2008.06.18 (Wed)
宮崎勤死刑囚の処刑は見せしめのため?
民主党が福田首相の問責決議を提出した今、日本の政局は大きな別れ道に来ている。自民党にとっては消費税値上げを「決断の時期」に来ているようだが、国民にとっては、自公政治と別れを告げる「決断の時期」だ。問責決議については、次のエントリーで意見を述べたいと思うが、こんな時期だからこそ、自エンドをめざして、多少の意見の違いはあってもAbEndの時のように一致団結していきたいと思っているので、どうか、みなさま、よろしくお願いします。
日本では火曜日に幼女連続殺害事件の宮崎勤死刑囚を含む3人の死刑囚の処刑が行われた。この死刑実行のニュースは海外でも大きく報道され、世界中が大きな悲しみに包まれた。死刑執行には国際的な批判が強く、民主主義国家の中でいまだに死刑を実行しているのは、日本と米国くらいである。韓国では死刑は事実上廃止され、台湾でも廃止される予定であると言う。

-福田首相が死刑維持にとても積極的である。
-宮崎死刑囚は精神障害を患っており、弁護人の田鎖麻衣子弁護士によって再審請求が提出されていたにもかかわらず、突如処刑された。
-鳩山法相による死刑執行は、過去最多だった長勢甚遠前法相の10人を超え13人とこれまでで最高になった。
-日本国民の約80%が死刑支持者である。
などの事実に注目が集まっている。
写真上:Japan executes notorious cannibal killer
(日本で悪名高き食人鬼が処刑される)
AFP,Tue Jun 17より

写真右: Three prisoners hanged in Japan
(日本で3人の死刑囚が絞首刑に)
BBC NEWS (Tuesday, 17 June 2008 05:25 UK)より
こうして見ると、鳩山法相のほうがよっぽど殺人鬼に見える
『晴天とら日和』のとらちゃんがこれまでに処刑された死刑囚のリストを作ってくれたのでご参考までに。とらちゃんのところには事件の詳しい内容がリンクされている。
▼2007.12.7 3人
東京拘置所
1. 府川博樹(42)-1999 東京・江戸川母子強盗殺人事件
2. 藤間静波(47)-1982 神奈川・藤沢母娘他5人殺害事件
大阪拘置所
3. 池本登(74)-1985 徳島・猟銃近隣殺人事件
▼2008.2.01 3人
東京拘置所
4. 持田孝(65)-1997 東京都江東区・日本たばこ産業OL逆恨み殺人事件
大阪拘置所
5. 松原正彦(63)-1988 徳島・主婦連続強盗殺人事件
福岡拘置所
6. 名古圭志(37)-2002 鹿児島・徳之島兄家族殺傷事件
▼2008.4.10 4人
東京拘置所
7. 秋永(旧姓岡下)香(61)-1990東京・杉並資産家老女殺人事件
8. 坂本正人(41)-2002 群馬・女子高生誘拐殺人事件
大阪拘置所
9. 中村正春(61)-1989 滋賀・元同僚殺害事件
10. 中元勝義(64)-1982 大阪・宝石商殺人事件
▼2008.6.17 3人
東京拘置所
11. 宮崎勤(45)-1988 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件
12. 陸田真志(38)-1995 品川・風俗店2人殺害事件
大阪拘置所
13. 山崎義雄(73)-1985 宮城・香川保険金殺人事件
宮崎死刑囚が2006年2月に死刑が確定してから2年という短い間に処刑されたのは、先日起きた秋葉原通り魔事件のみせしめの意味が強いのであろう。こういった通り魔事件を起こすと、こうなりますよという暴力的な国民への戒めだ。おもわず、飛行機の中で見た、アフガニスタンの映画『カイト・ラナー』(邦題:「君のためなら千回でも」英題:"The Kite Runner")で見た投石処刑のシーンを思い出してしまった。とても心に残るいい映画だったのだが、かなり残酷なシーンが多く、その中の一つがその投石処刑のシーンだった。アフガニスタンでは、既婚の女性が浮気をしたりすると受ける刑で、みんなが見ているスタジアムなどで死ぬまで石を投げつける刑。
