2012.02.29 (Wed)
郡山4歳児と7歳児に『甲状腺がん』の疑い報道の真偽

画像:『togetter』週刊文春:2012年3月1日号 記事に関する
週刊文春編集部などによる自由報道協会主催会見・反響ほかより
「週刊文春」(3月1日号)の巻頭特集「衝撃スクープ 郡山4歳児と7歳児に『甲状腺がん』の疑い!」という記事が出るや否や、取材源にあたる甲状腺のエコー検査をした札幌厚別通内科の杉澤医師が記事には事実誤認があるとして抗議会見を行った。
この会見に対して、おしどりマコ氏と「週刊文春」編集部は緊急会見を2月25日に行い、事実誤認があるという杉澤医師の発言を否定した。
それによると、杉澤医師は、2次検査では結節(かたまり)が陽性だったことから、「甲状腺がんの疑い」は事実誤認としているが、「甲状腺がんの疑い」というのは事実であること。チェルノブイリでも初期にみられた結節は、ほとんどが陽性であって、それが、5年ほど経て小児甲状腺がんに進行したといわれている。
又、山下俊一福島医大副学長が『検査するな』とメールをしたことも事実ではないことが指摘されているが、山下氏からのメールで検査を控えるようにと言われたのは事実。
唯一、誤認があったのは、エコー診断を受けた人数で、子供と大人の数が逆になっていたこと。実際は、親子309名、子供170名、大人139名。
このおしどりマコ氏と「週刊文春」編集部の会見で質問もしていた上杉隆氏だが、自分が司会を担当するニュースの深層におしどりマコ・ケンさんを招き、さらに詳しい情報を聞いた。
2012.2.28(火)ニュースの深層「私たちの未来と脱原発を考える」1/3
藤波心ちゃんもゲスト出演しており、山下氏が検査するなというメールを送ったことを聞き、全ての子供に検査を受けさせて欲しいと訴えた。抗議会見でも、杉澤医師も言っていたが、しこりが良性だったといって安心するだけではなく、継続的にフォローしていくことが必要と言っており、誰もが無料で甲状腺のエコー検診を受けられるよな体制づくりを国が責任をもってやることが大切だと述べている。
これら、全てから判断すると、おしどりマコ氏が執筆された「週刊文春」の記事は、100%真実であり、杉澤医師が抗議会見をしたと言っても、結節が良性でも、引き続き検診が必要であることやエコー検診を国がサポートする体制作りの必要性を訴えたのであり、記事を前面否定したわけではないことがわかる。
杉澤医師は、メディアが患者の心理なども省みずにやたらと騒がれるのを嫌っているため、おしどりマコ氏が「週刊文集」の記者とは知らずに情報を与えてしまったことを快く思っていない様子だった。しかし、週刊誌の取材ということを言ってしまえば、杉澤医師もここまで話してくれなかっただろうと思うので、おしどりマコ氏は、真の情報を得るためにうまく立ち回ったと思う。
それにしても、検査をするなとメールを送った山下俊一は、ただ情報が公開されることを恐れているだけで、住民の健康のことは全く考えていないようだ。なぜこのような人物が福島医大副学長でいられるのか理解に苦しむ。こんなヤツを福島に送った政府はいったい何を考えているのだろうか。
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2011.11.23 (Wed)
無理です山下さん、やめてください福島県
ミスター100ミリシーベルトに同意するところも書きながら、ズバリ山下氏が失敗した理由を指摘している。
無理です山下さん、やめてください福島県 (その1/2)
配信日:2011-11-21
○クライシス・コミュニケーション
長崎大学教授の山下俊一氏は、福島県に招聘され、「火中の栗を拾う覚悟で」放射線健康リスク管理アドバイザーに就任しました。放射線に対する過剰な恐怖がもたらす害を心配したためだろうと思います。放射能トラウマ(文献1)が、子供たちにまで影響を与えているらしいことを考えると、先見の明があったと言わざるをえません。このためでしょう、山下氏は住民を対象に講演を繰り返しました。m3の橋本佳子編集長によるインタビューで以下のように答えています。
