2006.07.24 (Mon)
昭和天皇のメモ、その後の雑感

つまり、上のメモの初めの部分に下記のような文章があったのに、それが削除されていたそうだ。
前にあったのは どうしたのだろう
中曽根の靖国参拝もあったか
藤尾(文相)の発言。
=奥野は藤尾と違うと思うがバランス感覚の事と思う、単純な復古ではないとも。

↑画像は『enjoy Korea』から。
文章を検証してみると、これが、藤尾元文相による発言ではないというのは、明らかである。その理由は下記の通り。
1.藤尾(文相)の発言というのは、下記の発言を意味しているのであり、メモに書かれていたのが藤尾元文相の発言という意味ではない。
藤尾発言[文]1986.9.5
藤尾政行文相は《文藝春秋》86年10月号で,日韓併合について〈形式的にも,事実の上でも両国の合意の上に成立している.……韓国側にもやはり幾らかの責任なり,考えるべき点はあると思う〉と発言し,日韓併合が日本による侵略行為だという見方に疑問を呈した.韓国政府は直ちにこれに抗議し,重大な外交問題に発展した.結局,9月8日,中曽根首相は藤尾文相を罷免して後任に塩川正十郎代議士をあて,9月20日,アジア競技大会の開会式出席のために訪韓した際に陳謝し,問題を決着させた.〔参〕文藝春秋1986年11月号.
2.もし、これが、藤尾元文部大臣の発言だとしたら、その前にある「中曽根の靖国参拝もあったが」という文が浮いてしまう。これは、昭和天皇が中曽根元総理の靖国参拝や藤尾元文部大臣の日韓併合を正当化した発言のその後の展開を気にされているのである。
3.又、これが藤尾の発言だったら、自分を藤尾と呼ぶのはおかしいのではないか?「=奥野は藤尾と違うと思うがバランス感覚の事と思う、単純な復古ではないとも。」
この追加文の画像がどこから来たものかわからないが、もし、これが本物で、天皇のお言葉であったなら、この追加文によって天皇がA級戦犯合祀に不快感を抱かれたのと同じように、中曽根元総理の靖国参拝や藤尾元文相の発言も快く思われなかったということがより明確にわかる貴重なメモとなっている。今、昭和天皇が生きていらっしゃったら、小泉の靖国参拝を嘆き悲しまれるのは確かであり、昭和天皇のお心を受け継がれる現在の天皇も同じ気持ちでいらっしゃるに違いない。それでもなお、安倍は総理になったら、来年の8月15日に靖国参拝するつもりか?尤もその前に、参院選があり、そこで失脚する可能性が高いので、そんな心配はいらないかもしれないが・・・・。
天皇を崇拝している方々にとっては不謹慎に聞こえるかもしれないが、私個人としては、A級戦犯が使えた君主であり、一貫して帝國陸海軍最高司令官であり続けた昭和天皇にも戦争責任はあると信じているので、A級戦犯の合祀を天皇が不快に思われているというこのメモが本物であろうが、あるまいが、それほど大した意味はないと思っている。問題は、日本の国民が靖国問題についてほとんど無知であるということだ。それを知らなければ、なぜ首相が参拝することが問題になるのかも理解できないし、それに対する自分の意見を持つこともできないだろう。
まずは、靖国神社が政府によって戦争を正当化するためにつくられたものだということを理解しなくてはならない。
『靖国問題』高橋哲哉(2005) ちくま新書より
感情の錬金術
先に、戦死者を出した遺族の感情は、ただの人間としてのかぎりでは悲しみでしかありえないだろう、と述べた。ところが、その悲しみが国家的儀式を経ることによって、一転して喜びに転化してしまうのだ。悲しみから喜びへ。不幸から幸福へ。まるで錬金術によるかのように、「遺族感情」が180度逆のものに変わってしまうのである。
(中略)
決定的に重要なのは、遺族が感涙にむせんで家族の戦死を喜ぶようになり、それに共感した一般国民は、戦争となれば天皇と国家のために死ぬことを自ら希望するようになるだろう、という点である。遺族の不満をなだめ、家族を戦争に動員した国家に間違っても不満の矛先が向かないようにしなければならないし、何よりも、戦死者が顕彰され、遺族がそれを喜ぶことによって、他の国民が自ら進んで国家のために命を捧げようと希望することになることが必要なのだ。「多少の費用は惜しむにたらず」。すなわち、莫大な国費を投入しても、全国各地から遺族を東京に招待し、「お国」と「お天子様」とがいかにありがたい存在であるかを知らしめ、最高の「感激」を持って地元に帰るようにしなければならない。
これこそ、靖国信仰を成立させる「感情の錬金術」にほかならない。
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このように、1895年12月には、盛大な戦死者のための大祭典が靖国神社で行われ、その効果もあって、当時の人々に、お国のために死ぬことや天皇のために家族を捧げることを聖なる行為と信じさせることに成功したのである。つまり、靖国神社は戦死者を顕彰する儀式を行うことによって徴兵を嫌う人々の態度を変えさせたり、家族の戦死を悲しみから栄光に変える錬金術の役割も負っていた。まさに当時は、日本の軍国国家の象徴であったし、今でもそうあり続けているのである。そんな靖国神社を国の首相が参拝することが正しいことかどうかもう一度よく考えてみて欲しい。
2006.07.21 (Fri)
靖国A級戦犯合祀問題:靖国参拝は首相を辞任して行け!

