2007.01.16 (Tue)
時代と逆行する安倍NATO演説
「欧州訪問における内外記者会見」(平成19年1月13日)っていう題も、普通、総理の演説だったら、もっとはっきりと「NATO演説」とか「BBCインタビュー」とかって書くべきだと思うんだけど、内外って何?内外って?英語のBBCインタビューとは微妙に違って、かなり日本寄りに書かれているから、きっと違うんだろうね。こういったことからして、うやむやで、国民にとっては日本の首相が海外のどこでいつ、どんなことを言ったのかわからないってわけ。
個々の課題について、北朝鮮について、ミサイル発射、核実験が、我が国や、東アジアのみならず国際社会全体の平和と安定に対する脅威である、そしてまた、これらの問題の解決のために国際社会が一致協力して安保理決議第1718号に基づく措置を実施し、北朝鮮に国際的な圧力を加え続けることが重要であることについて首脳間の間で意見の一致を見ることができた。
北朝鮮には、軍事資金もないことくらいもう世界中の国民は知っているんだよ、シンちゃん。どこが脅威なの?首脳間の間で意見の一致って、ブッシュとシンちゃんくらいじゃないの?ヨーロッパではね、今は米国とイラク戦争が一番の脅威なんだよ。北朝鮮の脅威なんてそれに比べたら、クレヨンしんちゃんがつまらないいたずらするようなものだよ。で、日米が北朝鮮に圧力かけたところで、中国とロシアが助けるんだからさ、あまり影響ないわけよ。
それにしても、安倍と似たようなことをボルトン前米国連大使も言ってたが、これは、予め安倍のNATOでの演説のために決められていたものか、又は安倍のNATO演説を受けてそれを支援しているものなのか。
「6カ国協議は「失敗」 ボルトン前米国連大使」山陽新聞(1月17日)より
米国のボルトン前国連大使は17日、都内の日本記者クラブで記者会見し、北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議について「失敗した。(同協議を通じた各国の)働き掛けの役割はもう終わった」と述べ、同問題は「現実的には、北朝鮮の現体制が崩壊することでしか解決できない」と主張した。
ボルトン氏は、体制を崩壊させるためには「経済的圧力を強めることと、拡散防止構想(PSI)を組み合わせれば効果が出る」と話し、北朝鮮に配慮する中国、韓国の協力への期待も示した。
まず、日米としては北朝鮮を悪者にして、軍需産業の拡大や米軍再編のための莫大な軍事予算の支出を正当化したいんだろうね。でもさ、本当に恐れるべきは、北朝鮮じゃなくて、中国じゃないの?北朝鮮を崩壊させて、難民を中国に雪崩(なだ)れ込ませて、中国の威力を少しでも削ぐのが目的なのだろう。
つい最近、自民党本部で、桜井よしこ氏の「安倍政権に期待すること」と題したすばらしい(笑)講演があったそうだが、その中で、桜井氏が言うには、米国が世界情勢の中で勢いを弱めている隙間に入ってきているのが中国だそうだ。だから、米国にとっての本当の脅威は中国なのだろう。かと言って、中国のおかげで米国経済が永らえているところもあり、米国と中国は競争しながら、お互い助け合っている仲間と呼んでもいいのではないだろうか。
で、この桜井氏の講演の中で、驚くべきことは、安倍に靖国神社参拝を勧めていることだ。
だから温家宝首相が4月に来る。春の例大祭。胡錦濤さんも今年日本を訪問する。時期がいつかは知らない。中国はまた、安倍総理を中国においでくださいと招待している。そうすると春と夏と秋とちょうど、もしそのように配分すれば、私が間違っていることを期待するが、もしそのようになれば、日本外務省が考えているように、いろんな理屈がつけられて、国民の前に参拝をしなくても総理が批判をされないような政治的状況というのが出てくる。これは今年1年の問題を解決してくれるかもしれないが、日本の将来を見るときには大変な間違いだ。
自民党本部に来てこんなことを言うのは申し訳ないが、中曽根さんの二の舞をふんではならないと私は考えている。安倍総理は今年、そのような小手先の技術によって靖国参拝を避けてはならないのか。それこそが中国が言う、あなたの国は戦争で何をしたのか、加害者だったでしょ、悪い国だったでしょ、侵略国家だったでしょ、だから靖国はいけないんですよということを受け入れることになるからだ。戦争というのは互いにさまざまな事情があって起きるものだ。日本一国が悪くて起きるのでは、断じてない(拍手)。私たちは歴史を学んで、そのことをしっかりと冷静に理論的に話せるようになっていかなければならない。
桜井氏の意見は私個人としては「とんでも発言」なんだけど、こういった考えをする人がまだまだたくさんいるから、自民党は支えられているんだろうなぁと考えると、正しい歴史認識を身につけることの大切さをひしひしと感じてしまう。戦争は互いにさまざまな事情があって起きることもあるけど、一方的な理由で起きることもあるのにさ。桜井氏こそもっと歴史を学ぶべきだろう。
そして、もっと驚くべきこのウヨジャーナリストの発言が集団的自衛権を容認するように安倍に迫っているところだ。
アメリカがつくる作戦変更で生じているまばらな空間を日本が積極的に、政治的に埋めていかなければならない。1つは集団的自衛権を認める、安倍総理がそれを決断すればいい。決断することは非常に大きな力をもつ。それによってわが国が何かおどろおどろしい動きをするのでは決してない。通常の、正常な国家としての歩みを歩み出すという政治的決意の表明が、集団的自衛権は呼応しできるという立場を表明することだ。なぜ日本がそのようなことをしなければならないか。それを理解するためには中国の動きをみなければならない。
NATO首脳会議で、ブッシュは日本、韓国、オーストラリアなどを「グローバル・パートナー」と位置づけ、関係の強化を提案した。安倍はこれに答えて、NATOがアフガニスタンで行っている軍民混成による人道活動を支援し、自衛隊が海外での活動を積極的に行うことを明言したのである。
朝日の社説:「NATO演説 首相は気負いすぎだ」 (朝日【社説】2007年01月16日)によると、これに対する欧州側の反応は慎重で、
グローバル・パートナーといった新たな枠組みには反対し、域外国との協力を広げるとの抽象的な方針にとどめた。 欧州側には、米戦略に引っ張られ、NATOの役割が際限なく広がることへの警戒感があるからだろう。アフガニスタンで犠牲になる欧州兵士が増え、世論の反発も高まっている。
又、2007年1月14日の「しんぶん赤旗」でも安倍の演説を憲法度外視の危険な踏み込みと批判している。
憲法九条をもつ日本が、集団的自衛権を行使し軍事介入するNATOと協力関係を結ぶこと自体許されるはずがありません。
世界中が平和に向かって進んでいるときに、勝手に仮想敵国をつくって軍事力を増強しよう、憲法を変えて戦争できる国にしようとしている安倍晋三や桜井よしこは、お金に目が眩んで、人の命の大切さよりも、軍需産業が儲かって日本の経済が発展することを優先しようとしている。今の世界中の人々がどれだけ平和を求めているのか全くわかってないだ。世界の流れと逆行する時代錯誤な人達だ。
参考記事:
Abe's speech to NATO(Asahi.com 01/17/2007)
今年もランキングの応援よろしくお願いします。

現在第2位- 政治ランキング

現在第1位-社会・経済、海外生活、ダイエット
*この記事は『安倍晋三 - トラックバック・ピープル』にトラックバックしています。
安倍晋三や石原慎太郎についての記事を書いたとき、下記のURLにTBを送るだけで参加できます。あなたも参加してみませんか。
http://member.blogpeople.net/tback/06610