「最初は危機管理、クライシス・コミュニケーションの立場からお話していたのですが、4月に文科省から『数字』が出た以降は、リスク・コミュニケーションに変わりました。」
「クライシス・コミュニケーションの基本は、白黒はっきりしたことを言うこと。危ないか、危なくないか。皆をパニックにしないことが重要だからです。しかし、リスク・コミュニケーションの場合は、分からないところ、グレーゾーンの議論が出てきます。」
クライシス・コミュニケーションとリスク・コミュニケーションで、説明内容が異なるとすれば、同一人格が両者を担当すると、信用されなくなります。
さらに、このようなコミュニケーションの分類を提案したのが、外国の学者だとすれば、信用するのは馬鹿げています。第一に、原発事故のような修羅場は、想像力でカバーできるものではありません。原発事故によるクライシスへの対応は、選挙の洗礼を経ていない学者には無理というものです。第二に、納得の仕方は歴史と文化に根ざしているので、背景となる文化ごとに適切な方法が異なります。
ネット上には、山下氏の講演での発言として、以下のような文言が挙げられています。発言の映像もネット上で見ることができます。
「これからは福島。フクシマ、フクシマ、フクシマ。福島は何もしないで有名になった。広島、長崎は敗けた。」
「放射線の影響は、にこにこ笑っている人には来ません。くよくよしている人に来ます。」
「私は安全を皆さんに言っていない。安心を語っている。」
映像を見て、驚きました。ジョークがジョークになっていません。聴衆がいら立っているのが見てとれました。病院では、医師にひどいことを言われたという投書は、珍しいものではありません。確かに問題のある医師もいます。しかし、患者・家族は追い詰められた状況にあるので、人によっては、医師のささいな言葉で傷つきます。通常の対話では問題にならないことで、大騒ぎになることがあります。このあたりの機微に疎いと、普通の社会人では問題視されないレベルでも、研修医は要注意扱いになります。臨床医として経験を重ねるうちに、対話能力は向上します。慎重に言葉を選びながら、相手の反応を確認しつつ対話を進めるようになります。山下氏は臨床医としての経験があったのでしょうか。
山下氏は、住民に安心を与えることには失敗したと思います。一部の住民に嫌われ、解任の署名運動が起こりました。
○リスクの相対化
私は、被ばくについて、大きな健康被害はないだろうという、山下氏の発言はたぶん正しいと思っています。ただし、実際の被ばくの状況を再現できるような完璧な情報があるわけではないので、注意深い監視が必要です。私は、被ばく医療については素人ですが、素人による大きな枠組みの科学的議論は有用だと思っています。東日本大震災と原発事故は、プロがあてにならないことを示しましたから。
現時点の外部被ばくについては、南相馬市立総合病院の玄関先で、空間線量は毎時0.2から0.3マイクロシーベルト程度です。0.4と多めに見積もって、24時間、365日、屋外で生活したとしても、年間3.5ミリシーベルトにしかなりません。南相馬市立総合病院の及川友好医師や東大医科研の坪倉正治医師たちによるホールボディーカウンターのデータでは、内部被ばくは、チェルノブイリよりはるかに軽度でした。南相馬で4月以後活動している坪倉医師に内部被ばくは生じておりません。今後、一定以上に汚染された食物を摂取しないという条件が守られれば、健康被害が生じる可能性は低いだろうと思います。
そもそも、環境中には自然放射線として、地殻と宇宙線による外部被ばく、放射性カリウムなどによる内部被ばくがあります。宇宙ステーションに滞在すれば1日、1ミリシーベルトの線量を被ばくします。加えて、日本人は、医療被ばくが多いと言われています。放射線医学総合研究所によると、CT検査1回あたりの被ばく線量は、5~30ミリシーベルトです。それでも、検出できるほどの健康被害が生じるとは思われていません。CTは有用ですが、病変を実際に描出するより、念のために撮影されることがはるかに多いのが現実です。CT検査による被ばくを少なくしようという意見はあるものの、CTによる具体的被害が問題になったことはありません。
