2009.05.09 (Sat)
日本とカナダの出産・子育て事情比較

去年、男の子を出産したクリスティーナ・アギレラ(28歳)
『People』誌のMost Beautiful 2009(動画あり)にも選ばれている。
7日午後の衆院予算委員会で、日本で少子化が進んでいることについて民主党の西村智奈美議員から「社会全体が子育てに優しくないからでは。」と質問された麻生失言大魔王が、「わたしは43歳で結婚し、子どもは2人いる。最低限の義務は果たしたことになるのかもしれない。」と、まるで子供を生むことが日本国民の義務であるかような失言をし、あわてて撤回したことは、みなさま、すでにご存知かと思うけど、日本の子育ての環境が劣悪だから、子供を生むカップルも激減しているということを忘れて、ただ、生めよ増やせよと女性に子供を産む機械のように出産を煽る自民党っていったい何なの?と言いたくなっちゃう。
そこで、どうして、日本では、子育てしにくいのか。カナダと比較して考えてみた。
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2007.02.16 (Fri)
より現実的で具体的な少子化対策を
ところで、新聞に(後ほどリンク)柳沢厚生労働大臣の少子化政策はとても抽象的で全く具体的ではないという批判がでていた。やはり、彼の問題は厚生労働大臣でありながら、現実の状況を把握していないということだろう。JMMで柳沢発言をからめて、現実の少子化問題を語るすばらしい記事を見つけたので紹介したい。なぜかJMMのウェブサイトではvol.49は同著者が書いた「スシポリス」というコラムにリンクされていて、「少子化問題と大臣の発言」というコラムは見つからないので、ここに全文をコピペするけど、又、リンクされ直されたら、リンク表示にしようと思う。
そして、少し前に冥王星さんから少子化問題に疑問を抱く意見をコメント欄にいただいたので、紹介させていただく。
最後に今ちょっと出かけなくちゃならなくて時間がないので、後ほど、私の意見を少し書く予定。
From Kramer's Cafe in Washington DC Vol.49
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「少子化問題と大臣の発言」
日本では女性を「産む機械」と発言するような大臣がいると思えば「日本には人が多過ぎるから少子化で減るのはいい」といった初老の日本人元企業人の発言を耳にする度に、ある米国人大学教授が言うように少子化という現象は「日本人女性の保守的社会への抗議そのもの」に見えてくる。このまま少子化が進めば年金や社会保障制度が破綻してしまうというのだから、なりふり構わず取り組まなくてはならない問題であるはず。ところが、制度の抜本的改革や真の少子化対策がとられているように見えないのが現状だ。
出生率の低下に苦しむ韓国、日本、イタリアに共通するのは、専門家の間では急激な経済発展に価値観の変化が伴わなかった点だと言われている。よく引き合いにだされる北欧の国々は経済発展が緩やかであったため女性の社会進出と価値観の変化が徐々に起こり、差別的な法律の改正が行われ比較的リベラルな社会政策がとられている。
特に婚姻外子に対する社会的差別が撤廃されていることが重要だ。例えばフランスでも婚姻内と婚姻外で生まれた子の間には差別があったが、72年の民法改正で「同一の権利と義務を有する」と、財産相続その他で差別を受けないことが規定され、また78年の社会保障法では、同棲であっても被扶養者であれば婚姻の配偶者と同じように相手の疾病・出産保険の適用が受けられ、家族給付も認められた。そして、99年の市民連帯契約により、同性愛者カップルにも法律的婚姻者と法制上同等の権利を与えられた。ただ養子縁組は認められていないが、独身者には養子縁組の手続きは可能となっている。つまりどんな両親の下でも婚姻外子に対する社会的差別は基本的に排除されている。一方日本では戸籍上の記載など歴然とした差別が行われており、子どもの差別を定めた現在の日本の民法は、少なくとも94年、98年、2000年に国連の規約人権委員会から再三改めるよう勧告されている。
事実、出生率の高いヨーロッパの先進国では婚姻外子の出生数が高いことが知られている。2005年の出生率が1.94に増加したフランスでは婚姻外の男女間に生まれた子供は全体の半数近い48.3%。ヨーロッパで出生率が一番高いアイスランドでは、2005年の出生率は2.1で3分の2近くの子どもが婚姻外出産であるという。だからといって母子家庭というわけではなく、これらの子どもの大多数の両親は同居しており、子どもの父親と同居をしていない母親は14.4%のみだ。日本では政治家のセンセイ方が「家族的価値観が崩壊する」と夫婦別姓法案ですら否決したが、実例を見る限り家族的価値観が大きく崩壊する社会にはなっていないようだ。少子化よりも保守的価値観を守ることに重点をおく政策をとっているようでは、夫婦別姓を通す日本人カップルが海外で子供を産んでも日本に帰りたがらない理由もわかる気がする。
