2011.02.05 (Sat)
エジプト情勢その後
まあ、そんなことはいいとして、その後エジプト情勢はどうなったのか。市民のML メーリングリストを通して、阪口浩一さんが、現地から生々しい様子を伝えて下さっている。
<転送•転載大歓迎>
昨日2月3日から外国人拘束、特にジャーナリストへの拘束が強化されました。アルジャージーラなどは真っ先にターゲットにされて、多くの記者が拘束、勾留され機材も没収されています。私自身も昨日の午後2時から7時過ぎまで拘束されていました。路上にて軍と警察の警備のもとパスポートと携帯を取り上げられての拘束。ソフトでしたが、当然のごとく理由を告げられずの拘束でした。その過程で、携帯のsimカードが盗られました。ですので、現在、携帯が繋がりませんのであしからず。
拘束中に真っ先に脳裏に浮かんだのは、外国人を大量拘束した後に、遮断してタハリール広場のムバラク退陣派の人々を虐殺、軍事弾圧するのでは、ということでした。
拘束から解かれて、タラート•ハルブ通りをタハリール広場へと向かいました。一昨日までとは違い、通りには人影はまだらで、いくつもの警察、軍そしてムバラク派の市民の検問がありました。広場の近くのホテルへ戻らなければと噓をついて、どうにかタハリールへ潜り込めましたが、その渦中でビデオのメモリーカードを盗られました。まあ、カメラが奪われなかったのが幸いです。
広場には、ジャーナリストの姿は数人程度。弾圧する側にすれば、ある意味、最高の条件が整っていたので、自分には伴走して発信していくことしかできないので、そのままタハリール広場でみんなと一緒に野宿しました。多くの人々が1週間以上、野宿して留まっています。昨日でも10万人程度はいたと思います。幸い一昨日の夜とは違い、投石も飛び交う事無く、主立った銃撃もありませんでした。
広場近くには、有志によってモスクを利用した緊急診療所が開設され、そこが中心と成って、路上診療所が数カ所あります、今朝の10頃まで踏み場も無い程の込みようでした。責任者の話しでは、そのモスクの診療所のみで約650人の負傷者が、昨日の攻撃のみであったということです。闘いの最前線となっているエジプト博物館横前の路上診療所で確認した所、その場所のみで350人程度だとのことです。その他に、数カ所あるのですが、そこでは未だ確認できていません。昨日早朝のムバラク支持派の銃撃により3名が即死、6名が重傷で、離れた病院に搬送されたとのことです。そこまでが私が確認出来た範囲です。ですが、エジプト国営放送(現政権のプロパガンダでしかない)発表でも、この3日間の死者は15人ですから、それ以上であることは間違いないでしょう。
本日は、金曜礼拝にあたり午後11時で100万人以上の市民がタハリールに詰めかけ、さらにこの数時間で増えそうです。今の所、タラート•ハルブ通りには警察•軍隊、そしてムバラク支持派による検問がありませんが、通りを一本隔てれば、支持派で占められていたりするので注意が必要です。
昨日の拘束時間中は、兵隊がマシンガンを携えジープにて徘徊、特殊部隊も重装備で巡回していましたが、今日は今の所大丈夫です。が、予断は出来ません。アルジャジーラを始め大規模かつ事実を報道する機関が徹底的に弾圧されていて、反体制派の弾圧と摘発が昨日から始まっています。
引き続きの関心と、呼びかけ、大使館への直接行動などよろしくお願いします。
そして少人数とはいえ、昨日、東京のエジプト大使館に抗議行動のため詰めかけてくれた皆さん、ありがとう。その声をエジプト人に伝えていました。本当に喜んでいました。
我々は、同じです。繋がっています。引き続きの連帯をお願いします。共に!!