山下氏は、ミスター100ミリシーベルトと呼ばれました。過去に、年間100ミリシーベルトの被ばくで、大きな被害が知られていないこともその通りです。放射線被ばくに安全域がなく、少しでも被ばくすると、その分、がんが発生するという仮説があります。これが正しければ、年間、1ミリシーベルトでも100ミリシーベルトでも、がんの発生は線量に応じて増えるはずです。外出しても、飛行機に乗っても、がんの発生が増えることになります。そもそも、日本人の30%が、がんで亡くなっています。死亡原因にならないがんも多数あります。前立腺がん以外の病気で死亡した男性の前立腺を細かく調べると、高率に前立腺がんが見つかります。80歳以上の男性では、50%以上に前立腺がんが認められます。被ばくによるがんの発生の増加があったとしても、100ミリシーベルト程度なら、増加幅に比べて、普通の日本人のがんの発生率が大きすぎるので、統計学的に差を検出するのは難しいと思います。実際、たばこに比べると、増加幅は、はるかに少ないはずです。
私は100ミリシーベルトまで平気で浴びなさいと主張しているわけではありません。被ばく線量が少なければ少ないほど望ましいのは間違いありません。それでも、被ばくを恐れて、シェルターにこもりっきりになれば、社会との付き合いがなくなり、経済的に破綻します。社会的孤立や貧困は健康をひどく損ねます。子供の将来にも大きな影響を与えます。健康を損ねて病院に行けば、医療被ばくを増やします。どこまで犠牲を払って対応するのか、リスクを相対化して考える必要があります。
○安心を伝えるのが善か
3月12日、原子力保安院の記者会見が、かえって国民の疑心暗鬼を煽るものだと思ったので、知人の与党幹部と経産省の幹部に以下のようなメールを送りました。
「原子力保安院の記者会見は危機管理になっていません。半径20キロ以内を避難させる理由が説明されていません。官僚が重要なことを隠しているというメッセージになっています。」
「最悪の事態を覚悟していること、日本に降りかかった難局に責任者としてあらゆる対応をとる覚悟であること、日本人の難局に当たっての能力を信頼していること、協力をお願いすることなどを、菅総理自ら率直に国民に語るべきだと思います。」
経産省の幹部からは以下のような返事がきました。官邸にも私と同じ考えがあったことをうかがわせます。
「夜以降の発表は、総理、官房長官、経産大臣が、納得がいくまで、話を聞いて、彼らが発表することにしました。」
「最悪の事態を覚悟して」というところには、異論があろうかと思います。私は、当時、再臨界になるのではないかと心配していました。もし、東京の住民が先を争って避難する事態になれば、大量の餓死者がでると推測していました。再臨界になった時の政府のとるべき方針も考えていました。素人の思いつきレベルを超えるものではありませんが、「被ばくのリスクと、東京からの脱出のリスクを比較して、東京で屋内にとどまる方が、リスクが少ないと説得する」というのが結論でした。実際には、被ばく量の予測、避難計画、水や食糧の生産・輸送能力の推計などから、避難した場合としない場合の被害を比較検討しなければなりません。再臨界が発生した場合の対応を考えると、その前から「最悪の事態を覚悟して」という文言を流しておくことは悪いことではないと思っていました。
私は、医師としての長い生活で、絶望的な状況にある人たちと対話を繰り返してきました。たいていの日本人は危機的状況に冷静に対応できると思っています。下手に安心を与えようとすると、嘘や隠蔽が避けられません。かえって、不信の原因になり、以後の対応がとりにくくなります。
アウシュビッツを描いたフランクルの『夜と霧』を読んで、最も印象に残ったのは、絶望的な状況の中で希望を持つと、それがかなえられなかったときに、人格が破壊されることを述べた部分です。私は学生時代、山岳部のリーダーだったのですが、冬山では、ばてたときは余裕のある間にギブアップするように言っていました。もうちょっとだから頑張れというのは禁句です。先の見通しなしに、本当に頑張ると、ひどく危険なことになりかねません。
