2011.03.29 (Tue)
日本から原発をなくすには
今日は、そんな怒りのこもったメッセージをこれまでは、大震災の被害地としての日本に同情的だったカナダ人の友達から受け取った。福島第一原発内の土壌から猛毒のプルトニウムが検出されたというニュースは世界中を震え上がらせている。プルトニウムの重量は比較的重いので、空気や土壌を通しては、それほど拡散されないが、海の中に流れた場合は、海水によって薄められて世界中にばら撒かれるという。3月20日頃に検査され、1週間で結果が出て、土壌にプルトニウムが検出されたことは夜中に発表されたが、まだその数値は発表されておらず、海水からどのくらい検出されたのかも一切言及がない。このような不誠実な東京電力の対応は、日本の信頼を失い、世界中の人々を不安にするばかりだ。
福島第一原発での事故は、東電と政府に責任があるとはいえ、これまで反原発派はもちろんいたけれども少数で、私も含めた原発を容認していたほとんどの日本国民にも少しは責任があるかもしれない。しかし、まさか、東電があそこまでずさんな会社だったとは知らなかったし、原発がこれほどまでに恐ろしいものであるということもほとんど隠蔽されてきた。『水戸黄門』で洗脳され、お上の言うことは全て正しいと信じてきた日本国民が「原発は安全である」という言葉を鵜呑みにしてしまったのは、しかたがないことだろう。
しかし、日本はまだ見捨てたものではない。震災と原発事故が起こった後の日本人はこれまでとは違う。これまで羊のようにおとなしかった日本人が、今回の事故で目覚め、怒りをあらわにして、エジプトのような市民革命デモを行ったのだ。
このところ、2週間続けて毎週日曜日に反原発デモが行われている。3月20日(日)には渋谷で行われ、1550人もの人たちが結集されたそうだ。
2011年3・20渋谷反戦・反原発デモ
イラク開戦から8年目の2011年3月20日、渋谷反戦大デモが1550人の結集で闘いぬかれた。東日本大震災下での挙国一致ムードをぶち破って、震災を利用して延命しようとしている菅政権の震災政策、原発政策を徹底的に弾劾し、被災者を全力で支援するため、全職場・全大学で被災地支援・反原発の大運動を起こす方針が提起された。また、19日に米英仏などの帝国主義がリビアに行った爆撃を徹底弾劾し、国際的反撃をたたきつけた。
また、英BBCテレビでは、3月27日(日)の原発反対デモ行進の動画を紹介しながらその様子が報道された。
Anti-nuclear protests in Japan
27 March 2011 Last updated at 13:12 ET Help
日本の原子力産業のチェンジを求め、大きな反原発デモが東京で行われた。その一方で、福島原発では、放射能に汚染された水が、どこから漏れたのか追究している。
「Nuclear power by country」によると、いつのまにか日本(55基)は、米国(104基)、フランス(58基)に次ぎ世界でも第3位の原発王国になっていた。それに加え、現在日本で建設中の原子炉は、2基、8年から10年以内に始動計画中の原子炉は12基、12年以内に始動が提案されている原子炉は1基となっており、この計画が実行されれば、フランスを抜き、世界第2位の原発大帝国となる。
ただ、米国は原子炉の数が日本の倍あっても、米国の国土面積は、日本の24倍もあることを忘れてはならない。フランスでさえも、その国土面積は日本の3.5倍もあるということを知れば、いかに日本の原子炉密度が高いかわかるだろう。
上の「Nuclear power by country」のサイトでは、日本にある原子炉の数は55基ということになっているが、毎日新聞が日本全国の原発の位置を詳しく示した図によると、54基となっている。
原発が被災、大事故に/3 原発頼りの日本
【わかりやすく図説】日本のほかの原発は…地図で確認
(毎日新聞より)

原子力による発電はどんどん増え続けているが、それでも現在、全体のエネルギー発電のうち、原子力発電は、たったの30%となっている。この原発による30%の発電を風力発電や太陽熱発電のような自然エネルギーに変えるのは、そんなにむずかしいことなのだろうか。政府がその気がなくても、リーダーシップのある首相がやる気になればできないことではないと思う。

