2010.05.06 (Thu)
普天間飛行場移設問題:官僚にはめられた?鳩山首相
昨日のエントリーにも書いた通り、衆院選挙前には普天間飛行場を「最低でも県外に移設させる」と強調していた鳩山首相が、政権を握ってしばらくすると、「普天間飛行場を沖縄から全面撤退させるのは無理」と発言するようになった裏には、コメント欄でisao-pw大城勲さんが書いて下さったように、鳩山首相がいまだに官僚が提示する誤った情報を基に問題の本質を見誤ってしまったのが原因だろう。大城さんのコメントをここに紹介する。
鳩山政権の迷走
普天間基地問題で鳩山政権の迷走が非難され鳩山総理の指導力不足、責任論が高まっていますが昨年9月の政権交代後も霞ヶ関の官僚機構が従来通りの実務権限を維持し、経験の浅い閣僚、政務三役が既得権益を維持しようとする官僚機構に翻弄されて問題の本質を見誤り、官僚が提示する誤った情報を基に判断せざるを得ない状況では迷走を繰り返すのも必然です。
普天間問題での対米交渉でも自民党政権での対米従属と利権絡みで米軍再編計画に関与して来た官僚に頼っていては政権交代に伴う新たな日米関係を構築する事は不可能であり米国側の意向に阿る結論に至る事も必然です。
防衛省、外務省の実務交渉に臨む官僚は沖縄米軍基地の無期限自由使用を前提として普天間代替施設でのオスプレイ運用に配慮して編隊飛行訓練で必要な最大値として1600m滑走路を目論んでいる。これは米国がSACO合意でも米軍再編ロードマップでも明言して来た「戦闘機の運用は想定せず」の歯止めを外して空母艦載機の運用を可能にしヘリとは桁違いの轟音を発生させる。SACO合意で普天間の辺野古移設を受け入れた(故)岸本元名護市長と稲嶺前知事の受け入れ条件は15年使用期限と基地使用協定での運用機種制限が前提であったが日本政府に無視され北部振興策との取引で基地受け入れを迫られて来た。
鳩山政権が現時点で米国との合意を求めるにはSACO合意で辺野古移設を決めた際に米軍の求めた要件、ヘリ部隊と連動するKC-130空中給油機の運用可能な1300m滑走路と港湾施設が必要である。
沖縄県民の理解を得るには目先の誤魔化しでは無く本質的な日米関係の包括的な見直しで在沖海兵隊及び陸軍グリーンベレー等の地上部隊を全面撤退させ、沖縄本島周辺の訓練施設を全面返還させる為に使用期限の交渉を米国と直ちに開始すべきである。
最終ゴールは米軍地上部隊の全面撤退と訓練施設の全面返還こそ沖縄の負担軽減であるが鳩山政権は総理を始め閣僚、政務三役の無知に付け込む官僚機構の頑迷な妄言に操られて問題の本質を見誤り出口の見えない迷路を彷徨っていると言わざるを得ない。
半世紀以上も日本の政権を握ってきた自民党は例外だが、本来は、政党が政権を握るのは、数年だが、官僚は何十年も同じ仕事を続けるわけだから、政治家に比べて官僚の知識が高くなるのは当然であり、政治家が官僚の意見を参考にしようとするのもわからないわけではない。しかし、少なくとも、民主党は霞ヶ関改革を看板に衆院選を勝利したのだから、首相が官僚の言うことを疑いもせずにそのまま信じてしまうというのは大きな問題がある。
このことは、5月5日の『琉球新報』の「抑止力」と弁明 官僚支配 脱せず 首相「県内」表明 と題された記事でも下記のように指摘されている。
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2006.07.25 (Tue)
靖国参拝反対の世論が増加中。安倍も今年は参拝せず。

昭和天皇のA級戦犯合祀に関するメモは靖国参拝を強く主張していた安倍が靖国参拝を中止する口実のためにマスコミに流されたという噂が飛び交う中、やはり、安倍は今年の終戦記念日の靖国参拝はしないようだ。
安倍氏、8月15日は参拝せず 靖国争点、避ける狙い (Asahi.com 2006年07月23日08時32分)
安倍官房長官は終戦記念日の8月15日に靖国神社を参拝しない意向を固めた。自民党幹事長だった04年、幹事長代理だった05年には終戦記念日に参拝したが、党総裁選を控え「靖国」が突出した争点になるのを回避する狙いがある。ただ、春秋の例大祭時の参拝は否定しておらず、首相に選出された場合の対応には含みを残している。複数の関係者が明らかにした。
安倍氏に近い関係者によると、安倍氏は側近議員や学識経験者らの意見を踏まえ(1)総裁選などで靖国問題を争点化しない(2)参拝するかどうかは言わない(3)8月15日の参拝にはこだわらない――との方針を確認したという。
靖国をめぐっては、小泉首相が8月15日の参拝を総裁選公約に掲げ、中韓両国との関係が冷え込んだ経緯がある。安倍氏はこうした状況を踏まえ「15日に参拝すれば総裁選で争点化し、国益に反する」と判断した。
安倍氏は6月のテレビ番組で「外交問題に発展する可能性があれば、そうならない努力をしなければいけない」と語るなど、靖国問題の争点化の回避を訴えてきた。