危機的状況で、安心だと説明して励ますことが、必ずしも、有用だとは思いません。自分の善性をアピールしたいという利己的願望に歪められた言説だと思います。
○山下俊一氏の勘違い
山下俊一氏の最大の問題というか、勘違いは、安心を与えようとしたことです。これは、大それた行動で、宗教的と言ってよいかもしれません。自分では、科学者としての発言だとしていますが、「安心」を口にするときは科学的ではありませんでした。
中西準子氏は、中央公論2005年3月号の「『安心・安全』の氾濫が作り出す不安」で以下のように、安心を与えることの問題を指摘しています。
安心という心の状態は、システムで得られるものではないし、また、通常は、生きている間にはなかなか得られない。もし、得られるとすれば、個人が自己との闘いの末、ある種の欲求を捨てることと引き換えに得られるもののような気がする。その安心を与えるのは国や企業であるとなれば、だれもが自己との闘いをやめてしまい、結果として不安が大きくなる。私は、当初、安心というのは飾り言葉のように捉えていて、それを本気で受け取る人がいるとは思っていなかった。ところが、企業の経営者が年頭挨拶で「これからは、企業は安心を与えることを目標に」と述べるのを耳にし、テレビのキャスターが、「安全と言えるかもしれないが、国民は安心感をもっていない、そこが問題だ」というような発言をし、「老後は不安ですか?」というアンケートをとって、六割もの人が不安と答えた、国の政策はどうなっているのかと怒るレポーターを見ていると、不安との闘いという個人の心の課題が、いつの間にか国や企業の責任に代わりつつあることを実感するのである。これではかえって不安、不安という人が増える。
アーノルド・トインビーはギリシャ・ローマ世界のプロレタリアの宗教が、次の文明であるヨーロッパ世界の世界宗教になったことに注目します。これが、他の文明世界にも通じる一般的な事象だとして、壮大なスケールの文明交代物語『歴史の研究』を書きました。宗教がプロレタリアに始まるというのは正しいと思います。プロレタリアが宗教でまとまろうとすると、弾圧されますが、弾圧が宗教を強くします。宗教が大きな影響力を持つための最も重要な要素は受難です。イエス・キリストが磔刑にならなかったら、今のキリスト教はなかったと思います。十字架はキリスト教のシンボルなのですから。
チベット動乱以前、チベットでは、厳格な鎖国下に、宗教に基づいた政治がおこなわれていました。最高権威者はダライ・ラマでした。河口慧海の文章を読む限り、統治権力としてのチベット仏教は問題が多かったと思います。チベット動乱、1959年の十四世ダライ・ラマのインドへの亡命という苦難を経て、宗教として磨かれました。
山下氏は、弾圧を受けず、民衆と苦しみを分かち合わず、しかも、宗教的カリスマ性がありません。にもかかわらず、安心を説きました。私が言うのだから信じなさい、ということでしょう。現代の日本で、安心しなさいと言って安心を与えようとしても無理です。できるのは、科学的データを体系的に提示し、リスクを相対化して分かりやすく比較検討することだけです。後は、個人の心の問題です。
かつて、日本人の常識であった無常観、すなわち、あらゆるものは変化していく、という考えは、安定が一時期のものにすぎないこと、手放しの安心があり得ないという事実を受け入れやすくします。変化を冷静に観察する態度に通じるものがあり有用です。
<文献>
1.小松秀樹:放射能トラウマ. MRIC by 医療ガバナンス学会 メールマガジン;
Vol.303, 2011年10月27日. http://medg.jp/mt/2011/10/vol303.html#more
(その2/2に続く)
亀田総合病院
小松秀樹
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2011.10.19 (Wed)
副島隆彦氏は日本版ヒットラーだったのか!