米国社会も未だ保守的な部分が多いが、社会的価値観や制度の点からも子供を持つ選択肢が多く用意されている。弁護士や専門職等のキャリア女性の多いワシントンでは、独身の女性で赤ちゃんを産むという話は珍しい話ではない。養子縁組も選択肢の一つだ。男性でも女性でもある程度キャリアを確立するには30代半ばとなり、経済的に安定したところで子供がほしいということになる。30代後半で出産した友人は産院部屋で一番若いと言われ苦笑していた。国際機関に勤める日本人女性の間では、結婚には興味がないけれど子供がほしいという話題で盛り上がる。実際、彼女らのライフスタイルや要望にこたえられる技術的な環境も整っている。
例えば経済的に余裕があれば精子バンクや卵子バンクがあり、歳をとってから子供がほしいカップルが受精卵を凍結保存する技術もある程度確立されている。自然分娩という選択肢もあるが、母体への負担が自然分娩に比べ格段に低い無痛分娩が主流であり専門医も充実している。日本のように高齢出産だからといって医者がリスクばかりを強調したり、病気の人だけが卵子保存できるといったように第三者が女性の選択肢を狭めたりしない。また米国では彼女らが働きながら子育てが可能なよう、例えば面倒を見てくれる乳母さんや乳児預かり所、メイドサービスや買い物サービスはもちろんのこと、キャリアトラックから一時的にシフトする選択肢もあり、育児をする女性が社会的ペナルティを感じない環境ができている。実際、乳母さんは米国のママの間では引っ張りだこだ。育児から解放されて自分の時間を楽しむことは自然であり、乳母さんやメードさんは移民の人が多く、米国の移民政策も密接にからんでいる。
こちらで働く日本人女性は日本で出産・育児することを躊躇する。つまり、社会的価値観や制度、権利保障といった観点からコストが高すぎるということだろう。電車に乗れば「ベビーカーが邪魔」や「うるさい」と言われ、乳母サービスが充実していない日本では子供を預けられる選択肢は限られ、夫の育児休業とは名ばかりの制度で実際には妻への育児・家事のしわよせが大きい。シングルマザーとなればどれだけ社会的抑圧を感じることだろう。香港人の若い友人夫婦宅ですらフィリピンからの住み込みの乳母さんを雇っていたのを見てびっくりしたことがある。米国でキャリアを確立したある日本人独身女性は日本では手続き上難しいので、米国で「アジアの孤児を養子にして育てたい」と言っていた。また、ある日本の大手通信会社に勤める技術職の友人は育児のための就業時間短縮勤務というだけで上司から昇進はないといわれたそうだ。泣き寝入りがほとんどの日本と違い米国だったら訴訟問題になるところだ。職場での差別と日々の育児の負担、辞めてしまったら同じ条件での再就職は難しいという情況で子供を「2人産め」というのは、多少経済的援助があったとしても躊躇するだろう。
つまり、大臣の発言にあるような固定観念にとらわれず政策の前提を広げて、必ずしも「若く」なくても「結婚」してなくても「実子」でなくても子供を持ちたい人の要望を実現でき、しかも子供に差別のない社会を実現できる制度の充実が必要なのではないだろうか。それには少なくとも移民政策から外国人労働者雇用環境改善、職場での権利保障、身近な司法サービス、医療倫理、差別的制度撤廃といった面からも包括的にアプローチする必要がある。また女性の社会進出がこれだけ進んでいる現在、仕事をもつ独身の女性でも子供がほしいという潜在的要望を妨げる制度は排除すべきで、女性が世帯主となっても社会的に支障がないよう現行制度も改善すべき点が多い。
同性愛カップルが多いワシントンではチェイニー副大統領の娘メリー・チェイニー氏が今年出産予定だと報道されている。米国でもいくつかの州でしか同性者の合法的婚姻を認めていない。法的には同性愛カップルには厳しいバージニア州では親権の問題が前回の選挙で更に厳しくなったばかり。パートナーとの婚姻を認められないメリー・チェイニー氏は独身で子供を産むことになるわけだが、娘の考えに理解を示すチェイニー副大統領は「6人目の孫ができてうれしい」と喜びを隠さない。つまり産む決断を最終的に下すのは女性であり、彼女達が産みたいときに産める環境を整備し、少しでも多くの選択肢を提供することが少子化政策のかぎとなるのではないだろうか。
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村上博美:ワシントンDCシンクタンク客員研究員
上智大学理工学部卒。経営学修士。国際関係論修士。ワシントンDCの戦略国際問題
研究所、経済戦略研究所等を経て2006年より現職。監訳書に「ならず者国家アメ
リカ」がある。
次に冥王星さんから少子化問題に疑問を抱く意見。
少子化問題にかかわり、柳沢氏の発言が波紋を呼び、国会そのものが紛糾してますが、自分は「世論の見解」とは自分は視座がまったく違います。
基本的に、少子化対策が政治的課題であることを当然だと思うことがまず理解できません。本義、人間的活動において本質的な自由である重要な人間の重要な生活問題に政治が深くかかわるべきなのでしょうか?