ただ、安倍氏は「靖国に祭られた近代以降の戦没者を追悼するには、太平洋戦争終結の日よりも春秋の例大祭が適切」というのが持論。8月15日は見送っても例大祭で参拝する可能性は残っており、靖国問題の打開につながるかは不透明だ。
一方、谷垣財務相は22日、津市内で靖国参拝について「さしあたっては控える」と記者団に語り、当面は参拝しない考えを明らかにした。
少し前に『きまぐれな日々』のKojitakenさんがナベツネ(渡邉恒雄)が安倍を支援する条件の一つに靖国を参拝しないことがあげられていると書かれていたが、今回安倍が靖国参拝中止に踏み切ったのもナベツネの影響が大いにあると思う。そんなナベツネと安倍晋三の靖国をめぐる関係についてKojitakenさんがシリーズ化して書かれているナベツネと安倍晋三の記事は、とても面白いので、是非お薦め。
ナベツネと靖国と安倍晋三と(その1)
ナベツネと靖国と安倍晋三と(その2)
やはり昭和天皇はA級戦犯の靖国合祀に激怒していた(副題:「ナベツネと靖国と安倍晋三と(その3)」)
それにしても、ネットでいくら訴えても安倍の支持率は減るどころか増えているというのに、テレビや新聞でちょっと昭和天皇が靖国にA級戦犯合祀されていることを不快に思っているというメモについて報道するだけで、靖国参拝反対の世論が一挙に増加しちゃうんだから、まいっちゃうよ。日経、朝日、東京新聞の報道後に靖国参拝に関する全国世論調査を毎日新聞と朝日新聞が電話で22日と23日に実施したところ、靖国参拝反対の世論が毎日では54%、朝日では60%まで増加したそうだ。今年1月の時点では、反対は、毎日では47%、朝日では46%だった。これを読んで久しぶりに嬉しい気分になったのは、言うまでもなく、今までブログでさんざん訴えてきた首相の靖国参拝反対の意見が世論に少しづつ浸透してきたのかもしれない。
社説:首相の靖国参拝 世論も反対が増えている (毎日新聞 2006年7月24日 3時00分)
《調査方法》22、23の両日、電話調査をした。対象者の選択方法、有効回答数、回答率は不明。
次期首相の靖国参拝、反対60% 本社世論調査(Asahi.com 2006年07月25日06時15分)
《調査方法》22、23の両日、全国の有権者を対象に「朝日RDD」方式で電話調査をした。対象者の選び方は無作為3段抽出法。有効回答は1898人。回答率は57%。

それでも尚、こんなことを言い続けている小泉って?????
8月15日靖国参拝「世論に影響されない」…首相(読売新聞 2006年7月25日0時46分 )
中曽根が首相だった時、多くの国民が首相の靖国参拝に反対しており、中曽根はすぐに参拝を中止した。一方、今は、小泉が5年間参拝し続けていても国民によって強く反対されることもなく、小泉は任期最後である今年も又、参拝を続行しようとしている。まさに国民の思考力の低下が進んでいるのか、仕事が忙しすぎてそんなことは考える余裕がないのか、小泉政権によって右翼化が進んだからなのかわからないが、中には反対した人もいたとは思うが、ほとんどの国民が何の抵抗もなく小泉の靖国参拝を受け入れていたのは事実だ。
国民は日本の正しい歴史をよく知った上で、もっと政治にも関心を持つべきである。この日本史上最悪と言われた小泉政権のおかげで、誰が日本の政権を握るかによって自分の生活が豊かにも貧しくもなるということを思い知った5年間ではなかったか。祖父の代から戦争好きなアメリカのポチである安倍晋三のような人物が日本の首相になった日には、若者は戦争に駆り出され、命が脅かされることもあるということを忘れてはならない。
2006.07.24 (Mon)
昭和天皇のメモ、その後の雑感

つまり、上のメモの初めの部分に下記のような文章があったのに、それが削除されていたそうだ。
前にあったのは どうしたのだろう
中曽根の靖国参拝もあったか
藤尾(文相)の発言。
=奥野は藤尾と違うと思うがバランス感覚の事と思う、単純な復古ではないとも。

↑画像は『enjoy Korea』から。
文章を検証してみると、これが、藤尾元文相による発言ではないというのは、明らかである。その理由は下記の通り。
1.藤尾(文相)の発言というのは、下記の発言を意味しているのであり、メモに書かれていたのが藤尾元文相の発言という意味ではない。
藤尾発言[文]1986.9.5
藤尾政行文相は《文藝春秋》86年10月号で,日韓併合について〈形式的にも,事実の上でも両国の合意の上に成立している.……韓国側にもやはり幾らかの責任なり,考えるべき点はあると思う〉と発言し,日韓併合が日本による侵略行為だという見方に疑問を呈した.韓国政府は直ちにこれに抗議し,重大な外交問題に発展した.結局,9月8日,中曽根首相は藤尾文相を罷免して後任に塩川正十郎代議士をあて,9月20日,アジア競技大会の開会式出席のために訪韓した際に陳謝し,問題を決着させた.〔参〕文藝春秋1986年11月号.
