うべきだと思う。そうでなくとも、移植手術はかなりの精神的、肉体的負担を伴うのだから。
造血幹細胞移植の基礎知識というサイトによると、移植は次のように行われるらしい。
造血幹細胞移植とは
血液のがん(造血器腫瘍と言います)の治療はまず抗がん剤による治療(化学療法と言います)によって体内の腫瘍細胞を出来るだけ少なくすることから始まります。その後、化学療法を続けることによって腫瘍が治ってしまう患者さんもありますが、患者さんによっては化学療法だけでは再発する可能性が高いことがわかっています。また、再発した後では化学療法だけでは治る可能性は少なくなります。このように、通常の化学療法では治癒が難しい、あるいは治癒する可能性が少ない患者さんのために造血幹細胞移植という治療法が行われています。
この造血幹細胞移植で治癒が期待できるのは通常の化学療法に比べかなり大量の抗がん剤治療や放射線治療を行うことができるからです。このような大量の治療により腫瘍細胞は根絶し、治癒する可能性が高まりますが、患者さんの正常の血液をつくる組織(骨髄と言い、骨の中にあります)も破壊されてしまうため、正常な自分または他人の造血幹細胞(血液の種)を移植するのです。このように、造血幹細胞移植は移植前治療と造血幹細胞のサポートから成り立っています。
(省略)
1. 骨髄採取
手術室で全身麻酔をして腰骨のお尻側から数十回場所を変えて針を刺して骨髄を吸引採取します。おおよそ500mlから1000mlの骨髄液が採取されます。あらかじめ自分の血液を2-3週間前に保存しておき、採取後に輸血し貧血にならないようにします。採取時には2-4日間の入院が必要です。ドナー補償のための骨髄バンク団体傷害保険に血縁者間移植の際も加入することが出来ます。
2.末梢血からの幹細胞採取:健康な人からの採取
先ず顆粒球増殖因子(G-CSF)を5日間皮下に注射します。白血球の一種である顆粒球数が増加するとともに、通常は末梢血にない造血幹細胞が出現してきます。この造血幹細胞を含んだ白血球を採取します。採取方法はフェレーシスと言って、血液成分採血装置を用いて連続的に肘静脈から採血し、白血球以外の成分を返血します。病棟や輸血部において3-4時間かけて約10リットルの血液を循環させて採取します。この成分採血装置は血液センターにおける成分(血小板)献血とほぼ同じ採取法で、全身麻酔の必要はありませんが、原則として入院が必要です。日本造血細胞移植学会では採取病院向けの同種末梢血幹細胞採取のガイドラインを作成し、ドナー全例の健康フォローアップ調査を実施しています。
自家末梢血幹細胞移植での患者さんからの採取の場合には化学療法後の白血球の回復期にG-CSFを使用して、同様に採取します。
さい帯血は出産時にさい帯から採取され、さい帯血バンクに凍結保存されます。
毎日新聞によると、チェルノブイリ原発事故などで被ばくした人を治療したロバート・ゲイル博士は、わざわざ作業員らの健康管理に当たる医師と面会し、造血幹細胞の事前採取について議論したという。
大量被ばくが実際に起こるか不明な状況で、数百人規模の造血幹細胞を採取することについて、「採取には時間がかかり、痛みなどの副作用も伴う。少人数が大量被ばくすると事前に分かっていれば実施してもいいかもしれないが、現況では合理的ではない。むしろ、作業員が高線量の放射線を浴びないよう警戒することで、彼らの健康を守るべきだ」と強調した。
ゲイル博士の言うことも、もっともだと思う。白血病だけに備えても、放射線が他の癌も引き起こす可能性がある限り、造血幹細胞の事前採取は、単なる気休めにしかならないだろう。
東電は、被曝した際、外部被曝や内部被曝でそれぞれどのような症状が見られるのかなど、ほとんど作業員に説明していないのではないだろうか。それで、何も知らないまま、このような造血幹細胞採取が行われるとしたら、かなり危険だと思う。
東電の労働条件がこれだけ悪化しているにもかかわらず、東電労組は、原発事故のため、2011年春闘の要求をすべて撤回したそうだが、本当にそれでよかったのか。
civilsocietyforum21のMLを通して、「自由と生存のメーデー2011実行委員会」による東電への申し入れの投稿があったので紹介したい。
---
みなさん、こんにちは
「自由と生存のメーデー2011実行委員会」が東電に対して以下のような申し入れを行うそうです。
ーーー
2011年4月1日
東京電力株式会社
会長 勝俣 恒久 様
社長 清水 正孝 様
自由と生存のメーデー2011実行委員会
申入れ書
私たちは主に東京近郊の非正規労働者で組織するメーデー集会とデモの実行委員会です。このたび福島をはじめ各所で原子力発電所を運転・管理している貴社に要請があり申入れます。
貴社はこれまでも1978年11月2日 に起きた東京電力福島第一原子力発電所3号機の臨界事故を29年間も「当時は報告義務がなかった」からと公表せず、点検記録の改ざん(2002年)や火災隠し(2007年)などの隠蔽を繰り返しながら、「協力企業」の非正規労働者をわずか「日給1万円」で使用し、被曝を強いられる労働に従事させてきました。
http://megalodon.jp/2011-0316-0413-03/job.j-sen.jp/hellowork/job_3373229
そして爆発事故以降は特に大量の放射性物質を環境中に放出し、私たちと私たちの友人たちに今後数十年にわたる健康被害をもたらしています。そのため自身や家族の健康を守ろうと、相対的に安全な地域への避難・転居を余儀なくされる人々もあります。
さらに貴社が首都圏各地では、貴社が実施している「計画停電」によって事業所閉鎖や解雇・賃金カットが相次ぎ、零細の自営業者と非正規労働者の中には破綻に追い込まれる者が出ています。
これらの被害は貴社の事業に起因するものです。貴社はこれら被害に責任を負わなければなりません。よって以下を申し入れます。
1.「協力企業」従業員を直接雇用し、東京電力正社員と同等に待遇せよ。
2.被曝したすべての原発労働者に医療費と生活費を支給せよ。
3.福島原発事故がもたらした被害を全額補償せよ。
4.計画停電によって零細自営業者と非正規労働者に与えた被害を全額補償せよ。
5.原発から放出された放射性物質と汚染にかかわるデータをすべて公表せよ。
6.事故対策から撤退して適切な第3者に事故への対応を任せろ。
7.原発事故を原因として避難と転居を希望するすべての人に必要な手段を確保し、移動費を支給せよ。
8.すべての原子力発電所を停止して点検せよ。
9.すべての原子力発電所を廃炉しにして、別のエネルギー源を開発せよ
以上9項目の申し入れについて回答をお待ちしています。なお、回答は4月15日(金) 18時までに連絡先にあてて文書で行ってください。
<連絡先>
東京都渋谷区代々木4-29-4西新宿ミノシマビル2F
フリーター全般労働組合気付「自由と生存のメーデー実行委員
会」
電話: 03-3373-0180 FAX: 03-3373-0184
Mail: union@freeter-union.org
個人的には、この申し入れ書に100%賛成し、これを支持する。