原発事故が起こってから、いきなり「自分は死ぬ」などと感情的なブログを書いたと思ったら、福島までガイガーカウンターを持っていって、放射能が低いとブログに書いていた。まさか、こんな演説までしていたのにはただただ驚愕するばかりだ。それにしても、この演説、大声で話しているのに、なぜか話の内容が伝わってこない。なぜだろう。どんな人たちが拍手していたのだろう。
これが、「小沢一郎と日本の新しい政治」と題された催しでの演説だったので、小沢氏と全く逆の思考を持ったこのようなゲストを招いてしまったせいで、小沢氏が勘違いされたら気の毒だ。
さらに、副島氏が管理している『重たい掲示板』にも、下記のような驚くべき記述があったので、紹介したい。
専門家でもない、 1.武田邦彦 と 2.広瀬隆 3.小出裕章(こいでひろあき) と4.児玉龍彦 の 放射能コワイコワイの国民扇動者 4人組 を、私は、これからもずっと糾弾し続ける。 彼らの言論のおかしさと、愚劣さと、低劣さが、満天下に認められ、大きく敗北する時まで、ずっと、私の方も言論で闘いつづける。
だから、私の同志は、放射医学者たちである。その代表は、やはり、 山下俊一(やましたしゅんいち)長崎大学教授(現在は、福島県立医大副学長も兼任している) である。
2011.09.02 (Fri)
山下俊一が「朝日がん大賞」を受賞したことに怒りを覚える

命をかけて行う仕事なのに、日給がたったの1万4千円だとか。時給の間違いじゃないのかと思った。1日3時間の仕事なんだから、最低5万円は支払われるべき。東電が作業員を斡旋してくれる業者に払うのは、1日10万円だとか。その8割以上がピンはねされてしまうっていうんだから、とんでもない話だ。
そして、Peace_Communityをとおして、はなゆーさんが投稿してくださった8月24日付けAJW(Asahi Japan Watch)の東京電力の社員寮の管理人さんの話の記事は必読だ。
翻訳「東電社員寮の管理人夫妻が原発の真実を語った」
http://togetter.com/li/182347
約20年間、福島の東京電力社員寮で管理人を努める夫妻は、社員寮の入居者達を自分の子供のようだと言う。だから、原発作業員が現場で放射能漏れによって被爆していて将来ガンになるだろうから、絶対結婚しないという事を聞くと、言葉を失ってしまう。
311の大地震が起きた時、夫妻は、福島第一原発から5kmに位置する東電の独身寮の管理人をしていた。夫妻は現在、原発から800km程離れた愛媛県の公共住宅に避難している。その距離にも関わらず、独身寮入居者が電話で彼らの胸の内を打ち明けるという。
ある入寮者は「もう規定被ばく量に行ったよ」と言った。別の入寮者は、「原発事故の処理をしなきゃなんないけど、あるいみ、モルモットみたいだ」といい、62歳の夫人は時々彼らに何と声をかければ良いのか分からなくなる。「事態が収束したら、それがいつか彼らの強みになる事だけを考えたい」
かつて、夫人は完全に言葉を失った事があった。入寮者が「僕はいつガンが発症するかわからないから、結婚相談所に行ってもきっと一生結婚出来ないと思う。」と。そんな時、「あなたがどれだけ頑張っているかみんなわかっているよ」と声をかけるしか出来ないと言う。
夫妻は涙を浮かべながら、未来のある若者が気の毒だ、と言った。夫妻の勤める会社は、東電関連会社なので、夫妻は福島第一原発周辺の社員寮で管理人を勤めた。業務は、寮の管理業務とゴミ処理。入寮者の問題を聞いたり、忘年会を主催したりもした。「彼らは皆、自分の子供と同じ」と夫妻は言う。
311の地震が起きた時、独身寮の階段が壊れた。「原発に残ってれば良かった」と入寮者が言った。ご主人は「東電や政府関係者からの説明によれば、原子炉建屋の方が安全なきがした」と言う。災害時の避難先は最寄りの中学だが、夫妻はTVが映らなかったので被害の規模が分からなかった。