2.もし、これが、藤尾元文部大臣の発言だとしたら、その前にある「中曽根の靖国参拝もあったが」という文が浮いてしまう。これは、昭和天皇が中曽根元総理の靖国参拝や藤尾元文部大臣の日韓併合を正当化した発言のその後の展開を気にされているのである。
3.又、これが藤尾の発言だったら、自分を藤尾と呼ぶのはおかしいのではないか?「=奥野は藤尾と違うと思うがバランス感覚の事と思う、単純な復古ではないとも。」
この追加文の画像がどこから来たものかわからないが、もし、これが本物で、天皇のお言葉であったなら、この追加文によって天皇がA級戦犯合祀に不快感を抱かれたのと同じように、中曽根元総理の靖国参拝や藤尾元文相の発言も快く思われなかったということがより明確にわかる貴重なメモとなっている。今、昭和天皇が生きていらっしゃったら、小泉の靖国参拝を嘆き悲しまれるのは確かであり、昭和天皇のお心を受け継がれる現在の天皇も同じ気持ちでいらっしゃるに違いない。それでもなお、安倍は総理になったら、来年の8月15日に靖国参拝するつもりか?尤もその前に、参院選があり、そこで失脚する可能性が高いので、そんな心配はいらないかもしれないが・・・・。
天皇を崇拝している方々にとっては不謹慎に聞こえるかもしれないが、私個人としては、A級戦犯が使えた君主であり、一貫して帝國陸海軍最高司令官であり続けた昭和天皇にも戦争責任はあると信じているので、A級戦犯の合祀を天皇が不快に思われているというこのメモが本物であろうが、あるまいが、それほど大した意味はないと思っている。問題は、日本の国民が靖国問題についてほとんど無知であるということだ。それを知らなければ、なぜ首相が参拝することが問題になるのかも理解できないし、それに対する自分の意見を持つこともできないだろう。
まずは、靖国神社が政府によって戦争を正当化するためにつくられたものだということを理解しなくてはならない。
『靖国問題』高橋哲哉(2005) ちくま新書より
感情の錬金術
先に、戦死者を出した遺族の感情は、ただの人間としてのかぎりでは悲しみでしかありえないだろう、と述べた。ところが、その悲しみが国家的儀式を経ることによって、一転して喜びに転化してしまうのだ。悲しみから喜びへ。不幸から幸福へ。まるで錬金術によるかのように、「遺族感情」が180度逆のものに変わってしまうのである。
(中略)
決定的に重要なのは、遺族が感涙にむせんで家族の戦死を喜ぶようになり、それに共感した一般国民は、戦争となれば天皇と国家のために死ぬことを自ら希望するようになるだろう、という点である。遺族の不満をなだめ、家族を戦争に動員した国家に間違っても不満の矛先が向かないようにしなければならないし、何よりも、戦死者が顕彰され、遺族がそれを喜ぶことによって、他の国民が自ら進んで国家のために命を捧げようと希望することになることが必要なのだ。「多少の費用は惜しむにたらず」。すなわち、莫大な国費を投入しても、全国各地から遺族を東京に招待し、「お国」と「お天子様」とがいかにありがたい存在であるかを知らしめ、最高の「感激」を持って地元に帰るようにしなければならない。
これこそ、靖国信仰を成立させる「感情の錬金術」にほかならない。
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このように、1895年12月には、盛大な戦死者のための大祭典が靖国神社で行われ、その効果もあって、当時の人々に、お国のために死ぬことや天皇のために家族を捧げることを聖なる行為と信じさせることに成功したのである。つまり、靖国神社は戦死者を顕彰する儀式を行うことによって徴兵を嫌う人々の態度を変えさせたり、家族の戦死を悲しみから栄光に変える錬金術の役割も負っていた。まさに当時は、日本の軍国国家の象徴であったし、今でもそうあり続けているのである。そんな靖国神社を国の首相が参拝することが正しいことかどうかもう一度よく考えてみて欲しい。
2006.07.21 (Fri)
靖国A級戦犯合祀問題:靖国参拝は首相を辞任して行け!