ユーチューブへの動画アップも可能な限り行って行きます。http://www.youtube.com/watch?v=pFyLXUQMlNo
facebook sakaguchi koichi もチェックしてみて下さい。
阪口浩一 カイロにて
新たな携帯番号を手に入れました。必要であれば連絡ください。出れない時はご免なさい。0020-152-4368805
From: mtaka2009@hotmail.co.jp
Subject: FW: カイロ現地、デモクラシーナウ
Date: Fri, 4 Feb 2011 18:35:53 +0900
日本には、愛人の存在を国会で追及されただけで、たったの69日の在任期間で総理を辞めた宇野宗佑という男がいたが、30年在職した後に、これほど大きな市民民主革命が起きても、なかなか辞任しようとしないムバラク大統領の権力に固執した独裁ぶりは見上げたものだ。これまでは、背後に米国の支援があったから何でもできただろうけど、今では米国が政権移行を促し始めたこともあり、あと2,3日で辞任させられるだろう。
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2011.01.31 (Mon)
エジプトの若者からのメッセージ
コメント欄でこのエジプトの若者が、他の言語に翻訳されたものがあったら紹介して欲しいということだったので、私もさっそくこの若者のメッセージのコメント欄に和訳が載っている『Translators United for Peace 平和をめざす翻訳者たち』のURLを紹介しておいた。今のところ、このエジプトの若者が書いたメッセージ原文へのアクセス数は、約3000件しかない。みんなでこのメッセージを広く世界中に広めよう。
TUPからの緊急速報を転送します。松元@パレスチナ連帯・札幌
----- Original Message ----- From:
To:
Sent: Monday, January 31, 2011 2:43 AM
Subject: [TUP-Bulletin:0015] 速報874号 エジプトの若者からのメッセージ
◎エジプトにてベルリンの壁崩壊の再現なるか
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ニュースでご覧の通り、エジプトで現在、政治の正常化を求める市民の気運が大きく高まっています。ベルリンの壁が崩壊した時に似て、現在、私たちは草の根からの革命を目撃しているのかも知れません。
エジプトでは、約30年前、時の大統領のサーダートが殺され、非常事態が宣言され、当時、副大統領だったムバーラクが大統領になりました。以来今日まで、非常事態宣言は解除されていません。つまり、非常事態が 30年継続していて、その中で、大統領が自分に都合のいいように法を作り変えている状態が続いています。
エジプトは、アラブの大義を裏切って、イスラエルと単独和平を結んだ結果、アラブ連盟から追放されましたが、そんなエジプト、つまりはムバーラク大統領の独裁制を、アメリカが全面的に援助してきました。そして、それに反対するエジプト人民の声や運動はずっと抑圧、弾圧されてきています。
本速報では「エジプトの一青年」と名乗る匿名の人物によるブログへの寄稿を邦訳して紹介します。これは、ブログサイトとして英語圏で最大手の一つ、blogspot.com に 2011年1月27日に投稿されたものです。
同筆者からの投稿は、これ限り、すなわちこの文章を投稿するためにブログのアカウントを取得して発表したものと見受けられます。そういう意味では、この投稿者が本当に現地人かどうかを確認する術はありません。1/27頃以降、エジプトからのインターネット接続が政府によって禁止された現状ではなおさらのことです。一方、エジプトでの反政府的な言動への弾圧の歴史を考えると、一市民が実名でこのような文章を発表するには決死の覚悟が必要なことは自明ですから、現実問題として匿名投稿になるのはむしろ当然、ある意味で真実味がある、とも言えます。
このブログ投稿は、世界に静かに広がっているようです。投稿の内容が真に迫っていて、かつ簡潔ながらよく練られた文章になっています。私ども TUP(有志)の心を打つものがありました。実際、文章で触れられている基本的な事実関係のうち確認できる部分は TUP有志で確認して、問題ないことを確かめました。無論、現地からの声である以上、確認できない部分が多いことはいたしかたありませんし、だからこそ価値があるとも言えます。
以下、同ブログ投稿を邦訳して、皆さんと共有します。
エジプト市民に近く自由と平安とが訪れることを強く願います。
〔前書: 坂野正明/TUP管理人、邦訳: 山崎久隆/TUP、TUP有志〕
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※凡例: (原注) [訳注]
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2011年1月27日 木曜日
世界への手紙
みなさん、
