2006.04.26 (Wed)
日韓友好関係の重要性
○独島領有権は韓国がはじめから持っていたので、どの国際裁判所においても独島の領有権を確認する必要はない。日本政府は独島問題をICJに提訴することによって、独島領有権に関し、韓国と同等の位置に立とうと試みている。
○独島紛争は、植民地時代の直前という混乱期に、日本が当時の植民地獲得方法として悪用された先占理論をもちい、独島を日本領土に編入した。これは侵略略奪行為であるので、これを純粋で、明白な法律紛争として見ることはできない。
この韓国で作られた『サイバー独島』というサイトは韓国語、中国語、英語、日本語の4カ国で書かれており、韓国と日本の両方の立場に立って竹島問題が議論されている。これは、日本の竹島問題についてのサイトに比べると、対外向けに作られたという点で数段優れている。これを読むと、真実かどうかはともかく、やはり、竹島はもともと韓国の島だったのかもしれないという気になってしまうほど説得力がある。日本の竹島問題に関する外務省のサイトは全く説明不足で説得力がない。こういった国際問題に関するサイトは日本国内用だけに作るのではなく、韓国のように外国向けに数ヶ国語で書かれなければ意味がないのではないか。二国間だけで解決できない場合、世界に働きかけることも可能だからだ。
例えば、日本と韓国でもめている争いでは、この他にも日本海呼称問題がある。クライン孝子の日記によると、韓国は日本海を東海と呼び換えるように海外に実際に働きかけて、日本海という名前を特定の航空会社が機内で配布している機関紙の地図から消してしまっているそうなのだ。ルフトハンザやキャセイ・パシフィックの地図からは他の小さな海の名称は載っているのにもかかわらず、日本海という表記は欠落しており、エール・フランスには、少し前には、日本海と東海が併記されていたそうだ。今度みなさんが飛行機に乗ったときに是非地図を調べてみて欲しい。『世に倦む日日』の「竹島と日本海の交換 - 島の領有権を放棄して海の名称を守る」にその他もろもろの日本海呼称問題の詳しい事情やこの問題をどう解決していったらいいのかといった提案が載っている。
竹島問題においても、日本海呼称問題においても、日本と韓国の対応を比べてみると、韓国のほうがより真剣に問題に取り組んでいるというのがよくわかる。日本の外務省にはもうちょっとしっかりして欲しい。
盧武鉉大統領の特別談話に対しても日本の総理大臣でありながら、小泉は全く重く受け止めていないようで、
「(日本は)日韓友好を大前提に考え、冷静に対応していきたいと思う。総合的、全体的に未来志向で考えた方がいい」と述べた。
途絶えている日韓首脳会談に関しては、「やった方がいいと思う」と語った。(2006年4月25日13時49分 読売新聞)
というお粗末さだ。あれだけ、真剣に盧武鉉大統領が特別談話をしたのだから、どのように冷静に対応するのか、総合的、全体的に未来志向でとはどういう意味かもっと具体的に応答するべきだろう。これでは小泉政権に対する国民の不信感がますます大きくなるだけだ。おまけに、靖国参拝をやめるまで首脳会談はしないとあれほど言われているのに、参拝をやめもせず、日韓首脳会談は「やった方がいいと思う」と述べる軽率さは救いようがない。全くわかっていない。小泉には韓国に行って竹島が日本の領土だと言って訴えたり、靖国参拝や日本の歴史認識について語る勇気はないだろう。
これは、小泉だけではなく、日本のマスコミ全体にも同じ傾向が見える。『世に倦む日日』が「日韓平和の生命線としての村山談話 - 右傾化のシミュレーション」でも力説していた通り、盧武鉉大統領の特別談話が紹介された後も日本のマスコミはそれを重く受け止めようとせず、「重大な二国間の外交問題を外交問題として正面から受け止めようとせず、本質を逸脱した別の問題にスリカエて説明をゴマカシている。自己欺瞞している。」のだ。
これからは、日本はアメリカのポチになるよりも、同じアジアの近隣国である韓国、中国との結びつきを強化してアジア大帝国となり、日本を初めとしたアジア諸国から軍事資金を騙し取ろうとしているアメリカに対抗するべきだ。それには、まず、独善的なナショナリズムの行為そのものである靖国参拝をやめなければならない。そうすれば、それが、韓国や中国との良好な関係を築く第一歩となるはずだ。それから、外務省は韓国に敵対心を持って接するのではなく、もっと友好的に精力的に領土問題に取り組まなくてはならない。
参考記事:
サイバー独島
日本海呼称問題
韓国大統領談話、首相「未来志向で考えた方がいい」(2006年4月25日13時49分 読売新聞)
クライン孝子の日記
『世に倦む日日』「日韓平和の生命線としての村山談話 - 右傾化のシミュレーション」
『世に倦む日日』「竹島と日本海の交換 - 島の領有権を放棄して海の名称を守る」