少し前にKojitakenさんが 「靖国神社と昭和天皇」という記事の中で問題提起していた「昭和天皇が激怒していたA級戦犯合祀」について、天皇のメモが宮内庁で見つかったことがわかったそうで、「昭和天皇が不快感 靖国神社のA級戦犯合祀」という東京新聞の記事(7月20日付け)にNikkei Netより詳しく元宮内庁長官、富田朝彦氏(故人)のメモ(上写真)と共に取り上げられている。
A級戦犯の合祀問題をより深く歴史的に検証したいなら、『Nozumu.net』の「A級戦犯合祀は自らやめるべきである」(7月20日改)がお薦め。靖国神社の起源から始まってA級戦犯合祀がもたらした代償に至るまでとても詳しく書かれている。

これに対して、昭和天皇メモ:小泉首相「靖国参拝に影響ありません」という毎日新聞の記事によると、語彙力が少ないせいか、小泉は昭和天皇が靖国参拝しなかったことも自分が参拝することもただ「心の問題だから」で片付けており、インタビュアーやこの記事を読む人にこのふてくされた写真と共に不快感を与えている。こういったときこそ、国民に対して、天皇のメモがなぜ靖国参拝に影響がないのか説明するべきだろう。
又、小泉は、この記事のコメントの中で、
>一宗教法人に対して、あああるべきだ、こうあるべきだと政府としては言わないほうがいい。議論は結構です。
という発言によって、靖国神社が宗教法人であることを認めている。自分では私人として訪問といっているわりに、公用車や秘書を伴って派手に靖国神社を訪問していることから、首相として公式に訪問しているに等しい。つまり「宗教法人」である靖国が国と特別の関係に入ることを禁じる日本国憲法第20条の「政教分離」規定に対する違憲行為をどうどうと行っていることになる。
さらに、少し前に『tsurezure-daiary』のおこじょさんに紹介していただいたAsahiの英字新聞の記事"POINT OF VIEW/ Paul Giarra; Shrine visits become America's problem, too"には、ABCやTBSで取り上げられたハイド氏の発言が言及されており、小泉の靖国参拝がアメリカにとっても大きな問題になっていることが書かれている。
小泉に右へ倣えと言う感じで、この件についてコメントを求められても、逃げるばかりで全く自分の考えを国民に伝えようとしない安倍信三は、卑怯この上ない。こんなときこそはっきりと自分の意見を言うのが次期首相候補たるものではないか?総裁選に靖国は関係ないと言っているわりに小泉も安倍もこの問題をあまり語ろうとせず、「心の問題」で逃げ切ろうというその態度は情けなさ過ぎる。安倍も小泉もそんなに靖国参拝がしたいのなら、、Kamayanが訴えているように、辞職してから参拝してくれ!