今日、私は皆様に、エジプトで本当はいったい何が起きているかを知らせたくて手紙を書いています。1月25日に火が付いたデモは、自分にふさわしい人生を送る権利を求める国内の青年たちによって組織されました。大統領を含む政府はそれを否定し、ムスリム同胞団のような反政府組織が行った行為だと主張しています。でも、いいですか、これはどこかの対立党派の行動ではありません。社会全体の行動です。理由は以下の通りです。
ホスニー・ムバーラク(今年83歳)は 1981年からエジプト大統領でした。それがいったいどのようなものか、私たちの身になって想像してみてください。ムバーラクは私と私の友人誰もが生まれる何年も前から大統領でした。私が小学生のときも、中学・高校のときも、大学生のときも、結婚したときも息子が生まれたときも、ムバーラクはずっと大統領でした。単にムバーラクだけが「私の人生まるごと」と同じあいだ大統領だっただけではなく、取り巻き連中までみなそうだったのです。アフマド・ファトヒー・スルール(今年79歳)は 1986年から大臣で、1990年からの 21年間ずっと議会の指導者[人民議会(下院)議長]でした。サフワト・エル=シャリーフ[現上院議長]は 1980年代から、他の者たちもみな、私たちが生まれる前から政府の中枢にいて、いまでもその地位にとどまったままです。
国の状態はどこもかしこも、ほとんどの人にとって悪化の一途をたどっていました。教育、報道、経済などすべてが間違った方向に向かっており、私たちが生まれたとき以来ずっとそうでした。一般のエジプト人がどんな生活をしているかにかかわらず、政府は独占企業がもっと利益を上げられるように「改革」してきました。それと同時に、1981年からずっと「非常事態宣言」が機能していて、必要と見なされれば誰でも、国家安全保障上の理由により裁判抜きで身柄を拘束することが認められてきたのです。さらに、選挙では不正が行われ、そのうえで、なお真実の声を発表するどのような表現形式を認めることさえ拒否しています。大学の学生組合の選挙にまで不正が行われ、骨の髄まで堕落しきっています! ありとあらゆる分野の指導者たち、知事、大学長、工場長さえもが現役か退役した将軍です。社会のあらゆるレベルでの腐敗はいうまでもありません。失業率は、特に若者の間であまりに高く、また貧困が蔓延して国民の半分以上が貧困ライン以下で暮らしています。ほかにもまだ、ここに書き切れないたくさんのことがあります。
けれど、いまこそチェンジの時です! 私たちは今までずっと警察や治安当局を恐れていました。裁判なしで私たちを拘禁し、拷問しても殺しても問題にならないことを知っていたからです。でも、もうたくさんだ! 私たちは待って、待って、いつかは正されると30年間むなしく待ちました。この前の議会選挙では、かつてない規模の不正が行われ、ムバーラクにさらに一期――あと 6年間か、あるいはかれが死ぬまで――大統領の任期を与えるお膳立てがされました。私たちは可能な限り平和的な手段をとろうとしましたが、自由声明に署名することさえ追放の理由とされ、追及されました。私たちに選択の余地はなかった。より良く生きること、子どもたちのためにより良い人生を用意することは、私たちの権利です。
だまされてはいけません。人々を動かしているのはどこかの野党やイスラーム主義者ではありません。社会全体が、なかでも特に私たち若者が動いているのです。私たちは平和的にデモをしていますが、政府はごろつきや悪党を雇って抗議者のあいだに潜入させ、問題を引き起こさせて、それをわたしたちのせいにしようとしています。政府は容赦なく私たちを叩き、ネットやメディアを検閲し、ほんものの銃弾やゴム弾、催涙ガスで攻撃し、何百という抗議者を拘禁したり多くの人たちを殺傷しています。これは本物の戦いで、しかしほとんど一方的な戦いです。私たちは警官が同胞であることを知っています。ただ「命令に従っているだけ」です。私たちはできる限り、どんな場合においても警官たちを傷つけるのを避けています。
親愛なるアメリカの仲間のみなさん
あなたがたの政府は30年にわたり、ムバーラク大統領に最大の支援を提供してきました。武器と催涙ガスで国家安全保障体制を支えています。米政府は、私たちの国に毎年 16億ドルに及ぶ資金を与えていて、それは腐敗したエジプト政府の中で主にさまざまな形の賄賂として使われています。あなたがたの「民主的な」祖国はイスラーム主義者を恐れるあまり、我々の政府を支援しています。いいですか、怖いものなどないんです。イスラーム主義者についてのあなたがたの見解は事実に反し、間違いだらけですが、その話はまた後日。私たちのリーダーを選ぶことは私たち自身の権利であるという一点において、あなたがたの支援を望みます。私たちを支援し、上院議員や下院議員にエジプト政府を支援するのをやめるように言ってください。私たちを支援し、自由はパンよりも重要であると世界に伝えてください。私たちを支援し、30年続いている政府を追放するのを手伝ってください。もしもあなたの孫たちが、いまと同じ支配者を目撃するとしたら、あなたがどのように感じるかをぜひ想像してください!
