2007.09.05 (Wed)
山口県・光市母子殺人事件: 世論が変わるとき
『きまぐれな日々』の「言論が一方向に振れる時 ~ 山口県光市母子殺人事件をめぐって」
『きっこのブログ』「死刑廃止論を廃止しろ!」
『ミクロネシアの小さな島・ヤップより』「きっこさん、「死刑廃止論を廃止しろ!」について再考をお願いします」
そして、『情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)』の「光事件Q&A~弁護団への疑問に答える~光事件弁護団という記事にコメントしたゴンベイさんの下記の意見。
この「光事件Q&A」を読むと、弁護団は検察側の主張する「公訴事実」が真実でなく、外形的事実だけならば、「罪名」は殺人罪ではなく傷害致死罪、事件を起こした当時少年だった被告の精神状態・思考能力を含めれば過失致死罪、さらには「心神喪失→責任無能力」もしくは「心神耗弱→限定責任能力」だと主張していると思われる。
外形的事実での弁護団の主張は理解できないものではない。これは死刑廃止論の主張とは全く関係なく、事実認定そのものの争いである。最高刑が死刑である殺人罪か、3年以上の有期懲役である傷害致死罪かでは大違いであり、被告弁護団として争う理は認めてしかるべきだ。
(後略)
ネットでは被告弁護団が死刑廃止論者で、日本から死刑を無くすために少年をかばっているなどという誤った情報も飛び交っているし、ブログでは死刑廃止論とこの事件を結びつけて議論しているブログもあるが、上記のコメントでゴンベイさんが書かれているように、この事件は死刑廃止論とは別に議論されなくてはならないと思う。そこで、まずは、死刑制度についての私の意見を述べ、その後、この事件について私の思うところを書いてみたい。
私自身は、死刑廃止を望む一人だけど、死刑廃止論については、その人の経験や住んでいる社会や宗教観によって、人それぞれ違う意見を持つようになるのであり、それを尊重しなければならないと思う。これまで自分と同じ考えだと思っていた人が、死刑廃止に反対であったとしても、批判するべきではないと思うし、逆に、死刑廃止を臨むことについて、人から批判されたくもない。
私はこれまで人を恨んだり、憎んだりしても、殺したいような衝動にかられる経験をしたことがない。でも、もし、自分がこれまでに殺されそうな経験をしたり、虐待されたり、家族が殺されたりしたとしたら、やはり、その加害者を殺したい衝動にかられるだろうと思う。そして、そういった恐ろしい経験を通して、加害者に対する憎しみが増し、加害者の死を望むことは当然で、死刑制度に賛成することにもつながるだろう。たまたまこれまではそういった悲惨な経験をしたことがなかったけど、これから先、そういった経験をした場合は考えがかわるかもしれない。
又、今住んでいるカナダには、死刑制度はないし、人々も罪に対して寛容だ。罪を犯しても、その背景を考慮して許してあげるという社会の風潮がある。ちなみに、死刑制度のある国に比べて死刑制度のない国での極悪犯罪の数はぐっと少ないと言う。そんな中に住んでいると自然と死刑に対する考えも変わってくるのだ。日本に住んでいた頃は、死刑が廃止されたら大変なことになると本気で考えていたので、そんな日本に住んでいながら、死刑廃止論を唱えるのは、とても勇気のいることだと思う。このように、死刑制度に対する考えはその人が住むところの社会環境によっても変わっていくものだと思う。
こういった日本の社会の風潮の中で、光事件に関しても、これまで被害者よりの意見が大多数だったのは納得できる。ブログの中でも、被害者の夫でもあり父でもある本村洋氏をヒーローのように扱ったり、殺された当時まだ23歳であどけなさの残る美しい妻、本村弥生さんといたいけな幼児の写真を紹介して、読者の同情をかいながら加害者を死刑に処するよう世論を導くものが人気を博していた時期もあった。
しかし、2ちゃんねるの掲示板では、弁護側主張が曲解され、それがメディアやブログ間で広まって加害者バッシングへの追い風をあおっている今の風潮には首をかしげたくなるものがある。確かに、当時18歳だった少年が犯した罪はとても許せるものではない。その罪やネットで広まっている事件の概要だけを見ると、少年には死刑が相当だと思わざるを得ない。が、しかし、実際、私達は何が事実で何が嘘なのか本当のところを知らない。
そこで、過剰な少年バッシングに警告を放ち、真相を究めようと立ち上がったのが22人の弁護士からなる被告弁護団である。
2007年6月28日【光市母子殺害】弁護団記者会見(2/2)
被告弁護団22人への懲戒請求が、全国で3900件にのぼっていることからも、この弁護団にアレルギー反応を示す人も多いようだが、上のビデオを見れば、彼らが、警察官の調書が必ずしも正しいものではないということを前提に、もう一度少年がこの事件でやったことの真実を検証するために立ち上がったということがわかるであろう。
この事件ではわれわれに未知の部分が多く、弁護団のQ&Aを読んでもわかるとおり、これまでネットで語られていた事件の真相とは大きく異なる新たなる局面を迎えている。
被害者側に有利であった世論が、加害者側に少し傾く可能性もある。私としては、これまで主張されていた真相の信憑性が揺らいできたことや、当時まだ18歳であった少年の未発達な精神状態や不幸な家庭環境も考慮すると、この少年が死刑になるのには絶対反対だ。1999年、少年が18歳のときにこの事件を起こしてから今日まで人生の中で最も楽しい8年の月日を刑務所で過ごしており、その間に人間的にも成長しただろうし、いろいろと反省しただろう。被告少年から本村洋氏に謝罪の手紙を書いたこともあったが、本村氏には受け入れられず、読んでさえもらえなかった。少年はまだ若く、今後、更生できる可能性は高いと信じたい。
とにかく、一日も早くこの事件の真相が解明されることを望む。
関連ニュース:
橋下弁護士:母子殺害弁護団からの賠償訴訟で反論会見(毎日新聞9月5日)
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