支離滅裂なことを語り始めた小泉首相 『森田実の言わねばならぬ』(2006.6.29)が私や首相の靖国参拝に反対する人々の言いたいことを代弁してくれている。
それにしても、こんな事件が起こるなんて、ただの脅しだろうけど、大事にいたらなかったからよかったようなものの、暴力で言論の自由を封鎖するような手段は厳重に注意されなければならない。
日経新聞本社に火炎瓶 昭和天皇発言報道関連か [ 07月21日 10時10分 ]
21日午前2時15分ごろ、東京都千代田区大手町、日本経済新聞社東京本社の社員通用口前に、ミニバイクに乗った男が火炎瓶のようなものを投げ付けた。建物に被害はなく、けが人もなかった。
日経新聞は20日付朝刊で、昭和天皇が靖国神社のA級戦犯合祀(ごうし)に不快感を表す発言をしていたことを示すメモの存在について報道。警視庁は報道との関連も捜査する。
調べでは、現場には瓶の破片やガソリンのような液体が散乱していた。ガソリンを入れた瓶の口に布を差し込み、火を付けて投げたとみられる。
これから、この天皇のメモの件は、首相による靖国参拝やA級戦犯を分祀できるかどうかの議論に発展していくだろうと思う。次回はそのことについて書いてみたい。
2006.07.04 (Tue)
安倍は靖国参拝を公私混同している
みにーさん、はじめまして。
私はイリノイ州在住で米大手企業に勤める中年サラリーマンです。私も趣味で中学の国語を教えていたことがあります。
さて安倍さんのアンタイキャンペーンを頼もしく読ませていただきました。一見ソフトで容姿もいいので人気が高い安倍さんですが、中身は、みにーさんご指摘の通り、相当に軍国的だと思います。残念なことに対抗馬がイマイチ魅力がないこともあって、このまま次期首相になる公算が高いでしょうねえ。
でもご安心を。安倍政権はそう長くは続かないと見ます。というのは中韓との関係が一層悪化し、アジアでの主導権を完全に中国に奪われ、一方で決断力のない安倍氏のもと小泉改革は大きく減速し、安倍さんの支持率は急降下すると思うからです。そうなれば次の参院選で自民党が敗北し安倍さんは責任をとって降板となる。っとなって欲しい。
靖国神社の最大の問題点は、私はやはりA級戦犯の合祀だと思います。それは中韓に対してどうのという対外的観点ではなくて、A級戦犯は、太平洋戦争で「生きて敵に捕まってはならぬ」と国民に自決を命じ、結局三百万人もの国民を死なせておいて、自ら生きて敵の捕虜となった国賊、亡国の徒だと思うからです。彼らが全責任を一身に負う覚悟で沖縄戦の前に降伏するという決断をしていれば確か百万人位の命が救われたのです。なぜそんな無能で無責任な指導者達を崇めなければならないのかが日本人として全く理解できません。私のこの意見はもう何年も前から思っていることですが、先日民主党の小沢さんが同じことを語っていたのに驚きました。私は別に民主党支持者でも小沢支持者でもありませんがね。むしろ二大政党が時々政権交代をするのが望ましいと思っており、自分自身固定観念を持たずに政権を見つめていこうと思います。
今後のご活躍をお祈りしています。
Aja
靖国問題はかなり奥の深い問題で、政府によって意図的に隠された事実を知らないことには、語れない。政府が国民に誤った歴史の認識を植えつけようとしていることは、問題にしなくてはならないと思う。Ajaさんのコメントにあるように、数多くの日本人兵士までを侮ったA級戦犯の行為は許しがたいものがあり、その霊が祀られている靖国を首相が参拝するなんて、中韓への影響を抜かして考えても日本人に対する冒涜ではないだろうか。
又、『きまぐれな日々』のKojitakenさんの「今日は支離滅裂に」という記事でも面白い発見があった。
直前にAbEndにTBされている美爾依さんの「カナダde日本語」の記事は、靖国神社の問題を取り上げているが、私見では国家神道こそカルト宗教の極致だ。国家神道は、日本の伝統的な神道とは何の関係もなく、明治政府が勝手にでっち上げたものだ。安倍は、天皇が靖国に参拝すべきだとほざいているらしいが、1978年にA級戦犯が靖国に合祀されたことを知って激怒した昭和天皇が、以後靖国への参拝を取りやめたことを安倍は知らないのだろうか。ましてや、戦犯の疑いのある昭和天皇と違って、今上天皇は平和愛好者なのだ。天皇が靖国に参拝すべきだなどとほざくA級戦犯の孫に対し、天皇はどう思っておられるのだろうか。本音をお聞きしたいものだと思う。