夫妻は独身寮に残り、入寮者の帰宅に備えた。しかし、3/11の夜7時頃、「安全な所へ避難し、窓を閉めて下さい」と公共放送が流れた。その時夫妻は、原発から放射能が漏れたかもしれないと、一番に思った。翌日、公共放送から住民に西へ避難するよう指示が出た。
ある入寮者が原発から寮に帰って来て「すぐ避難した方がいい。(原発)施設正門前の放射線量が異常に上がっている」と彼らに言った。彼らは最終的に、車で30km先の避難所に行った。その夜TVで、夫妻が車で避難している最中に水素爆発が起きたと報道された。
夫妻は恐怖を感じるより先に、入寮者達の顔が目に浮かんだと言う。東電女性社員と避難所で合流した時に、夫妻の顔を見るなり、彼女は泣き崩れた。彼女は、原発で先輩が津波に流されたと言った。その社員は、タービン建屋で破損を確認している時に津波に襲われた。
その女性は、腕をのばして先輩に「早くこっちに来て下さい」と叫んだが、先輩は間に合わなかった。夫人は涙を拭きながら、「現場作業員は、頑張っています。私達に逃げろと言った入寮者は、3/11非番であったにも拘らず「自分の交代が間に合わないから」と言って原発に向かった」と語った。
「入寮者とエリート高官が同罪とは思わない。彼らこそ内情と向き合うべきだ」と夫人は付け加えた。夫妻は福島県からの補助金と、老後のための貯蓄で生活している。夫妻はこの先どれ位、避難が続くが想像付かないそうだが、政府関係者から「時が来れば帰れますよ」とは言われたくないそうだ。
原発事故から25年経た今でも、チェルノブイリにはまだ立入り禁止地区がある。夫人は、「政府は、楽観的な事を言って被災者に将来の希望を持たせたり、原発作業員にプライドをもって働かせるのを辞めるべきだ」と結んだ。
原文:「Couple over TEPCO dorms told reality at nuke plant」
http://ajw.asahi.com/article/0311disaster/fukushima/AJ201108176599
August 24, 2011
By TERU OKUMURA / Staff Writer
上の記事は、とても感動させられる記事だけど、朝日への国民の怒りを静めるためのガス抜き記事に違いない。つい最近、朝日新聞は、年間100ミリシーベルト被曝しても大丈夫とのたまった悪名高き山下俊一教授に「朝日がん大賞」を受賞させて国民から袋叩きにあっている。最初に山下教授ががん大賞を受賞したと聞いたときは、がんを広める人間のがんに贈られる賞かと思った。
実際、朝日がん大賞とは、日本対がん協会が贈る協会賞の特別賞として、朝日新聞社の協力で創設されたもの。財団法人日本対がん協会は、朝日新聞社の創立80周年の記念事業であり、朝日新聞社が協会の活動をバックアップしている。朝日がん大賞の選考委員には、上田俊英・朝日新聞科学医療エディターも名を連ねている。山下教授の表彰は、もうすでに今日、9月2日に鹿児島市で開かれる「がん征圧全国大会」で行われた。
公益財団法人「日本対がん協会」のHPより
朝日がん大賞は、将来性のある研究や活動等を対象に贈るもので、平成13年(2001年)度から朝日新聞社の協力を得て創設しました。日本対がん協会賞の特別賞として、副賞100万円が贈られます。
【朝日がん大賞】
福島県立医科大学副学長
山下俊一(やました しゅんいち)59歳
