2011.04.22 (Fri)
福島の子供たちを見殺しにするな
下の動画は、福島の人々と文科省との交渉だが、文科省がその交渉の場によこしたのは、放射線管理区域という言葉さえも知らない無知な新人ばかり。福島県民からの質問にはほとんど答えられなかった。東電や不安院のように答えを知っていて隠滅しているのではなく、答えを全く知らないようだった。「子どもに年20ミリシーベルトの安全基準」が、どのように決められたのかもわからずによく、ノコノコとこの会見場にやってこれたなというのがそこに参加した福島の人々の意見だった。
子どもを守れ
子どもを守れ2
最初に福島の人々が一人ひとり自己紹介をする中で、農業に30年間従事され、お子さんが5人もいらっしゃる佐藤さちこさんという女性が、被災者として極めて悲痛な訴えを原子力安全委員会や文科省からの出席者に投げかけた。私は、彼女の懸命な訴えを聞くうちに涙が出てきた。それでも、原子力安全委員会や文科省の役人どもにはほとんど通じないようだった。
市民のML, 市民社会フォーラム, VAWW NETを通して、前田朗さんがその女性の発言をイラク国際戦犯民衆法廷MLから転送して下さった。
----- Original Message -----
浅井健治@週刊MDS編集部です。複数のMLに投稿します。
きょう参院議員会館で、福島県の学校の校庭利用における「被曝限度年20ミリシーベルト」の撤回を求めて「福島老朽原発を考える会」などが原子力安全委員会、文部科学省と交渉しました。
回答はひどいものでした。文科省の担当者は「放射線管理区域」とは何かさえ知りませんでした。原子力安全委員会は諮問から回答までわずか2時間で、会議も開かず「20ミリOK」を決めたとのこと。菅政権は福島の子どもたちを見殺しです。
交渉に先立って、福島から来た一人のお母さんが以下のような発言をしました。ICレコーダの録音から起こしたものなので、聞き間違いなどがあることはご容赦ください。
-ここから-
私はただの主婦です。5人の子どもを育てている主婦です。ここにいる方のような学問も知識もありません。わが子の命を守りたいとここに来た。
生きることの大切さを子どもに伝えてきたつもりだ。その生きる大切さを一瞬のうちに奪われてしまった現実を伝えたい。
福島の子どもたちは学校の中に押し込められて、ぎゅうぎゅうづめで通っている。それが20ミリシーベルトという数字が発表になったその日に、教育委員会は「もうここで活動していいです」と言ってきた。本当にそれで安全なのか分からないまま子どもを学校に通わせるのは不安だというお母さんはたくさんいる。
家庭の中でも、お父さんとお母さんの意見が違う、おじいちゃんとおばあちゃんの意見が違う。子どもたちはその中で翻弄されて、家庭崩壊につながっている家庭もある。学校に送り出した後に、罪悪感で涙するお母さんもいる。いろんなことが起こっている。
私たちただの主婦が分かるように説明してください。東大や京大や慶応や早稲田を卒業した人たちが地域に住んでるんじゃないんです。私たちは中学や高校しか出ていない。でも、子どもを守りたいという母親の気持ちはどこに行っても、日本中、世界中いっしょです。それを、あなたたちのような安全なところでのうのうと毎日を生活している人たちに数字だけで決められたくない。半径10キロ以内のところに対策本部を持ってきなさい。
どんな思いでとどまっているか、知らないでしょう。私たちは離れられないんです、あの場所を。生まれた時からずっと何十年も住んでるんです。子どもたちも、おじいちゃんおばあちゃんも、あの場所を離れたら…。
こんなひどいことをしておいて、数字の実験? ふざけんじゃないよ。
こんなことが許されるんですか。私はとてもじゃないけど冷静な気持ちでこの場にいられない。あなたたちの給料、あなたたちの家族を全部、福島県民のために使いなさい。福島県民を全員、東電の社員にしなさい。給料を払いなさい。そして安全を保障してください。
私たちは子どもたちを普通の生活に戻してあげたいんです。母親のこの願いをかなえてください。
-ここまで-
この交渉に参加した福島県民たちは、さぞ、避難所生活が長引きストレスがたまっていることだろう。それに加え、交渉する相手が全く放射線汚染に関して無知であり、被災者に対して何の特別な感情も持たないロボットのような若造ばかりとわかったら、怒りが爆発するのも当然だ。
学校の安全基準を20ミリシーベルトとしたのも、どのようにして決められたのか全く不明だ。白血病を発症した原子力発電所の労働者に対して、年平均10ミリシーベルト前後で労災認定が認められた事例や、集積線量40ミリシーベルトで認められた事例があることからして、一般の子供に対する安全基準が年間20ミリシーベルトというのは、かなり高いのではないかと思われる。
ちなみに、福島原発2号機爆発で放射性物質漏れというエントリーでも紹介した「人体と放射線の関係」というサイト(現在なぜかリンク切れ)によれば、原子力施設で働く人たちへの基準は、年間50ミリシーベルトとなっている。子供は大人よりも放射線の被害を受けやすいので、年間20ミリシーベルトを学校の安全基準とするのは、大変危険なことだと思う。
文科省や原子力安全委員会は、美浜の会HPが、この交渉で答えられなかった事項を、しっかりまとめてくれているので、参考にして、次期交渉に備えること。
また、学校の安全基準を20ミリシーベルトとしたことに反対の人は、文科省や原子力安全委員会に撤回を求めようではないか。
文部科学省学校健康教育科 電話 03-6734-2695 FAX 03-6734-3794
原子力安全委員会事務局 電話 03-3581-9948 FAX 03-3581-9837
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