上のデモでも人々が強調していたが、何でも官僚のいいなりの菅政権は、震災を利用して延命を図ったが、そのリーダーシップや総理としての能力のなさに対する国民の怒りは、民主党への怒りとなって日増しに大きくなっている。
民主党はすみやかに日本に災いをもたらした不幸なイメージのある菅直人を辞任させ、震災の被害を受けた岩手出身の小沢一郎をその後任にし、日本の復興にいち早く着手しなければならない。そして、東京電力を建て直し、正確な情報を導き出し、世界が見守る福島第一原発の処置を決断しなくてはならない。
日本から原子力をなくすには、まずは、今の菅政権を打倒して日本の政治を変え、官僚改革を推し進めるべきだ。
2011.03.28 (Mon)
プルトニウムの恐怖:原発の現場で被曝し、癌で亡くなられた平井憲夫氏からの遺言

プルトニウム1トン入りの核燃料、4月に日本へ: 見送りに
GreenPeace 2011-03-25 22:29
しかし、今回4月に見送りになっただけで、また将来再送される可能性がないわけではないので、注意深く監視することが大切だ。なぜなら、国内には、原子力産業と癒着したテレビ業界や御用学者などであふれているため、うっかりしているとそういった連中に国民が洗脳されてしまう危険性もある。さっそく、朝生では、原発推進派の無知識人だけを集め、放射能被害の過小評価を推し進めている。
この討論会の中で、これまでも問題発言が多かったことで知られる勝間和代は、以下のような無神経で無知な発言をし、ネットで叩かれている。
「プルトニウムはあちこちできるから他の放射性物質に比べて特に危険ではない 。」
「放射性物質が実際に比べて特に危険だと思われていることが問題。」
「チェルノブイリは小児甲状腺ガンは増加。しかし、それ以外の大人の病気はクリアに見えてこない。」
「比べていいかわからないが津波の死者に比べ(少ないのに)報道のされ方のバランスが悪い。」
「100、1000年に一度の災害に備えるのは無駄。」
朝生 原発 勝間和代氏発言他ハイライト
また、司会の田原を初め、ライブドア前社長のホリエモンの発言もひどかった。反原発の知識人を1人も参加させず、原発推進派だけを集めてこのような討論会を主催するテレビ朝日は、さすがにNHKに次ぐ原子力産業御用メディアだけある。原子力産業関連会社が、天下りの巣窟となっていることにはもちろん、触れもしない。
このような原産御用メディアの番組に出演する御用無知識人どもには、私が読者のtetoさんから教えてもらった原子力発電所の現場で働いてきた平井憲夫氏の被爆者としてのレポートを読んで欲しい。平井氏が、被曝して癌にかかり、最後の力をふりしぼって書いた原発の現状告白を読み終わった後、涙が止まらなかった。日本ではあまり語られることのないプルトニウムの恐ろしさを訴えたページは必読だ。
原発がどんなものか知ってほしい 平井憲夫
2011.03.27 (Sun)
東京電力の隠蔽、改ざん体質とそれを助長させる政府やメディア
ウィキ・リークスにも、2009年に米国の国際原子力機関(IAEA)当局が、ヒラリー・クリントン国務相宛に送ったコンフィデンシャル情報に、東電が国際原子力機関(IAEA)に日本の原発が大地震には耐えられない設計であることを警告されたのを無視し続けてきたこと、特に国際原子力機関(IAEA)原子力安全保障部の谷口富裕事務次長の管理能力とリーダーシップ能力がないために、原子力安全保障部が悪い影響を受けたことなどが暴露されている。
ちなみに、こちらのプロフィールを見ると、谷口氏は、IAEA事務次長として、2005年にノーベル平和賞、2007年にIPCC副議長として、ノーベル平和賞を団体授賞している。IAEAは、世界中の原発が安全に運営されているかを監視する役目をもつ。そのIAEA事務次長の谷口氏が、福島第一原発が地震に耐えられない設計であることを警告されても無視する東電に加担してきたとしたら、ノーベル平和賞受賞には値しない。