親愛なるヨーロッパの仲間の皆さん
あなたがたのリーダーはエジプトの状況を気にかけています。ムバーラクが腐敗していることを知っていて、それゆえに心配しています。わたしたちがひどい圧政の下にいることを知っていて、その状態が続くことを望んでいます。あなたがたのリーダーは、ローマ時代から、英国による最後の植民地支配が終わるまでずっと、エジプトを監視していました。けれども、自分たちの国を治め、自由がどれほど貴重であるかを自分たちの子どもに教えるのは、私たちの権利です。リーダーと政府を選ぶことは私たちの権利です。そして私たちを支持するのは、あなたがたの人道的責務です。あなたの国のリーダーに対して、私たちを支援すると言ってください。エジプト大使館に行って、あなたの支持を示してください。私たちの大義について人々に話し、そして、私たちが、自分たちの権利、生まれてこのかたずっと抑圧されてきた自分たちの権利を手に入れようとしているだけであることを知らせてください!
親愛なる世界の皆さんへ、
これは、あなたが本当は何者であるかを試される瞬間です。あなた自身の真実の瞬間です。あなたの良心はまだ生きていますか。あるいは、あなたは人間性よりも利害関係を重んじますか? あなた自身の尊厳を証明し、私たちが人間性の回復を要求することを手伝ってくれるでしょうか。それとも、戦車が我々を轢(ひ)くのを、脇に立ってただ見ているだけでしょうか? それはあなたが決めることですが、覚えておいてください。それはあなたが一生抱えていくことになる何かであり、いつかあなたはこの件で子供たちと正面から向き合わなければならないかもしれません。
お声が聞こえるのを楽しみにしています。
[「皆さんのご意見をお待ちしております。」の方がいいのでは?]
エジプトの一青年より
Tags : エジプトの若者からのメッセージ | ムバラク大統領 | 市民革命 | |
2011.01.30 (Sun)
エジプトなど中東で今何が起こっているのか
中東情勢には疎い(笑)ので、あまり詳しくはわからないけれども、最初の部分だけ、和訳してみた。

Your questions on Egypt answered
msnbc.com updated 1/29/2011 5:21:45 PM ET
質問:今の情勢に至るまでには長い歴史があっただろうけれども、なぜ、今回の反政府デモが起こったのか教えていただけませんか。
答え:ムバラク政権に対するフラストレーションが大きくなってきているところに、チュニジアでの民主主義革命が起こりました。それに影響を受けたのは確かでしょう。実にここ数十年の間に、フィリピンからポーランドまで、チリからセルビアまで、モルジブからマリまで、不正な独裁政権に対する非武装の暴動がいくつも見られました。
質問:基本的に市民は何を求めているのでしょうか。つまり、何のために闘っているのでしょうか。
答え:言論、出版、集会の自由や、自由で誠実な選挙など、ムバラク政権がこのまま続く限り、人々が不可能だと信じていることです。さらに貧困や格差が広がっているので、より確かな経済的公平性を求めています。リベラル化されていない政治システムと、リベラル化された経済は、危険な組み合わせです。
質問:アラブの複数国で起こっていることを考えると、これがサウジアラビアに広まる見込みがあると思いますか。ファハド家は、ムバラクよりも暴動にうまく対処できるでしょうか。
答え:残念ながら、恐らくサウジアラビアが変わるとしたら、一番最後でしょう。 サウジアラビアは、石油の豊富な国家であり、多くの潜在的対抗者に金を与えて追い払うことができます。 さらに、強硬路線のWahabbi聖職者の持つ絶大な力が、民主派陣営を君主制に挑戦することに対して神経質にさせるかもしれません。
かなり、長い質疑応答なので、全文の和訳をする時間はないんだけど、どなたか、私が寝ている間に和訳してくださる方がいらっしゃったら、お願いします。
この後、質問はイスラム教やイランの影響に移って行き、米国とエジプトの関係などにも触れる。
その中で、米国によって支援されているムバラク大統領の後任には、米国に友好的な人物がなるのかどうかの質問に対して、ズーニス教授は、ムバラク政府の後任が狂信的な反米であったり、イスラム教徒急進論者によって支配されるとは予想しないけれども、ほとんどのエジプト人は、ワシントンがムバラクの独裁政治を長年支援したことに失望しているため、新しい民主政府は、米国に対して敵対的ではないにしても、これまでに比べて米国とIMFから少し独立するだろうと答えている。
なんとなく、日本とその背景が似ているではないか。米国が自分たちの言うことを聞く人物をエジプトの大統領に選び、長年支援したせいで、ムバラク政権は独裁政治を行い、市民がそれに不満を持った。そして、ついにその不満が爆発したのである。
世界中の気弱な国を手中に治めようとする米国。日本もその中の一国だろう。おとなしい日本人がエジプトのように政治革命を起こせるとは思わないが、血を流す覚悟がないと、政治というものは変わらないのだということをエジプトの市民は私たちに再確認させてくれたのではないだろうか。
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