同時に、多くの人が見逃しているのが、少子化対策を施行してる国家は移民に関する政治決着を見ている国家です。日本は移民に関する問題では未だに議論が不十分ではないでしょうか?少子化対策も行い、移民を受け入れるという二面政策になることも危惧されます。(その必要性があるほど切迫するかもしれませんが)
もっとも深刻に危惧するのは、少子化対策で出生率が一時的に向上して、それまでの教育水準を維持できるのか?という問題です。長い低出生率の時代が続き、一部の世代の人口に偏った人口構成は必ず社会に歪みを作ります。そこまで考えて政治的な少子化対策が立案されているのでしょうか?そこまで考えて少子化対策を論じているでしょうか?
辛辣な分析ですが、少子化対策している国家はそもそも人口がもともと少ない国家が多く、恒常的に人口問題での対策を必要とされた国家です。しかし日本は人口1億を超えた大国です。そもそもそれらの国家と日本を比較の土壌に置くのが間違いではないでしょうか?
労働市場も構造的には決して新しい命を国内市場として迎えるだけの体力があるとは言い切れません。
少子化対策が当然だと思っている人にあえて諌言しますが、本当にその必要性があるのか?
その視座はあくまでも経済問題だけに収斂したものではないか?という懐疑性をもっていてほしい・・と思います。
コピペだけで長くなってしまったので、私の意見は次のブログに書くことに。
つづく
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2007.02.07 (Wed)
アホ炸裂の懲りない柳沢発言

↑雑談日記のSobaさんが急遽作って下さった「柳沢、お前の頭の中身はこれだろ」バナー
「柳沢厚労相:ぽろり、柳沢語 失言へ集中砲火 平身低頭、説明は回避--衆院予算委」(毎日新聞 2007年2月8日 東京朝刊)によると、衆院予算委員会集中審議で小宮山洋子氏(民主)に「再三おわびしているが、何が悪かったと思っているのか」問いただされても、ただ平謝りするだけで、何が悪かったか説明できなかった様子。こりゃひどい。こんなのが厚生労働省の大臣だとは・・・あまりにも情けなさ過ぎる。
国民が子供をたくさん産もうと思えるような豊かで幸せな暮らしができる生活環境や、女性やその配偶者が出産休暇をとっても後ろめたさを感じない、又、子供を産んだ後でも安心して仕事に復帰できる職場環境などを整えず、又、出産費用を政府が負担するなどの政策も提案せず、一人の女性を機械に例えて、ただ子供をたくさん産むように促すような発言をしたことが悪かったとなぜ言えないのか?ただ謝罪すればいいってもんじゃないだろう。
そして、新たな問題発言だけど、これがもし、大学での講演だったら、聞いている人は学生で、これから結婚する人ばかりだから、まだ許されるけど、記者会見での発言だから、いろいろな人が聞いているということもわきまえずに、こういった発言をするのは、全くアホ丸出しでふざけている。この柳沢のおっさんには、一昨日の記事で紹介した冷泉彰彦氏が言うとおり、大臣としてのひたむきさや真剣さがまったくないと同時に自分でも認めているようだが、国民との対話に必要な国語力がない。
又、この柳沢のおっさんは、今の世間の家族構成の実態が全く把握できてないと見える。「柳沢厚労相「結婚・子供2人、健全」発言に疑問の声」(Asahi.com 2007年02月06日17時23分)の中で心理学者コメントが紹介されていたが、まさにその通りだ。
心理学者の小倉千加子さんも「結婚したい、子供が2人以上ほしい、というのを健全とすること自体、古い道徳観からくる発言で、年齢的な限界を感じる」と言う。「こういう発言が止まらない人が厚生労働大臣をしているから、ピントのずれた政策が続き、少子化が止まらないのだと思う。
夫婦に子供2人の4人家族というのは昔は多かった家族構成のあり方だけど、今の現実は母子家庭や父子家庭、又、一緒に生活していても結婚していなかったり、子供がいなかったり、一人暮らしだったりする人が大半であるということを知っていたら、これらの人は健全ではないということで、小泉純一郎、安倍晋三、小池百合子など、みんなこれに当てはまるのだ。
