2011.12.16 (Fri)
「冷温停止宣言」に疑問 by 『ニューヨーク・タイムズ』
野田総理は、今日の夜、福島第一原発事故で、「冷温停止宣言」をして、事故が計画通り収束しているというイメージを全世界に向けて伝えるそうだが、この宣言に対して、専門家たちは大きな疑問を投げかけている。
【原発】次は難題「廃炉」きょう冷温停止宣言(11/12/16)
政府は、圧力容器の底の温度が100度以下であることや放射性物質の放出が抑えられていることから、冷温停止状態の条件を満たしたと判断しました。野田総理大臣が16日夜に記者会見で達成を宣言します。これで事故収束に向けた工程表の「ステップ2」が終了することになり、今後の作業は圧力容器の下に溶け落ちた燃料の回収という未知への領域に移ります。終了までに30年以上かかるとみられるほか、福島第一原発では今月に入ってからも汚染水漏れなど新たなトラブルが起きていて、事故収束に向けた課題は山積しています。
文:【原発】次は難題「廃炉」 きょう冷温停止宣言(12/16 11:50)より
先日も「広域にわたる放射能除染に対して日本が賛成派と反対派に分裂」という記事を書いた『ニューヨーク・タイムズ』のマーティン・ファクラー記者が、今度は、「日本の冷温停止宣言に対する大きな疑問」という記事で、野田首相の「冷温停止宣言」に対して、その裏に隠された日本政府の思惑を推測しながら、専門家による危惧を暴露している。
京都大学の小出教授もラジオの電話インタビューで何度も指摘しているように、冷温停止とは技術用語で、通常は壊れていない原子炉で炉心が安全に安定している状態のときに使われる。ところが、福島第一原発の今の状況は、決して安定した状態ではない。それどころか、特に4号機は、不安定な状態で、余震などで崩壊した場合、東京や横浜を閉鎖しなければならない緊急事態につながると言われている。
専門家は、政府が予想されるように冷温停止を宣言するとすれば、それは原発の冷却システムを年内に復旧するという約束を守ろうとする政府の努力を反映しているだけで、真の原発の状態を表したものではないと言う。彼らが恐れるのは、日本政府は、国民をなだめるために今回の「冷温停止宣言」で計画通り事故の収束が行われていることを発表したのであり、その目的は、原子炉の安全性を脅かす数々の危険から国民の注意をそらすことにあるのではないかということだ。
その危険の一つに東電が事故後に応急措置として急いで構築した新しい冷却システムが3月11日のマグニチュード9の地震の余震で損傷する可能性があることを多くの地震学者があげている。
冷温停止という言葉自体、壊れた原子炉が安定しているかのような印象を与えかねないが、実際は、壊れた原子炉の燃料炉心がメルトダウンしただけでなく、圧力容器を溶融貫通して圧力容器の外側の格納容器のコンクリート製の構造物の床を侵食している状態であるというのが、専門家の意見だ。
【原発】次は難題「廃炉」きょう冷温停止宣言(11/12/16)
福島第一原発の事故で、政府は16日、「冷温停止状態」の達成を宣言します。課題は、30年以上かかるとされる「廃炉」に移ります。
政府は、圧力容器の底の温度が100度以下であることや放射性物質の放出が抑えられていることから、冷温停止状態の条件を満たしたと判断しました。野田総理大臣が16日夜に記者会見で達成を宣言します。これで事故収束に向けた工程表の「ステップ2」が終了することになり、今後の作業は圧力容器の下に溶け落ちた燃料の回収という未知への領域に移ります。終了までに30年以上かかるとみられるほか、福島第一原発では今月に入ってからも汚染水漏れなど新たなトラブルが起きていて、事故収束に向けた課題は山積しています。
文:【原発】次は難題「廃炉」 きょう冷温停止宣言(12/16 11:50)より
先日も「広域にわたる放射能除染に対して日本が賛成派と反対派に分裂」という記事を書いた『ニューヨーク・タイムズ』のマーティン・ファクラー記者が、今度は、「日本の冷温停止宣言に対する大きな疑問」という記事で、野田首相の「冷温停止宣言」に対して、その裏に隠された日本政府の思惑を推測しながら、専門家による危惧を暴露している。
京都大学の小出教授もラジオの電話インタビューで何度も指摘しているように、冷温停止とは技術用語で、通常は壊れていない原子炉で炉心が安全に安定している状態のときに使われる。ところが、福島第一原発の今の状況は、決して安定した状態ではない。それどころか、特に4号機は、不安定な状態で、余震などで崩壊した場合、東京や横浜を閉鎖しなければならない緊急事態につながると言われている。
専門家は、政府が予想されるように冷温停止を宣言するとすれば、それは原発の冷却システムを年内に復旧するという約束を守ろうとする政府の努力を反映しているだけで、真の原発の状態を表したものではないと言う。彼らが恐れるのは、日本政府は、国民をなだめるために今回の「冷温停止宣言」で計画通り事故の収束が行われていることを発表したのであり、その目的は、原子炉の安全性を脅かす数々の危険から国民の注意をそらすことにあるのではないかということだ。
その危険の一つに東電が事故後に応急措置として急いで構築した新しい冷却システムが3月11日のマグニチュード9の地震の余震で損傷する可能性があることを多くの地震学者があげている。
冷温停止という言葉自体、壊れた原子炉が安定しているかのような印象を与えかねないが、実際は、壊れた原子炉の燃料炉心がメルトダウンしただけでなく、圧力容器を溶融貫通して圧力容器の外側の格納容器のコンクリート製の構造物の床を侵食している状態であるというのが、専門家の意見だ。
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