産経によると、2009年の審議会で、平安時代の869年に起きた貞観津波の痕跡を調査した研究者が、同原発を大津波が襲う危険性を指摘していたにもかかわらず、東電と保安院は、「十分な情報がない」「設計上は耐震性に余裕がある」などと主張し、津波想定は先送りされたそうだ。
いつもコメントを下さる蜂鳥のジョーさんに紹介していただいたのだが、この平安時代の869年に起きた貞観津波は、『日本昔話』でも多少、不気味な話として紹介されているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。
こうして見ると、事故後の言い訳として、「震災や津波は想定外だった」とよく馬菅や東電関係者や御用学者が繰り返し言っており、それを原子力産業と癒着の深いメディアが次々に広めているが、実際は想定内で、想定外というのは、単なる言い訳にすぎないということがわかる。

『晴天のとら日和』
「(東電&保安院は)大津波の警告を無視しておいて「想定外」とはよく言えたもんだな、。。」より
その他、広瀬氏が指摘された要注意人物をT_2ndさんが、書き取って下さった。
水野倫之(解説委員)--- 1999年の東海村JCOの臨海事故で、夥しい数の中性子が飛び出した時、避難するよう忠告もせず、住民を被爆させた問題の人間。
山崎淑行(報道局科学文化部)--- 1995年にナトリウム漏出火災事故を起こした高速増殖炉「もんじゅ」の去年の運転再開に際して、「世界が注目している」なんて宣伝してきた男。
関村直人(東京大学大学院・工学系研究科教授)--- 2007年の新潟県中越沖地震で、変圧器の火災発生で全面停止となった柏崎刈羽原子力発電所を、まだ運転再開してはいけないのに、次々に再開させてきた経産省の政府側の座長で、しかも全く原子力について知らない男。
余談ですが、ユーストリーム見る前、3/23-日刊ゲンダイ「新企画-報道番組 ここがダメだ」の水野氏ヨイショ記事を読んで疑問を感じましたが、睨んだ通りでしたね。私は人間性の問題だろうと思います。
また、3/24-日刊ゲンダイは、毎日TVに出てくる原子力・保安院の西山英彦審議官は、文系出身で原子力に関しては技術的なことは殆どわからず、東電が調査したデータをただタレ流しているだけ。こんな門外漢に会見をやらせていること自体、国民をバカにしていると切って捨てています。即刻専門家に交代すべきでしょう、口下手でもいいから。
馬菅と東電清水社長の嘘:
3月12日の会見で、馬菅が国民へのメッセージで、「今回の地震が、従来想定された津波の上限をはるかに超えるような大きな津波が襲ったために、従来、原発が止まってもバックアップ態勢が稼動することになっていたわけでありますけれども、そうしたところに問題が生じているところであります。」と延べている。
3月13日の会見で、清水正孝・東電社長が「(福島第1原発を襲った)津波の規模は、これまでの想定を超えるものだった」)と言い、このほかにも、テレビなどに出演する御用学者らが、連日のように「想定外」という言葉を使っている。官僚も総理もうまく東電に言いくるめられ、東電のいいなりに発言していることがわかる。
IAEAに危険性を指摘したのは、独立行政法人「産業技術総合研究所」の岡村行信活断層・地震研究センター長と思われる。この時点で非常用電源など設備を津波プルーフに改修していれば、今回のような惨事には至らなかったであろう。東電の主張を是認した保安院の姿勢も厳しく問われるべきであるし、一国の首相が、東電のいうことを鵜呑みにして国民を欺くメッセージを恥ずかしげもなく述べたことは、犯罪と呼んでもいいのではないか。
今回の原発事故について、想定外という言葉を口にした全ての御用学者、東電幹部、馬菅は、原子炉を石棺で囲う際に、原子炉の中に閉じ込めて、二度と嘘がつけないようにするしかない。