さて、A級戦犯であったにもかかわらず、アメリカによって命拾いした祖父を持つ安倍にとって、靖国神社参拝を支持するのは当然のことだろう。靖国には、祖父の代わりに死んでいった祖父の戦友が眠っているのだ。しかし、そういった公私混同した政治家が日本を代表する総理になった場合、さまざまな弊害が生じることを国民は覚悟しなければならない。昭和天皇さえもが激怒したA級戦犯が合祀されている靖国参拝をなおも続行しようというこのおろかな行為こそ、多くの日本国民を初め、近隣諸国や将来はアメリカまでをも敵にまわすことになるであろう。
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追記:
『tsurezure-diary』のおこじょさんにとても参考になる朝日の英字新聞の記事"POINT OF VIEW/ Paul Giarra; Shrine visits become America's problem, too"(06/24/2006)の情報とコメントをいただいた。きっとTBSやABCで取り上げられて話題になった小泉をアメリカ議会でスピーチさせるのに反対したというハイド氏の主張はこの記事から引用されたのだろう。
こんにちは。
首相の靖国参拝はアメリカにとっても迷惑らしいです。
http://www.asahi.com/english/Herald-asahi/TKY200606240132.html
日本が靖国史観に染まるのはmoral declineだそうで。
| 2006-07-05 |
おこじょ
2006.07.03 (Mon)
安倍の靖国参拝に対する愚考

『きっこのブログ』「祖父の代から売国奴」はとても力強く、国民の怒りをうまく表現していた。安倍が大嫌いなきっこちゃんもきっとAbEndキャンペーンに賛同してくれるだろう。
私がAbEndキャンペーンを通して安倍が総理になることに反対している理由は数え切れないほどたくさんあるけど、その中でも靖国神社参拝は大きな理由の一つだ。なぜかというと一国の主である首相が靖国参拝することは、かつての日本の侵略戦争を正当化し、日本軍国主義の復活を強く肯定していると近隣諸国にとらえられかねないからだ。植民地支配のための略奪戦争を栄光の戦争として顕彰し、A級戦犯も含めた靖国神社の「英霊」たちを、「尊い犠牲」として祀っているのだ。そして、首相が靖国を参拝することは、戦争で家族を亡くされた遺族の方々にさえも不快感を与えるのだ。
おまけに靖国神社に祭られているのは、日本人戦死者だけでなく、アジア・太平洋戦争が激化するにつれて、朝鮮、台湾から日本軍の軍人軍属として半ば強制的に戦時動員された約5万人の旧植民地出身者も含まれており、殖民地支配と弾圧の加害者として戦死した日本人とまったく同格の「護国の神」として合祀されている。日本軍の軍人軍属として戦時動員された旧植民地出身者の慰霊や遺族の気持ちを考えたら、いてもたってもいられなくなる。故郷から遠く離れ、異民族の宗教である靖国神社に勝手に合祀されて、とても気の毒だ。自分の家族くらい好きなところに埋葬してあげたいと思うのは当然の気持ちだろう。
そんな中、安倍はよせばいいのに、靖国参拝について又救いようのないコメントをした。
安倍氏、靖国参拝「信仰の自由、国民の一致した考え」2006年07月04日13時07分
安倍官房長官は4日の記者会見で、首相の靖国神社参拝で首脳外交が滞っている中国を民主党の小沢代表が訪問していることについて「(9月の自民党総裁選への)影響はないだろう。国のために戦った方々に対する慰霊の気持ち、信仰の自由、良心の自由が侵されることがあってはならないというのが日本国民の一致した考えではないか」と述べ、中国による靖国神社参拝の中止要求を牽制(けんせい)した。
安倍氏はさらに、「自由と民主主義、基本的人権、法律の支配という価値を持つ国々に共通する考え方だ」と強調。「問題があるからこそ(首脳会談で)意見を述べ合い、違いを認め合うことが成熟した国家の関係ではないか」と述べ、中国の対応を批判した。
何度も言うが、民間の一個人が戦争で亡くなった方々を靖国神社にお参りするのは全然問題ないのは言うまでもないが、首相が参拝するとなると話は全く違ってくる。それは、私人から、公人に変わると、一変してその影響力が高まるからだ。