少し前にKojitakenさんが 「靖国神社と昭和天皇」という記事の中で問題提起していた「昭和天皇が激怒していたA級戦犯合祀」について、天皇のメモが宮内庁で見つかったことがわかったそうで、「昭和天皇が不快感 靖国神社のA級戦犯合祀」という東京新聞の記事(7月20日付け)にNikkei Netより詳しく元宮内庁長官、富田朝彦氏(故人)のメモ(上写真)と共に取り上げられている。
A級戦犯の合祀問題をより深く歴史的に検証したいなら、『Nozumu.net』の「A級戦犯合祀は自らやめるべきである」(7月20日改)がお薦め。靖国神社の起源から始まってA級戦犯合祀がもたらした代償に至るまでとても詳しく書かれている。

これに対して、昭和天皇メモ:小泉首相「靖国参拝に影響ありません」という毎日新聞の記事によると、語彙力が少ないせいか、小泉は昭和天皇が靖国参拝しなかったことも自分が参拝することもただ「心の問題だから」で片付けており、インタビュアーやこの記事を読む人にこのふてくされた写真と共に不快感を与えている。こういったときこそ、国民に対して、天皇のメモがなぜ靖国参拝に影響がないのか説明するべきだろう。
又、小泉は、この記事のコメントの中で、
>一宗教法人に対して、あああるべきだ、こうあるべきだと政府としては言わないほうがいい。議論は結構です。
という発言によって、靖国神社が宗教法人であることを認めている。自分では私人として訪問といっているわりに、公用車や秘書を伴って派手に靖国神社を訪問していることから、首相として公式に訪問しているに等しい。つまり「宗教法人」である靖国が国と特別の関係に入ることを禁じる日本国憲法第20条の「政教分離」規定に対する違憲行為をどうどうと行っていることになる。
さらに、少し前に『tsurezure-daiary』のおこじょさんに紹介していただいたAsahiの英字新聞の記事"POINT OF VIEW/ Paul Giarra; Shrine visits become America's problem, too"には、ABCやTBSで取り上げられたハイド氏の発言が言及されており、小泉の靖国参拝がアメリカにとっても大きな問題になっていることが書かれている。
小泉に右へ倣えと言う感じで、この件についてコメントを求められても、逃げるばかりで全く自分の考えを国民に伝えようとしない安倍信三は、卑怯この上ない。こんなときこそはっきりと自分の意見を言うのが次期首相候補たるものではないか?総裁選に靖国は関係ないと言っているわりに小泉も安倍もこの問題をあまり語ろうとせず、「心の問題」で逃げ切ろうというその態度は情けなさ過ぎる。安倍も小泉もそんなに靖国参拝がしたいのなら、、Kamayanが訴えているように、辞職してから参拝してくれ!
支離滅裂なことを語り始めた小泉首相 『森田実の言わねばならぬ』(2006.6.29)が私や首相の靖国参拝に反対する人々の言いたいことを代弁してくれている。
それにしても、こんな事件が起こるなんて、ただの脅しだろうけど、大事にいたらなかったからよかったようなものの、暴力で言論の自由を封鎖するような手段は厳重に注意されなければならない。
日経新聞本社に火炎瓶 昭和天皇発言報道関連か [ 07月21日 10時10分 ]
21日午前2時15分ごろ、東京都千代田区大手町、日本経済新聞社東京本社の社員通用口前に、ミニバイクに乗った男が火炎瓶のようなものを投げ付けた。建物に被害はなく、けが人もなかった。
日経新聞は20日付朝刊で、昭和天皇が靖国神社のA級戦犯合祀(ごうし)に不快感を表す発言をしていたことを示すメモの存在について報道。警視庁は報道との関連も捜査する。
調べでは、現場には瓶の破片やガソリンのような液体が散乱していた。ガソリンを入れた瓶の口に布を差し込み、火を付けて投げたとみられる。
これから、この天皇のメモの件は、首相による靖国参拝やA級戦犯を分祀できるかどうかの議論に発展していくだろうと思う。次回はそのことについて書いてみたい。