そして、また、今日も東電は、バレバレな嘘をつきまくっている。福島第1原子力発電所3号機のタービン建屋地下で作業員3人が被曝した事故について、26日の東電の会見では、事故を未然に防ぐことができるデータがあったとして謝罪したが、その後そんなデータはなかったと訂正したという。放射性物質のデータも、高い数値が発表されると、すぐその後から低い数値に変えられることもしょっちゅうある。とにかく、ずさんなデータ管理、又はデータ改ざんをしているとしか思えないほど、次から次へとデータが変わっていく。被曝した作業員らは、その後どうなったのか。被曝した作業員のニュースもほとんど流れてこない。こんなずさんでインチキな企業に人命がかかわる任務をいつまでもまかせておいてはいけない。
Tags : 東京電力 |
隠蔽 |
データ改ざん体質 |
国際原子力機関(IAEA) |
谷口富裕 |
原子力産業 |
ジャーナリズム |
2011.03.16 (Wed)
東海地震に耐えられない浜岡原発の危険性
この地震による津波の心配はないということだけど、心配なのが、東海地震に耐えられないとされる浜岡原発2号だ。東北太平洋地震で、東海第2原発のポンプが停止したことが伝えられたが、静岡の地震による東海原発の様子はいまのところ、まだ日本のニュースでは伝えられていない。この原発の危険性を伝える記事があったので、念のため紹介しておこうと思う。
この記事は、『My News Japan』の佐々木敬一氏が、浜岡原発の設計者であった谷口雅春氏から聞いたことを取材、代筆したものだ。日付が2005年の7月13日となっており、6年前に書かれた記事だが、もし、改善が図られていない場合は、大いに参考にするべき記事だと思う。
浜岡原発2号は東海地震に耐えられない 設計者が語る
谷口雅春
08:44 07/13 2005
72年当時、自分が担当していた部分は、原子炉圧力容器内の
炉心支持構造物であった(マーカー着色部分)
実際に原子炉設計に携わり、「データを偽造して地震に耐えうることにする」との会議に立ち会ったことから、技術者の良心で辞表を出した経緯を公表し、警鐘を鳴らした設計者。しかし電力会社を広告主にもつ大手マスコミはこの事実を取り上げず、行政に知らせても音沙汰なし。東海地震が起きれば関東・関西一円に放射能汚染が広まる危険性は高く、早急な対策が必要だ。「このままでは大変なことになる」という設計者の決意の証言を報じる。(取材・代筆、佐々木敬一)
私は1969年に東京大学工学部舶用機械科の修士課程を修了後、東芝子会社の「日本原子力事業」に入社し、1972年当時は、申請直前だった中部電力の浜岡原子力発電所2号機(静岡県御前崎市)の設計に携わっていました。東芝が浜岡原発の受注先の一つで、私は東芝に出向中でした。
浜岡2号機の設計者は数十人で、1「炉心構造物設計」、2「制御棒設計」、3「汽水分離機・蒸気乾燥器設計」の3つのチームに分かれていました。私は1に所属し、核燃料を支える炉心支持構造物といわれる箇所を担当していました。原子炉の中心的な部分です。
必要なデータを私が集計し、それをもとに、計算担当者が耐震計算を行っていました。
◇「この数値では地震がくると、もたない」
ところが1972年5月頃、驚くべき事態が起こりました。部門ごとの設計者の代表が集まった会議で、計算担当者が「いろいろと計算したが無理だった。この数値では地震がくると浜岡原発はもたない」と発言したのです。
原因は、第一に、浜岡原発建設地の岩盤が弱いこと、第二に、核燃料集合体の固有振動数が想定地震の周波数に近いため、とのことでした。
第一の「岩盤が軟弱」という点では、浜岡原発の建設地は、150年前に発生した安政の大地震など200年周期でM8クラスの地震が起きており、岩盤が断層、亀裂だらけで、地震に非常に弱い地盤です。しかも、今後起こるといわれる東海大地震の震源域は駿河湾といわれており、その駿河湾の震源地が、ちょうど浜岡原発の真下に位置しているのです。
第二の「固有振動数」については、地震が起きた際には、周波数があります。その周波数と、核燃料集合体の固有振動数が近い場合は、地面と燃料集合体が共振し、何倍も大きく振れることになります。耐震計算の結果、浜岡原発の核燃料搭載部分はその共振が著しく、地震が起きたらもたない、との結果が出たのです。