↑の安倍の発言は、そんな遺族達が起こした靖国参拝訴訟の最近の判決結果「靖国参拝訴訟:最高裁、憲法判断示さず 原告敗訴が確定」(毎日新聞 2006年6月24日 2時57分)を受けてのものだろうが、この判決は腑に落ちなかった。この裁判での今井功裁判長の判決は、首相による参拝が合憲か違憲かの憲法判断を見送っただけではなく、参拝が私的か公的かの判断を示さないまま、原告側の敗訴が確定したもので、私の目には、最もはっきりさせないとならない部分である憲法判断を放棄しており、中途半端に映った。ただ、逆に言えば、首相参拝が合憲と判断されたわけでもないので、小泉や安倍はそこのところ勘違いしないで欲しい。
「政教分離」規定によれば、特定の宗教団体、つまり、靖国神社のような「宗教法人」が国と特別の関係に入ることは、法律で禁じられている。故に首相の靖国神社公式参拝は、過去に何度も日本の司法によって違憲と断じられているのだ。過去の靖国参拝訴訟の判決、並びに判決に対する各新聞社の記事は、『誰かの妄想』の「靖国参拝訴訟 最高裁判決」が詳しい。
首相の靖国神社公式参拝訴訟の中で最も明確に違憲とされたのは、1991年1月10日の岩手靖国訴訟・先代高裁判決においてであり、次のような判決が下った。『靖国問題』高橋哲哉 ちくま新書(2005)p.105より
天皇、内閣総理大臣の靖国神社公式参拝は、その目的が宗教的意義をもち、その行為の態様からみて国又はその機関として特定の宗教への関心を呼び起こす行為というべきであり、しかも、公的視覚においてなされる右公式参拝がもたらす直接的、顕在的な影響及び将来予想される間接的、潜在的な動向を総合考慮すれば、公式参拝における国と宗教法人靖国神社との宗教上のかかわり合いは、わが国の憲法の拠って立つ政教分離原則に照らし、相当とされる限度を超えるものと断定せざるをえない。
したがって、右公式参拝は、憲法20条3項が禁止する宗教的活動に該当する違憲な行為といわなければならない。
[中略]
天皇の公式参拝は、内閣総理大臣のそれとは比べられないほど、政教分離の原則との関係において国家社会に計り知れない影響を及ぼすであろうことが容易に推測されるところである。
少し前に麻生が首相どころか天皇が靖国を参拝するべきだと言ったのを覚えていらっしゃる方も多いと思うが、上の判決を読めば麻生がいかに無知で恐ろしい思想の持ち主であるかがよくわかるであろう。麻生とは遠い親戚関係にある安倍も政教分離の意味がよくわかっていないようで、故に将来、安倍と癒着する統一協会の資金によって支援される政党が誕生し、創価学会と公明党のような関係を築き上げる可能性すらある。この安倍の発言は、右翼の代表者としてなら認められるが、一国の次期総理大臣候補としては、あまりにも無教養で自国中心的な考えが過ぎる。この一言が中国や韓国に日本に対してどれだけ不快感を与え、反感を煽ったか本人はまだ気づいていないようだが、今後こんな奴が首相になって失言を繰り返したらと想像するだけで、気が滅入ってしまう。
改めてAbEnd!安倍が総理になる前にThe Endさせなくてはならない。
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2006.06.28 (Wed)
小泉のカナダ訪問と靖国神社問題

今日、小泉がカナダに到着したそうで、それも、なななななんと!今日の午後、ナイアガラまで来たそうじゃないか!私も実は、今日の午後は偶然、食料品の買出しでナイアガラの滝に行ったので、帰ってきてからこのニュースを読んでびっくりした。もし、知っていたら、なんとか小泉を探し出して、ナイアガラの滝を見物しているときに、背中を後ろから勢いよく押して滝に突き落とし、猛ダッシュして逃げてやったのに!(笑)
Niagara falls ( Ontario, Canada )
カナダのメディアで小泉のカナダ訪問を伝えているニュースなんかあるのかと思って、探したら、訪問前はなかったんだけど、本日夜8時過ぎになってやっとCBCNewsで報じられていた。
Japanese prime minister visits Niagara Falls, calls sights "magnificent" 20:28:57 EDT Jun 27, 2006 (英語)
日本の首相がナイアガラの滝を訪問し、「絶景だ!」と感動した。
Journey Behind the Fallsで、Apple Quick TimeかReal Playerを選択するとナイアガラの滝の様子や滝の裏側(実際は横からみたところ)が見られるよ。