Tags : 竹島 |
獨島 |
サイバー独島 |
日韓関係 |
外務省 |
日本政府 |
盧武鉉大統領 |
歴史問題 |
歴史認識 |
日本海 |
2006.04.25 (Tue)
竹島をめぐる日韓の言い分

竹島(韓国名:独島)は、日本海に浮かぶ小さな島で、女島・男島といくつかの岩からなっている。広さは0.23平方km、だいたい日比谷公園と同じ面積。そんな小さな島の領土権をめぐって日本と韓国が壮絶な争いを長い間繰り広げているのは、排他的経済水域(EEZ)の問題があり大きな経済問題(特に漁業問題)に発展しかねないからだ。EEZとは、「主権は及ばないが(他国の船の航行などは自由)、その水域の地下資源や水産資源などを優先的に利用できる」水域のことであり、小さな島のEEZでもかなり広範囲にわたるそうだ。この問題に韓国は、歴史の認識の問題や、靖国神社参拝、歴史の教科書歪曲などを複雑に絡めて、日本政府に対して感情的に訴えてきている。
昨日のニュースで、竹島をめぐる日韓交渉が一段落したと聞いたばかりだったのに、今日は一転して【速報】盧大統領、独島問題の抜本的見直しを宣言というニュースが流れてきた。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は25日午前、韓日関係に関する特別談話を発表し、独島(日本名竹島)問題に対して強硬対応をとるとの立場を明らかにした。
盧大統領は「韓国政府は独島問題に関する対応方針を全面的に再検討する。独島問題を日本の歴史教科書歪曲、靖国神社参拝問題に併せ、韓日両国の過去の歴史問題清算や歴史認識、韓国の独立史と主権を守るという次元で正面から取り扱う」と述べた。
盧大統領は「世界の世論と日本国民に日本政府の不当な対応を今後も告発していく。日本政府が過ちを正す時まで、国家的力量と外国的資源を総動員し、持続的に努力するつもりだ」と話した。
朝鮮日報
朝鮮日報によれば、韓国では17世紀には竹島は韓国の領土であったと記した「竹島は江原道に属す」という日本の17世紀文書も公開 されたそうだ。ただ、これをどこまで信用していいのかはわからない。
盧武鉉大統領の特別談話全文によると、日本は日露戦争中(1904)に独島(竹島)を自国領土に編入したとあったが、外務省の竹島問題のサイトには、竹島はすでに17世紀半ばには、日本の領土であったと書かれている。日本の外務省は、「竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに我が国固有の領土である。」と言い切っている。しかし、これもどんな証拠があって竹島を日本の領土であったと言っているのかはっきりしない。ここに盧武鉉大統領の特別談話と日本政府の言い分の違いが現れている。
ところが、外務省のサイトには書いてないが、『日韓友好にとってまさに「のどに刺さったトゲ」 竹島問題の基礎知識』(All About) によると、1945年9月から日本を占領することになった連合国軍総指令部(GHQ)が、 1946年に出した「GHQ覚書第677号」というもので、日本の竹島における政治・行政上の権限行使を暫定的に停止する、というものがあったそうだ。が、
ということだが、このGHQの覚書がこの問題を少しややこしくしてしまったというのは、否定できないだろう。・だからといって、韓国に「政治・行政上」の権限が渡されたとは書いていない。
・そもそも「政治・行政」権と主権は別。沖縄も、「政治・行政権=施政権」はアメリカに渡されたが、主権は日本にあるとされていた。
・一方的な通達で、当事国日本の同意がない。国際法としての効力があるとみるのは難しい。
又、1951年に調印され、翌年発効した太平洋戦争の講和条約であるサンフランシスコ平和条約には:
サンフランシスコ平和条約 第2条(a)
日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
とあり、これらの権利を放棄された島には竹島(独島)は入っていない。ただ、ここに竹島がいろいろな呼び名で呼ばれていた複雑な過去もあり、事態はますます混乱をきわめている。
つまり、こうしてみると、どちらの言い分も正しく聞こえるのだが、これという証拠がないのだ。これまでさんざん話し合っても解決がつかないのだから、最後に多くの日本人が提案している国際司法裁判所でこの竹島問題を裁いてもらうしかないのではないだろうか?
参考記事:
『世に倦む日日』「盧武鉉談話の正論 - 韓国は日本の右翼に妥協してはならない」
『Here There and Everywhere』盧武鉉大統領の特別談話全文
『日韓友好にとってまさに「のどに刺さったトゲ」 竹島問題の基礎知識』(All About)
朝鮮日報「韓国、米中日3国と外交摩擦拡大」