『S氏の時事問題』の 「柳沢厚労相の「健全な状況」という問題発言」にフランスの出生率について面白い内容が書かれていた。フランスでは結婚率は減少しているのに、出生率が先進国の中でも急上昇しているそうだ。なぜなら、生まれる子供の半数が婚外子(日本でいう非嫡出子)だからだ。
そこで、カナダの状況をCanadian Statistics(カナダ統計)の "Family arrangements(家族構成)"という項目で調べてみた。
日本語訳:
家族を持つことはいまだにカナダの社会の中では普通だが、二、三十年前に比べると、家族のサイズはかなり縮小してきている。1961年には6人以上の家族構成が16%を占めていたが、2002年には6人以上の家族は2.6%まで減少。家族の平均的人数は1961年には3.9人であったが、2001年には3人にまで減っている。逆に一人暮らしの数は増加している。1961年には一人暮らしが9%だったが2001年までには26%まで増加した。
又、3世代が一緒に生活している家族はとても少なく、2001年では2%だけだった。子供のいる家族の75%は子供を養育するために両親とも働いている。注目するべきことは、カナダではシングル・ペアレント(英語ではlone parentsと言う) が徐々に増えており、加えて、その負担も大きい。2001年には、両親のそろった家庭の平均的な子供の数は1.1人であるのに大して、シングル・ペアレントの家庭の子供の数は1.5人となっている。
より詳しい票などは、上のリンクの”Table”をクリックすると見ることができる。
この統計では、フランスのような婚外子かどうかはわからないが、シングル・ペアレントの数が増えていることは間違いない。カナダでは、大家族も少なくなり、一人暮らしが増え、シングル・ペアレントも増えている。これは、決して欧米だけの現象ではないと思う。日本だって同じだろう。つまり、柳沢が理想としている両親と2人の子供という家族構成を増やすことは今の状況ではとても無理であることがわかる。では、どんな政策をとったらいいのであろうか。
再び、『S氏の時事問題』の 「柳沢厚労相の「健全な状況」という問題発言」にこの問題に対処する方法が書かれていたので、ここに最初の部分だけ引用させていただく。
つまり、「少子化対策」として最も有効な政策は、家族のあり方には関係なく女性、あるいはそのパートナー(夫とはいわない)が子育てと仕事を両立できるように社会がサポートしていくことであり、多種多様な家族のあり方を社会が容認していく必要があるということではないだろうか。
家に早く帰って子作りに励むために、日本版「ホワイト・カラー・エグゼンプション」を導入しようとしたり、「女性は産む機械」や「結婚して子供が2人という家族構成が健全」という暴言を吐いたりする今の時代にそぐわないこのおっさんに厚生労働省を任せておいたら、本当にいつまでたってもこの少子化問題は解決しないと思う。 与党が本気で真剣に少子化を考えているのであれば、柳沢を即刻辞任させ、もっと適任を厚労相として選ぶべきであろう。少子化対策なんて本気で考えていないからこそ、いつまでも無能な人物に厚生労働大臣という重要な地位を与えて国民を混乱させているのだ。野党側は参院選のためにも一致団結して、もっと具体的で国民が納得する少子化政策を打ち出していただきたい。
又、あまりにも無知丸出しの柳沢発言のおかげでアパ関連のニュースが消えてなくなってしまった。マスコミには安倍に致命傷を与えるためにアパと安倍の関係をもっと掘り下げて、広く世間に伝えて欲しい。
追記(1/10):コメント欄に民主党の菅直人氏の「(愛知や東京は)子どもを産む生産性が最も低い」発言はどうなんだという質問があったけど、私が思うに、これは、柳沢発言の「女性は産む機械」を受けて冗談で言ったものではないか?又、少子化政策を進めていく上で、重要な地位にある柳沢後世労働大臣の発言と一国会議員の発言とは重みの違いがあるのは言うまでもないだろう。
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