今回のカナダ訪問の目的はオタワで同じくブッシュの太鼓持ちのハーパー首相と会談することと聞いたが、「ナイアガラの滝視察」の名目で、ナイアガラにまで滝の見物に来ていたとは・・・・。それも、滝の裏側まで見て回って、「見事だ!」とか、「日本にはこれほど大きな滝はない」とか、どうして、「水がグリーンなのか」とか馬鹿な質問までしている始末。血税を使ったお遊び旅行もいいとこだ。
小泉のカナダ訪問のニュースを見つけるために"Koizumi"でぐぐってみたら、海外での一番最近のニュースはイラクから陸上自衛隊を撤退させて、航空自衛隊の活動を拡大させたことや、小泉の靖国神社参拝の問題だった。どちらも、日本が戦前の軍国主義に戻るのではないかと世界中から冷ややかに注目を集めているニュースだ。
Japanese prime minister announces plans to withdraw troops from Iraq 02:27:40 EDT Jun 20, 2006 CBC News
それにしても、上のカナダのニュースではすでに20日には、陸上自衛隊の撤退と航空自衛隊の活動拡大を小泉が発表しているのに対し、日本では、18日に発表されたらしいが、その後なぜか陸上自衛隊の撤退だけが伝えられて、一部を除いて、メディアはほとんど航空自衛隊の任務が拡大されることには触れなかった。
Livedoor Newsで、イラクでの航空自衛隊の任務拡大に反対!という記事を見つけたくらいだ。
こういったところに日本のメディアがいかに自民党や総理官邸によってコントロールされているかが表れている。特に、米軍再編など軍備関係の情報は国民にとってはとても大切な問題なのに、ほとんど知らされない。私達の真実を知る権利はどうなってしまったのだろうか?
それにしても、靖国参拝問題が次回の総裁選のカギを握るといわれているのに、今日のニュースで小泉がまた失言を放った。
「何回行こうが問題ない」 小泉首相、靖国神社参拝で2006年06月28日11時20分 Asahi.com
カナダを訪問中の小泉首相は27日夜(日本時間28日午前)、靖国神社参拝について記者団に「(一年に)何回行こうが問題にならない。個人の自由だ」と語り、任期中の参拝に含みを持たせた。9月の自民党総裁選についても「(靖国参拝が)争点になるとは思えない。靖国参拝を争点にしてどうなるのか」と、争点化すべきでないとの考えを改めて強調した。
首相は、さらに「中国側の言い分に従いなさいという人が、『靖国参拝してはいけない』という人たちでしょう。果たしてそれがいいのか」と述べた。中国などに配慮して参拝を見送るべきだとの意見を強く批判した。
そりゃ、私人として、首相官邸から一人でテクテクと地下鉄に乗るか、歩いて参拝するなら、全く問題ないのだが、日本国民の代表である首相として正装までして公用車で参拝し、それがテレビに映し出されるということは、首相の靖国参拝に反対な近隣諸国にとって、日本国民全員がそれに賛同しているように映ってしまうから問題なのだ。
又、小泉は、「私的参拝」であると主張してきているわりに、「私が首相であるかぎり毎年靖国神社に参拝する」と述べるように、それが、私的な参拝でないことを自分で認めている。これは、安倍が

(ヘンリー・オーツさんより)
と言っているのと同じくらい狂人的な言い分だ。
そして小泉の靖国参拝は軍国主義時代の日本を肯定しているかのように映るため、日本国内や近隣諸国だけではなく、アメリカでも問題視されている。
2006 0613 ムーブ! 米国でも噴出?小泉首相の靖国問題
上の動画の中で勝谷誠彦があまりにも早口の上、はっきり話さないので、何を言っているのかよくわからなかったのだが、これじゃ、自分の言っていることに自信がないから、意味のないことをみんなが聞き取れないように早くまくし立てているだけに見える。明確な理由は告げずに、最後には、言っている人が信用できないからとか、アメリカの言うことは気にしなくてよいと稚拙に斬り捨てているようだが、靖国問題の重要性がよくわかっていないこんなコメンテーターを使うテレビ局ってどこのテレビ局なんだろう。ご存知の方がいらっしゃったら是非教えて欲しい。勝谷のブログも読んでいてすごくわかりにくいし、意味もわかりにくいし、そんなのが常連としてテレビに出ている日本っていったいどうなっちゃってるんだろうか。
つづく
追記:
一番上の写真は、小泉首相:カナダ首相会談前に、ナイアガラの滝観光毎日新聞 2006年6月28日10時56分より