日本では大きな事件の後、死刑が執行される場合が多いそうだ。まさに、投石の刑と同じ見せしめとして行われる野蛮なものである。死刑という暴力行為で、被害者の遺族は浮かばれるのだろうか。加害者を処刑することによって何か解決するのだろうか。そのとき一瞬だけは遺族の気が晴れるだろう。でも、殺された被害者はもう帰ってこないのだ。もちろん、自分が遺族の方々の立場だったら、加害者の犯した犯罪は決して許せるものではない。加害者に対して、一生憎しみを抱いて生きるかもしれない。そして、それは、加害者が処刑されたからといって加害者を許せるものでもない。犯人の心の底からの謝罪があって、それが遺族に届いて初めて許せる時が来るのだ。加害者が懺悔の気持ちを持って謝罪しても、それが遺族に届かない場合ももちろんあるだろう。しかし、それでも、加害者は誠意を尽くして残りの生涯を遺族に謝罪し続けながら送らなくてはならない。
死刑前に宮崎死刑囚からの謝罪はなかったと非難する報道もあったが、精神障害があったら、自分のやったことを認知する能力が低いので、自分の過ちを認めることはできないのだ。だから、謝罪もなかった。謝罪がなかったら、遺族の方も報われまい。加害者からの謝罪があるかないかで遺族の方の気持ちは大きく変わることだろうと思う。
宮崎死刑囚のように加害者に精神障害があると見られる場合は、刑務所よりも、精神病院で治療を受けながらその障害に対処するのが民主主義というものではないのだろうか。治療をしながら、自分がやったことがいかに恐ろしいことだったのかを認知できる場合もあるだろう。少なくとも、そうすれば、残された遺族の方に謝罪することもできるようになる。又、治療不可能な精神障害もあることだろう。精神障害があるのに、まるで何もないかのような精神判定の診断結果を出し、ただ見せしめのために死刑を執行するのは、民主主義の道から外れる行為であるし、加害者にとっては人権無視もいいところだと思う。精神障害を持つ犯罪者をいきなり処刑するようなことをしてはならない。日本はもっと人権を大切にする国にならなければならない。
同じ悲惨な事件を起こさないために、加害者やその家族に事件を起こしたときの心理状況や加害者のおいたちなどを調査して、事件の防止に努めることが重要だ。例えば、妊娠中にアルコールを飲みすぎると、生まれる子供が障害を持って生まれることが多いそうだが、宮崎死刑囚が服役中にひどくなった幻聴がその一つでもある。
カナダでは、妊娠中にアルコールや薬物を多用すると、胎児に幻聴などの障害を与えることが報告されている。カナダでロシアから里子をもらった夫婦がいた。その里子が成長するにつれて幻聴がひどくなったので、実母を調査したら、実母が妊娠中にアルコール中毒や薬物中毒であったことが発覚した。宮崎死刑囚の母親に妊娠中にアルコールを飲んだかどうか確認し、もし飲んでいたら、どのくらいの量だったのか。どんな種類のお酒を飲んでいたのかなど徹底的に調べ、同じようなことが繰り返されないためにも他の妊婦にアルコールが胎児に与える結果の例として警告するのも一つの手だと思う。こういった地道な調査が結果的によりよい社会を作っていく上で、重要となるのではないだろうか。
参考記事:
『PAGES D'ECRITURE』 死刑廃止に反対する日本の首相(AFPの記事)
『手記』 宮崎勤の死刑執行:死刑廃止派への助言
『保坂展人のどこどこ日記』
「裁判員制度」と死刑の大量執行時代
鳩山大臣4回目の死刑執行、宮崎勤死刑囚ら3人。
『福島みずほのどきどき日記』 死刑の執行について
日本における死刑(ウィキペディア)
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