2011.12.14 (Wed)
『家政婦のミタ』と『南極大陸』の視聴率に見る原発事故の影響
『やまとなでしこ』では、華やかで、いつも笑いの耐えないFA(フライト・アテンダンス)の役をこなしていた松嶋菜々子だが、今、話題の高視聴率ドラマ『家政婦のミタ』では、全く逆のニコリともしない家政婦という実に地味なキャラクターを演じている。そのギャップが新鮮でついついはまってしまう人も多いだろう。
朝日によれば、11月30日に放送された『家政婦のミタ』第8話は、今年のドラマで最高の視聴率29.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録したという。そして、そのキャラクターがどのようにしてつくられたのかを、脚本の遊川和彦(56)や日本テレビの大平太プロデューサー(46)にインタビューしている。
笑わぬ菜々子、役者魂ミタ 「家政婦のミタ」視聴率29.6%に
確かに父親の不倫が原因で母親が自殺して後に残された阿須田家の子供たちは、福島第一原発事故で家族がばらばらになり、放射線被曝の不安と悲しみのどん底にいる福島の子供たちの気持ちを反映しており、テレビ評論家の丸山タケシ氏は、それが、「夢も希望もない、いまの家族を取り巻くグレーな世界観のリアルさと相まって、高視聴率につながっている」と語っている。
一方のキムタクが主人公の『南極大陸』は、TBS開局60周年大型企画で、1本約1億円をかけて製作されたにもかかわらず、視聴率も第1話は、20%近くまであがったが、その後は、右肩下がりで、現在は、10%台を急降下中だという。
いまから56年前の話である上に、日本の戦後という時代を終わらせるために南極探検に行くという夢もぼやけているし、現実離れしている。放射能被曝に悩んでいる日本国民にとって、国家予算を5億円もかけて行われる南極探検などどうでもいいことなのだ。又、キムタクの演技があいかわらずワンパターンなのに加え、ドラマの中で、「これからは、南極探検よりも原子力開発だ。」というせりふも、原発事故で被害を負った国民の心を逆なでする。
原子力村に支配されているテレビの人気がなくなり、お笑い番組が次々と消えてなくなる中、3000万円の製作費をかけて地味につくられた『家政婦のミタ』の各ストーリーのテーマは、今の日本人が同感でき、ついつい現実のつらさを忘れさせるほど、はまってしまう。原発事故後という時代に生きる人々の心の闇を繊細に反映しているからだ。
そして、何よりも、「家政婦のミタ」のテーマソングを歌っていたのが、例の反原発ソング「ずっとウソだった♪」を歌っていた斉藤和義氏だったのだ。
PV 「斉藤和義/やさしくなりたい」 by markun0816
『やまとなでしこ』が放送されたときは、バブル後とはいえ、まだ日本経済も潤っていたときであり、人々も浮かれていた。だから、そのときはそのときであのようなドラマの人気が高かった。
これからは、テレビ・ドラマも世の中の動きに合わせて、視聴者の気持ちを繊細に読み取れるドラマだけが生き残れるのだろう。
海外に住んでいて『家政婦のミタ』をまだ見ていない方や、見逃してしまった部分がある方へ、時間のあるときにぜひ全編見られますように。ただし、見始めると、はまるので、要注意。
朝日によれば、11月30日に放送された『家政婦のミタ』第8話は、今年のドラマで最高の視聴率29.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録したという。そして、そのキャラクターがどのようにしてつくられたのかを、脚本の遊川和彦(56)や日本テレビの大平太プロデューサー(46)にインタビューしている。
笑わぬ菜々子、役者魂ミタ 「家政婦のミタ」視聴率29.6%に
確かに父親の不倫が原因で母親が自殺して後に残された阿須田家の子供たちは、福島第一原発事故で家族がばらばらになり、放射線被曝の不安と悲しみのどん底にいる福島の子供たちの気持ちを反映しており、テレビ評論家の丸山タケシ氏は、それが、「夢も希望もない、いまの家族を取り巻くグレーな世界観のリアルさと相まって、高視聴率につながっている」と語っている。
一方のキムタクが主人公の『南極大陸』は、TBS開局60周年大型企画で、1本約1億円をかけて製作されたにもかかわらず、視聴率も第1話は、20%近くまであがったが、その後は、右肩下がりで、現在は、10%台を急降下中だという。
いまから56年前の話である上に、日本の戦後という時代を終わらせるために南極探検に行くという夢もぼやけているし、現実離れしている。放射能被曝に悩んでいる日本国民にとって、国家予算を5億円もかけて行われる南極探検などどうでもいいことなのだ。又、キムタクの演技があいかわらずワンパターンなのに加え、ドラマの中で、「これからは、南極探検よりも原子力開発だ。」というせりふも、原発事故で被害を負った国民の心を逆なでする。
原子力村に支配されているテレビの人気がなくなり、お笑い番組が次々と消えてなくなる中、3000万円の製作費をかけて地味につくられた『家政婦のミタ』の各ストーリーのテーマは、今の日本人が同感でき、ついつい現実のつらさを忘れさせるほど、はまってしまう。原発事故後という時代に生きる人々の心の闇を繊細に反映しているからだ。
そして、何よりも、「家政婦のミタ」のテーマソングを歌っていたのが、例の反原発ソング「ずっとウソだった♪」を歌っていた斉藤和義氏だったのだ。
PV 「斉藤和義/やさしくなりたい」 by markun0816
『やまとなでしこ』が放送されたときは、バブル後とはいえ、まだ日本経済も潤っていたときであり、人々も浮かれていた。だから、そのときはそのときであのようなドラマの人気が高かった。
これからは、テレビ・ドラマも世の中の動きに合わせて、視聴者の気持ちを繊細に読み取れるドラマだけが生き残れるのだろう。
海外に住んでいて『家政婦のミタ』をまだ見ていない方や、見逃してしまった部分がある方へ、時間のあるときにぜひ全編見られますように。ただし、見始めると、はまるので、要注意。
Tags : 家政婦のミタ |
南極大陸 |
視聴率 |
製作費 |
松嶋菜々子 |
キムタク |
福島第一原発事故 |
影響 |
斉藤和義 |
テーマソング |
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