1990年に長崎大学医学部教授に就任し、被爆地・長崎で放射線と甲状腺がんの臨床と基礎研究に携わるなか、1991年以降はチェルノブイリ原発事故後の学童検診を現地で主導。約20万人に及ぶ甲状腺検診から、放射性ヨウ素内部被曝による小児甲状腺がんの激増を科学的に明らかにすると同時に、早期発見と早期治療体制の確立に尽力した。以後、約20年にわたり、海外のヒバクシャを対象に医療支援活動や分子疫学調査を実施している。特に、放射線と健康リスクの最前線でのグローバルな研究実績は、放射線被曝による刻印遺伝子群の探究と疾患関連遺伝子群の発見、そして海外ヒバクシャの集団コホートの登録・生体資料収集バンク構築などに結実し、今後の包括的がん研究と患者還元型研究の世界的なモデルと評価される。
また、今年7月からは福島県立医科大学副学長にも就任。3月に発生した東京電力福島第一原発事故の現地で、原爆医療とチェルノブイリの実績をもとに、低線量慢性放射線被曝による発がんリスクの評価と長期にわたる県民健康管理プロジェクトに携わり、健康リスクの有無を調査研究すると同時に、新たな放射線医療科学の世界拠点と体制づくりの中心的存在として、注目される。
朝日が主催する乳癌撲滅運動のピンクリボン募金やその他の癌募金が、結局はこのような御用学者への副賞として支払われるとしたら、とんでもないことだ。ちなみに「日本対がん協会」の理事長は、「朝日を普通の新聞にする」をスローガンに、企業寄り路線を進めて記者の士気を低下させ、武富士裏金(広告費)問題で引責辞任した朝日新聞元社長の箱島信一氏だそうだ。
菅元総理を熱烈に支持した朝日がよく社説で掲げる原発依存からの脱却。いくら山下氏は確かに菅内閣でも原子力災害専門家グループに属していたからといっても、安全デマをふりまく原子力村の御用学者への贈賞はかなり矛盾している。朝日新聞社の説明責任を追究しようではないか。
『レイバーネット』【憤怒!】続報・山下俊一への「朝日がん大賞」を撤回させよう!より
【抗議・要請先】
◆宝山ホール(鹿児島県文化センター):表彰式の会場
(FAX)099-223-2503 (TEL)099-223-4221
※「がん征圧大会(日本対がん協会)事務局に届けてください」と添えて、
「山下俊一への朝日がん大賞授賞を撤回してください」等のファックスを。
なるべく2日(金)午前9時の大会開場までに。
◆朝日新聞・お客さまオフィス
(FAX)03-5540-7618 (TEL)03-5540-7615
(E-mail)koho@asahi.com [9時~21時]
◆朝日新聞・科学医療グループ(上田俊英エディター=大賞選考委員!)
(FAX)03-3542-3217 (TEL)03-5541-8631
(E-mail)kagaku@asahi.com
◆朝日新聞・編集委員室(十数人の編集委員がいるそう。昼間がベター)
(FAX)03-3545-0205 (TEL)03-5541-8403
(「編集委員室」あてで、前回の番号に加えてこちらにもファックスを)
◆日本対がん協会(有楽町マリオン13階)
(FAX)03-5222-6700、03-3215-0522
(TEL)03-5218-4771
※「鹿児島に行っている担当者に即刻届けて!」と添えてファックスを。
◆朝日新聞「声」欄への投書を。
【投稿先】 朝日新聞「声」 ◆550字以内
(FAX)0570-013579
(FAX)03-3248-0355
(E-mail) tokyo-koe@asahi.com
※住所、氏名、年齢、性別、職業、電話番号(携帯電話も)を明記。 実名原則。他の投稿欄との二重投稿などはご遠慮を。
◆可能な団体・個人は、朝日や日本対がん協会に対する抗議文、質問状などをぜひ作って提出されてはと思います。また、それをメディアに広報してください。
◆ツイッターやフェイスブックなども活用して、ぜひこの問題とできることについて広めてください。
山下俊一トンデモ発言
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